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間質性膀胱炎 自然療法の視点

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間質性膀胱炎 自然療法の視点

Samantha Bell 自然療法医

Charleswood Medical Clinic
3360 Roblin Blvd
Winnipeg, Manitoba






Ketogenic Diet

間質性膀胱炎(IC)は、膀胱痛症候群とも呼ばれ、痛みを伴う頻尿と膀胱容量の減少が起き、尿に血液が含まれる場合と含まれない場合があります(肉眼または尿検査で確認されます)。間質性膀胱炎の症状の根本原因は、主に膀胱壁の炎症だといわれています。診察では、間質性膀胱炎の所見がみられないことが多いですが、恥骨上(腹部の恥骨の真上)に漠然とした圧痛がある場合があります。多くの場合、尿検査では陰性ですが、尿中に少量/微量の血液がある場合、それで確認できます。[1]

間質性膀胱炎は、米国泌尿器科学会(AUA)により「感染などの特定可能な原因がない場合で、膀胱に不快な感覚(痛み、圧迫感、違和感)や、6週間以上にわたり下部尿路疾患がある状態をいう」と定義されています。[2]

間質性膀胱炎は男性と女性の両方にみられますが、患者のほとんどが女性です。興味深いことに、間質性膀胱炎の症状は月経開始の数日前に悪化することが多く、これは、通常月経中に悪化する子宮内膜症とは対照的です。[2]

間質性膀胱炎の特徴

間質性膀胱炎では、通常、痛み、頻尿、夜間多尿(夜間の過剰排尿)、尿意切迫感が生じます。骨盤痛は間質性膀胱炎の顕著な症状です。[2]

間質性膀胱炎では、治療による改善や回復を計測するために症状スコアが用いられます。O'Leary-Sant症状問題指数では、前月に生じた尿意切迫感や排尿の頻度、夜間頻尿、痛みに焦点を当てます。最も一般的な間質性膀胱炎の症状には、膀胱の痛み、しつこい尿意切迫感、頻尿が含まれます。[2]

間質性膀胱炎の疑いがある場合、膀胱鏡検査を勧められることがあります。膀胱鏡検査で、間質性膀胱炎患者の一部にみられるハンナ病変を確認できる可能性があります。膀胱鏡検査は診断ではなく、間質性膀胱炎の疑いがある場合に必ず受けなければならないわけではありません。間質性膀胱炎患者の約16%のみが、ハンナ病変が確認されています。[2]

慢性尿路感染症(UTI)または過活動膀胱(OAB)との違い 尿路感染症(UTI)

尿路感染症(UTI)と間質性膀胱炎の両方で、頻尿、尿意切迫感、排尿時の痛み、恥骨上部の痛みが生じることがあります。尿路感染症には、発熱や脇腹の痛み(上腹部、背中上部、腹部側面の痛み)がありますが、間質性膀胱炎では一般的にこうした症状はみられません。膿尿は、尿中に白血球(WBC)があることを意味し、一般的に尿路の感染を示しますが、これは間質性膀胱炎ではあまりみられません。尿路感染症の疑いがある場合、尿検査を行うと、尿中の血液が肉眼や顕微鏡で見つかる可能性があります。細菌の有無は、尿培養検査により確認されることが多いです。

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間質性膀胱炎を患っている場合、診察時に尿路感染症が確認されなかったとしても、過去に尿路感染症を患っているケースが非常に多いです。[2]

過活動膀胱(OAB)

過活動膀胱では、尿意が和らいで尿が漏れる(尿失禁)リスクを減らすために、頻尿になることが多いです。この場合、夜間頻尿を伴うこともありますが、排尿時に痛むことはあまりありません。間質性膀胱炎は過活動膀胱と重複する場合もあるため、間質性膀胱炎の症状に注意することが大切です。

自然療法によるアプローチ

間質性膀胱炎の発症の頻度を減らして症状を和らげるためには、何よりもまず、食事とライフスタイルを変える必要があることを理解することが大切です。.

間質性膀胱炎を患っている場合、排尿の頻度を減らして骨盤の不快感を和らげるために、水分摂取を制限することがありますが、水分を十分に摂ることで、尿中の刺激物や毒素が希釈されて膀胱が洗浄され、尿路感染を予防できる可能性があります。[2]刺激のない中性の液体を適切に摂取することが大切です。また、十分な水分補給は便秘の軽減にも役立ちますが、間質性膀胱炎の症状をさらに悪化させる恐れがあります。間質性膀胱炎を患っていて便秘気味の場合は、便を柔らかくして適切な形にするために、食物繊維を摂るなど、食事内容を工夫しましょう。

食事は、間質性膀胱炎の症状を抑えるうえでも重要です。食品の中には膀胱を刺激するものが数多くあり、こうした食品を制限したり完全に避けたりすることで、発症の頻度を減らして症状を和らげられます。刺激のある食品には次のものがあります:[2]

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  • カフェイン入り飲料:コーヒー、紅茶(緑、黒、白)、エナジードリンク、トレーニング前の飲み物
  • 炭酸飲料
  • アルコール飲料
  • 柑橘類や柑橘類の製品(ジュースなど)
  • トマト
  • バナナ
  • 人工甘味料
  • 辛い食べ物

刺激を誘発する食品をなかなか特定できない場合は、自然療法医に相談すると、刺激を誘発する食品を特定でき、避けるべき食品がわかります。

間質性膀胱炎を患っている場合、性機能障害もよくみられ、これには骨盤底の理学療法やセルフケアが有益です。骨盤底の理学療法では、骨盤底筋の弛緩の仕方を学べます。しかし興味深いことに、Kegelエクササイズ(骨盤底の筋肉を強化する運動)は、間質性膀胱炎の症状を悪化させることが多いです。[3]

間質性膀胱炎では、よりストレスを強く感じることでも、尿意切迫感や痛みが増大することが示されています。ストレスと睡眠の管理は、間質性膀胱炎の症状を抑えるうえで重要で、ヨガや瞑想、鍼治療、植物医学、その他ライフスタイルを修正することで可能です。事実、間質性膀胱炎患者向けのガイド付き画像があり、ある前向き無作為化症例対照パイロット研究では、膀胱の治癒や骨盤底筋の弛緩、間質性膀胱炎にかかわる神経系の鎮静に焦点を当てるために、ガイド付き画像が利用されました。[4]

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ミシガン大学病院泌尿器科は、水分摂取量と尿量を記録および監視するために、「頻度と量の表」を作成しました。この表は、患者と医療提供者の両方に役立ちます(特に患者が泌尿器科に通っている場合)。また、この表で、尿漏れや痛み/不快感などの感覚、摂取している水分の種類も監視できます。[5]

間質性膀胱炎の症状を抑えるのに役立つ膀胱訓練もあります。個別ヘルスケア専門医が定期的に評価するため、やる気と決意が大きく増します。膀胱訓練には、骨盤底の弛緩や尿意切迫感の抑制、会陰部への圧力、精神的な気晴らしなど、膀胱を制御するための手法が含まれています。

排尿日記も、医療従事者と間質性膀胱炎患者の両方に役立つかもしれません。健康な人の一日あたりの平均排尿量が289㎖であるのに対し、間質性膀胱炎患者は86〜174㎖です。また、健康な人の一日あたりの排尿回数は6回ですが、間質性膀胱炎患者は17〜25回です。[2]

間質性膀胱炎を患っている場合、クランベリー(オオミツルコケモモ)ジュースや濃縮クランベリーサプリメントを摂取することが多いですが、これにより発症の頻度が増えて症状が重くなる可能性があります。症状の悪化を恐れてクランベリーの摂取をやめられないでいるのかもしれませんが、クランベリーを摂取することで、尿路の炎症を招く恐れがあることを理解しましょう。

自然療法医の指導の下で、自然健康製品や薬草を用いることも間質性膀胱炎の症状を抑えるのに役立つかもしれません。

コンドロイチン硫酸

理論上、コンドロイチン硫酸の成分は、膀胱の粘膜表面のグリコサミノグリカン(GAG)を完全な状態にし、膀胱壁の炎症を軽減するのに役立つ可能性があります。

ケルセチン

理論上、ケルセチンは、炎症を抑えて、マスト細胞を安定させることから、膀胱粘膜の保護に役立つ可能性があります。[7]

23件のランダム化比較試験の体系的レビューによると、鍼治療は他の治療法と同様に、有益な非侵襲的補助療法になり得ることが示されています。[8]

間質性膀胱炎や膀胱痛症候群では、より侵襲的な治療を検討する前に、様々な非薬理学的療法や保守的な治療を考慮しましょう。間質性膀胱炎の治療は多岐にわたり、行動適応や食事、ストレスへの対処のための教育や訓練を要します。自然療法医は、こうしたライフスタイルの変更をサポートしながら、自然健康製品や植物医学、鍼治療を用いることで、さらなるサポートを十分に提供できます。