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植物ステロール-代謝的活性を備える薬剤

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植物ステロール-代謝的活性を備える薬剤
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


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Degenerative Eye Disease and Antioxidants


パートI:コレステロール

植物ステロールとしても知られている植物ステロールおよび植物スタノールは、野菜、ナッツそして植物油といった植物に自然に含まれているステロイド様分子の一種です(1)。200以上の植物ステロールが確認されており、もっとも多く存在する植物ステロールには、ベータシトステロール、カンペステロールそしてスチグマステロールがあります(2)。植物ステロールは、体内での吸収・代謝の調節能力がある点で、人のコレステロールと構造が類似しています(1,3)。また植物ステロールには、様々な抗炎症作用とそして場合によってはホルモン調整作用とがあると想定されています。この記事の大部分では、今現在のコレステロールのガイドラインを含むコレステロール関連の応用に焦点を当てる一方で、残りのパートでは前立腺の健康の分野での植物ステロールの用途について概要を述べましょう。

主要な医師会のガイドラインは、地球上のほとんど全ての人はスタチン(主にLDLコレステロール、あるいは悪玉コレステロールを低下させるのに用いられる処方薬の一種)を服用することで恩恵を受けるであろうという提言へ向かって、じりじりゆっくりと進んできました (4)。このような見解は全ての人で共有されている訳ではなく、このような薬剤類の使用に疑問を投じる説得力のある議論が広く発表されてきました(5)。米国心臓協会の目下のガイドラインでは、“スタチンの恩恵にあずかる4つのグループ”を特定しており、各グループに対する勧告は以下の通りです(4)。

1. 心血管疾患に既に罹患している全ての人は、スタチンの処方を受けるべきである。

2. そうでなく健康で、LDL Cレベルが50mmol/Lより高い人は、スタチンの処方を受けるべきである。

3.  年齢が40-75歳で、糖尿病があり、LDL Cレベルが2.0mmol/Lより高い人は、スタチンの処方を受けるべきである。

4. 心疾患の10年リスク(訳者注:以後10年間のリスク)が7.5%以上(フラミンガムのリスクスコア)で、かつLDL Cレベルが2.0mmol/Lより高い全ての人は、スタチンの処方を受けるべきである。

心臓発作から生き延びた人がスタチン剤を服用するのは一般に適切であると認められています(上記1)が、上述他の3つのグループにおよぶスタチンの一般的な応用については精査する価値があるでしょう。コレステロールのレベルを下げ、そして血圧、体重、血糖コントロールなどへの同時効果を介して病気のリスクを低下させる付加効果をもたらすような、極めて効率的な食事とライフスタイルにもとづいたアプローチが多数存在します。植物ステロールは、現在の勧告に沿った血中コレステロールレベルの達成を助ける非薬的戦略を与えてくれます。この記事では、植物ステロールがコレステロールの管理に与える影響について、焦点を当てます。



パートII:機能性食品

Part II: Functional Foods
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, Ontario L7E1C7
Toronto, Ontario
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Functional Foods

パートIでは、コレステロール管理に関する勧告を概観しました。植物ステロールが強化された食品は、血中コレステロールレベルを効果的に下げることが示されています。カナダ保健省はこの事実を考慮し、多数の植物ステロール強化食品に対する栄養機能表示を認可しました(1)。このような食品は“機能性食品”と呼ばれています。この群に含まれる食品には具体的に、各種スプレッド、マヨネーズ、マーガリン、低カロリー・マーガリン、サラダドレッシング、ヨーグルトやヨーグルト飲料そして野菜ジュースやフルーツ・ジュースがあります(1)。既存の研究にもとづくと、おおよそ2-3gの植物ステロールが “治療用量”と考えられていますが、しかし1サービングで最大1gしか植物ステロールを含まない機能性食品も存在します。

植物ステロールを用いるとLDLコレステロールがおおよそ10%低下することが示されました(1)。人口全体が摂取する場合の植物ステロールの安全性に関して、カナダ保健省は成人で3gまで、子供で1gまでの摂取は何の心配もないと述べています(1)。コレステロール低下薬を服用中の患者で、植物ステロール含有機能性食品を摂取したいと思っている人は、かかりつけ医に知らせることが勧められますが、しかし有害な相互作用が予想されることはなさそうです。

多数の研究により証明されたのは、植物ステロールを最も一般的な種類のコレステロール剤であるスタチンと組み合わせて用いることから来る付加的なプラス効果です。あるシステマティック・リビュー(訳者注:文献をくまなく調査し無作為化比較試験のような質の高い研究データを限りなく偏りを除いて分析したもの)およびメタ・アナリシス(訳者注:過去に行われた複数の研究結果を統合し,より信頼性の高い結果を求める統計解析手法)では、植物ステロールとスタチン剤との組み合わせの効果を評価した8つの無作為対照試験のデータを合わせました(2)。これらの試験をひとまとめにすると、植物ステロールとスタチンとの組み合わせでは、総コレステロールが平均14.01mg/dLそしてLDLコレステロールが13.26mg/dL低下することが示されました(2)。

既にスタチン治療にある糖尿病患者では、一日3gの植物ステロール含有の植物油スプレッドを補給すると、スタチン治療単独と比較して、総コレステロールおよびLDLコレステロールがより大きく低下する結果となりました(3)。4週間後、総コレステロールについては、スタチン単独グループの7.8%と比べて、植物ステロールプかつスタチングループでは9.6%低下し、LDLコレステロールについては、スタチン単独グループの14.8%と比べて、植物ステロールかつスタチングループでは16.4%低下しました(3)。最後に、既に安定したスタチン治療にある患者54人を対象としたもう一つの調査では、2.5gの植物ステロールあるいは2.5gの植物スタノールを含むマーガリンを補給すると、85週後にLDLコレステロールが8.7%あるいは13.1%低下することが示されました(4)。

機能性食品という形で行う植物ステロールあるいは植物スタノールの補給は、健康的なコレステロールレベルの達成に相当な効果を上げるのに重要な役割を果たす可能性があるようです。このシリーズの続くパートでは、天然健康製品としての植物ステロールの用途および前立腺に対するあまり知られていない効果について詳細に見てゆきましょう。



Plant Sterols - A Metabolically Active Medicine

パートIII:植物ステロールの補給
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

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Plant Sterol Supplementation

パートIIでは、植物ステロールが強化された機能性食品の役割について概観しました。残念ながら、これらの食品の多くは栄養強化されたマーガリンやサラダドレッシングのように加工度が高いものです。トランス脂肪酸や他の加工食品副産物を摂取することなく、植物ステロールによるコレステロール低下作用の効果を望む人にとって、錠剤やカプセルの形での補給は代替となる選択肢です。

コレステロール血液検査は、総コレステロール、低密度コレステロール(LDL, 悪玉コレステロール)、高密度コレステロール(HDL, 善玉コレステロール)、トリグリセリドそして総コレステロールのHDLに対する比といった、5つのマーカーから構成されます。豊富な科学的データによると、おおよそ2gの植物ステロール補給はLDLコレステロール(“悪玉コレステロール”)を10から15%低下させる可能性があることが示されました(1,2,3)。同じく、植物ステロール補給によりトリグリセリドも約6%という少量ですが低下することを示唆するエビデンスも存在します(4)。

カプセルの形で植物ステロール補給を評価した2013年の総論およびメタ・アナリシスでは、一日1から3gの植物ステロールを食事(一日2-3回)と共に服用することにより、LDLコレステロールを12mg/dL(0.31mmol/L)減少させましたが、これは機能性食品により達成される効果と同様であること分かりました(5)。

植物ステロールがコレステロールに及ぼす効果についての作用機構は、腸内でコレステロール吸収を妨げるその能力にあるようです(1)。植物ステロールは、後に腸の内壁に吸収されることになる乳化ミセルへの組み込みの際に、コレステロールと競合すると思われます(1)。

さらに最近になって、経腸コレステロール排泄(TICE: transintestinal cholesterol excretion)というものが発見されました(1)。経腸コレステロール排泄の過程では、血流から直接放出されたコレステロールが腸に戻り排泄されることが、動物実験で明らかになりました(1)。植物ステロールはこの経路を活性化すると思われており、ですから植物ステロールはコレステロール低下活性メカニズムをもう一つ提供しているのです。植物ステロールは食事に含まれるコレステロールの取り込みを妨げることから、植物ステロールの効果を得るためには食事と同時に摂取する必要があります。コレステロールを低下させるためには、500mgの植物ステロールを一日3回食事と一緒に摂取することが、一般に勧められています。



Plant Sterols - A Metabolically Active Medicine

パートIV:前立腺への効果
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

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Benefit for the Prostate

コレステロール低下作用に加えて、あまり知られていないものの同じく科学的根拠のある植物ステロールの応用は、前立腺の健康の分野にあります。良性の前立腺肥大症(BPH: benign prostatic hypertrophy)は、50歳以上の男性50%以上を冒しており、排尿困難、尿勢低下、頻尿そして排尿による夜間覚醒といった症状を伴う病態です。これらの症状は、前立腺肥大により膀胱と尿道とにかかる圧力が増大した結果として起こります。

良性前立腺肥大症は、5α還元酵素により生産されるテストステロン代謝産物で、高い活性を持つジヒドロテストステロン(DHT: dihydrotestosterone)の作用が一部原因で起こります。実際、良性前立腺肥大症の最先端の投薬治療であるフィナステリドは、この酵素の阻害剤です。動物実験では、β-シトステロールも5α還元酵素を抑制する能力を持つことが示されました(1)。もちろん、天然薬剤の優美さというものは、それが単一の機構に限られないことです。慢性前立腺炎のモデルでは、植物ステロール投薬により、インターロイキン1β、腫瘍壊死因子α、並びに炎症誘発性シクロオキシゲナーゼ-2および5酵素といった炎症誘発性サイトカインのレベルを低下させることが可能なことが分かりました(2)。興味深いことに、良く知られ手広く研究されているハーブのノコギリヤシの良性前立腺肥大症に対する活性は、一部はその植物ステロール含有物によるものでした(3)。

人を対象とした研究ではこれらの効果が確認されました。コクラン共同計画により発表されたある文献レビューでは、良性前立腺肥大症に対するβ-シトステロールに関する4つの無作為プラセボ対照二重盲険試験に参加した男性519人のデータを評価しました(4)。レビューによると、βシトステロールにより排尿症状スコアおよび尿流尺度が全体として改善することが分かりました。同様に、最大尿流量、残尿量にも改善がありましたが、前立腺の大きさに改善はありませんでした。

200人の患者に対して一日60mgのβ-シトステロールあるいはプラセボの治療を6ヶ月間行うという、最大規模の研究の一つがドイツで行われました(5)。改変したボヤルスキー・スコアおよび国際前立腺症状スコアにもとづいて測定したところ、β-シトステロール投与を受けた患者たちは、プラセボ群と比較して、前立腺症状におおよそ3倍の改善がありました。また、前立腺の大きさについてはその限りではありませんでしたが、尿流パラメターにも改善がありました。他の研究では、一日最大130mgというさらに高い服用量を用いましたが、同等の改善が示されました(6)。