メインコンテンツに移動

自然療法による終末糖化産物(AGE)へのアプローチ

日本語

終末糖化産物(AGE)は、高血糖状態下で形成される化合物で、体内で形成されることもあれば、食事により摂取されることもあります。AGEが体内で増加すると、加齢に伴う様々な慢性疾患が生じます。AGEが健康に及ぼす影響やライフスタイルとAGE蓄積のかかわり、AGEに効果のある自然薬を理解することで、AGEによる悪影響を防げます。

終末糖化産物(AGE)について知っておくべきこと

AGEは、還元糖のカルボニル基とタンパク質、脂質、核酸の遊離アミノ基との非酵素的反応により形成されます。いくつかのAGEが特定および研究されていて、これには、Nε-カルボキシメチルリジン(CML)、ペントシジン、Nε-カルボキシエチルリジン(CEL)、メチルグリオキサール由来ヒドロイミダゾロン-1(MG-H1)、ピロリンが含まれます。1AGEは、体液やあらゆる組織の細胞内外に蓄積し、細胞内のシグナル伝達、遺伝子発現、活性酸素種の産生、炎症反応経路を変化させます。AGEが蓄積すると、糖尿病、2 慢性腎臓病、3心血管疾患、4 骨粗鬆症、5筋骨格系障害、6 眼疾患、7癌、8不妊症、9 アルツハイマー病を含む神経変性疾患が進行します。10

AGEを含む食べ物は、主に乾燥した高熱で調理されたもの(焼き料理、ロースト、炒め物、揚げ物など)や長時間調理されたものです。動物性食品(牛肉、高脂肪チーズ、熟成チーズ)に特に多く含まれています。また、乾熱加工食品(クラッカー、チップス、クッキーなど)にも高濃度で含まれています。11

生体実験により、タバコやタバコの煙の水抽出物によってもAGEが増加することが示されています。タバコやタバコの煙は、グリコトキシンと呼ばれる活性種を生成します。グリコトキシンは、タンパク質のAGE形成を急速に促す反応性の高い糖化産物です。12

ライフスタイルの変更でAGEの蓄積を軽減できる

高血糖状態が続くと、よりAGEが形成されます。糖分、特に果糖を含む食品や飲料の摂取を制限したり、13GI食品の代わりに低GI食品を摂ったりすることで、血糖値を制御して体内におけるAGEの形成を減らせます。14

AGEs

AGEを避けた食事療法を守ることで、AGEの血中濃度を減少できるといわれています。15この食事療法には、動物性食品の摂取を制限することが含まれます。より多くの水分(ゆで料理、煮込み料理、蒸し料理)またはレモン汁や酢の酸性溶液(マリネ)で素早く低温で調理することで、AGEの形成を抑えられます。また、ローストしたナッツや種子の代わりに生のナッツや種子を選ぶことも、AGEの摂取量を減らすのに効果的です。16

運動によっても、AGEレベルを下げられます。非糖尿病の中年女性17人を対象とした12週間のライフスタイル修正プログラムでは、日々の平均歩数が多いほどCMLが減少することが示されました(p = 0.044)。17ヒト免疫不全ウイルス感染患者のAGEに対する運動の効果に関する臨床試験では、3ヶ月間にわたり60分間のトレーニングを週3回行ったところ、コントロール群と比較してAGEレベルが低下しました(ベースライン:0.93±0.08AU 3ヶ月後:0,59±0,04AU; p <0.001)。18

たばこへの曝露を避けることで、AGEの血中濃度が減少します。8,905人の参加者(喫煙者、非喫煙者、元喫煙者)を評価した横断研究では、AGE蓄積の一指標である皮膚自家蛍光値が測定されました。その結果、皮膚自家蛍光値は、能動喫煙と長時間の受動喫煙において上昇しました。また、元喫煙者の皮膚自家蛍光値は、約15年間の禁煙後、非喫煙者の値に近づいていました。19

AGEs

天然サプリメントでAGEを減らせる

プロバイオティクスとプレバイオティクス:腹膜透析を受けている患者20人を対象としたランダム化非盲検試験では、1ヶ月にわたり通常の高AGE食を摂取した場合とAGE制限食を摂取した場合を比較したところ、AGEの摂取を制限することで、血清AGEが減少し、腸内細菌叢が変化しました。20また、2型糖尿病患者65人を対象とした別のランダム化比較試験では、プレバイオティクスとしてデキストリンが投与されました。8週間後、デキストリンを投与されたグループは、プラセボ群と比較してCML値が改善されました(-93.40ng/ml、26.30%)。21

ベンフォチアミン:ある臨床試験では、2型糖尿病患者13人に、3日間のベンフォチアミン(1,050mg/日)による治療の前後に高AGE食を与えたところ、血管内皮機能障害と酸化ストレスの血清マーカーとAGE値が高AGE食の摂取後に増加し、ベンフォチアミンの投与後に大幅に減少しました。このことから、ベンフォチアミンによって、2型糖尿病患者のAGEが豊富な試験食の摂取による微小血管や大血管の機能障害を完全に予防できることがわかりました。22

カルノシン:19件の試験管内試験、15件の動物実験、AGEによる変化に対するカルノシンの効果に関する2件の人体実験の系統的レビューでは、2件を除くすべての実験において、カルノシンによりAGEの形成を防げることを示していることがわかりました。このレビューでは、カルノシンには抗糖化作用があり、タンパク質のカルボニル化や還元糖による架橋結合を防ぐ効果がある可能性があると結論付けられました。23また、2型糖尿病患者54人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照試験では、12週間にわたってL-カルノシンを補給したところ(1,000mg/日)、ベースライン時と比較して血清ペントシジン濃度が大幅に低下しました(p <0.05)。24

ケルセチン:あるランダム化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験により、ケルセチンを160mg/日投与することで、プラセボ群と比較して、血漿メチルグリオキサール(AGEの最も強力な前駆体)濃度が低下することが示されています(95%CI:-73.6、-6.8 nmol/L; p = 0.019)。25

コエンザイムQ10:ある無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験で、糖尿病性腎症患者50人に、12週間にわたりコエンザイムQ10サプリメント(100mg/日)またはプラセボが投与されました。その結果、コエンザイムQ10を12週間補給することで、プラセボ群と比較してグルコースの代謝が促進され、AGEが大幅に減少しました(-316.4±380.9 AUv.+ 318.6±732.0AU、p <0.001)。26

結論

終末糖化産物に関する研究は進化し続けています。現代のライフスタイルとAGEの存在のかかわりを理解し、AGEの体内における活動について学ぶほど、AGE値を変えることができます。