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アシュワガンダ

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アシュワガンダ - 概説
ティファニー・エバーハード自然療法医師

Mahaya Forest Hill
73 Warren Road, Suite 102
Toronto, ON, M4V 2R9

www.tiffanyeberhardnd.com
tiffanyeberhardnd@gmail.com



Withania somnifera - An Overview

はじめに

アシュワガンダとしても知られるW. somniferaは、3000年以上にわたって使われてきた重要なハーブです。根の主要構成成分はステロイド系アルカロイドおよびウィタライドと言われるステロイド系ラクトンです。アシュワガンダは不安、炎症、パーキンソン病、認知障害および神経障害に、そして放射線治療や化学療法を行っている人たちの補助的サポートとして用いられています。アシュワガンダは、神経衰弱、不眠症、ストレスが原因で衰弱している人たちのための主要な適応促進薬、体のストレスに対する反応を管理するのを助けるハーブ、そして白血球数の低い人たちのための免疫刺激剤であるとも考えられています(1)

アシュワガンダは、必要に応じて人の生理学的ホルモンに転換することが可能である主要なホルモン前駆物質で、ですから主要な生理学的プロセスを調節するのに用いられます。この作用機構に関する一つの理論は、ある特定のホルモンが過剰に存在する時に、植物ベースのホルモン前駆物質が受容体のサイトを占領するため、本当のホルモン前駆体が結合するのを効果的に阻害し、それによって本物のホルモンが作用するのを防ぐというものです。しかし、もしホルモンのレベルが低いなら、この植物ベースのホルモンは多少の効果しか及ぼしません(1,2)。アシュワガンダは体の酸化性ストレスマーカーを調整し、脂質の過酸化反応を減らし、そして活性酸素分解酵素(SOD: superoxide dismutase)およびカタラーゼ活性を増加させます。アシュワガンダは、GABA性あるいはコリン作用性の神経伝達物質を調整することも報告されました。アシュワガンダのGABA受容体活性化作用は、不安の予防と因果関係があるとされ、ですからこの植物は不安障害に良いのです。カルシウム受容体活性化作用能と併せてコリンエステラーゼ抑制ポテンシャルが、アシュワガンダによるアルツハイマー病とそれに関連する問題との治療を可能にするということが言われています。アシュワガンダは血管形成(新しい血管を作ること)の阻害薬であることが報告されており、ですからある種類の癌では保護的です。二つの糖ウィタノロイド(シトインドサイドIXおよびシトインドサイドX)は抗ストレス活性を示し、若いラットおよび年を取ったラットの両方で、学習獲得および記憶保持を強化することが示されました(3)


抗不安作用と抗うつ作用 抗不安作用と抗うつ作用

不安障害は非常に一般的で、15%を超える一般の人々が人生のうちの何らかの時点で冒されます。アシュワガンダにはGABAを擬態する性質があるため、不安軽減を助け、その抗うつ作用に寄与します(3,6)。ある研究では、アシュワガンダは不安の治療においてプラセボよりも優れていることが示されました(4)。抗不安作用および抗うつ作用についてのアシュワガンダの比較動物実験では、一般に処方されている薬のロラゼパムおよびイミプラミンとの比較を行いました。アシュワガンダおよびロラゼパムの両方が、脳内における不安の臨床マーカー値を低下させ、更にアシュワガンダではイミプラミンに匹敵する抗うつ効果を示しました(5,6)


抗ストレス作用

慢性ストレスは、認知障害、性的機能不全、胃潰瘍、免疫抑制、糖バランス異常、そして血漿コルチコステロン値の変化といった、様々なマイナスの影響を体に及ぼします(5)。アシュワガンダは、体の正常な生理学的機能を妨げることなく複数パラメターを復元させることから、実験動物が被る不特定のストレスに対する耐性用量を増加させることが可能です(7)。ラットを用いた研究では、アシュワガンダはコルチゾール値、精神の抑うつ、性的機能不全といったストレスパラメターを衰退させました(5)。アシュワガンダは、ストレス誘発性慢性潰瘍の数および重症度を減少し、ストレスによるオスの性行動の慢性的抑制だけでなく免疫抑制も逆転させ、更に同様のラットの研究においては、慢性ストレスによる学習済みタスク保持への悪影響を抑制することが示されました(8)


免疫調整および抗ガン作用 免疫調整および抗ガン作用

アシュワガンダは、放射線療法および化学療法への腫瘍の感作を増加させるのに加えて、これらの治療による一般的な副作用を減らす可能性を持っています。アシュワガンダには抗増殖作用がありますが、腫瘍細胞に対する抗酸化作用はありません。動物実験では、アシュワガンダは腫瘍の成長を遅くし生存期間を延ばすのに役立つことが確認されました。アシュワガンダには、抗酸化および酸化促進の両方の働きを呈し、腫瘍の成長や炎症が原因の酸化性損傷を修復する力があり、これにより病気の進行を遅くします。アシュワガンダは、解毒化経路のフェーズ1あるいはP450酵素を上方にも下方にも制御しませんので、これらの系に作用する薬やハーブと相互作用なく組み合わせることが可能です(7)

アシュワガンダは、ヘモグロビン値、赤血球数を上昇させ、血漿コレステロールおよび炎症マーカーである赤血球沈降速度を低下させることが示されました。アシュワガンダは白血球減少症を減少させ、骨髄細胞性を高め、更にγ線照射を施したマウスの赤血球の正染性対多染性比を上昇させます。また、アシュワガンダは一般的な化学療法薬であるシクロホスファミドで処置を受けたマウスの総白血球数および骨髄細胞性を増加します。ガンでは、特に化学療法および放射線療法を行っている人たちでは、免疫が抑制されることから、免疫システムを支えることは重要です(9)。幾つかの動物実験では、アシュワガンダは免疫調整剤および化学保護剤として働くことから、造血システムに計り知れない影響を与えることが示されました。マウスを使ったある実験では、アシュワガンダが総白血球数を上昇させ、マクロファージ内の酸化窒素生産を増加させることが分かりましたが、これはガン治療を行っている人たちには重要です。アシュワガンダは、インビトロおよびインビボにおいて細胞障害性T細胞に対する刺激作用を示しましたが、細胞障害性T細胞はガン細胞を狙って殺す役割を果たすことから、腫瘍の成長を減少させる可能性があります。あるインビトロ研究では、アシュワガンダは人間の胸、肺、中枢神経、そして結腸のガン細胞株の成長を抑制し、それは化学療法薬のドキソルビシンに匹敵するものであることが示されました(2)


甲状腺刺激作用 甲状腺刺激作用

血中甲状腺ホルモンで主なものはT4ですが、これは甲状腺で合成されます。ある動物実験では、アシュワガンダの投与に続いて血漿T4濃度が上昇することが確認されました。アシュワガンダは甲状腺レベルでのT4の合成や放出を刺激するようです。ある動物実験では、アシュワガンダによる処置を受けたグループでは、肝臓脂肪過酸化の著しい減少およびカタラーゼ活性上昇がありました。このような観察結果から、アシュワガンダが酵素を刺激することによって、細胞の抗酸化システムの有効性を高めるらしいことが示唆されます。炭化水素の代謝も甲状腺ホルモンの影響を受けます。アシュワガンダは、肝臓のグルコース-6-ホスファターゼ(G-6-Pase: glucose-6-phosphatase)の活性を高めますが、これは甲状腺ホルモン濃度の上昇と同期しています。外因性T4はグルコース-6-ホスファターゼの活性を高めることが知られていることから、これはT4濃度上昇が原因で起こったのかも知れません(10)。このように、アシュワガンダは甲状腺機能低下症の治療に有益な可能性があります。


認知への作用 認知への作用

アルツハイマー病(AD: alzheimer’s disease)は不可逆な神経変性疾患で、混乱、気分変動、記憶喪失という特徴があります。アルツハイマー病発症に主要な役割を果たしているのはβアミロイドペプチド(BAP: beta-amyloid peptide )で、これが薬物治療の主なターゲットです。アシュワガンダは、脂質の過酸化を強く抑制しますが、脂質の過酸化は複数の病状発症に携わっています。脂質の過酸化プロセスを減らすことは、健康な細胞や組織を維持するのを助けるでしょう。ある動物実験では、神経細胞膜上の酸化性ストレスの原因となる活性フリーラジカルがアシュワガンダによって減少することが示されました。この酸化性ストレスは、細胞内のタウタンパク質のフィブリル化を引き起こし、最終的には細胞を死に至らせる原因となります。ですから、酸化性ストレスを防ぐことはアルツハイマー病の人たちにとって重要です。アシュワガンダも、プラーク形成βアミロイドペプチドによる細胞死から神経細胞を守ります。このことからアシュワガンダは、アルツハイマー病の患者たちの神経細胞死を減少させるために用いることが可能であり、更に予防としても役立つかも知れず、アルツハイマー病患者たちの生活の質を改善するかも知れません(11)


安全性

アシュワガンダは、妥当な広範囲の服用量について安全かつ無毒であると見なされています。他のハーブや薬剤との相互作用の可能性があるため、アシュワガンダを服用する前には、このような相互作用についての訓練を受けた医療専門家に相談することが大切です(3)。それに加えてアシュワガンダは、高用量では流産の原因となる可能性があるため、妊娠中は避けなければなりません。アシュワガンダには軽度の中枢神経系抑制作用があるため、アシュワガンダを服用する際にはアルコール、鎮痛剤、そして他の精神安定剤を避けて下さい(2)


結論

アシュワガンダは、不安、抑うつ、そしてストレスによる悪影響の効果的な減少に利用することが可能です。それに加えて、アシュワガンダには、抗ガン、甲状腺刺激、そして認知機能に利益をもたらす強い抗酸化のような作用があることが示されました。アシュワガンダは、様々な利点や素晴らしい安全プロファイルを持ち、そして他の薬剤やハーブとの相互作用の可能性が低いことから、自然療法医療では頻繁に利用されています。