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目の健康のための栄養素

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目の健康のための栄養素

By: Philip Rouchotas, MSc, ND

Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


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Degenerative Eye Disease and Antioxidants


パートI:変性眼疾患と抗酸化物質

変性眼疾患には、網膜に起こる慢性的な一連の退行性の作用による、視力の斬進的な喪失が伴います。光を検知し、その光を脳が解釈できるような神経のインパルスに変換するように作られている特化した細胞、光受容体、の並ぶ“眼球の背面”が、網膜であると考えられています。多くの小さな血管が網膜に栄養および酸素を送ると同時に、二酸化炭素と老廃物とを除去しています。変性眼疾患は、局所的酸化性損傷あるいは網膜血管損傷を介して網膜細胞に作用し、眼機能の喪失および最終的には視力の喪失をもたらします。

大多数の変性眼疾患の原因となる2つの病態は、加齢性黄斑変性症および糖尿病性網膜症です。加齢性黄斑変性症(AMD: age-related macular degeneration)には、黄斑もしくは“黄色い斑点“が損傷するという特徴がありますが、この黄斑には窩(網膜で最も錐体型の光受容体の密度が高く最もシャープな視覚を担っている部分)が含まれています(1)。黄斑変性症はおよそ50%の法的盲の原因であり、一般成人の3%が罹患しています(1)。多数の要因が加齢性黄斑変性症に寄与していますが、タバコ喫煙、食習慣、紫外線への過度の曝露といった酸化性ストレスは、これらの要因に共通した特徴です(1)。糖尿病性網膜症では、慢性的に高い血糖値が血管や眼に損傷を与え、その結果、栄養が運ばれなかったり、網膜表面の血管へのダメージが増大して血液や体液が漏れ視野がぼけたりします。それに加えて、その斑が膨らみ黄斑浮腫となる可能性もあります。

これらの病態に対する確立した投薬介入はありません。現在のところ、この病態に対する最も知られた薬剤は、栄養を基本とした抗酸化物質です。加齢性眼疾患研究(AREDS: Age-Related Eye Disease Study)という、3600人以上の患者を対象として、ビタミンC,ビタミンE,ベータカロチンおよび亜鉛が、加齢性黄斑変性症の進行に及ぼす影響を調査した、大規模な無作為対象試験があります(3)。これらの抗酸化剤の補給により、6年以上にわたって、末期加齢性黄斑変性症発症のリスクをほとんど30%減少させることができましたが、中程度の視力障害発症率にも同程度の減少がありました(3)。この調査は、なぜ今日、従来の医療行為としてさえ、こういった抗酸化物質が加齢性黄斑変性症患者に対して行われる主な治療であるのかという理由になっています。

定期的な読者は、6月号で詳細に議論されたβカロテンの有害作用のことを思い出すことでしょう(4)。手短に述べると、ビタミンAとβカロテンの補給が最終的には喫煙者の肺ガンリスクを増大させることが、2つの非常に大規模な調査により示されました(5,6)。この情報が新たに現れたため、2番目の加齢性眼疾患研究(AREDS 2)では、βカロテンを含む最初の調査の調合とβカロテンを別のビタミンAを形成しないカロテノイド(すなわちルテイン、ゼアキサンチンおよび・またはオメガ3脂肪酸)に置き換えた新しい調合とを比べました(7)。これには4200人以上の患者が参加しました。加齢性眼疾患研究2では、古い調合と新しい調合との間では統計的差異がないことが示され、抗酸化物質の処方中のβカロテンをルテインとゼアキサンチンとで置き換えても、この栄養補給の効果は下がらないことが示唆されました(7)。

加齢性黄斑変性症に対するこの最初の重要な栄養介入を論じたところで、このシリーズの残りのパートでは補足的な薬剤について検討します。引き続きお読みください…。



Nutrients for eye health - Preventing, slowing, and possibly reversing eye disease

パートII:ルテインとゼアキサンチン
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, Ontario L7E1C7
Toronto, Ontario
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Lutein and Xanthophylls

パートIでは、加齢性眼疾患研究1および2の両方の知見を概観しました。これらの調査では、a) 抗酸化物質が加齢性黄斑変性症に対して効果的な戦略であり、そしてb) そのような調合において、カロテノイドであるルテインとゼアキサンチンとは、βカロテンによるガンのリスクへの有害効果を避けるために効果的な代替えとなること、が分かりました。このパートでは、ルテインとそれに関連する化合物とに関するエビデンスについて引き続き議論を発展させましょう。

ルテインとゼアキサンチンとは目特有の栄養素を含んでいます。この栄養素の一群は集合的に、キサントフィル類と呼ばれており、これは単に“黄色色素”という意味です。キサントフィル類はカロテノイド属に属しており、これらの2つはビタミンAの前駆物質ではありません。それとは対照的に、βカロテンはビタミンAの前駆物質です。名前から暗示されるように、これらの栄養素は網膜中の黄斑色素を形成します(1)。これらの栄養素の働きのうちの一つは、目が日常的に光に暴露されるのに次いで起こる酸化性のダメージを消し去ることです(1)。例えば、人がルテイン補給すると、体内の黄斑色素の濃度を上げることが示されました(2)。

LLUTEGA調査では、1) プラセボ、2) ルテイン10mg、ゼアキサンチン1mg、ドコサヘキサエン酸100mgそしてエイコサペンタエン酸30mgの組み合わせ、3) グループ2の2倍の服用量、という3つの治療のうちの1つを無作為に受けた172人の加齢性黄斑変性症患者を追跡調査しました。12か月後、血漿抗酸化能力および黄斑色素密度の両方がプラセボと比較して他の2つのグループで著しく増加しました(3)。

最新の研究でも、ルテインとゼアキサンチンとが加齢性黄斑変性症の患者の視力を改善することが示されました。CLEAR調査では、10mgのルテインもしくはプラセボを加齢性黄斑変性症の患者に一年間投与しました(4)。調査の終了時には黄斑色素密度が高くなっただけでなく、一年後には対照群と比較した際に視力低下がルテインの補給により妨げられました(4)。それに加えて、調査当初に視力の悪かったサブグループの患者の間では、ルテインの補給により視力の改善が可能でしたが、一方でプラセボを投与された視力の悪い患者たちの間では一年間にわたり視力が悪化しました(4)。

ルテインとゼアキサンチンとの効果に関するさらに多くの研究がここ数年の間に出てくると考えられます。パートIIIではオメガ3脂肪酸の役割について検討しますので、引き続きお読みください。



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パートIII:オメガ3脂肪酸
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

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Omega-3 fatty acids

パートIとIIでは、加齢性眼疾患研究1および2、そしてLUTEGA研究からの知見について述べました。興味深いことに、これらの調査では、抗酸化物質であるキサントフィル類であるルテインとゼアキサンチンとが魚由来のオメガ3脂肪酸DHA(ドコサヘキサエン酸)そしてEPA(エイコサペンタエン酸)と一緒に投与されました。これら2つの非常に異なる部類の栄養素の相乗効果が存在する可能性を、私たちはまだ考察していません。

EPAとDHAとは疑いもなくそれ自体が重要な栄養素です。これらは眼疾患を含む大抵の変性疾患と闘うのに役に立つ万能の抗炎症剤です。この二つはニューロプロテクチンへと変換される可能性がありますが、このニューロプロテクチンも眼球内の酸化性ストレスを消し去るのに一役買っています(1)。同様にこれらのオメガ3脂肪酸は、網膜細胞膜の流動性を調整し、光受容体のシグナリングを最適化するのにも重要です(1)。実に、魚の高摂取が、加齢性黄斑変性症の高リスク患者たちの間で、病気の進行の12年リスクを減少させることが示されました(3)。

ほぼ40,000人の女性たちを10年にわたって追跡した非常に大規模な調査では、少なくとも週一回の魚を摂取は、月一回未満の魚を摂取する女性たちと比較して、加齢性黄斑

最後に、魚油や魚油サプリメントのもう一つの比較的知られていない効能があります。“善玉コレステロール”としても知られる高比重リポ蛋白(HDL: high density lipoprotein)は物質、特にルテイン、を目に搬送する主要な担体であることが知られています(5)。ワンらによる研究では、ルテインとゼアキサンチンとを加齢性黄斑変性症の患者に与えたのち、ルテインの50%およびゼアキサンチンの40%がHDLにより搬送されましたが、その一方でLDLまたは“悪玉コレステロール”によって搬送されたのは22%のみであることが示されました(5)。

魚油補給はHDLを上げる治療として定評があります。ある研究では、うつ病患者にEPAを補給すると、著しくHDLが増加(0.30mmol/L)することが分かりました(6)。別の研究では、魚油補給により、コレステロールの薬の投与を受けているメタボリック症候群の患者のHDLが増加することが分かりました(7,8)。魚油がHDLレベルを上昇させるために、網膜に届くルテインとゼアキサンチンとを増加させるかも知れず、それゆえこれら眼特有の栄養素と相乗効果を起こすのだと推定できます。

パートIVでは最後の薬剤の役割について検討しますので、引き続きお読みください。



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パートIV:イチョウ
By: Philip Rouchotas, MSc, ND

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Ginkgo bilobas

これまでのパートでは、抗酸化物質ルテインおよびキサントフィル類だけでなく、加齢性黄斑変性症の治療および予防におけるオメガ3脂肪酸についても概観しました。この最後のパートでは、この領域における主要なハーブであるイチョウについて考察します。イチョウは、網膜への微小循環を改善し、そして組織酸素化および害の恐れのある物質や媒介物質の除去を改善します。

4つの研究では、イチョウを変性眼疾患の治療へ用いることについて評価を行いました。フィースらは、加齢性黄斑変性症におけるイチョウの効果を吟味しました(1)。合計99人の加齢性黄斑変性症による視力障害の患者に対して、高用量(240mg)もしくは低用量(60mg)のイチョウが6か月間投与されました。既に4週間後には、 “研究対象患者の視力に顕著な改善”が、高用量グループではより際立って、見られました。イチョウの耐用性は良好で、副作用が殆どないことが示唆されています。

レビュソンらは、加齢性黄斑変性症の患者を対象としたより小規模な無作為対照試験を行い、眼科検診の際の網膜の外観および視力にイチョウが及ぼす効果を厳密に評価しました。この調査では、イチョウによる治療の結果、遠くを見る際の視力に著しい改善が見られることが分かりました(2)。

糖尿病性網膜症に関しては、ポーランドでの研究により、長期にわたる病態であるI型糖尿病の子供たちに対するイチョウ補給の予防効果が吟味されました(3)。研究者はイチョウを3カ月間子供たちに投与したのち、再度、子供たちの目の健康に関する解剖学的あるいは機能的変化を、厳密に評価しました。イチョウによる治療の結果、子供たちの色覚検査結果が良くなり、治療前に25%の子供たちの検査結果が異常であったのに比較して、イチョウ治療の後は4%しか異常の結果を示しませんでした。

最後に、フランスでのある研究でも同様に、糖尿病性網膜症に対するイチョウの効果を厳密に評価しました(4)。糖尿病性網膜症初期の大人合計29人が無作為に、6ヶ月間のイチョウによる治療もしくはプラセボに振り分けられました。今回は、プラセボのグループに病状の悪化した患者がいましたが、イチョウによる治療を受けた患者では眼機能が改善する傾向が確認されました。

眼疾患治療では、前のパートで検討した栄養ベースの治療に加えて、イチョウが主要な役割を果たす可能性があることを、これらの研究は示唆しています。イチョウは“抗凝血剤”として作用する可能性があることから、出血症状や抗凝固療法を受けている血液凝固障害の患者に与えるべきではありません。