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副鼻腔炎-統合的アプローチ

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副鼻腔炎-統合的アプローチ
フィリップ・ルチョタス理学修士・自然療法医師

ボルトン自然療法クリニック
64 King St W, Bolton, ON, L7E 1C7

info@boltonnaturopathic.ca



副鼻腔炎の概要




副鼻腔炎の概要

副鼻腔炎は副鼻腔の炎症です。実際のところ副鼻腔は、頭蓋骨の一部である複数の穴あるいは空洞で構成されるシステムです。最大の副鼻腔は上顎洞で、これは両頬骨近くにあります。上顎洞はしばしば、顔痛があるときに大半の人たちが苦痛を訴えるものです。他の副鼻腔には、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞といったものがあります[1]。一般に、副鼻腔は同時に炎症したり腫れたりしますが、もし小さな副鼻腔が炎症すると、鼻づまり、鼻水や呼吸障害となります。これは副鼻腔が軟組織と粘液との薄い層で覆われているためですが、副鼻腔の炎症でそれが詰まるのはそんなに難しくありません。刺激性かつ時には衰弱性の症状を引き起こす可能性のある、数々の異なる副鼻腔の病態が存在します。

何が起こっているのかを把握するために、医者は数々の異なる検査を行う可能性があります。病歴について尋ねるだけで沢山の情報が得られます。例えば“身の回りに誰か同じ症状の人はいますか?”などです。もし答えがイエスなら、感染(バクテリアまたはウィルス)が原因である可能性を指しています。これらの小さな微生物は副鼻腔に感染し炎症を引き起こす可能性があります。通常、これは突如として粘液生産の増加、鼻づまり、そして頭痛さえ引き起こします。しつこい感染が続くようなら、これは慢性的な問題に転じます。たとえ感染が治ったとしても、体に炎症が続くことが時にはあるでしょう。この症例を担当している医者は、何らかの理学的検査も行うかも知れません。光で鼻の中を調べることは、全ての正規の構造が目視可能で正常かつ健康であるかを確認するために、特に重要です。医者は副鼻腔を押して、痛みや不快感が起きないか(これは副鼻腔炎の診断の確率を上げます)を確認するかも知れません。医者は徹照法と呼ばれる手当も行うかも知れません。この手当では、室内を暗くし明るい光を直接副鼻腔に当てます。もし副鼻腔がきれいなら、光はほとんど遮られることなく通り抜けます。もし副鼻腔が詰まっているならば、光は遮られます。最後に、画像検査(CTスキャン、X腺やMRIのようなもの)が用いられるかも知れません。これらの手法により、副鼻腔周りの骨の問題の検知が可能となるか、あるいは慢性副鼻腔炎の診断確定の一助となります。


従来のアプローチ 従来のアプローチ

もし副鼻腔炎の原因が見付かれば、それに応じた様々な従来治療があります。私たちがまだ議論していない副鼻腔炎の原因の可能性の一つに、鼻中隔湾曲症があります。これは、鼻内部の生体構造が物理的に動いてしまう病態ですが、人口の大きな割合を冒しており、重症度は異なります。単純な症例に対しては対症投薬治療を行います。通常、鼻充血除去薬および抗ヒスタミン剤のように、きわめて良く使われる二、三種類の薬剤があります。一般に、鼻充血除去剤はアドレナリンの作用を増強する、あるいはアドレナリン活性を上昇させることで作用します[2]。これは、鼻および副鼻腔の血管の収縮を引き起こし、これらの部位の炎症と粘液とを抑制します。(薬の)活性の望まれる部位が鼻と副鼻腔であることから、多くの充血除去剤はスプレーの形で提供されています。他の一般的な薬物クラスは抗ヒスタミンです。抗ヒスタミン剤はヒスタミンの働きを阻害することで作用し、数々の症状の緩和を助けます。通常、ヒスタミンは毛細血管から流体物をより出し易くしますが、これは鼻水や鼻づまりのような症状を引き起こします。抗ヒスタミン剤はこのプロセスを阻害します。同様の理由で、抗ヒスタミンは、アレルギーが原因の副鼻腔炎に非常に有用な可能性があります。

副鼻腔炎のもう一つの原因は鼻ポリープです。鼻ポリープは、感染、アレルギーやぜんそくの結果として鼻腔内で大きくなる可能性のある小さな腫瘍です。鼻ポリープは、(コルチコステロイド剤のような)特定の種類の薬剤で治療する可能性があり、この治療でポリープは縮小します。しかし、もしこのポリープの原因が適切に管理されないと、しばしば再発します。充血除去剤および抗ヒスタミンも症状の緩和を助けるのに用いられます。しかし、もし状態がより重症になれば、外科的治療を勧められるかも知れません。手術は通常、より重症な症例や緩和治療が効果的に症状を改善しない場合のために保留されます。時には、鼻中隔湾曲症の治療のために手術が勧められることもありますが、常に症状が成功裏になくなる結果になるとは限りません。言い換えると、手術はいつも成功するとは限らないのです。この理由から、他の方法で炎症を軽減し、他のリスク因子全てを管理するのに努めることが特に重要です。成人では、最も一般的な要因は喫煙です。タバコの煙は、副鼻腔表面の(絨毛と呼ばれる)毛様構造に損傷を与えることから有害ですが、このような損傷は粘液の適切な動きを妨げます。喫煙は膜に対する直接の刺激物として作用するために、副鼻腔の腫れの原因にもなります。


多角的な自然療法的アプローチ 多角的な自然療法的アプローチ

副鼻腔炎には多くの卓越したナチュラルなアプローチがあります。治療のいくつかは特定の原因に効果的ですが、その一方で他の治療は症状軽減に効果的で、これは根本原因に関わりません。自然療法的治療には、物理療法、鍼、食事と生活習慣の見直し、漢方薬そして栄養サプリメントといったものがあります。ライフスタイルの視点から、副鼻腔炎に特定の引き金があるかを同定することが勧められます。例えば、もし寝室が本当にほこりっぽく、副鼻腔炎が夜悪化するならば、徹底的に掃除(あるいは、汚れやほこりが沢山付着することから部屋の全てのカーペットを除去)するのは名案でしょう。副鼻腔炎の最も古典的でナチュラルな治療法は鼻洗浄ポットです。この小さな品は副鼻腔の洗浄を可能にします。少々の塩あるいはヒドラスチスのようないくつかのハーブ化合物も加えた少量のぬるま湯を用いることが勧められます。鼻洗浄ポットは基本的に鼻腔内のクラスト(訳者注:乾燥した鼻糞のように乾燥して固くなった小さな塊)を洗い流し、用いられる溶液が何であるかに依っては直接の抗炎症作用をもたらします。この治療法では、溶液を片方鼻腔に注ぎ、重力を利用してもう片方から漏出させなければなりません。

従来投薬治療の代替の可能性として考慮すべき素晴らしいサプリメントは、ビタミンCです。ビタミンCには抗ヒスタミン作用および抗炎症作用があるのに加えて、免疫刺激特性を持っています。これは総合的に、様々な原因による数々の副鼻腔炎の症例に利用できる潜在性がビタミンCにあることを意味します。しばしばビタミンCは、果物や野菜に含まれるバイオフラボノイド(基本的に植物の色素)の一つであるケルセチンと組み合わせます。サプリメントとして適切な用量で服用すると、ケルセチンは天然の抗ヒスタミンおよび抗炎症剤として作用します。ケルセチンはアレルギーが原因の副鼻腔炎に対して優れています。考慮すべきもう一つの主要なサプリメントは、パイナップルに自然に含まれている消化酵素のブロメラインです。ブロメラインには抗炎症性があり、粘液を分解する作用もあり、それを体から排出するのを助けます。もし免疫低下あるいは感染が原因要素ならば、いくつかの免疫促進剤を考慮することが可能です。例えば、亜鉛は適切な免疫機能に必要なミネラルで、低用量を経口で安全に(短期間)服用することが可能です。


治療統合 治療統合

他に言及した自然療法の手段は、素晴らしい転帰をもたらす可能性があります。鍼は、極めて細い針を用いて体の特定のツボに挿入します。副鼻腔炎を治療する際には、直接痛みを取り除き、炎症を軽減し、粘液を取り除くのを助けるような顔面上の特定のツボがあります。鍼は通常、繰り返し施術が行われますが、これはつまり急性のものよりも慢性副鼻腔炎に役立つことを意味します。漢方薬の視点からは、粘液を分解するのを助ける経口摂取用チンキ剤(ハーブのアルコール抽出物)のような形のハーブが存在します。ハーブは、蒸気吸入やアロマテラピーの一部として用いることができ、これらの処置は気道をすこぶる鎮静します。オレガノのように強い抗菌作用のあるハーブは、直接作用を及ぼす点鼻薬として用いることが可能で、その効果は確実により効果的ですが、ズキズキしたりヒリヒリしたりといった副作用の可能性があります。

食事の視点からは、炎症や粘液生成を悪化させる引き金となる食物が存在する可能性があります。一般的に除外食を試みるのが良い考えですが、ここでは食事から多くの潜在的誘因を長期間(通常2-3週)取り除いた後に、再導入します。再導入段階で、症状を念入りに追跡して大きな否定応答を引き起こす食物があるかを確認します。もっとも一般的な有害食物群の一つは乳製品です[3]。牛乳摂取は、特に、呼吸粘液生産およびぜんそく症状の増加と関連がありました。ある人口の下位集団では、乳製品除外食により彼らの症状の多くが改善すると思われることが分かりました。

重要なのは、もし副鼻腔炎に悩まされているならば、医者や自然療法医を訪ねて徹底的に検査をする価値があるということです。私たちは異なる多数の一般的な副鼻腔炎の原因について検討しましたが、副鼻腔炎の現われ方は一人一人異なります。ある人たちでは鼻中隔湾曲症が原因であったり、その一方で別の人たちでは慢性感染症が原因であったりするのです。従来の治療法は様々ですが、第一選択の治療は充血除去財および抗ヒスタミン剤に大きく頼っています。もしこれらの治療が上手くゆかなければ、コルチコステロイドやさらに手術といった、より本格的な治療にエスカレートする可能性があります。自然療法的アプローチには、乳製品除去や鼻洗浄ポットのような食事と生活習慣の見直しがあります。ビタミンC、ケルセチン、ブロメラインそして亜鉛といった数々の有用な可能性のあるサプリメントについて検討しました。これらのサプリメントには、抗炎症、抗ヒスタミンそして免疫刺激の特性があります。どんな新しいことでも始める前に、選択肢全てを注意深く考慮し、各選択肢の良い点と悪い点とを秤にかけることをお勧めします。良い知らせは、これほど沢山の異なる選択肢が利用可能で、あなたの症状を解消するのに効果的で一貫性のあるオプションが少なくとも一つは見つかりそうなことです。