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皮膚のトラブル - 皮膚表面のpHの役割

日本語
Skin Concerns - The Role of Skin-Surface pH
www.NaturopathicAesthetics.ca

Introduction Skin Surface

ここ数年、酸塩基平衡が健康の話題で非常に取り上げられるようになりました。主に注目されている点は、体内のアルカリ性(塩基性)濃度を高めて酸塩基平衡をサポートするための食事方法で、健康全般や骨粗鬆症などの特定の疾患の治癒のための食事療法やサプリメント療法が理論化および研究されてきました。しかし、最近の研究により、酸性食品が骨の健康に悪影響を及ぼすという概念を覆すような結果が示されていることから、この関係性を解明するための研究が行われ始めています。[1]ごく最近の研究では、皮膚の健康には酸性とアルカリ性のどちらがより有効であるかが示されていて、興味深いことに、皮膚表面の酸性濃度を確立・維持することの重要性がより認識され始めています。この記事では、皮膚の健康維持と一般的な皮膚疾患の治癒の両方において、酸が果たす積極的な役割を探り、この酸外套の働きを促す方法について解説します。

pHとは Skin Surface

pHは「潜在的な水素」を示し、0~14の値を用いて物質や身体領域を酸性(7未満)またはアルカリ性/塩基性(7以上)に分類します。 pH0は最も強い酸性、pH14は最も強いアルカリ性を示します。一般的に、最適な弱アルカリ性に保つことで、身体組織の作用と機能を最適な状態に維持する効果があります。体内、特に血液は、pH値が約7.4の弱アルカリ性に保たれていますが、皮膚は例外なようです。最適な皮膚のpHは酸性で、pH4〜6の範囲です。さらに興味深いのは、皮膚の最上層は最も強い酸性を示すことです。[2]最後の点についてさらに掘り下げると、過去の記事でも触れましたが、皮膚の上層にある表皮は、様々な層に分かれています。その最上部には角質層があり、角質細胞と呼ばれる非分裂細胞で構成されています。角質細胞は、複数のシートが重なった状態になっています。皮膚が酸性に保たれているのは、角質層のこの部分です。角質細胞の最上部のシートから、最下層に向かって徐々に移動するとpHが上昇し(つまり、中性/アルカリ性へと向かいます)、角質層の下にある顆粒層に達すると、pH値が約7の中性を示します。[2]

酸外套

皮膚には、角質層の酸性を保つための様々な仕組みがあり、これは「酸外套」と呼ばれることもあります。こうしたプロセスが妨害されると、後にその一部について触れますが、最終的に酸外套が破壊され、様々な美容の悩みや皮膚疾患が生じます。

こうしたプロセスには以下があります:[2][3]

  • 汗腺から乳酸を分泌
  • 皮膚の自然な皮脂分解により遊離脂肪酸を生成
  • 皮膚の表面や内側に自然に存在する細菌や油腺から酵素的遊離脂肪酸を生成
  • アミノ酸の一種、ヒスチジンの代謝によりウロカニン酸を生成
  • 角質層に自然に存在するフィラグリンなどの構成成分を分解してアミノ酸を生成
皮膚のpHと皮膚バリア

角質層が酸性であることは、皮膚バリア機能に不可欠です。皮膚のpHが変化すると、にきびや湿疹/アトピー性皮膚炎などの様々な炎症性や感染性が生じやすくなるといわれています。

過去の記事でも、皮膚バリアを維持することの重要性について触れましたが、皮膚バリアには、セラミドやコレステロール、脂肪酸で構成された脂質マトリックスに埋まっている角質細胞が含まれます。皮膚バリアは、最適な水分量を維持するうえで重要な役割を果たし、その名の通り、刺激物質や炎症誘発物質が皮膚のより深くに侵入するのをバリアします。数多くの皮膚疾患は、その病理的な過程において皮膚バリアを破壊するといわれています。[4]

酸外套と皮膚バリアの間では、酸によって脂質マトリックスが形成されるようになっています。この例には以下が含まれます:[2]

  • セラミドの合成に役立つ皮膚の酵素には酸性環境が必要
  • 脂質マトリックスの形成に必要なセラミドや脂質を含むケラチノサイト(最終的に角質細胞に移行する細胞)内のラメラ顆粒の形成や処理にも、酸性環境が必要
皮膚のpHとにきび

皮膚のpH値が変化することで、皮膚バリアへの影響に加え、にきびが発症します:[2]

Skin Surface
  • pHおよび細菌フローラ:皮膚のpH値が上昇すると(酸性度の低下)、抗菌ペプチドの作用が弱まり、アクネ菌や微生物の数が増えて作用が強まる可能性があります。アクネ菌による炎症反応は、にきび発症の主な要因です。
  • pHと皮脂:にきびに伴う皮脂の分泌物は遊離脂肪酸の含有量が低いため、その酸外套を形成する働きが低下する可能性があります。
  • pHとホルモン:にきびが発症した際に上昇する可能性のあるテストステロンやジヒドロテストステロンなどのアンドロゲンは、ラメラ顆粒の形成と細胞外への分泌を阻害し、皮膚バリアの修復/回復に悪影響を及ぼすといわれています。こうしたラメラ体への影響により、酸外套を形成する働きが妨げられる可能性があります。
  • 皮膚のpHとアトピー性皮膚炎(湿疹) Skin Surface

    アトピー性皮膚炎は、一般に皮膚が赤いうろこ状になり、乾燥し、痒みを伴う慢性炎症性皮膚疾患です。複数の研究により、アトピー性皮膚炎が生じると、皮膚の様々な箇所でpH値がより高くなることが示されています。これには、それほど症状が現れていない箇所も含まれます。[3]以下はその詳細です:[3]

    • アトピー性皮膚炎患者の半数が、遺伝的変異を起こして、角質層や酸外套を形成する重要なタンパク質、フィラグリンが減少することが示されています。
    • 皮膚のpH値が上昇することで、アトピー性皮膚炎が発症しますが、pH値の上昇の程度や範囲は、症状の重度や慢性度、痒みの強さ、皮膚への転移の度合い、フィラグリン遺伝子変異に対する遺伝的素因、皮膚の乾燥の度合いなど、疾患の要因によることが研究により示されています。
    • 敏感肌に対してどう影響するでしょう?常に皮膚のpH値が高い場合、ラウリル硫酸ナトリウムなどの既知の刺激物質を含むスキンケア成分によって、より容易に刺激されます。[2]
    酸外套を維持するためにできること

    皮膚のpH値を下げるための方法はいくつかあります。適切な洗顔料やとボディソープを選んだり、低pHで栄養素が含まれたクレンジング/保湿製品を利用したりしましょう。その詳細については以下で触れます。いつものように、スキンケアや健康管理を調整する前に、まずヘルスケア/スキンケア提供者に相談して、こうしたアプローチが自分に適切か確認してください。

    クレンジング選び

    以前、にきびを治癒するための化粧品成分に関する記事の中で、様々な種類の洗顔料/ボディソープの違いや、含まれる典型的な成分について触れました。従来の石鹸には、強力な合成界面活性剤が含まれていて、皮膚バリアの脂質マトリックスに含まれる必須脂質を除去するだけではなく、強アルカリ性で、皮膚のpH値を上昇させます。これによって、さらに皮膚バリアが維持されにくくなり、皮膚乾燥やにきび、アトピー性皮膚炎が生じやすくなります。対照的に、合成洗剤(別名Syndets)やオイルフリークレンジングは、保湿層を残しながら皮膚を効果的に洗浄するようにデザインされています。通常、どちらも酸性が強いため、酸外套の維持に役立ちます。皮膚のpH値に対して、短期的(洗顔直後から2時間持続)および長期的(1日2回、1分間以上洗顔)に影響を与えます。皮膚のpH値の変化は、クレンジングのpH値に比例します。

    補足として、中には、クレンジングを使用せずに水道水のみで洗顔する習慣がある人もいますが、通常、水道水のpH値は8で、皮膚のpH値を一時的に最大6時間高める可能性があるため、皮膚トラブルが生じる恐れがあります。[2]

    酸性のエモリエント保湿剤 Skin Surface

    最近の研究によって、特にジメチコン、シクロメチコン、ステアリン酸セチル、大豆ステロールなどの皮膚を柔らかくする保湿成分を含む保湿剤が、洗顔後に角質層をさらに酸性化する働きがあるといわれています。例えば、アトピー性皮膚炎の場合、理想的な保湿剤は、乾燥を軽減するだけではなく、セラミドを含み、できればpH5以下の低pHのものです。[3][5][6]クレンジングや保湿剤を探す際は、製品のpH値について調べ始めるとよいでしょう。

    栄養素

    この分野については、さらに多くの研究が必要ですが、予備報告では、皮膚のpH値を低下させるには、通常の水分摂取とビタミンA(サツマイモ、ニンジン、 フダンソウ、ケール、ほうれん草)、カルシウム(乳製品、大豆/豆腐、コラード、マスタード、ほうれん草などの緑の野菜)、単価不飽和脂肪酸(エクストラバージンオリーブオイル)、ヒスチジン(ウロカニック酸を生成します。ヒスチジンを豊富に含む食品は、あらゆる肉類や魚介類、マメ科植物、ナッツ、種子、カリフラワー、トウモロコシなどの野菜、バナナ、柑橘類、メロンなどの果物、全粒小麦 、オート麦、大麦、米、そばです)を含む食品の摂取が役立つことが示されています。[2][7]

    皮膚のpH値の役割がさらに明らかになるたびに、それが様々な皮膚疾患の治療にいかに役立つかがわかります。また、日々のクレンジングや保湿の習慣や利用する製品が、いかに酸外套、つまり皮膚の健康全般をサポートするかも強調されます。