新型コロナウイルス感染以来気分がすぐれない：後遺症

新型コロナウイルス感染後遺症の波が私たちを襲っています。カナダ保健省によると、新型コロナウイルスに感染してから12週間以上経っても身体的または精神的な症状が続く場合は、新型コロナウイルス感染後遺症を患っているといわれています。¹ 最新のCDCレポートの一つによると、新型コロナウイルスに感染した成人の最大5人に1人が、新型コロナウイルス感染症と関連のある可能性がある症状を患っているといいます。²

研究はまだ発展途上ですが、感染性病原体が長期的な影響をもたらす可能性があると考えられていますが、エプスタイン・バーウイルスなどの他の生物とかかわりがあり、これによって単核球症が発症し、長期にわたって倦怠感を患う可能性があるといわれています。また、インフルエンザウイルスでは、感受性がある場合、長期的な疲労が生じるともいわれていて、一部の人々は、耳や副鼻腔の感染症などの二次感染を発症する可能性がありますが、インフルエンザに関連するはるかに一般的な副作用は、衰弱や疲労を伴うウイルス後症候群です。ある研究では、H1N1インフルエンザ感染拡大によって、慢性疲労の割合が2倍になることが示されました。³ この疲労は数週間または数ヶ月続くことがあり、集中力の低下や頭痛などの他の症状を伴うことがよくあります。このウイルス感染後の疲労の原因は、ウイルス自体にあるようです。⁴ 疲労の原因は定かではありませんが、身体活動を抑制して回復しようとする脳内の炎症によって生じると考えられています。⁵ MERSやSARSなどのコロナウイルス感染後遺症は、最大4年間患う可能性があるといわれています^6,7

現在、新型コロナウイルス感染拡大する中で、新型コロナウイルスに感染すると、疲労や息切れが長期にわたって再発する可能性があることが研究によって示されています。患者の3分の1が、感染後6ヶ月間症状が続くといわれています。⁸ 研究では、新型コロナウイルス感染に関連する長期的な症状は、慢性疲労症候群としても知られる性脳脊髄炎に似ていることが多いことが示されています。⁹ しかし、症状は疲労以外にもあります。息切れ、認知障害、記憶喪失、不安、うつ病、不眠症、筋肉痛、関節痛、頭痛、腎転帰、咳、息切れ、喘鳴、心臓疾患、心拍数の増加、胸痛、臭覚の変化、味覚の変化、下痢も、新型コロナウイルス感染後遺症に関連する一般的な長期症状です。^10,11,12,13

新型コロナウイルス感染症後の神経学的症状に関しては、慢性疲労症候群で見られる症状と密接に一致しているようです: ¹⁴

• 重度の疲労が6ヶ月以上続き、職業的、教育的、個人的、社会的活動の能力が大幅に低下する。この疲労感は、過度の運動によって生じたものではなく、休息によって緩和されない
• 運動後の倦怠感
• 睡眠をとっても疲労回復しない
• 疲労による認知障害または起立困難

新型コロナウイルス感染者は皆、長期にわたって新型コロナウイルス関連症候群を患う可能性があり、傾向はあるものの、年齢や最初の感染の重症度からは、最終的に長期的な症状が生じるかどうかは予測できないようです。軽度の場合、入院していた場合に比べて、長期にわたって新型コロナウイルス感染症が生じる傾向があるようです。¹⁵

では、新型コロナウイルス感染後遺症が生じる場合と、その症状は何でしょう？

新型コロナウイルス感染後遺症を患うイギリスの225人を対象としたある治療グループでは、以下の人口統計が注目されました。参加者の平均年齢は48歳で、患者の68％が女性、74％が入院していました。また、82%が新型コロナウイルス感染拡大の初期段階で感染し、54%が働くことができないか、勤務時間を短縮しなければなりませんでした。¹⁶ 治療を受けた患者のうち、70%が疲労、51%が息切れ、12%が認知障害に対する治療を要していました。また、被験者181,280人を対象とした研究では、新型コロナウイルスに感染した人は、対照群と比較して、最大1年後に糖尿病を発症する可能性が約40%高いことが示されました。 ¹⁷

症状クラスターによる一般的な調査 倦怠感

新型コロナウイルス感染後の疲労は広く生じ、新型コロナウイルス感染後によく報告されています。 ¹⁸

最新のメタアナリシスでは、患者の32%が新型コロナウイルス感染症と診断された後、12週間以上疲労を感じていたことが示されました。 ¹⁹

呼吸器疾患

患者の25～71%が、感染から3ヶ月後の肺機能検査または肺の画像検査において障害が見つかりました。 ²⁰

入院患者では、患者の42%が感染から3ヶ月後、肺機能障害を患うか、画像検査において障害が見つかりました。 ²¹

研究によると、退院後最大6ヶ月間にわたり肺線維症や肺組織の瘢痕化が続くといわれています。 ,  ^22,23

若い患者の19%が、新型コロナウイルス感染から45日後にV̇O₂ maxが10%以上減少していました。

神経疾患

症状には、うつ病、不安、心的外傷後ストレス障害、記憶喪失、疲労などがあります。²⁵

こうした症状の正確な原因は明確にわかっていませんが、神経系の炎症が潜在的な原因となっている可能性があります。 ²⁶

ある小規模な研究で、患者60人を対象にし、新型コロナウイルス感染から3ヶ月後に脳画像を調べたところ、患者の55%に神経疾患が見られました。²⁷

新型コロナウイルス感染の入院患者の約20～30%がせん妄を患っています。こうした患者では、長期的な神経疾患が生じる可能性が高くなります。 ²⁸

新型コロナウイルス感染者236,379人のうち、約3分の1が感染後6ヶ月以内に脳卒中、認知症、不眠症、不安症、気分障害などの神経疾患と診断されました。こうした疾患は、インフルエンザ感染者よりも44%多く見られました。 ²⁹

心血管疾患

新型コロナウイルス感染では心疾患を患う可能性もあります。「新型コロナウイルス感染後30日を超えると、脳血管障害、不整脈、虚血性および非虚血性心疾患、心膜炎、心筋炎、心不全、血栓塞栓症など、複数のカテゴリーにわたる心血管疾患の発症リスクが高くなります。 」³⁰

無症候性の新型コロナウイルスに感染した大学スポーツ選手26人を対象とした研究では、そのうちの46%で心筋炎が生じました。 ³¹

胸痛、動悸、頻脈などの心疾患は、一般に新型コロナウイルス感染後最大6ヶ月間続きます。^32,33

その他の疾患

新型コロナウイルス感染 に伴う炎症によって、他の臓器が大きく乱れる可能性があります。ある研究では、4ヶ月後のフォローアップで、患者の66%に肺、心臓、肝臓、膵臓、腎臓、脾臓の一つ以上に放射線診断で異常が見られました。³⁴

レトロスペクティブコホート研究では、65歳以下の新型コロナウイルス感染患者193,113人を対象としたところ、追跡期間の中間期2.9ヶ月時点で、新たに発症した糖尿病は、臨床試験において6番目に多い急性期後の後遺症でした。 ³⁵

治療オプション

残念ながら、新型コロナウイルス感染後の症状の改善に関しては、予備的な情報しかありません。一部の研究では、疲労や息切れについては、呼吸運動や軽度の有酸素運動によるリハビリが役立つことが示されています。^36,37

重度の新型コロナウイルス感染者は、特に肺や心臓の損傷が発生した場合、リハビリがより困難な可能性があります。リハビリは慎重に行う必要があります。ある研究では、新型コロナウイルス感染者の85.9%が精神的または身体的活動の後に症状が悪化したことが示されました。 ³⁸

イギリスで確立されたモデルでは、新型コロナウイルス感染者のケアに関しては、症状の重症度に基づいた複数の介入経路による多面的なアプローチが必要であることを示しています。³⁹ 主要な測定値には、疲労、息切れ、体調不良、認知力の低下、不安、抑うつ、痛みの評価が含まれていました。専門家が提供する治療にエスカレーションする基準には、どうにもならない息切れ、原因不明の胸痛または動悸、制御不能な痛み、症状の悪化または改善の欠如、精神的健康上の理由による入院が含まれていました。症状改善のための介入は、熟練した臨床医の評価、臨床的推論、経験、判断に左右されてきました。 ⁴⁰

栄養上の考慮事項

栄養とサプリメントに関しては、利用できる情報は限られています。 しかし、ある研究チームが、入手可能な情報を調べ、疲労を緩和するための理論上の利点に基づいた栄養サポートを提案しました。 ⁴²

また、地中海式ダイエットなどのタンパク質、果物、野菜を多く含む食事が有益である可能性があることも示されています。 ⁴³

サプリメントのガイドライン

非盲検研究では、被験者に、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、アセチル-ʟ-カルニチン、ヒドロキシチロソールを含むマルチビタミン食品サプリメントが与えられました。予備的な結果によると、サプリメントを摂取することで、疲労回復に効果がある可能性があることが示されました。⁴⁴

予備調査では、新型コロナウイルス感染者はセレンまたはビタミンD欠乏症を患う可能性が高いことが示されています。⁴⁵ ビタミンCの静脈内投与による新型コロナウイルス感染の治療に関するレビューにより、9件の研究のうち7件で疲労レベルが大幅に低下したことが示されました。 ⁴⁶ このレビューでは、「高用量IVビタミンCには抗酸化作用、抗炎症作用、内皮機能の回復作用、免疫調節作用があり、適切な治療オプションである可能性がある（ウイルス感染後の疲労、特に長期にわたる新型コロナウイルス感染の場合）」と結論付けられました。 ^47,48

その他の有益な可能性のある介入には、プロバイオティクスの補給による腸内細菌叢のサポートが含まれます。^49,50 コエンザイムQ₁₀は細胞レベルで働きながら、酸化ストレスやミトコンドリア機能障害と闘い、新型コロナウイルス感染による慢性疲労症状が軽減されます。 ⁵¹

1日あたり1.5～3gのオメガ-3脂肪酸、天然の抗炎症剤、一般的な抗酸化栄養補助食品を補給することでも、新型コロナウイルス感染に伴う酸化ストレスに対処するのに役立つ可能性があります。⁵²

結論

国際的な研究によると、患者の91% が回復するまでに 35週間以上かかっていることが示されています。⁵³ サポートを求めることは、自分の健康状態にとって何が安全で効果的かをより理解するための最初のステップです。