顔の赤みの管理:クレンザーとモイスチャライザーで考慮すべき成分 Rob Ayoup ND http://www.NaturopathicAestheticsCE.com 29 December 2020 言語 日本語 顔の赤みは、顔の広範囲、または局所的な「しみ」として現れる皮膚の症状で、酒皶、乾癬、様々な皮膚炎(接触性皮膚炎、湿疹、脂漏性皮膚炎など)や生理的なストレス反応として現れる紅潮など、皮膚疾患に伴い生じることが多くあります。顔の赤みは、特に皮膚の炎症過程や血管拡張により起こります。自然療法では、抗炎症食や原因食品の決定/回避などの食事調整、[i]漢方薬などの皮膚の健康をサポートする「代替」薬、抗酸化物質や抗炎症物質を含む栄養補助食品で、肌バリアに栄養を与えて顔の赤みを緩和させます。体内からの治癒の他、薬用化粧品も赤みを管理するうえで重要です。顔の赤みの治療によく用いられる薬用化粧品成分には、肌バリアを保護する粘液成分、天然の抗炎症成分、バリア強化成分、抗酸化作用がある緑茶やハーブ由来のポリフェノールが含まれています。この記事では、顔の赤み対策のためのスキンケア製品の重要な成分について触れていきます。この記事に記載された情報の活用について、ぜひかかりつけ医と検討してみてください [i] Grobel, H., and S.A. Murphy. “Acne vulgaris and acne rosacea.” In Integrative Medicine, Fourth Edition, edited by D. Rakel, 759–770. Toronto: Elsevier Canada, 2017. 肌バリアに栄養を与える 顔の赤みを防ぐには、肌のバリア機能をサポートすることが重要です。強力な肌バリアにより、炎症の要因から肌を守れます。肌バリアは、いわば家の外層を保護するレンガとセメントで、角質細胞と呼ばれる非分裂細胞(レンガ)と、角質細胞を結合させる脂質マトリックス(セメント)で構成されています。脂質マトリックスは、セラミド(不均一で複雑な構造をした脂質で、細胞間の結合を良好な状態に保ちます)、脂肪酸、コレステロールで構成されています。肌バリアには定期的なメンテナンスが必要です。では、こうした天然の原料自体を「補充」するよりも効果的な手段は何でしょう?セラミド配合のスキンケア製品が効果的で、保湿剤、クレンジングバー、液体のボディ/フェイシャルクレンザー、メイク落としをはじめ、様々あります。スキンケア製品には、脂質マトリックスと同様に脂肪酸とコレステロールが含まれています。現在、こうした幅広いセラミド配合製品が販売されていることを考えると、以下の製品カテゴリーにおいて、こうした製品について検討することは有益でしょう。 選ぶべきクレンザー 顔の赤み対策のためのクレンザーを探す場合、考慮すべき重要な点が2つあります。一つは、肌のバリア機能を保つために必要な構成要素を取り除くことなく、汚れや残屑、皮脂を除去することです。もう一つは、すすぎ後に残留物があることで、それが炎症の直接的または間接的な原因となり得るので、最も刺激の少ない成分が含まれていることです。赤みが生じた非常に敏感な肌には、多くの場合、シンデット(従来の石鹸よりも肌にやさしい低刺激性の「石鹸を含まない」合成洗剤)、特にラベルに敏感肌用と記載された製品が、上記の2点を満たしているため適しています。[i] また、シンデットには保湿成分が配合されていて、肌に水分を補給します。クレンザーは肌の角質を除去するためのものですが、有効成分を含む保湿剤とは対照的に、顔の赤みに対する効果はありません。酒皶などのより複雑な皮膚疾患の場合、典型的な「混合肌」には、油分が多い部分には石鹸、乾燥している部分にはシンデットまたはオイルフリークレンザーを使うとよいでしょう。[ii] トナーを使うべき? トナーの役割は、油分が多い部分から余分な皮脂をさらに取り除き、肌を引き締めることです。素早く蒸発するようにできていて、収れん成分が含まれています。残念ながら、こうした役割によって、感覚器官が刺激され、紅潮や発赤が生じる可能性があります。そのため、発赤がある場合は、トナーや収れん剤の使用を避けた方がよいでしょう。[i] 選ぶべき保湿剤や赤みを治癒するための製品 保湿剤や赤みを緩和する製品は、肌の健康や赤みにとって最も重要です。留意すべき点は、収れん効果があるローションよりもクリームベースの保湿剤が望ましいということです。また、ローションは、化学成分に対する水分の割合が高く、余分な物質が肌に残り、それが原因で赤みや刺激が生じる可能性があります。クリームベースの保湿剤には、肌の自然なバリアに最も近い脂肪酸や脂肪などが豊富に含まれています。[i] セラミド配合の保湿剤は、肌の基質の主な構造成分に働きかけるため、肌のバリア機能に最も効果があります。保湿剤を選ぶ際は、プロピレングリコール、グリコール酸、サリチル酸、強い香料、ティーツリーオイル、クルクミン、マンサク(収れん作用があるため)、ビタミンAとCが配合された製品は避けてください。[ii] 一般に、ラベルに敏感肌用と記載された製品がお勧めです。以下は、顔の赤みに効果があるその他の成分です。 アラントイン: コンフリーから抽出されるアラントインは、肌を落ち着かせて保護するといわれ、 敏感肌用のスキンケア製品によく配合されています。肌の水分結合力を高めてバリア機能を改善するといわれています。[i]また、暫定的な研究結果により、抗炎症効果や抗酸化効果もあることが示されています。[ii] カモミールとその成分、ビサボロール: ビサボロールは、カモミールに含まれる主な抗炎症物質の一つで、特に炎症の原因となるシクロオキシゲナーゼ(COX)とリポキシゲナーゼ(LOX)を阻害するといわれています。多くの場合、分離した状態で配合されています。また、カモミールには、他にも抗酸化成分が含まれていて炎症や赤みの緩和に効果があるため、カモミールエキス全体も局所的に使用されています。 パンテノール(プロビタミンB5): パンテノールには保湿効果があり、脂質マトリックスの生成に働きかけて肌バリアをサポートします。[i] アロエ: 粘々した植物アロエは、古くから、小さな傷や火傷の治療に局所的に使用されていて、肌を落ち着かせ、保護する効果があります。アロエには、様々な抗炎症物質が含まれています。サリチル酸は、シクロオキシゲナーゼ経路を直接阻害し、乳酸マグネシウムは、ヒスタミン産生を抑制して痒みを軽減します。また、トロンボキサン阻害成分は、痛みの緩和に役立ち、多糖類は局所的な免疫反応を調節します。 他の外用薬と同様に、まず皮膚の一部で試し、忍容性を確かめましょう。 抗酸化作用のある緑茶のポリフェノール: 緑茶に含まれるポリフェノールの一種で抗酸化作用のあるエピガロカテキン3-ガラートは、炎症に対して最も強力に働きかけ、効果があるといわれ、紫外線による肌の赤み、腫れ、抗酸化物質の枯渇、細胞のDNA損傷を軽減することが研究により示されています。[i] 緑茶は、未発酵のチャノキの葉からつくられています。ちなみに、チャノキの葉を完全に発酵させると紅茶になります。顔の赤み対策の鍵になるかもしれません。 ナイアシンアミド: このユニークな形態のビタミンB3(フラッシュフリー)は、セラミド、ケラチン、フィラグリンなどの脂質や構造タンパク質の産生を促して、肌バリアを強化し、顔の赤みを緩和させるといわれています。人体実験により、ナイアシンアミドを肌に塗布することで、ラウリル硫酸ナトリウムやトランスレチノイン酸(処方薬に含まれるビタミンA)による刺激に伴う顔の赤みやしみが軽減されることが示されています。[i] 日焼け止めを選ぶ際のヒント 日焼け止めは、紫外線による顔の赤みを防ぐための基本です。[i]日焼け止めを選ぶ際には、特定の考慮事項に留意しましょう。上記の保湿剤の項目で触れたように、製品に含まれた水分が肌から蒸発して刺激が生じる可能性を減らすために、より濃厚なローションやクリームベースの製品が好ましいかもしれません。セラミドを含む日焼け止めで、肌のバリア機能をさらにサポートできます。できれば敏感肌用を選びましょう。特に、ホモサレート、アントラニル酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、オクトクリレンなどの「化学的な」日焼け止め成分よりも、酸化亜鉛などの「物理的な」日焼け止め成分を含む製品を選ぶ方が賢明かもしれません。その理由は、化学成分は紫外線を吸収して熱に変換し、それによって紅潮や赤みが生じる恐れがあるためです。一方、物理的な日焼け止め成分は、紫外線を反射させるだけで、赤みの外的要因から肌を守ります。[ii] 免責事項:この記事に記載されている情報は、一般的な情報提供のみを目的としており、医学的アドバイスではありません。まず、あなたに最適な治療法や製品について、かかりつけ医に相談してください。 References : [i] Grobel, H., and S.A. Murphy. “Acne vulgaris and acne rosacea.” In Integrative Medicine, Fourth Edition, edited by D. Rakel, 759–770. Toronto: Elsevier Canada, 2017. [ii] Draelos, Z.D. “Facial redness.” In Cosmeceuticals, Third Edition, edited by Z.D. Draelos, 167–169. Chicago: Elsevier, 2016. [iii] Draelos, Z.D. “Cosmeceuticals for rosacea.” Clinics in Dermatology, Vol. 35, No. 2 (2017): 213–217. [iv] Draelos 2016, op. cit. [v] Draelos 2016, op. cit. [vi] Draelos 2016, op. cit. Mowad, C.M., and L.N. Taglia. “Cosmeceuticals and contact dermatitis.” In Cosmeceuticals, Third Edition, edited by Z.D. Draelos, 153–161. Chicago: Elsevier, 2016. [vii] Draelos 2017, op. cit. [viii] Draelos 2016, op. cit. Baumann, L., and E. Weisberg. “Skincare and nonsurgical skin rejuvenation.” In Plastic Surgery. Volume 2: Aesthetic Surgery, Fourth Edition, edited by J.P. Rubin and P.C. Neligan, 23–37. Elsevier Saunders, 2018. Reszko, A.E., et al. “Cosmeceuticals: practical applications.” Dermatologic Clinics, Vol. 27, No. 4 (2009): 401–416. [ix] Reszko, op. cit. [x] Bissett, D.L. “Common cosmeceuticals.” Clinics in Dermatology, Vol. 27, No. 5 (2009): 435–445. Oblong, J.E., and H.A. Rovito. “Cosmeceutical vitamins: Vitamin B.” In Cosmeceuticals, Third Edition, edited by Z.D. Draelos, 43–47. Chicago: Elsevier, 2016. Flávio, B., et al. “Skin moisturizing effects of panthenol-based formulations.” Journal of Cosmetic Science, Vol. 62, No. 4 (2011): 361–370. [xi] Baumann and Weisberg, op. cit. Reszko, op. cit. Talakoub, L., et al. “Cosmeceuticals.” In Cosmetic Dermatology, edited by A. Murad, H.B. Gladstone, and R. Tung, 7–34. Edinburgh: Elsevier, 2009. [xii] Reszko, op. cit. Draelos, Z.D. “The art and science of new advances in cosmeceuticals.” Clinics in Plastic Surgery, Vol. 38, No. 3 (2011): 397–407. [xiii] Bissett, op. cit. Niren, N.M. “Pharmacologic doses of nicotinamide in the treatment of inflammatory skin conditions: A review.” Cutis, Vol. 77, No. 1 Suppl. (2006): 11–16. [xiv] Draelos 2011, op. cit. [xv] Draelos 2016, op. cit.