メインコンテンツに移動

偏頭痛 予防と治療の自然療法的戦略

日本語

偏頭痛

予防と治療の自然療法的戦略
by: Preeti Kulkarni, ND

HealthNow Medical Center
1309 S. Mary Ave, Suite 100
Sunnyvale, California 94087
www.healthnowmedical.com



予防と治療の自然療法的戦略


はじめに

この10年で、偏頭痛は一般的な健康上の訴えになりました。2013年の総説では、年齢19歳以上の16.2%から22.7%とまでの成人が、エピソード性あるいは慢性の偏頭痛を訴えていることが示されました[1]。偏頭痛は男性よりも女性、特に生殖可能年齢の女性で多く見られます[1,2]。偏頭痛発症率、治療、素因、共存症そして予防についての大量のデータが、“米国偏頭痛蔓延および予防(AMPP: American Migraine Prevalence and Prevention)”の調査で、収集・分析されました。この調査は、このような偏頭痛の疫学に関するデータを収集・報告し続けている現在進行中の研究です[1,3]。データは、実用的なアプリケーションのために、各種データの一部あるいは小区分を分析することを望む様々な研究グループが入手可能です[1,3]。女性たちでより優性であることの他にも、偏頭痛の罹患率が低所得世帯でより高いことが注目されます[3,4,5]。偏頭痛は、職業関連廃疾の最も一般的な原因のうちの一つであるとされており、ですから医療セクターおよび政府手当に負荷を与えるという理由から、大いに注目する根拠があります[5]

本記事では、偏頭痛について述べることから始め、次に様々な予防と治療に役立つ自然療法についても検討しましょう。データを簡潔な形式で、適当な場合には臨床からのインプットと共に紹介します。

偏頭痛の特徴は、一般に片側であることの他に、次の症状が通常一つ以上見られます[5]
           日常生活のアクティビティで悪化する猛烈な痛み
           脈動するあるいはズキズキするような感覚
           羞明(明るい光への耐性が低い)
           雑音恐怖症(大きいあるいは普通の雑音にですら耐性が低い)
         &nbsp ;吐き気と嘔吐を伴う
           症状が続くのは4 -72時間の範囲

偏頭痛は前兆の有無でさらに分類できます[5]。前兆のある偏頭痛は、上の特徴のうち2つ以上かつ、視覚の変化、発話不能あるいはろれつが回らない、無感覚あるいは顔や体の片側のうずき、そして四肢の脱力といった局所的な関連神経症状があります[5]。これらの神経症状は最長1時間続き完全に元に戻りますが、しかし全体の偏頭痛エピソードは最大3日続く可能性があります[5]

偏頭痛のもつ廃疾的な特徴を理由として、いくつかの研究で予防法に対するニーズが繰り返し言及されました[1,2,3,4,5,6]。米国での治療プロトコルの大部分(最大80%)は、トリプタン系薬剤と呼ばれる種類の処方薬(最もよく知られているものはスマトリプタン)の使用が基本です[1,2]。”米国偏頭痛蔓延および予防”のデータのレビューは全体として、予防戦略を組み入れることで大半の人々に利益をもたらす可能性を示しています[1]。ただこれらの研究の予防データの大半は薬に関連するもので、別の研究では栄養サプリメントとハーブ抽出物による有望な結果が明らかになったことで、これらの医療行為への統合が標榜されました[7,8]。本記事の次の節では、偏頭痛の予防と治療に対する自然療法の第一選択について検討しましょう。


食事の役割 食事の役割

自然療法医として、いつも私は自分の患者さんたちに食事について詳細に質問します。患者さんたちが何を食べているか、どのように食べ物を料理しているか、どのくらいの頻度で食べているか、そして特定の食品に関連する既知の反応-(発疹やじんましんのような)即時あるいは(便秘、ガス、膨満、偏頭痛のような)時間をおいたもののいずれか-といったものです。患者さんたちは特定の食品が偏頭痛の開始を引き起こす可能性があることを報告しており、偏頭痛のエピソードが単にこの特定の食品を避けることで予防されるかも知れないことから、偏頭痛でこれは特に重要です。科学文献は、偏頭痛と食品誘因との関連についての混合データを示しています[9,10,11]が、私は実際に食品誘因除去の成功を日常的に目にしています。

多数の一般的な食品が容疑者リスト上にあり、これらの食品中の特定成分が最も可能性の高い原因要素として同定されました。例のいくつかは、チョコレート中のフェニルエチルアミン、チーズ中のチラミン、ワインやビール中のヒスタミンと亜硫酸塩そして加工肉中の硝酸塩などです[12]。グルテン感受性は、過敏性大腸・腹腔疾患の患者では、慢性の頭痛および偏頭痛の一原因である可能性があるとして実証されました[10,11]。ダイエット炭酸飲料やシュガーレスのミントやチューインガムにしばしば含まれている人工甘味料の一つ、アスパルテームも、偏頭痛と関連があるとされています[12,13]。多くの患者たちは、グルタミン酸ナトリウム(MSG: monosodium glutamate)が誘因であると主張していますが、これは特に中華料理では一般的な食品添加物です[12,13,14]。アスパルテームとグルタミン酸ナトリウムに関連する神経症状についての訴えは、FDAにより誤りが指摘されましたが、実際に私はアスパルテームとグルタミン酸ナトリウムとの相関を断続的に見ており、これらの二つの食品添加物を避けた患者さんたちでは、偏頭痛の報告がより少なかったり報告がなかったりするのです。

コーヒー、特にカフェインは通常、偏頭痛の経過を短くするのを助けます[12]。患者108人を対象としたイタリアでのある大規模多施設二重盲険ダブルダミー交差試験では、カフェイン130mgとパラセタモール(アセトアミノフェン)1000mgとを組み合わせると、偏頭痛の痛みの度合いをスマトリプタン50mgと同じくらい軽減する効果があることが確認されました[15]。カフェインの中断自体が誘因として働くことを示すデータが存在します[12]

食品誘因を同定するための最良のテストは、疑いのある食品を特定期間除外し、次にそれが原因要素であるか確認するために体系的に再度導入するといったもののようです[12,14]。私は自分の患者さんたちには、一般に最短2週間最長4週間、疑いのある食品を避けた後、一つ一つ再導入するよう勧めています。再導入あるいは一食品に対して一回の曝露を体に課し、そして次の食品を追加するまでにさらに48時間待つことを勧めています。これは、疑いのある食品に対する全ての遅延反応を見極めるのを助けます。この期間中、詳細な食事日記を付けることは、私や医師そして患者にとっても、患者さんの体に対して特定の食品がどのように影響を与えるかという非常に良い情報提供となります。

悪化の原因である食品が同定されたら、エピソードの頻度や激しさそして継続期間を最小限に抑えるために、偏頭痛の因果関係に関わりのある心血管、免疫および神経経路を支えることが大切です。これらも、一旦エピソードが始まった際の症状を軽減する治療法なのです。これを目的として厳選したハーブや栄養サプリメントが使われます。


偏頭痛のための主要サプリメント 偏頭痛のための主要サプリメント

偏頭痛の予防と治療とを助けるハーブ治療の多くは、偏頭痛の隠れた原因メカニズムに影響を及ぼします。前述のように、偏頭痛のエピソードの原因となる複数の中枢および末梢神経系、免疫系そして新血管系の要因が存在します[5,16]。これを理解するための単純な説明は、正常な神経シグナルが脳内で免疫反応により妨げられるとき、それは脳内の特定の部位の血液かん流に影響を及ぼし、一様でない血管拡張を引き起こすというものです[5]。さらに偏頭痛を知るにつれ、より多くのハーブ製品がより明白な形で研究され続けることでしょう。次のデータは、今まで調査されたこれらの治療法のうちのいくつかについてのレビューです。

ふきのとうとして, 一般に知られるPetasides hybridusは、歴史的に、頭痛や偏頭痛といった多くの異なる疾患に対して用いられてきました[17]。1999年6月から2009年5月の間に調査が行われた様々な補完医療についてのある優れたレビューでは、ふきのとうは偏頭痛の予防と治療のための安全で効果的な選択肢であることが明らかとなりました[18]。ふきのとうを一日50-100mgの服用量で4-6ヶ月間用いると、偏頭痛の発生回数、継続期間そして激しさが減少することが示されました[17,18,19,20]。2001年および2004年の二つの無作為プラセボ対照試験では、偏頭痛に対するふきのとうの著しい効果[19,20]が示され、Petasidesの有毒成分のピロリジジンアルカロイドを除去した抽出物の安全性が確立しました[17,21]。[17, 21]

ナツシロギクとして, 一般に知られるTanacetum partheniumも、偏頭痛予防について注目を浴びました[18]。その効有効性は、ハーブ抽出物を一日3回、最低6.5mgから最高100mgまでの範囲の服用量で、確立されています[18]。[18]

マグネシウムは体内の300を越える機能で必要とされている必須要素で、痙攣を軽減させるために用いられます[22,23,24]。ある二重盲検多施設プラセボ対照試験では、一日600mgのトリマグネシウムトリクエン酸服用により、偏頭痛の頻度が減少するという有望な結果が示されました。しかし一般に下痢の副作用が起こる可能性があります[22,24,25,26]。私の診療では、下痢を避けるために一日2回グリシン酸マグネシウム240mgを使っています。

コエンザイムQ10は細胞内ミトコンドリアでのエネルギー生産経路の必須補因子で、成人および子供両方の偏頭痛についての研究が行われました。これらの研究では、一日最高で200mgを二回あるいは10mg/kg/d(子供についてはこれらの半量)が、偏頭痛の治療で効果的であることが示されました[22,23,27]。[22, 23, 27]

リボフラビン(ビタミンB2)は必須ビタミンBで、偏頭痛予防のための良い選択肢です。成人および子供の患者を対象としたある調査では、リボフラビン補給は偏頭痛発作頻度の減少に加えてその激しさの軽減とも関連がありました[28]。ビタミンBは体内で相乗効果を発揮することから、ビタミンB複合体がしばしば勧められています。

メチレンテトラハイドロ葉酸(MTHF: methylenetetrahydrofolate)は、ホモシステインと呼ばれる有害な代謝生成物をアミノ酸メチオニンへ転換するために体内で必要とされる葉酸の活性体です[16, 29]。より高いレベルのホモシステインが前兆を伴う偏頭痛と関連のあることが分かったため、高ホモシステイン血症の隠れた原因を治療することにより、偏頭痛発症の減少を助ける可能性があります[16, 29]。メチレンテトラハイドロ葉酸還元酵素(MTHFR: methylenetetrahydrofolate reductase)の突然変異であるC677Tは、ホモシステイン過剰症を引き起こすことが知られており、ホモシステインのレベルを減少させるための最も知られている処置は、患者にメチレンテトラハイドロ葉酸の形の葉酸サプリメントを与えることです[16, 29]。最適服用量はまだ不明ですが、メチレンテトラハイドロ葉酸は現在一服用量1.2mgのものが入手可能です。私の診療所では、一日2回1.2mgのメチレンテトラハイドロ葉酸を3ヶ月のスパンで使っており、ホモシステインのレベルに著しい減少とそれに伴う頭痛や偏頭痛症状の減少を認めています。


個別治療 個別治療

自然療法医学の本来の性質は、患者に対する個別治療の原理です。実際、この記事で議論されている治療法の選択は、ある特定の患者のために最も好ましい結果を達成するための組み合わせです。このような治療では典型的に、原因となる誘因食品を除外し、鍵となるサプリメントそして必要な際には薬さえ使います。食品とサプリメントは患者に応じて異なります。ある文献調査では、ゲノミクス、プロテオミクス、メタボロミクスという3つの‘ミクス’に基づき個別化した治療の重要性が強調されましたが、これら3つは全て偏頭痛の病態生理学で重要です[30]。揮発性有機化合物(VOCS: volatile organic compounds)のような環境誘因を最小限に抑えることも重要ですが、これらを避けることがいつも可能という訳には行きません。ですから、上記の戦略を用いてこれらの曝露に対する患者の回復力を強化するのを助けることが重要です。

試験で有望なデータを示した偏頭痛の治療と予防のための他の非薬的方法があります。しかし、ここでは最も良く知られ最も一般に治療に使われているものに焦点を当てました。これらの付加的な治療法は、それらの効果性や安全性を確立するような研究がさらに行われつつあることから、言及する価値があります。鍼は、偏頭痛の頻度を減少させるために効果的で比較的安全な治療法であることが分かっています[31,32]。有酸素運動は、その痛み調整経路に影響を及ぼすことから偏頭痛の程度を軽くすることが明らかにされましたが、それ自体は偏頭痛エピソードの頻度や継続期間に直接は影響しない可能性があります[33]。バイオフィードバック機構は、サプリメントあるいは薬剤と併用して用いると助けになるようですが、しかし頭痛の隠されたメカニズムを明らかにするために、医師の側での徹底的な分析が必要です[34]。月経性偏頭痛の管理のためには、隠れたホルモン欠乏を治療することが、患者の偏頭痛の除去となるようです[37]。このホルモンアンバランスの治療は、ハーブ、サプリメントやホルモン補充療法を介して行うことが可能です。[35, 36]

ホメオパシーも、偏頭痛のための治療の一つとして考えられていました。ある文献調査では、頭痛および偏頭痛に対するホメオパシーの有効性を支持することはできませんでした[37]。しかし、実際には、私は偏頭痛の治療でベラドンナやグロニヌム(Gloninum)のようなレメディの効果、患者がイブプロフェンや処方薬の服用をしなくて済む程度の効果でさえ、目にしました。知られているように、ホメオパシーは個別化したときに最も効果的に作用し、ですから無作為プラセボ対照二重盲険のセッティングで研究を行うことは、この種の研究の組み入れ基準で患者の偏頭痛の独特な性質を考慮することがまれであるため、難しいのです。

結論として、偏頭痛のための多数の自然療法治療は科学的エビデンスにより十分な裏付けがあることを確認しました。前述の食物感受性の役割ような他の戦略は現在エビデンスに欠けています。しかし、自然療法医によるこのような熟練したアプローチは、偏頭痛の治療と予防とに効果があるかも知れません。自然療法の実践では、これらの治療法は患者の症状および患者のライフスタイル、食事そして社会的な面を考慮して個別化されます。自然療法的な戦略がこの衰弱性病態のエピソードを予防し最小限に抑えるのに中心的な役割を果たす可能性があります。