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乾癬

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乾癬-自然療法の治療法
フィリップ・ルチョタス理学修士、自然療法医師

Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON, L7E 1C7

info@boltonnaturopathic.ca



乾癬-自然療法の治療法




はじめに

乾癬は様々な酷さの症状を伴う慢性皮膚疾患です。乾癬では、皮膚細胞が非常に急速に成長する結果、皮膚に銀白色や赤色の厚みのあるパッチが生じます[1]。通常、皮膚細胞は成長して月一度剥がれ落ち、新しい皮膚が古い皮膚に置き換わります。しかし、乾癬の病理プロセスにおいては、新しい皮膚細胞が皮膚表面に通常よりも速く(数週ではなく時には数日で)移動します。この新しい皮膚細胞は最終的にプラークを形成しますが、これには様々なサイズがあります。乾癬が最も良く起こる部位は、伸筋表面(膝や肘)、頭皮や手足のような四肢です。湿疹が子供たちで良く見られるのとは反対に、乾癬は成人期に多く見られます[1]。これらのプラークは痒みを伴ったり伴わなかったりします。

乾癬の根底にあるプロセスの大半は、免疫システムが適当でない場合に過剰反応し、炎症を引き起こすことが原因です[2]。この研究で著者らは、乾癬性皮膚病変ではインターロイキン-10、細胞障害性Tリンパ球関連4、プログラム細胞死1、プログラム細胞死1配位子1および2、そしてインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼといった多くの負の免疫調節因子の発現が著しく低いことを確認しました。これらの免疫調節因子は、通常は物事を抑制するものですが、乾癬ではこれらが欠乏していることが分かりました。乾癬には、根本原因となる遺伝的要素があり、環境的要因が引き金となっている可能性があるようです。通常、乾癬は皮膚の外観に基づいて診断が下されます。しばしば診断確定や詳細な評価を目的として、皮膚科専門医への紹介が行われる可能性があります。もし診断が確定しなければ、更に皮膚の生検のような検査が行われるかも知れません。重い乾癬は軽い乾癬よりも診断が容易ですが、軽い乾癬はその炎症性の特徴が原因でしばしば他の皮膚疾患と混同されます。通常、症状は風邪、特定の薬、感染、そして心理学的ストレスにより悪化します。乾癬は、喫煙やアルコール摂取に加えて肥満によっても悪化する可能性があります。乾癬には様々な亜種もあります。この記事では、尋常性乾癬に焦点を当てますが、検討する治療の可能性の多くは(膿疱性乾癬や、乾癬と関節炎とが同時に起こる乾癬性関節炎のような)他のタイプの乾癬にも有用かも知れません。


Conventional Treatments Conventional Treatments 従来療法

乾癬の従来療法の目的は、皮膚細胞の成長する速さを減少させ、炎症を軽減し、もし鱗屑があるならばそれを取り除くことです[3]。こう薬療法が存在しますが、これは時には軽度の乾癬に非常に効果的である可能性があります。より重い乾癬の場合には、(クリームのような)こう薬療法と経口投薬治療や付加療法とを組み合わせるのが標準的です。

こう薬療法を支える薬は副腎皮質ステロイドです[3]。これらは抗炎症性があり、免疫システムを抑制することで皮膚細胞のターンオーバーを遅くする力があります。副腎皮質ステロイドの強さは様々です。もし乾癬がより重症ならば、比較的強いステロイドが用いられるでしょう。通常、弱いステロイドは(顔や皮膚のひだのような)敏感な部位に用います。ステロイドの長期的使用についての懸念というのは、皮膚を薄くすることです。この理由から、しばしば外用ステロイドは一時的な期間、必要な時にだけ使うことが薦められています。他の一般的なこう薬療法は、(類似体と呼ばれる)合成ビタミンDです。この治療法も皮膚細胞の成長速度をスローダウンします。もし鱗屑があるならば、鱗屑を減らし皮膚を滑らかにするのを助ける専用の薬があります。これらは刺激性だったり洋服の染みとなったりすることもあります。最後に、サリチル酸、コールタール、そして保湿クリームのような他のこう薬療法があります。これらは多くの皮膚疾患に利用することが可能なこう薬療法で、乾燥を防ぎ、痒みを和らげ、そして炎症を軽減します。光線療法としても知られている光療法は、乾癬の非薬物療法です。これは光を肌に照射して行います[3]。紫外線光の利用により痒みが和らぐ等、軽度から中程度の乾癬症状に効果があるようです。乾癬の経口投薬治療では、レチノイドも利用可能ですが、レチノイドというのはビタミンAと構造的に関連のある薬の一群です。この薬は、体への負荷が極めて高く、通常は重い乾癬のために用いられます。レチノイドは先天性欠損症の原因となる可能性があるため、妊娠中の女性には禁忌です。メトトレキサートは乾癬治療のための経口薬です。これは一般に低用量で耐容性を示しますが、胃腸の不調や疲労の原因となります[4]。メトトレキサートを長期的に使用すると、血小板および肝臓機能の問題の原因となります。


Naturopathic Treatments 自然療法の治療法 欠乏症に取り組む

自然療法の視点から第一に考慮すべき項目は栄養不足です。乾癬の人たちはクロム、ビタミンD、そしてセレンやビタミンAのような抗酸化物質が欠乏している可能性があります。クロムは、血糖値を調節するのに役立ちます。ビタミンDは、前で言及されたように、細胞の増殖および分化を正常化するのに一役買っています。乾癬の人たちはその他の人たちと比較して、ビタミンD値が低いようです。ビタミンDは経口で(これにより定期的に一定の測定可能な摂取が行われます)あるいは十分な量の日光に当たることで、補充することが可能です。セレンは、グルタチオンの前駆物質ですが、グルタチオンは強力な抗酸化物質です。乾癬の患者たちにはセレン低濃度が見られます。最後に、ビタミンAおよび亜鉛は一般に欠乏している他の栄養素で、これらの状態の回復が乾癬の症状を軽減するのに役立つ可能性があります。

植物療法

尋常性乾癬の治療に利用可能な多くのハーブが存在します。幾つかのハーブは抗炎症剤として働き、他方では免疫システムを調節するのに大きな影響を及ぼす他のハーブが存在します。例えば、多数のハーブはcGMP値を減少させるのを助けます。皮膚細胞の増殖は、環状アデノシン3’,5’一リン酸(あるいはcAMP)の環状グアノシン一リン酸(あるいはcGMP)に対する比のアンバランスが一部原因です。細胞分裂はこれらの二つの要素のバランスによりコントロールされています。乾癬の人たちでは、しばしばcAMPの量に減少が、そしてcGMPの量に増加が見られます[5]。ですから、cGMPを減少させるハーブを利用することでそのバランスを回復することが可能です。例には、ヒドラスチス、苦瓜、オオアザミといったハーブがあります。オオアザミに含まれる活性成分の一つであるシリマリンも、肝機能を改善し炎症を軽減することから、乾癬に役立つでしょう。

オメガ-3脂肪酸

オメガ-3脂肪酸はナチュラルな皮膚疾患の主柱となります。これは、オメガ-3脂肪酸が強力な抗炎症成分であるEPAおよびDHAを含んでいるためです。EPAは特に効果的な抗炎症剤です。更にオメガ-3脂肪酸はアラキドン酸(炎症性で動物性脂肪に含まれる)の生産を減少させるのに加えて、ロイコトリエンの生産の減少を助ける力があります。

食事オプション

乾癬のための一般的なアプローチの一つは、除外食です。これは、2週間以上の期間、アレルギーを起こし易い食品を除去する食事療法です。除外段階が終わると、症状の悪化を確認するために徐々に食品が再導入されます。もし皮膚が悪化すれば、その食品が有害な食物である可能性があり、長期的に避けるべきでしょう。これにより、各患者さんのために個別化したアプローチを取ることが可能になります。あるいは、健康的な食事の選択肢として、糖、動物の肉、そしてアルコール(乾癬を悪化させる可能性があると言われたように)の制限があります。患者さんたちは食物繊維の摂取を増やすことが推奨されます。肥満も悪化の一因であることから、太り過ぎの人たちは体格指数が正常の範囲になるまで減量を考慮することが提案されます。

鍼や伝統中国医学は、乾癬の治療に対する全体系的なアプローチとして用いられてきました。説明するのは困難ですが、幾つかの肯定的な発見が学術誌に発表されました[6]。一般に個別化ベースの治療が薦められ、通常は数週間に渡る数回のセッションが必要です。鍼は、他の健康面にも取り組みたいと願う人たちにとっては良い選択肢で、ストレスや不安を感じやすい人たちにとってそれらを軽減するにも良い手段となるでしょう。


結論

乾癬は、非常に複合的な免疫システムを巻き込む病理プロセスを原因とする慢性的な健康問題です。通常よりもずっと速い速度で皮膚が増殖し、パッチやプラークが生じます。従来のアプローチは、こう薬療法、光療法、そして投薬療法です。全てが効果的である可能性がありますが、重い疾患にはそれらを組み合わせて利用できます。効果的な自然療法のオプションが存在します。それらには、悪化要因の減少と炎症の軽減を助ける可能性のある食事や生活習慣の見直しも含まれます。細胞増殖を減少させるハーブの選択肢も存在します。鍼についても研究が行われ、幾つかの試験で有望であることが示されました。あなた自身の特定の状況に最も相応しいのはどの治療計画でるのかを定めるために、担当の自然療法医のサービスを求めることをお薦めします。