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ガーデニングとアウトドアの時間

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ガーデニングとアウトドアの時間-健康効果の概要

by フィリップ・ルチョタス理学修士・自然療法医師

ボルトン自然療法クリニック
64 King St W
Bolton, Ontario
L7E1C7

info@boltonnaturopthic.ca



ガーデニングとアウトドアの時間-健康効果の概要

はじめに

あなたは充分に長い時間、野外で過ごしていますか?最近の研究では、ガーデニングは元ガン患者さんたちの果物および野菜の摂取、身体活動、そして身体機能を改善する、有望な戦略の可能性であることが分かりました[1]。私たちが、投資の見返りが高いと思われる異なった健康習慣を思い浮かべる際に、果物および野菜の摂取や身体活動はその首位にあります。ある大規模なメタ分析(基本的に、全ての入手可能な最良のエビデンスを評価する方法)では果物および野菜の摂取と死亡のリスクについて詳細に調査しました。何が分かったと思いますか?果物および野菜の高摂取は、全死亡率の低リスクと有意な関連があったのです[2]。果物および野菜の摂取の一日当たり1サービングの増加は、一日当たり5サービングを閾値として(5サービングを超えると効果は変わりませんでした)、死亡を防ぐのを助けました。ですからこれを解釈すると、果物や野菜をより多く食べることは、あなたを長生きさせるだろうということです。どうしてそうなのでしょうか?これは難しい質問です。いつも答えが分る訳ではなく、分かっていると思う答えは正しくないかも知れないからです。果物および野菜は、ビタミン類、ミネラル類、そして食物繊維を含んでいます。更に重要な事に、現在の研究によると、これらの食べ物には数多くの慢性変性疾患および慢性代謝疾患の予防を助ける可能性があることが示されています。これらには、腸運動を調節するというような付加的な効果もあります。更に、果物や野菜は、他の食物の代わりとなる可能性があります。もしこれらの他の食物が健康に良くなかったりカロリーが高かったりするならば、果物や野菜は食事全体の中からそれらを除いていることになります。

もしガーデニングが健康的な食物の摂取の増加を促すことが出来るならば、それを更に探求する価値は確実にあることでしょう。しばしば、人々が健康に良い行動を行うことが出来ないのには、多数の理由があります。充分な時間、知識、技能や動機がないと感じるかも知れません。ですから、物事を正しい方向へと動かす助けとなるものなら何でも、非常に大きな利益があるでしょう。これから私たちが見てゆくように、それがどのようにお膳立てされるかが重要です。指導者、チーム、そして責任といったものは全て、一般的な障害の幾つかを克服するために心に留めておくべき潜在的重要要素でしょう。この記事では、ガーデニングおよび野外で過ごす時間の効果について、ビタミンDに焦点を当てることも含めて要点を述べましょう。これまでに行われた研究についても要約・説明します。


ガーデニング ガーデニング

元ガン患者さんたちを対象としたガーデニングについての最近の研究について、詳しく見て行きましょう[1]。元ガン患者さんたちは、心血管疾患、糖尿病やガンの再発といった複数の健康問題のリスクが高いものです。研究者たちは、果物と野菜の摂取、身体活動、生活の質、そして身体機能について調べるために、元ガン患者である大人や子供たちに園芸専門家とのペア組んでもらい、野菜のガーデニングについての実現可能性の調査(フィージビリティ調査)を行いました。これは一年間にわたって行われました。参加者たちは、菜園3つに野菜を植え、収穫し、ローテーションで植え付けを行い、そして様々な問題を解決しなければなりませんでした。アンケートと客観的評価によって情報が集められました。

この研究の結果によると、多くの人々がこのアクティビティへの参加を決め、辞める人は最小限であったことから(これらは両方とも、ガーデニングが非常に強力な介入である印です)、ガーデニングは実行可能であることが示されました。体力、敏捷性、そして耐久性の3つの評価項目に改善があることが分かりました。これは元患者さんたちの90%で見られました。一日当たり1サービングの果物および野菜の摂取の増加と、一週間に30分を超える身体活動が、元患者さんたちのそれぞれ40%および60%で見られました。全体として、ガーデニングのような表面上単純な介入が、健康に良い行動を促すことによって、おびただしい健康上の改善をおしなべてもたらし得ることを、この研究は示しています。

ガーデニングには、メンタルヘルスを改善するという付加的な利益があるかも知れません。野外での時間、あるいは自然や自然環境の中での時間が、気分や自尊心を改善し、更に不安を減少させることを示す、幾つかの研究が現在、存在します。自然の風景を眺めるだけでも、怒り、恐れ、そしてストレスは軽減されます。これは血圧や心拍を低下させます。この話題についてのある研究では、部屋に植物を置くだけでもストレスおよび不安に対する有意な影響があることが示されています。

恐らく、ガーデニングで責任感が養われるのかも知れません。これは、初期投資(時間、努力、そして場合によってはお金)がされると、人は(言葉通り)その労働の実りを見たいと思うからかも知れません。ガーデニングには時間が必要ですので、用意さえすれば後は忘れ去っても良いというものではありません。ガーデニングにはたゆまない投資やチェックインが必要で、常に畑の様子を観察しなければならず、問題が起これば解決しなければなりません。もし、これら一つ一つが行われなければ、全てが失敗となってしまう可能性があります。特に子供たちにとっては、彼らが自分たちで育てたものを楽しんで食べ、そのことについて良い気分になるでしょうから、ガーデニングは物を大切にするための訓練になるかも知れません。


ビタミンD ビタミンD

太陽の下、野外で時間を過ごすことは、(血清25(OH)D状態として知られる)ビタミンD値を上昇させるためには、最も重要な決定要因であると見なされています[3]。腎臓に問題のある患者さんたちを対象として行われたある研究では、研究者たちはビタミンD値およびビタミンD欠乏症の罹患率について評価しました。食事からのビタミンD摂取、太陽への曝露の程度、そして野外活動について調査が行われました。調査の結果、異なるビタミンD値の患者群の間では、ビタミンD摂取および太陽への曝露時間は有意な違いがないことが示されました。特に、食事からのビタミンD摂取はビタミンD値上昇へ寄与していませんでした。ビタミンD値に影響する主な要因は、太陽への曝露および野外での活発な運動(これは明らかに太陽への曝露になります)でした。

もう一つの研究では、田舎の野外で働く農家の男性の人たち、屋内で働く彼らの奥さんたち、そして彼らの子供たちを対象として、UVRへの曝露とビタミンD値について調査を行いました[4]。研究者たちは、前向きコホート研究で、UVRへの曝露および太陽の動きを線量測定および日記によって記録しました。ビタミンDは夏の終わりおよびそれに続く冬に測定しました。その結果、リスク行動(肩および上半身の太陽への曝露)、海水浴、日焼け止めの使用、そして日焼けはめったに起こらないことが示されました。農家男性および男の子たちは(大体予想されていたことですが)UVRへの曝露が最も高く、これは平日と休日でも同じでした。農家の奥さんはUVR曝露が最も低く、しかし家族の内でビタミンD値に違いはありませんでしたが、夏が終わるまでに参加者の16%がビタミンD欠乏であることが分かり、それに続く冬には61%がビタミンD欠乏となりました。ですから、ビタミンD値は冬の間に大半の参加者で推奨値よりも更に低下したという結論を著者たちは下しました。このエビデンスは、ビタミンDは健康やウェルビーイングに非常に重要であるだけでなく、食事からのビタミンD摂取は必ずしも野外で過ごす時間の良い代替ではないことを示しています。

健康機能の観点から、ビタミンDはカルシウム吸収を促し、カルシウムおよびリン酸塩の濃度を維持するのを助けます。全体的に、ビタミンDは健全な骨を作り、更に骨の成長と再生成とを維持するのを助けます。ビタミンDは細胞の成長や神経および免疫機能を助け、更に炎症を減少させます。細胞の機能を調節する幾つかの遺伝子は、ビタミンDにより調整されます。


覚えていて欲しい事 覚えていて欲しい事

最も重要でかつ簡単に行える健康に良い習慣の幾つかに、果物や野菜の摂取、身体活動、そして太陽への曝露があります。この記事では、果物や野菜の摂取に関する様々な利益について要約しました。一日最大5サービング前後の果物や野菜の摂取は、全死亡率を低下させます。これには更に、ビタミン類やミネラル類、食事から不健康な食品を取り除く、そして心血管疾患や慢性変性疾患を減らすといった、付加的な利益があります。

身体活動は、体重をコントロールし、筋肉を付け、心血管疾患を減少させ、骨や筋肉の健康を改善し、気分を改善し、その他広範な健康上の利益を有しています。多くの人たちにとっての問題は、彼らが何故それを出来ないのか、あるいは何故必要なだけ運動しないのかについて言い訳をすることです。1月にスポーツクラブの会員になり、たった数ヶ月後にはジムに通っていないことを思い起こしてみて下さい。私たちが検討したように、ガーデニングは全てに渡って役立つ介入です。ガーデニングは身体活動を増加させ、果物や野菜の摂取を増やし、太陽への曝露を増加します。

私たちは、太陽への曝露が血中ビタミンD値を改善するのに最善の方法であることについて議論しました。ビタミンDが多く含まれる食品を食べている人でさえ、また太陽に曝されている人でさえ、季節性がビタミンD値に大きな影響を与えているようです。これは、充分に太陽を浴びるだけでなく、もしそれが出来ないならば少なくとも食事からなるべく多くのビタミンDを摂取する、あるいは適当な補給をしなければならないことを意味します。通常、推奨されているように、どんなことでも新しい治療法を行う前には、自然療法医に相談して、それが安全であなた特有の症例に効果的であることを確実なものにして下さい。