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男性の健康

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男性の健康-前立腺ガンについて知っておくべきこと
By: Philip Rouchotas MSc, ND
Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


Prostate Cancer


パートⅠ:前立腺ガンとは?

一般には議論されませんが、50歳以上の年齢に近づく多くの男性は、前立腺の健康あるいはその欠如に衝撃を受けます。このクルミほどの大きさの小さな器官がこれほど重要なのは信じ難いことです。とはいえ、前立腺疾患は、良性前立腺疾患と前立腺ガンという、2つの一般的なカテゴリーに分類されます。

前立腺疾患

良性前立腺肥大(BPH: Benign prostatic hypertrophyあるいは前立腺肥大)は、50歳以上の男性によく見られる非ガン性の病状です。症状は頻尿、排尿困難、あるいは排尿のために夜起きなければならないことなどです。これらの症状は、前立腺肥大が尿道を圧迫することにより起こります。前立腺肥大は、長い間テストステロンホルモン(訳者注:男性ホルモンの一種)の作用が原因であるとされてきましたが、比較的新しい研究では、特に男性の脂肪組織内のテストステロンから転換される過剰なエストロゲン(訳者注:女性ホルモン)が一役買っている可能性があることを示唆しています。(1)

一方で、前立腺がんは、無制御の細胞増殖という特徴を持つ悪性の病状です。前立腺ガは、男性ガンの中で肺ガンに次ぎ2番目に多く、2013年には238,000人以上の新しい患者が予想されています。(2)前立腺ガンもテストステロンにより成長します。おそらくどちらも類似した症状を呈するかもしれないという理由から、前立腺肥大と前立腺ガンとは、混同され易いかもしれません。ですから、適切な検査を受けることがきわめて重要です。

診断

前立腺ガンの検査と診断において欠くことのできない2つの要素があります。1つ目はPSA(PSA: Prostate Specific Antigen, 前立腺特異抗原)と呼ばれる血液検査です。PSAは、前立腺疾患を検査するのに用いられますが、良性前立腺肥大症の男性でも上昇するため、前立腺ガン特有のものという訳ではありません。(3)高いPSA値は、高いリスクを予測していますが、遊離PSAと総PSA(訳者注:タンパク質と結合したPSA)との相対的な量と照らし合わせて解釈する必要があります。つまり、遊離PSA対総PSA比は、総PSA値のみよりも前立腺ガンのリスクをさらに良く予測します。(4,5)総PSA値の上昇が高リスクを予測する一方で、小さい遊離PSA対総PSA比は高リスクと相関します。ある場合には、PSAが低下するかもしれませんが、遊離PSAもさらに低下するかもしれません。これは結局リスクを全体的に悪化させます。この分野の専門知識を持つヘルスケア提供者に、あなたが適切な検査を受け、その結果を解釈するための支援をしてもらうことが、きわめて重要です。

診断の第二段階は、腫瘍のサンプル細胞の外観と腫瘍の侵攻性との評価を伴う前立腺の生検(生体組織検査)を受けることです。腫瘍悪性度グレード分類であるこのシステムは、グリソンスコアと呼ばれており、特定の患者に対するグリソンスコアに応じて、“経過観察”アプローチ、あるいは手術や化学療法のような積極的な抗ガン治療のどちらかを勧めます。(6)早期の段階では、非侵攻性のタイプの前立腺ガンに対して、積極的な抗ガン治療を行う根拠は通常ありません。その代わり、ゆっくりと進行する腫瘍に対して、監視療法として知られている“経過観察”アプローチを勧めます。この時期に診断を受けることは、実際に重要です。それというのも、この時期は、初期ガンの進行を遅くするのを可能とする食事療法とライフスタイルの変化を行うのに理想的だからです。

パートⅡでは、前立腺ガンの進行を妨げ、現存するガン腫の予後を改善することを可能とする食事とライフスタイルの戦略について検討します。



パートⅡ:前立腺ガンリスクおよび予後に影響する食事とライフスタイル

Diet and Lifestyle Influences on Prostate Cancer Risk and Prognosis

パートⅠでは、私たちは前立腺ガンの診断および通常行われる治療について概観しました。この章では、果物や野菜そして食物繊維がリスクを減らすかたわら、飽和脂肪、精製された炭水化物や太りすぎがリスクを高めるといった、前立腺ガンの発症および進行両方のリスクに一役買う食事とライフスタイルの重要な要素を検討します。飽和脂肪酸や精製した炭水化物の摂取、太りすぎは前立腺ガンのリスクを高める一方で、果物と野菜、食物繊維はリスクを低下させます。

果物と野菜の摂取量 ハーバード大学により行われた大規模な研究では、7年間の間、非転移性前立腺ガンと診断された1560人の男性を追跡調査しました。(1) 男性は野菜の摂取量に応じて4つのグループに分類され、最下位のグループが1日当たり1.4サービング(訳者注:ヘルス・カナダにより規定された各食品を食事として摂取する際の量。例として、野菜や果物の1サービングは1/2カップ(125ml)と定められている。)しか摂取しない一方で、最上位のグループは1日当たり5.7 サービングの野菜を摂取しました。ブッロコリーやカリフラワーのようなアブラナ科の野菜に関しては、最下位のグループが殆ど摂取しなかった一方で、最上位のグループは1日当たりほぼ1 サービングを摂取していました。アブラナ科野菜の摂取が最上位のグループの男性では、前立腺ガンの進行するリスクはほぼ60%低くなりました。ガンを予防するために、少なくとも1日当たり果物と野菜とそれぞれ5 サービングが推奨されています。
食物繊維 食物中の繊維は、ホルモン類とホルモン代謝物の身体からの除去を促進します。(2) 食物繊維についてのあるアメリカの研究では、1日に20g以上の繊維の摂取は1日に13g以下の繊維の摂取と比較して、約50%の前立腺ガンリスク低下と関連付けられました。(3)
飽和脂肪酸 米国国立衛生研究所退職者協会(AARP)の食事と健康に関する大規模な研究では、男性288,268人を9年間追跡調査しました。飽和脂肪酸の摂取は、前立腺ガン進行リスクの20%以上の増加および前立腺ガンによる死亡リスクの47%の増加に関連付けられました。これに反して、オメガ3脂肪酸EPAの摂取は、前立腺ガンの致命的リスクの約20%の減少に関連付けられました。(4)
精製炭水化物 精製炭水化物の大量摂取は、前立腺ガンリスクの増加と関連があるとされました。45-73歳の健康な男性8128人を15年間追跡した研究では、加糖甘味飲料高摂取の人はゼロの人と比較して、前立腺ガンリスクの傾向が38%高いと関連付けられました。(5)それに加えて、診断時に血糖値の高い男性は、血糖値が正常の男性と比較して、約3.5年以内にガンが再発するリスクが50%以上増加しました。(6)
肥満度指数(BMI) 健康な体重を維持するのは、ガン予防において極めて重要です。過剰な脂肪組織を保持していると、ガンを増殖させるホルモン類や増殖因子が脂肪細胞により生産されます。積極的サーベイランス(訳者注:注意深い経過観察)が適切か、それともより積極的な治療が必要かを決めるために、前立腺ガン患者を評価する際、太り過ぎや肥満の男性は、検査がそうでない場合に示すよりも多くの侵攻性の腫瘍があるリスクが4倍まで増加します。(7)前立腺ガンの手術を経験した男性の間では、平均2.5kgの体重増加でさえ再発のリスクが上昇するのに対し、同量の体重減少に対しては再発のリスクがありませんでした。(8)

パートⅢでは、前立腺ガンのための健康的な食事パターンの効果を補う可能性のある栄養補助食品について検討します。



パートⅢ:初期前立腺ガンに対するナチュラルな戦略

Natural Strategies for Early Stage Prostate Cancer

パートⅠでは、早期の非侵攻性前立腺ガンに対する積極的サーベイランス、侵攻性ガンおよび再発ガンに対するホルモン治療とそれに続く手術や化学療法や放射線治療の組み合わせといった、一般によくある2つの前立腺ガンの治療の過程について概観しました。積極的サーベイランスの下にある非侵攻性の腫瘍を持つ人々に対して、厳選した天然薬剤はPSAを低下させ腫瘍の成長を遅らせるのを助ける可能性があります。

リコピン トマト由来のフラボノイドであるリコピンは、前立腺ガンの予防と治療とのためのエキサイティングな食品の薬剤です。(1) リコピン摂取(1日当たり調理したトマト約1カップまたはトマトペースト大さじ2杯)は、前立腺ガンの低発症率を予測することが示されました。(1)前立腺ガンの男性の間では、リコピン摂取(リコピン含有量が5-10%に統一されたトマトエキス)により、PSAレベルが低下し、腫瘍の大きさが縮小することが示されました。(2-4)リコピン摂取は、前立腺ガンのリスクの約20%の減少と関連付けられました。(1)前立腺ガン患者の研究では、リコピン補給により、痛みと泌尿器症状といった症状が軽減するだけでなく、病気の進行の速さが遅くなることが分かりました。(5)リコピンの服用目標量は一日30mgですが、これは一日あたり大さじ2杯のトマトペーストもしくは1週間あたり5日の調理したトマト1サービングの摂取に相当します。
セレン セレン値の低い男性にとっては、セレンの補給が前立腺ガンのリスクを減少させる助けとなる可能性があります。(6)セレン補給は、前立腺ガンの発症を50%まで低下させることを示しました。(7)セレン値の比較的高い人々にとっては、セレンはガンおよび糖尿病のリスクを高める可能性があると関連付けられました。ですから、セレンは一日50mcgという低服用量しか推薦されていませんが、これはブラジルナッツから容易に摂取することが可能です。たった一粒のブラジルナッツから50mcgのセレンを摂取できます。(8)
緑茶 緑茶は、腫瘍細胞に作用して細胞死を引き起こし、腫瘍細胞が更に増殖するのを防ぐと考えられています。ある研究では、手術を控える前立腺ガンの患者への緑茶エキスの使用について調査しました。手術で取り除かれた腫瘍の標本は、ベースライン(訳者注:治療開始前の測定)と比較して、PSAとインスリン増殖因子と血管内皮増殖因子のような成長因子とが、有意に少ないことを示しました。(9)
大豆 大豆は、ホルモンの腫瘍細胞に対する刺激作用を遮断すると考えられています。手術を受けた再発リスクのある前立腺ガン患者たちでは、低脂肪(15%)、高食物繊維(21g/日)、そして大豆補給(大豆タンパク質分離成分40g)を組み合わせた食事介入により、腫瘍の成長を引き起こすホルモンや増殖因子の血中濃度が低下することが示されました。研究室環境で、これら食事介入を受けた患者たちの血液に前立腺ガン細胞を曝したところ、ガン細胞の成長は著しく抑制されました。(10)

現在、化学療法や放射線治療を受けている患者たちは、天然健康食品を摂取するのに先立ち、免許を持つヘルスケア提供者に相談すべきです。それが確実に、サプリメントの利用を最も効果的にし、化学療法や放射線治療によるマイナスの相互作用を最小限に留めることでしょう。



パートⅣ:進行した前立腺ガンのホルモン療法を支えるナチュラルな戦略

パートⅢでは、積極的サーベイランスの下にある患者たちの病気の進行を遅らせるために天然薬剤を利用することについて検討しました。侵攻性腫瘍や再発ガンの患者たちは、手術、放射線治療、そして化学療法を組み合わせた治療を受けますが、それに続いて転移性疾患の患者たちに対しては、アンドロゲン抑制療法と呼ばれている抗テストステロン剤治療が施されることがあります。アンドロゲン抑制療法(ADT:androgen-deprivation therapy)には、女性化、ほてり、うつ、血糖やコレステロールの問題、筋肉量の低下そして骨粗しょう症といった、かなりの副作用が現れる可能性があります。 (1, 2)それでもなお、いくつもの研究がアンドロゲン抑制療法により患者の生存率がまぎれもなく改善することを示しました。(3)前立腺ガンのこの段階では、治療を通して身体を支えることへ焦点が移ります。特定の天然薬剤は、アンドロゲン抑制治療法の副作用を相殺するのを助けます。

病気がこの段階にある患者たちには、免許を持つ自然療法医師に、食事やサプリメントの戦略の手順の指導を求めることを、大いにお勧めします。

コレステロール、血糖、筋肉量の低下、骨粗しょう症、そして気分といったアンドロゲン抑制治療法の代謝に関するマイナスの副作用の管理を助けるための鍵は、特定の食品を摂取したり避けたりすることです。これらは、

  • ・1日1つかみの生のナッツ類(アーモンド、クルミ、ピスタチオ)(4)
  • ・1日大さじ2杯の非加熱エクストラバージンオリーブオイル(5)
  • ・濾紙で濾過されていないコーヒーを避ける(豪華な自家製コーヒー抽出機のほとんど、エスプレッソ、カプチーノ、フレンチプレス、ラテなど)。濾紙で濾過されているコーヒーは差し支えない。
  • ・健康的な体重の維持。可能ならば、30分の適度な強度の運動を週5日間行う。(6)

厳選した栄養補助食品は、アンドロゲン抑制療法を受ける人々に非常に有用であることが証明されました。下記は、考慮すべきくつかの主要な薬剤についてのごく簡潔な一覧です。

  • ・クレアチンは、筋肉量の維持のために重要な薬剤です。(7)一日3g服用します。
  • ・EPA高含有の魚油の効用をリストにすると、気分の改善、筋肉量低下(悪液質)の減少、炎症の軽減、コレステロール値の改善と長くなります。使用する魚油は、EPAがDHAよりも多く含有されていなければなりません。(8-10)適切な服用量はEPAが1日 1-2gです。
  • ・亜麻仁はオメガ3脂肪酸の主要な供給源あり、ほてりの症状を軽減させることが示されています。(11)他のタイプのガンでは、亜麻仁は腫瘍細胞の増殖を縮小させることが示されました。(12)1日大さじ2-4杯です。
  • ・ビタミンDには、抗ガン作用があり、そして骨の健康を保つために不可欠な栄養素でもあります。(13)ガン患者はしばしばビタミンD不足であるため、理想を言えば服用量は血液検査の結果に基づいて決めるべきでしょう。血液検査をしない患者のための慣習的な服用量は1日2000IUです。