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自然療法医学-エビデンスに語らせよう

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自然療法医学-エビデンスに語らせよう
By: ハイディ・フリッツ文理学修士・自然療法医師
ボルトン自然療法クリニック
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca



Research in Naturopathic Medicine




自然療法医学の研究

多くの読者たちは、自然療法医学の有効性に関する現在進行中の国民的論争にお気付きかも知れません。この論争はしばしば、自然療法医学の安全性と有効性とを支持するエビデンスの存在に集中します[1]。この記事では、自然療法医学の研究の様相とその有効性とについて新しく光を当て、しばしば見落とされる多数の既に存在するエビデンスを際立たせましょう。

最初に、私たちは自然療法医学の分野における二種類の科学的研究を区別しなければなりません。一つ目は伝統的なスタイルの単一介入調査ですが、この単一介入調査ではオメガ3脂肪酸あるいはビタミンDのような単一の治療法が人々のグループに施されます。この治療法が、プラセボあるいは他の“対照物質”と比較され、興味深い結果は長期間かけて評価されます。このような一つ一つの自然療法の効果を究明した多数のエビデンスが存在します[2-5]が、しかしそれはこの記事の焦点ではありません。

しかし自然療法医学の強みの一つは、有効性を高めるためにいくつかの種類の治療を合わせて一つの治療計画を作ることを可能とするその力です。たとえば痛みの治療には、栄養補給を鍼と組み合わせられるかも知れません。不妊症の治療には、植物薬を栄養療法およびホメオパシーと組み合わせられるかも知れません。心血管疾患や糖尿病の予防と治療には、ライフスタイルのカウンセリングを栄養補給と組み合わせられるかも知れません。

このように、二番目のタイプの自然療法医学の研究では、与えられた病態の治療に対する体系的アプローチとして、いくつかの療法を共に組み合わせて用いることについて詳細に調査します。このような研究は、一つの単離した薬の効果よりもむしろ医学システム全体あるいは治療アプローチ全体を一体として調査するため、“全システム研究”と呼ばれています[6]。全システム研究はより一般化可能な研究です。つまり、全システム研究は自然療法医学が実生活の場面でどのように働くかを教えてくれます。全システム研究では、いくつかの治療を通常(一緒に)施される通り、医師-患者のコンテクストにおいて評価し、治療に伴う費用についてもより良く評価することが可能です。このタイプの研究は、自然療法医学では刺激的な新領域です。

メンタルヘルス、慢性痛そして心血管疾患は、現在、従来の取り組みでは十分に管理されておらず、医療システムの資源に重荷を課していると認識されている、三つの突出した慢性健康障害の分野です。これらの分野における自然療法医療の役割を吟味しましょう。

メンタルヘルス メンタルヘルス

不安やうつのような気分障害は、カナダ社会の大きな部分を冒しています。カナダメンタルヘルス協会(CMHA: Canadian Mental Health Association)によると、最大20%のカナダ人は精神疾患を経験しており、最大8%が生涯の内にうつを経験し、最大5%が不安に悩まされます[7]。単に気付かないかあるいは診断未確定である人が多いだけで、ずっと大きい割合の人々が不安を経験しているという議論があります。精神疾患の代償には、生活の質の低下、生産性の損失、そして医療システムに課される出費といったものがあり、これらのうちの最後については、ほとんど100億ドルと見積もられています[7]。それに加えて、軽度から中度のうつ病患者のようないくつかのケースでは、一般の薬によるアプローチの安全性と有効性とについての懸念がありました[8]

研究によると、自然療法医学は不安を著しく減少し気分を改善することが示されました[9,10]。ある無作為対照試験で、Cooleyらは自然療法治療あるいは標準の心理療法(PT: standardized psychotherapy intervention)介入を、不安に少なくとも6週間以上悩んでいる患者達81人に対して、12週間以上施しました[9]。自然療法治療群の参加者たちは、食事カウンセリング、深呼吸リラクゼーション法、マルチビタミンそして植物薬のアシュワガンダ(Withania somnifera)(1.5%ウィタノライドに統一されたものを毎日2回300mg)の投与を受けました。心理療法介入群は、心理療法、対応する深呼吸リラクゼーション法そしてプラセボの投与を受けました。8週間後、両群の患者たちではベック不安指標(BAI: Beck Anxiety Index)で測定された不安スコアに有意な改善が見られました。ベック不安指標は、自然療法治療群で56.5%減少し、心理療法群で30.5%減少しました。さらに自然療法治療群では、集中力、疲労、社会的機能性、活力そして全体的な生活の質において、より良い改善が報告されました。この研究により、自然療法治療と心理療法との療法が不安を改善しましたが、自然療法治療がより良い改善をもたらす可能性があることを示しています。自然療法治療は、生活の質に関連する他の尺度についても改善をもたらしました。

もう一つの研究では、糖尿病の患者達の気分と生活の質とに及ぼす自然療法治療の影響を評価しました[10]。II型糖尿病の患者40人が選ばれ、標準的な治療に加えて付加的な自然療法治療を一年間受けました。自然療法治療は、食事とライフスタイルのカウンセリングおよび厳選した栄養サプリメントの使用で構成されていました。糖尿病に関連する分野での効果に加えて、自然療法治療を受けた患者たちでは、標準的な治療のみを受けた患者たちと比較して、セルフケア行動、動機そして気分に著しい改善が報告されました。糖尿病は興味を引く病態であると同時に、自然療法治療の施術により他の表面上は関連のない領域にも改善がもたらされたこの研究は、真に全体的な自然療法医学の特徴を強調しています。

慢性痛 慢性痛

自然療法医療で二番目の関連領域は、慢性痛管理です。これには関節炎、関節損傷、自己免疫性関節炎に加えて慢性偏頭痛と線維筋痛といったものがあります。カナダ疼痛協会(CPS: Canadian Pain Society)によると、カナダ人5人中1人は慢性痛に悩まされていると言います[11]。カナダ疼痛協会は、“痛みは人々が医療の助けを求める最も一般的な理由で、救急外来受診の78%を占める”とも報告しています[11]。経済的には、カナダの慢性痛の年間費用は600億ドル前後と見積もられています。明らかに、これは現在の管理方法が最適以下である領域です。

いくつかの研究では、腰痛、回旋筋腱板腱炎そして顎関節機能障害(TMD: temperomandibular joint dysfunction)といった慢性痛の病態管理における自然療法医学の有効性が明らかにされました[12, 13, 14]

カナダ自然療法医学大学のSzczurkoらによる二つの研究では、腰痛および回旋筋腱板腱炎の治療における包括的自然療法治療の有効性が評価されました[12,14]。最初の調査では、総勢85人の回旋筋腱版腱炎患者が無作為に、自然療法治療あるいは統一された運動療法を12週間受けました。自然療法治療群は、食事カウンセリング、鍼そしてPhlogenzymと呼ばれる消化酵素を一日3回2錠の投与を受けました。運動療法群は、受動運動、能動アシスト運動そして他動的関節可動域訓練および対応するプラセボの投与を受けました。12週間後、肩の痛みと障害指数(SPADI: Shoulder Pain and Disability Index)の点数とが、自然療法治療群で54.5%そして運動療法群で18%と、両群で有意に減少しました。同様に、疼痛の視覚的アナログ尺度、生活の質に加えて肩伸長範囲、屈曲そして外転に有意な改善があり、いずれの結果でも自然療法治療群が優れていることを示しました。

I腰痛についての二番目の研究では、総勢75人の腰痛患者が無作為に、自然療法治療あるいは標準運動療法を12週間受けました[14]。自然療法治療群は、食事カウンセリング、深呼吸リラクゼーション法そして鍼を受けた一方で、対照群は認可教育用小冊子を用いた物理療法運動の教育と指導とを受けました。12週間後、自然療法治療群では、オスウェストリー障害質問票により評価したところ腰痛が著しく軽減したことが報告されました。自然療法治療群では生活の質も著しく改善しました。脊椎屈曲、体重減少そして体格指数(BMI: body mass index)といった二次転帰も自然療法治療群では改善しました。

最後に、Ritenbaughらによる三番目の研究では、顎関節機能障害治療における自然療法治療を評価しましたが、顎関節機能障害は顎の痛みと偏頭痛の原因になります[13]。合計160人の患者たちが無作為に、自然療法治療、伝統的中国医学(TCM: traditional Chinese medicine)あるいは研究が行われている顎関節機能障害専門クリニックにおける標準的治療の三つのグループのうちの一つに割り振られました。標準的治療は、マウスピーズおよび顎関節機能障害専門歯科医によるセルフケアカウンセリングにより構成されていました。伝統的中国医薬では鍼療法を行いました。自然療法治療は、ストレス減少法、栄養カウンセリングおよびサプリメントとハーブの使用から構成されていました。治療終了時および治療後3ヶ月の時点で、伝統的中国医学と自然療法治療とは標準的治療と比較して“最悪の顔面痛”の採点で有意な減少を示しました。自然療法治療は、患者たちの顎関節機能障害からくる心理的支障の採点にも減少をもたらしました。

全てを合わせると、これらの研究は、自然療法治療が種々様々な病態から生じる慢性痛の管理を改善する可能性があることを示しています。

心血管疾患 心血管疾患

最後に、自然療法医学がその予防と管理とに何らかの役割を果たす可能性のある重要な一領域は心血管疾患です。心血管疾患はカナダではガンに続いて二番目の死因となっています[15]

コレステロールや血圧および血糖の上昇そして太り過ぎといったいくつかの因子が心血管疾患リスクの上昇と関連があるとされています。これらのうちの三つ以上の値が高いと、それがボーダーラインでさえあっても、これらの組み合わせが“メタボリック症候群”と呼ばれます[16]。メタボリック症候群はおおよそ25%のカナダ人を冒しており、心血管疾患の発症を予防するための対策の実行に関して注目が高まりつつあります。糖尿病患者たちも同様に、心臓発作、卒中や小血管疾患といった腎臓、眼や手足のような末梢器官を冒す心血管疾患リスクが高くなります。これら両方のグループの患者たちは、長期的な病気のリスクを低下させるための付加的自然療法治療を受けるのに理想的な候補者たちです。少数の研究では、これらの患者たちの心血管疾患リスク因子の管理における自然療法治療の役割の評価を行いました[10, 17]

Seelyらによる無作為対照試験では、コレステロール値に基づき心血管疾患リスクが高いと見なされた患者総勢246名が振り分けられ、家庭医による標準的治療に加えて付加的自然療法治療、あるいは標準的治療単独が、12ヶ月施されました[17]。自然療法治療は、健康促進カウンセリング、食事カウンセリングそして栄養あるいはハーブのサプリメントで構成されていました。一年の終わりに、対照群の患者たちと比較して、自然療法群の患者たちでは、見積もられた心血管疾患の10年リスクに有意な減少がありました。一年後、標準治療単独群と比較して、自然療法の治療を受けた患者たちではメタボリック症候群が有意に少なかったのです。

(上で簡単に書かれている)Bradleyらによる二番目の研究では、II型糖尿病の管理における自然療法を詳細に吟味しました[10]。管理不良の糖尿病患者合計40人が選ばれ、標準的治療に加えて付属的な自然療法治療を一年間受けました。自然療法治療は、食事カウンセリング、運動の推奨、ストレス軽減法そして厳選した栄養サプリメント服用で構成されていました。一年の終わりには、自然療法治療を受けた患者たちでは、HbA1C値の減少を根拠とする血糖コントロールの改善が示され、そして運動を行ったりライフスタイルを見直そうとする意欲を持ったりというような健康促進的な行動にも改善が示されました。

全てを合わせるとこれらの研究は、標準的な医療に加えて包括的な自然療法治療を行うと、長期的心血管リスク、メタボリック症候群への罹患、血糖コントロールそして健康促進的行動の実行に関する改善をもたらすことを示しています。全体として、現存の自然療法医学の研究を分析すると、広い範囲での自然療法医学の利用が、現在の医療のギャップを埋めるのを助け、標準的治療に付加した際にいくつかの慢性健康障害の管理を改善することが示されています。