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年齢とともに脳の健康を高める - 自然療法の視点

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年齢とともに脳の健康を高める - Naturopathic Approaches

by Christine Novokowsky, ND

https://www.drchristinend.com




はじめに Boosting Brain Health With Age

物忘れは、ごく普通の老化現象だといわれることが多いです。私たちは皆、年齢を重ねるにつれて、記憶力や集中力、マルチタスク能力、問題解決能力の変化に気付くのは当然だと思っているかもしれません。認知症は、加齢とともに認知能力が変化し、それが日常生活に支障をきたし始める状態をいいます。高齢化に伴い、2020年までに認知症が世界の障害の主な原因になると予想されています(4)。現在の認知症の治療は限られていて、成功率はそれほど高くありません。加齢に伴う認知機能の低下を防ぐ方法や、少なくともその過程を遅らせる方法を見つけることは非常に重要です。

脳の老化で起こること

認知症の主な原因は、遺伝子疾患や神経性疾患です。しかし、老化の過程において、脳の機能や代謝、構造が変化するのはごく自然なことで、誰もが記憶と認識が変化するといわれています。

以下は、認知機能の低下の原因といわれる主な脳老化の過程の一部です:

  • グルコース(脳が好む燃料源)の非効率的な消費–脳がその主要な燃料源を適切に消費できない場合、本来の機能を果たすことは期待できません。これと特にかかわりがあるのは、すでに体内におけるグルコースの調整・消費能力に障害がある糖尿病患者です。
  • 酸化ストレスの増加-フリーラジカルは、代謝やその他の細胞プロセスの副産物として生成されます。フリーラジカルが多すぎると細胞が損傷する恐れがあり、これを抑えるには抗酸化物が必要です。年齢とともにフリーラジカルが増加して、全体的に抗酸化力が低下し、その結果、細胞に損傷を与える酸化ストレスが上昇します。
  • 血流の減少と変化-加齢に伴う心血管疾患と動脈プラークの形成により、適切な脳内の血液循環や脳への血流が妨げられる可能性があります。脳が最適に機能するには、新鮮な酸素や栄養素を取り込んだり、老廃物を除去したりするために、適切な血流が不可欠です。
  • 軽度の炎症-これは年齢とともに体の多くの部分にみられ、数多くの様々な原因によって生じる可能性があります。加齢に伴い免疫細胞が変化した際や、過去に感染症や軽度の脳損傷を患っている場合も炎症が生じやすくなります。
  • 生涯にわたり、上記のあらゆる過程に影響する恐れのある要因は様々あります。中には遺伝的背景や民族的背景など、変えることのできない事柄もありますが、その他の多くは変えられる可能性があります。身体活動量やライフスタイル、食事は、こうした過程の展開に大きな影響を与える可能性があり、年齢とともに認知機能を維持するための最良の手段です。

食事が脳の老化に与える影響

Boosting Brain Health With Age 食物は、グルコース代謝や炎症に影響を与えるだけではなく、脳の最適な機能に必要な抗酸化物や栄養素を摂取するために非常に重要です。私たちは、脳の健康に役立つ食品について考えることがありますが、脳の老化を遅らせるために食事全体をどう調整できるかについて考える方が有益です。健康的な食事全体から得られる複数の有益な栄養素と化合物の相互作用の方が、一種類の栄養素のみを追加するよりも効果が大きいようです(6)。また、食事は、年齢を重ねた際に認知症の主な危険因子となる心血管疾患や糖尿病のリスクを減らすのに大きな役割を果たします。野菜や果物をあまり摂らずに糖類や飽和脂肪、トランス脂肪を多く摂ると、認知機能の低下やアルツハイマー病のリスクが高くなるといわれています。一部の食事に関する研究で、認知症のリスクを減らすために摂るべき食品の解明が試みられました。

地中海式ダイエット

Boosting Brain Health With Age 地中海式ダイエットは、心血管疾患の予防や管理において、最も研究されている食事の一つです。これは、慢性疾患の発症率が非常に低く、より長寿で健康的な生活を送る地中海地域でみられる食事様式に従ったものです。この食事の基本は、野菜や果物、全粒穀物、豆類、そしてナッツ、種子、オリーブオイルからの脂肪を多く摂ることです。主に魚介類からたんぱく質を摂取し、鶏肉はあまり摂らず、赤身肉はさらに摂取を抑えます。また、乳製品やスイーツも必要最小限のみ摂ります。

地中海式ダイエットは、心血管の健康改善に役立つことが示されていて、心血管の健康の改善により血流が変化することから、加齢による認知機能の低下を遅らせるのにも役立つといわれています。研究によると、地中海式ダイエット、特にオリーブオイルとナッツを豊富に摂り続けることで、認知症の予防に役立つことが示されています(3)。地中海式ダイエットにみられる多くの特定の食物や栄養素の相互作用は、脳の老化防止に強力な効果があります(3)。酸化ストレスや神経炎症、インスリン抵抗性、脳の血流にプラスの効果があるといわれ(7)、シナプスの機能(神経細胞間のコミュニケーション)の維持に役立つ可能性があります(3) 。また、地中海式ダイエットは、高齢者の神経・心理状態に有効であるともいわれ(7)、老化の過程がかなり進行した後でも脳に効果を与えます。

マインドダイエット

マインドダイエットは、認知機能の低下を遅らせるために特別に開発されました。地中海式ダイエットと非常に似ていて、それに基づき開発されましたが、その他の食事と脳の健康に関する知識も取り入れられています。マインドダイエットでは、葉物野菜やその他の野菜、ナッツ、ベリー、豆、全粒穀物、魚介類、鶏肉、オリーブオイル、赤ワインを積極的に摂り、赤肉やバター、マーガリン、チーズ、ペストリー、スイーツ、揚げ物の摂取を抑えます(6)。

多くの野菜や果物に加えて、地中海式ダイエットとマインドダイエットの両方が脳の健康に非常に有益だといわれる主な理由の一つは、定期的な魚の摂取です。魚には、優れた抗炎症効果を持つオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。こうしたオメガ-3は、脳内のプラーク形成(通常の老化とアルツハイマー病の両方にみられます)を減少させて、酸化ストレスを下げ、シナプスの構造を改善して神経細胞間のコミュニケーションを向上させます(6)。

マインドダイエットは、地中海式ダイエットやダッシュダイエットと直接比較した研究によると、この2つのダイエットよりも認知機能の低下を大幅に遅らせるようです(すべてのダイエットにおいていくつかの利点が示されていますが)(4)。特に葉物野菜や果実の摂取に重点を置いていることも、この要因かもしれません。葉物野菜には、葉酸やビタミンE、カロテノイド、フラボノイドが豊富に含まれていて、こうした栄養素をより多く摂ることで、認知症の発症リスクが下がるといわれています(6)。また、果物を多く摂取することで、動物の学習能力と記憶力が向上することが研究により明らかになっている他、人間の観察研究では、認知機能の低下を遅らせる効果があることも示されています(7)。

ケトジェニックダイエット

Boosting Brain Health With Age ケトジェニックダイエットは、マインドダイエットや地中海式ダイエットと比べ、認知症のリスクの減少に関する研究はそれほど多く行われていません。しかし、ケトジェニックダイエットが認知症のリスクの減少に用いられているのには、強力な理論的根拠があります。ケトジェニックダイエットには、神経の保護(脳の保護)効果があるといわれていて、てんかんや脳腫瘍などの一部の脳疾患の治療の一環として用いられています(9)。また、加齢に伴い脳が主な燃料源であるグルコースを有効活用できなくなり、これが認知症の要因の一つですが(5)、ケトジェニックダイエットを行うと、グルコースの代わりにケトン体(脂肪から生成される)がエネルギーとして消費されるようになります(5)。脳細胞がこの代替燃料源を消費できれば、年齢とともに機能が向上するでしょう。

ケトジェニックダイエットでは、脂肪を多く摂り、総カロリーの80~90%を脂肪で摂取し、残りはタンパク質、そして炭水化物をさらに少量のみ(通常約5%)摂取します(9)。一部の研究において、アルツハイマー病患者がケトジェニックダイエットを行ったところ、認知テストのスコアが向上したことが示されています(9)。また、別の小規模な実験では、軽度の認知障害のある人が低炭水化物食(総カロリーの5~10%)を摂取した場合、高炭水化物食(総カロリーの50%)の場合と比べてどのような効果があるかが評価されました。6週間後、低炭水化物食を摂取したグループに言語記憶力の向上がみられました(9)。この結果から、アルツハイマー病のリスクがある場合、低炭水化物食を短期間摂取するだけでも記憶力を向上できる可能性があると結論付けられました(9)。

ケトジェニックダイエットまたは低炭水化物食が長期にわたり認知機能の低下を防ぎ、脳の機能を維持するのに役立つか否かを知るには、さらに研究が必要です。また、ケトジェニックダイエットは長期的に行うのが非常に難しく、高齢者の場合、栄養失調のリスクが高くなる恐れがあることに注意することも大切です(9)。しかし、こうした食事スタイルを短期的に取り入れることは、新しい予防手段として有望かもしれません。

結論

もちろん、認知症を予防するには、その他、様々なライフスタイルを変更することも大切で、定期的な運動や認知訓練、脳活動の維持、社会参加もすべて重要な手段です。食生活とともにライフスタイルを変更した場合、食事内容のみを変更した場合よりも、認知症のリスクが大幅に減少するといわれています(8)。また、こうした変更を行うのに早すぎたり遅すぎたりすることはありません。早期予防計画の一環として、またはすでに記憶力の低下を経験している場合でさえ、食事内容やライフスタイルを変更することで、脳の健康と機能に大きな効果をもたらす可能性があります!