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自然と精神衛生-自然療法的視点

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自然と精神衛生-自然療法的視点

by: Stacey Goldman, ND

The Spark Institute
9401 Jane Street
Vaughan, ON. L6A 4H7
Stacey@thesparkinstitute.com
www.thesparkinstitute.com




自然と精神衛生-自然療法的視点




はじめに

カナダにおける精神的健康障害の診断の数は増えつつあります。カナダ人5人中1人は、人生のうちで個人的に精神疾患を経験します。ほとんど全ての人は精神的健康障害―自分自身の精神衛生に懸念がある、あるいは心の健康に苦しむ人と関わる―の影響を受けています。青少年から中年までの男女両方で、自殺は死亡の主な原因です。カナダにおいて医療システムに対する精神疾患の経済コストは、少なくとも年間510億ドルと見積もられていますが、これには医療費、生産性の喪失、そして健康に関わる生活の質の低下が含まれます[1]

これらの統計は恐ろしいものです。遺伝的要素、生物学的要素、パーソナリティの要素、そして環境要素といった複合的な相互作用が人の精神衛生に寄与します[1]。今こそ、苦しむ人々を助けるための異なる治療オプションを探求する時です。治療が簡易で効果的であるほど、より迅速に容易なメンタルヘルスの支援や治療を行うことが可能です。

最近の研究の幾つかでは、自然の中に浸ることは私たちの精神衛生に極めて良いことが示されました。荒野や公園、都心のグリーンの空間や庭園でも自然に触れることができます。私たちはこの記事で、自然が精神衛生に何故これほど良く、何故これが重い精神病に苦しむ人の治療計画の一部として探求されるべきなのかについての様々な理由を概観しましょう。


自然の中での運動

複数の研究によって、運動は私たちの精神衛生に非常に良いことが示されました。私たちの精神に対して、運動と同じ働きが得られる薬はありません。運動は気分、生活の質、自尊心、睡眠そして認知機能を高めます。運動は、精神疾患、とりわけ不安神経症、うつ病といった精神疾患および一般的なウェルビーイングを改善することが分かりました[2]Nature and Mental Health  - Naturopathic Perspectives うつ病といった精神疾患および一般的なウェルビーイングを改善することが分かりました[2]

最近のスタンフォード大学による研究によると、自然の中での運動は賑やかな都市部での運動に比較して、より低いうつ病リスクに寄与することが分かりました。参加者たちは、田舎の草地あるいは交通量の多い都心の道路のどちらかで散歩を行いました。散歩の後、研究者たちは、脳内の反すう・強迫観念の部位を検査しました。田舎で散歩をした人たちでは、この脳部位の活性が低下していましたが、その一方で都心を散歩した人たちでは変化がありませんでした[3]

この研究は、運動をする場所が精神衛生に何らかの影響を及ぼす可能性のあることを私たちに示しています。運動を行う環境を変えることで、私たちは脳の活性を変化させることが可能なのです。


自然と注意

ミシガン大学のある心理学研究調査では、一時間、自然に触れた後には、人々の記憶力および注意持続時間が20%改善することが分かりました。これには、美しい晴れた日中でも寒い冬の夜でも同様の効果のあることが分かりました。更に、自然の写真を眺めると記憶力および集中力を改善するのに役立つことが分かりました[4]。自然は私たちの気分に大きく影響を及ぼしますが、同様に私たちの注意や記憶力にも影響を及ぼすことを、この研究は示しています。学生の人たち、とりわけADHDや他の注意障害に苦しむ人たちは、学習・発達の際には確実に、そして十分に自然と接することが大切です。


ビタミンD

ビタミンD

A世界で10億人がビタミンD欠乏症あるいはビタミンDが不足していると見積もられています[5]。この欠乏症はあまりにも一般的で、全ての人が欠乏症であると考えられるため、オンタリオ州では医師たちは健康保険でカバーされているビタミンD検査の定期発注をすることが出来ません。ビタミンDは日光、食事やサプリメントから得られます。50-90%のビタミンDは日光に当たることによって生産される一方で、その残りは食事から摂取します[5]。ビタミンD欠乏症は、肥満、糖尿病、高血圧、アルツハイマー病や鬱病といった数々の健康への悪影響の原因となる可能性があります。

複数の研究によって、ビタミンD低値とうつ病の間の相関が示されました。ビタミンD欠乏を予防するためには、毎日、日光に皮膚面積の40%を晒して15-20分過ごすべきでしょう[5]。戸外の自然の中にいることで、うつ病を減少させることが可能ですが、その理由の一つが太陽光を介して生産されるビタミンDです。


自然は癒す

あるオランダでの研究では、数々の健康上の訴えを伴うストレスの高い生活上の出来事と、自分が感じる一般的な健康との関係は、自宅から半径3km以内の緑の空間の量によって著しく緩和されることが示されています。緑地の多い近隣に住む回答者たちは、同じ半径内に緑地が少ない回答者たちよりも、ストレスの高い生活上の出来事の経験による影響がより小さいものでした。患者さんたちが自分自身の精神衛生についてどのように感じるかについても、同様のパターンが観察されました。より多くの緑地に囲まれている場所に暮らす際、患者さんたちの気分が改善したのです[6]

自然の中で過ごす時間を増やす方法

自然の中で過ごす時間を増やす方法

自然の恵みを享受するために、私たちは毎日欠かさず戸外に出るよう―たとえそれがたった10-15分だけであったとしても―努力しなければなりません。戸外にいる時間を優先し、毎日の習慣の一部としなければなりません。あなたが戸外に出る機会を増やすための方法には次の様なものがあります。

  • 通勤は徒歩あるいは自転車にする

  • 昼休みに近所の公園に散歩に行く

  • 犬を飼っているのならば、毎日散歩に連れて行く

  • 15分早く起きて外を散歩する

  • 新しいウィンタースポーツを試してみて、それを趣味にする(スキー、スケート、ソリ、スノーシュー)

  • ジムで運動する代わりに、戸外でいつもの運動メニューをこなす

  • 出来る限り車をやめて徒歩にする

  • 画面を見ている時間を制限する-これで外に出るための時間量を捻出できるでしょう

  • もしあなたが都市部に住んでいるならば、近所の公園やハイキングトレイルがないか探し、これらのエリアに毎日出かけるよう努力してください


結論

ここまでで検討したように、自然は精神衛生に多くの良い影響を及ぼします。田舎での運動は、都市部での運動と比較して、精神衛生により大きな良い影響を与えます。自然には、記憶獲得や集中力を高め、ビタミンD(幸せのビタミン)レベルを上昇させ、治癒を促す力があるのです。