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ダウン症候群-紹介および概要(パート2)

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ダウン症候群-紹介および概要(パート2)

by Sejal Parik-Shah, ND

http://www.naturopath4u.com/


この記事は、Naturopathic Currents 2016年5月「ダウン症候群-紹介および概要」の続編です。Naturopathic Currents

Down Syndrome - Introduction and an Overview

視覚


T21の子供のおよそ70%に、視覚障害が現れるでしょう。近視、遠視、そして斜視は、T21の子供たちに見られる一般的な視覚障害です。ですから、年一回の視力検査がT21の子供たちにとっては非常に重要です。前回の記事(https://www.naturopathiccurrents.com/articles/down-syndrome)で述べた病態の大半は、容易に修正可能です。ビタミンAやカロテノイドのような抗酸化剤は、視覚の健康に必要不可欠です[1][2]。

Antioxidants such as vitamin A and the carotenoids are vital for the health of the vision.[1][2]

Down Syndrome - Introduction and an Overview
聴覚

T21の赤ん坊の40-60%には、何らかの形態の難聴が現れるでしょう。北米の新生児の大半は、出生後間もなく聴覚のスクリーニングを受けます。T21の新生児が完全に聴力損失することは考えにくいものの、どのような形の難聴であろうとも、言葉の発達には大きな影響が及ぼされることから、聴覚障害を見付け出すことが大切です。

何らかの程度の難聴があるでしょう。これは大抵、頻繁な耳感染が原因です。T21の子供たちは、頭および耳のサイズが小さいため、耳感染によりかかり易い状態にあります。十分な聴覚は、言葉の良好な発達に欠かせません。ですから、定期健診では耳の検査および聴力検査を行うべきです[3]。


出生前スクリーニング

妊娠15週から18週の間、母親の血液検査によりマーカーをチェックすることが可能です。俗に言う“トリプルテスト”というのは、αフェトプロテイン(AFP)、非抱合型エストリオール(uE3)、そしてヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)のことです。インヒビンAが加わると、このテストは“クワドラプル・スクリーン”と呼ばれます。これらの検査は各々が独立しており、母体の年齢を合わせることで、新生児がT21であるリスクを計算します。 αフェトプロテインは、卵黄嚢と呼ばれる子宮の一部および胎児の肝臓で生産されます。いくらかの量のAFPが母親の血液中で検知されます。神経管欠損症では、胎児の皮膚が不完全であるため、結果として、大量のAFPが母親の血中で測定されます。T21では、母親の血中のAFPは減少しますが、これは卵黄嚢および胎児が通常よりも小さいためでしょう[4]。

Down Syndrome - Introduction and an Overview

エストリオールは胎盤、胎児の肝臓、そして副腎で生産されるホルモンです。エストリオールはT21の胎児の妊娠では減少します。

ヒト絨毛性ゴナドトロピンホルモンは胎盤で生産されます。これは妊娠検査で測定するホルモンです。βサブユニットと呼ばれるホルモンのある特定の小さな一部分が、T21の胎児の妊娠では増加します。

インヒビンAは卵巣で生産されるタンパク質です。インヒビンはFSH値を下げるために生産されますが、このFSHは母親の下垂体で生産されます。このホルモンは妊娠継続を促します。インヒビンAの値はT21の胎児を持つ母親の血中で増加します。

妊娠に関係する血漿タンパク質A(PAPP A)は、検査対象のもう一つのホルモンです。PAPP Aは新たに受精した卵子の皮膜で生産されます。T21の胎児の妊娠では、第一三半期中にこのタンパク質値の低いことが確認されています。


羊水穿刺

これは、子宮内の羊水を集めるために用いられる手法で、通常、病院の外来で行われます。一本の針を母親のお腹から子宮に挿入します。針は超音波を用いてガイドします。1オンスの羊水を採取し検査します。この液体には、染色体検査に使用可能な胎児の細胞が含まれています。検査には2週間から5週間かかるでしょう。

羊水穿刺は通常、妊娠14週から18週の間に行われます。副作用は、痙攣、出血、感染、そして羊水漏出です。また、わずかな流産リスクの上昇があります。羊水穿刺は妊娠14週以前では推奨されません。妊娠14週前の羊水穿刺で、合併症および流産のリスク上昇の可能性があります。

T21の子供を妊娠するリスクが1/250以上ならば、通常、羊水穿刺が提案されます。


慢性健康問題

T21の人たちには、以下の慢性的な健康問題があるかも知れません。重複診断(ダウン症候群とADHDや自閉症のような別の診断)の子供もあるでしょう[5]。

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHDの診断は、精神科医が行います。子供は集中・注意することに問題(注意欠陥)がある、非常に活発(活動過剰)、あるいは考えずに行動する(衝動性)があるかも知れません。子供のADHDについての血液検査や客観的な方法は存在しません。米国では3-8%前後の子供がADHDの可能性があります。男子は女子よりもADHDである可能性が3倍高いでしょう。ある研究では、この病態には遺伝的要素が存在することが示唆されています[6]。 ADHDは3つのサブタイプに分けられます:

Down Syndrome - Introduction and an Overview

ADHDは3つのサブタイプに分けられます:

  • 不注意タイプ:注意および一つのことに継続して取り組むことが主な問題となる
  • 活動過剰・衝動性タイプ:子供が非常に活発でしばしば考えずに行動する
  • 混合型:子供が不注意、衝動的、かつ活動過剰である
  • T21の子供に対してADHDの診断を下すことは困難な可能性があります。

    自閉症

    まれな場合ですが、T21の子供が更に自閉症の診断を受けることがあります。自閉症は、スペクトラム障害の一つ(ASD: autism/autistic spectrum disorder)です。これは軽度あるいは重度のいずれかでしょう。症状の多くは、強迫神経症(OCD: obsessive compulsive disorder)やADHDのような他の病態と重複しています。ASDは発達上の診断で、症候群の発現は子供の年齢や発達レベルに応じて様々です。自閉症は一生涯にわたる診断です。幼児期の間、子供は次のような様相を見せるかも知れません:

    Down Syndrome - Introduction and an Overview
  • 反復的運動行動(指しゃぶり、手を叩く)
  • 光、天井ファンや指に強い興味を持ち、じっと眺める、
  • 極度の食事拒否、摂取食物の種類が限られる
  • 受容言語の問題(理解不良とジェスチャーの使用)、子供が聴こえていないように見える可能性もある
  • 話し言葉が非常に反復的である、あるいは欠如している
  • ASDの子供について最も懸念される領域は次のものが含まれます:

    ASDの子供について最も懸念される領域は次のものが含まれます:
  • コミュニケーション(話し言葉やサインの使用と理解)
  • 社会スキル(人々や社会的状況と関わる)
  • 反復的な体の動きや行動パターン
  • T21とASDとの重複診断の発生率は1から10%です。トリソミー21によりASD発現の閾値が下がっている子供もいます。これは脳の発達への他の遺伝的あるいは他の生物学的な影響によるものかも知れません[7]。

    白血病

    T21の人々の1%が白血病を発症する可能性があります。これは、体内の白血球細胞に影響する種類の癌です。白血病の症状には、あざが出来易い、疲労、顔色が青白い、そして原因不明の熱といったものが含まれます。白血病は重病ですが、白血病を発病する子供たちの90%前後が生き残ります。白血病の治療には、化学療法や放射線療法があります。骨髄移植が行われることもあります。

    抗酸化物質、ビタミンB群、オメガ3脂肪酸、そしてメチル基供与体が白血病の治療において効果的であることが示されました[8]。

    アルツハイマー病

    アルツハイマー病(AD: Alzheimer’s disease)は痴呆(短期記憶に次いで長期記憶の喪失)の最も一般的な形態です。この病気は進行性で、脳が変性します。アルツハイマー病は老化と関連していますが、正常な老化の範囲外であると考えられています。

    T21の人々は、ADと同じ特徴の痴呆の症候群を発症します[9]。T21の人たちは、これらの症状を40代あるいは50代の初めで発症するでしょう。ADは通常、年齢が60代から70代の人たちで診断されます。T21の人々の大半では、ADに関連する脳の変化が現れます。T21の人たちの10から25%が年齢40-49歳で、20から50%が年齢50-60歳で、60から70%が60歳以降にADを発症します。

    T21の人々でADが多い理由は完全に分かっていません。ADは脳内におけるアミロイドβという化合物の生産の増加と関連しています。アミロイドβが蓄積し、脳細胞(ニューロン)の損失を引き起こします。ニューロン損失がどのように起きるかは良く理解されていません。T21の人たちでADのリスクが高いのは、21番染色体のもう一つのコピーと関係があるかも知れません。アミロイドβをコーディングしている遺伝子は21番染色体にあります。T21の人たちはこの遺伝子のコピーを三つ持っています。

    ADの症状が発症する年齢は、その人の知的能力(認知予備力)と関係している可能性があります。つまり、脳の重量が大きい人たち、脳細胞(ニューロン)の数が多い人たち、より教育のある人たちは、認知的予備力の少ない人たちほど早くADの症状が現れないかも知れません。このため、T21の人々に対しては、より高い教育を受け、ニューロン生産を促す栄養を補給することが奨励されなければなりません。

    ADの主な症状は、精神錯乱、失見当、徘徊です。これらの早期兆候は通常認識されず、一般に誤診されます。

    行動の変化も起こります。実際、ADに関係のある初期の行動の変化は、例えば、ある指示に従うこと、あるいは家事をすることを拒絶するといった、その人の普段の性質が誇張されるようにしばしば見えます。この拒絶は、頑固さとして知覚される可能性があります。早期の変化を認識するのは難しいことから、その人を良く知っている人たちだけがこれらの変化に気付きます。このような変化には、日課の変化、睡眠や食事の習慣の変化、服装を決められない、良く知っている所で迷子になる、そして良く知っている人たちの名前を忘れてしまうといったものがあるでしょう。非常にしっかりしたT21の人では、仕事をすることが出来ないことも、ADの早期兆候となります。

    視覚の問題はADの初期で発症する可能性があります。これらの視覚の問題と認知や記憶の喪失とを合わせると、T21の人たちは、馴染みのある場所で迷子になる、特定の活動を遂行出来ない、事故に遭うあるいは転倒する、そして新しいタスクを学ぶことが困難となるといった行動について高いリスクに追いやられます。

    新しいタスクを学ぶ能力が損なわれることから、T21かつADの人に新しいアクティビティを覚えてもらうことにはより困難が伴われるでしょう。