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食事と骨粗鬆症 - 自然療法の視点

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骨は主要な身体の構造を支える組織で、重要な器官を保護して動作を容易にし、血管や神経の土台を成しています。骨には構造的な機能の他、重要な代謝機能や内分泌機能もあり、カルシウムやリン酸塩、マグネシウムなどのミネラルを蓄え、酸塩基平衡、筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固、心臓のリズムに影響を与えます。最近、骨は身体のストレス反応に関与し、ホルモン機能に影響を与えることが発見されました。骨とこうした様々な組織は相互作用します。臓器の多くが、隣接する臓器と相互作用しながら複雑に機能することから、これは驚くべきことではありません。骨の場合、栄養素を吸収するために健康な消化器系、カルシウムレベルを調節するために腎臓と副甲状腺が必要な他、エストロゲンやテストステロン、インスリン、成長ホルモンなどのホルモンを含む免疫系と内分泌系が必要です。これはほんの一例で、こうした組織の一つまたは複数が機能不全で骨の生理的なニーズを満たせない場合、骨粗鬆症などの疾患が生じる可能性があります。

カナダの40歳以上の人々の10%が骨粗鬆症を患っています。実際、男性の5人に1人、女性の3人に1人が生涯において骨粗鬆症性骨折を経験します。高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者数は増加していて、基本的に、骨粗鬆症とその影響は拡大しています。全身に症状が現れ、骨形成と骨吸収(骨の破壊)が不均衡になり、骨の形成が破壊に追いつかなくなって骨が弱まり、骨折しやすくなります。骨粗鬆症の原因は、単に骨の動力であるカルシウムやビタミンK、ビタミンDが不足しているためではありません。こうした症状は遺伝的要素と深くかかわりますが(5080%)、アルコールの摂取や様々な薬の長期使用(コルチコステロイドや抗うつ薬など)、BMI値が低い、胃腸障害、甲状腺疾患、摂食障害、ライフスタイルなど、様々な要因があります。最近の細菌に関する研究では、骨粗鬆症を患った際、腸内細菌叢に変化がみられることが示されています。そのため、細菌が原因または深くかかわっている可能性があります。様々な組織がかかわることから、骨粗鬆症では総合的な治療を検討し、食事療法による効果を考慮すると良いでしょう。

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一部の栄養素が骨の健康に関係しています。それは、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、シリカ、ホウ素、鉄です。 数多くの研究により、骨折の予防におけるカルシウムの効果が調査され、心臓発作のリスクの増加と比較されています(1)残念ながら、ビタミンDの有無にかかわらず、リスク対効果比は未だに不明です。毎年、臨床試験と観察研究をもとにメタアナリシスや系統的レビューが新たに実施され、「カルシウム補給は必要か?必要ならどれくらい補給すべきか?」について調査されています。ビタミンDとビタミンKに関する研究では、ビタミンDとビタミンKが骨の健康にとって重要であることが示されていますが、サプリメントだけでは骨折のリスクを減少できません。シリカやホウ素などの微量栄養素の効果を評価するには、さらなる研究が必要です。鉄に関しては、研究により、鉄欠乏と鉄過剰の両方によって骨折のリスクが高まることが示されています。鉄過剰の場合、過剰な鉄が骨に沈着して骨芽細胞に損傷を与える可能性がありますが、鉄欠乏のメカニズムはそれほど明確にわかっていません(2)。したがって、こうした栄養素の効果を別の観点から検討することが賢明です。自然食品はどうでしょう?こうした栄養素などを含む食品は何でしょう?そもそも、骨粗鬆症と栄養素にはかかわりがあるのでしょうか?

カルシウムが豊富な食品には、誰もが知る乳製品、イワシ、大豆があります。ベジタリアン食品では、アーモンド、白インゲンマメ、糖蜜、イチジク、コラードグリーン、ブロッコリー、チンゲン菜、その他の葉物野菜があります。乳製品や魚には1グラムあたりより多くのカルシウムが含まれていますが、調理済みの野菜やアーモンド粉を毎日の食事に取り入れると、これに匹敵する分量を摂取できるでしょう。ビタミンDは、シリアル、オレンジジュース、乳製品など、様々な強化食品に含まれています。強化食品以外では、サーモンなどの脂肪の多い魚、レバー、卵、そして驚くべきことにポルタベッラマッシュルームなどに含まれています。ビタミンKには2種類あります。ビタミンK2には骨粗鬆症を予防する効果があることが観察研究により示されている一方、ビタミンK1には血液を凝固させる働きがあります。ビタミンKは、発酵大豆、チーズ、卵黄、牧草飼育牛、内臓肉に含まれています。微量栄養素に関しては、シリカはバナナ、インゲン、朝食用シリアル、様々な野菜や果物に含まれ、ホウ素は葉物野菜、プルーン、レーズン、穀物、リンゴ、豆に含まれています。

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こうしてみると、「骨粗鬆症のための食事」は地中海式食事法と深くかかわっているようです。 地中海式食事法では、野菜や果物を豊富に摂取し、穀物を多く摂ります。乳製品、卵、魚、鶏肉などの動物性食品は時々摂取します。実際、20万人近くの被験者を対象とした大規模な系統的レビューでは、地中海式食事療法を平均して9年間行うことで、骨折のリスクが7%減少することが示されています(3)具体的には、1年以内に死亡する確率が高いといわれている股関節骨折のリスクが減少します。その他の地中海式食事法に関する研究では、骨密度と骨芽細胞の活性マーカーにおいて大幅な増加が示されています。骨芽細胞は、骨の形成を担う細胞です。

栄養素とそれを含む食品を調べる別の方法は、骨粗鬆症のリスクに関するタンパク質の量と供給源に着目することです。韓国の観察研究によると、タンパク質の摂取量が1日の食事量の10%未満の場合、骨粗鬆症のリスクが高まり、20%以上摂取した場合、骨を守る効果があることが示されています。これは、男性と女性の両方に当てはまりました。タンパク質の量は重要であるようです。一方、別の研究では、タンパク質の量が異なる3種類の食事を比較したところ、重要なのはタンパク質の量ではないことが示されました。1種類目の食事には、大量の動物性タンパク質(1日あたり200グラムほど)が含まれていました。2種類目の食事では、肉類の摂取を抑え、代わりに野菜や果物を豊富に摂り、わずか35グラムのタンパク質が提供れました。3種類目の食事では、肉類の摂取を抑え、ミネラルサプリメントが提供されました。この3種類の食事のうち、カルシウムが体内に蓄えられたのは、肉類の摂取を抑え、ミネラルサプリメントを含む食事でした。ミネラルサプリメントを含まない場合、肉の摂取量による違いはありませんでした(4)これは、少なくともミネラルの摂取量がタンパク質の摂取量よりも重要であることを示しています。しかし、200グラム以上のタンパク質を含む高タンパク質食は、健康に良いとはいえず、むしろ過剰摂取に近いです。また、この研究では、骨粗鬆症とあまりかかわりのない尿中のカルシウム濃度をもとに結果が導き出されています。したがって、この結果を鵜呑みにすることはできません。

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ケトジェニック食は、減量と癲癇の予防に効果があることから、人気が高まりました。事実、パーキンソン病や認知症、糖尿病に対する効果についても調査されています。ケトジェニック食では、炭水化物を最小限に抑えながら、脂肪を大量に摂取します。目的は、体内の炭水化物を枯渇させ、主な燃料源として脂肪を用いるように強制することです。骨粗鬆症の場合、ケトジェニック食はむしろ逆効果です! 癲癇を患う子ども25人を対象とした研究で、15ヶ月間ケトジェニック食が与えられました(5)研究の終盤には、カルシウムとビタミンDの摂取量が推奨摂取量を下回っていました。さらに悪いことに、骨塩量が急速に減少していました。これはわずか25人の被験者を対象とした小規模な研究ですが、長期にわたるケトジェニック食の実施を検討している場合、注意する必要があります。

股関節骨折と同様に、骨粗鬆症によって、世界中で重度障害や死亡例がみられています。高齢化に伴い、これはより差し迫った問題になります。栄養素補給に関する研究によって、適切な用量と必要な栄養素が調査されている間、食事療法により骨をある程度守れます。地中海式食事法は、長期間(約9年間)続けた場合、骨折のリスクを7%減少できます。地中海式食事法では、カルシウムやビタミンD、ホウ素、ビタミンK、シリカを豊富に摂り、こうした栄養素はすべて、骨折をある程度予防できます。ケトジェニック食などの減量効果のある興味深い食事法がありますが、長期にわたり行うと問題が生じる恐れがあります。これは、1年以上ケトジェニック食を続けた結果、骨塩量が減少した上記の研究結果で示されています。したがって、骨粗鬆症のための食事療法を検討する際は、カルシウムやビタミンD以外にも、様々な栄養素や高分子化合物とその骨の健康に対する効果を考慮することが賢明です。

References:  

  1. Bolland M. Vascular events in healthy older women receiving calcium supplementation: randomized controlled trial. BMJ. 2008; 336(7638): 262-266
  2. Che J, et al. The effect of abnormal iron metabolism on osteoporosis. Biol Trace Elem Res. 2019.
  3. Benetou et al. Mediterranean diet and incidence of hip fracture in a European cohort. Osteoporosis Int. 2013; 24(5): 1587-98
  4. Massey L. Dietary animal and plant protein and human bone health: a whole foods approach. J Nutr. 2004; 134(11): 3100-3105
  5. Bergqvist C, et al. Progressive bone mineral content loss in children with intractable epilepsy treated with ketogenic diet. The Amer J of Clin Nutr. 2008; 88(6): 1678-1684