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ベルベリン

Tal Friedman
BKin, ND

9 November 2015
日本語

ベルベリン-糖尿病患者のための万能薬?
タル・フリードマン自然療法医師




はじめに

ベルベリンは、それに備わる数々の健康効果、特に糖尿病患者のための作用が理由で、最近多くのプレスの注目を集めた化合物です。ベルベリンはこれら全ての賞賛に値するものでしょうか?その科学的側面について見てみましょう。ベルベリンは、多くの種類の植物、特に伝統中国医学での利用の歴史のある植物から抽出されたアルカロイドの一つです。これらの植物のうちの幾つかには、berberis aristata、berberis aquifolium、berberis vulgaris、coptis chinensis、そしてヒドラスチス(hydrastis Canadensis)といったものがあります。これらの植物は、歴史的に炎症止めや下痢止めの薬として抗微生物感染の治療に使われてきました。更に最近では、過去数年の多数のインビトロとインビボとの両方の研究で、ベルベリンが人の健康に良い極めて大きな影響を与えることが示されました。

ベルベリンの作用の多くは、ベルベリンがアデノシン一リン酸活性プロテインキナーゼ(AMPK: adenosine monophosphate-activated protein kinase)と呼ばれる酵素を活性化する事実に端を発します。AMPKは簡単に言えば細胞中のエネルギーセンサーです。エネルギーレベルが落ちるとき、例えば空腹状態の時や激しい運動の際に、AMPKは活性化します。この活性化はミトコンドリア発生(新しいミトコンドリアの生成)、筋肉細胞による糖の取り込みの増加、そして筋肉のグリーコーゲン蓄積の増加といった、運動のもたらすプラスの効果の多くが帰するところである考えられています。


血糖への作用 血糖への作用

ベルベリンがAMPKにもたらすこの作用は、これまでに行われたベルベリンの血糖管理への影響に関する調査が興味の対象としている主な理由です。AMPK活性化というのは、人気の糖尿病薬の一つであるメトフォルミン(Glucophage)の主要作用機構です。人を対象とした試験でベルベリンはこの点において極めて印象的でした。さあ、これらの調査の幾つかについて、見て行きましょう。

ある研究では、初めてII型糖尿病の診断を受けた116人に、500mgのベルベリンあるいはプラセボを一日2回投与しました[1]。3ヶ月後、ベルベリンの投与を受けた被験者たちでは、ヘモグロビンA1cが7.5%から6.6%へと感動的な低下を見せました。更に、総コレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、そして収縮期血圧にも印象的な減少が見られました[1]。ベルベリン治療群のうち5人が便秘の報告をしました。この5人のうちの2人は、便秘症状を緩和するために服用量を一日2回250mgへと減らさなければなりませんした[1]

ある論文では二つの異なる試験についての報告がありました。これらについて見てみましょう。先ほどと同様に、この一番目の試験は初めて糖尿病の診断を受けた人が対象です[2]。この試験では、一日3回500mgのベルベリンと人気の糖尿病薬であるメトフォルミンとを比較しました[2]。13週間の後、ベルベリンおよびメトフォルミンはヘモグロビンA1Cを低下させる働きを見せました[2]。ベルベリンは、総コレステロールおよびトリグリセリドにも良い影響を及ぼしましたが、メトフォルミンはその限りではありませんでした。二番目の試験では、ベルベリンをII型糖尿病の管理不良の人の従来治療に加えました[2]。ここでは、13週の試験期間を通してベルベリンはヘモグロビンA1cを低下させるだけでなく、インスリン感受性および血中脂肪も改善することが分かりました[2]。この試験では、軽い胃腸症状が報告されましたが、これも服用量を減らすことで解決しました[2]

別の試験では、ベルベリンは再度メトフォルミンに加えて、もう一つの良く知られた糖尿病薬であるマレイン酸ロシグリタゾンにも戦いを挑みしました[3]。二ヶ月後、ベルベリン群で空腹時血糖および糖化ヘモグロビンが落ちるという結果が示されましたが、これはメトフォルミンとマレイン酸ロシグリタゾンの両方の結果と合致していました。ここでも、ベルベリン群のみにトリグリセリド値の統計的な低下が見られました。

血糖管理は、糖尿病だけでなく肥満や多嚢胞卵巣症候群といった多くの他の病態にも関連しています。これらの病態に対するベルベリンの利用について調査した幾つかの人を対象として研究について見て行きましょう。


減量 減量

初めてメタボリック症候群の診断を受けた人たちを対象としたある研究では、一日3回300mg(合計900mg)のベルベリンを12週間服用することは、31.5から27.4という著しいBMIの減少との関連がありました[4]。これは平均13%の減少と等しく、総胴囲の5.5%という著しい減少が伴われました[4]。この研究では除脂肪体重および脂肪量は評価されませんでした[4]。別の研究では、一日3回500mg(合計1500mg)のベルベリンを12週間服用した肥満の健康な人たちを評価しました[5]。運動による調整を行うことなく、体脂肪3.6%の減少を伴った約5ポンドの体重減少が見られました [5]。食事の摂取について全体的に変化はありませんでしたが、被験者2人による食欲の減少が報告されました[5]


多嚢胞卵巣症候群

多嚢胞卵巣症候群は、インスリン耐性のある女性たちの間で極めて一般的な病態です。メトフォルミンは多嚢胞卵巣症候群の治療で一般的に処方される薬剤で、ですからベルベリンの有効性を多嚢胞卵巣症候群で評価することは適切であるように思われます。ある試験では、ベルベリンとメトフォルミンとを、標準的な治療(抗アンドロゲン薬およびエストロゲン)と平行して比較しました[6]。ベルベリンおよびメトフォルミンは共に1500mgを3回に分けた服用量でプラセボと平行して3ヶ月の期間にわたって投与されました。この研究では、ベルベリンは(体重には有意な差異がなかったにも関わらず)胴囲の最大の減少と関連していましたが、インスリン耐性、血糖値やインスリン値との間に有意な差異は存在せず、それでもベルベリンおよびメトフォルミンはプラセボよりも良好な結果を示しました[6]


欠点

私たちは、強い薬に副作用があるのと同様に、薬のように強い作用のある全ての化合物には大抵何らかの副作用があり、それはベルベリンでも同じということを常に覚えておくべきです。まず、ベルベリンは幾つかの肝臓酵素、つまりCYP3A4およびCYP2D6を阻害する力があるようです[7-9]。これらの肝臓酵素が本当に阻害されるということは、人間の被験者を対象とした研究で確認されました[7-9]。このことは、これらの肝臓酵素が多種多様な薬剤の代謝に携わっていることから、非常に大切です。もしあなたが今までに、薬をグレープフルーツジュースと一緒に飲んではならないという警告を受けたことがあるならば、これは同じような警告です。もし薬を服用中ならば、ベルベリンを服用する前に医療専門家と確認を取ることが非常に大切です。ベルベリンが服用中の薬と相互作用する確率は高いでしょう。常に最初に確認してください。


筋肉 筋肉

歳を取るにつれ私たちは皆ゆっくりと筋肉を失い始めますが、これは大半の人では年齢50歳で起こり始めます。この筋肉喪失は正常な老化の一部であり、トレーニングや運動を継続している運動選手ですら見られる現象です。ところが、運動をする人たちでは、運動をしない人たちよりも、筋肉量喪失の程度がずっと低いのです。これがなぜ重要で、ベルベリンと何の関係があるのでしょうか?先に、ベルベリンはAMPKを誘発しており、AMPKは運動の利点の幾つかと関係があると考えられているということについて言いました。そうです、AMPKはAtrogin-1タンパク質を増加させる力があるのです[10]。このタンパク質のレベルが増加する際、これが筋肉の分解を引き起こし、新しく筋肉を作るのに必要なタンパク質を合成するのを阻害します。この影響はベルベリン注射を受けたマウスに見られ、マウスの筋肉は萎縮しました[10]

あなたが運動する際に、AMPKだけでなく、多数の酵素およびタンパク質が活性化されるのはご存じでしょう。これらの他のシグナルはAMPKの影響を相殺するため、AMPKの恩恵を副作用なく受けられます。ベルベリンを服用している期間には運動をする、特に筋力トレーニングの種類の運動をすることは、そういった筋肉抑制作用を打ち消すために賢明です。

最後に、ベルベリンは何らかの軽い胃腸の悩みの原因となる可能性があることを、以前に言いました[1-2]。もしそのような症状があれば、これらの症状の緩和のために服用量を減らすことを、かかりつけの医療専門家に相談してください。


結論

ベルベリンは、糖尿病の管理のための治療として非常に効果的であるように見えます。ベルベリンには、従来の治療法、つまりメトフォルミンおよびマレイン酸ロシグリタゾンに比類する働きがあります。更にベルベリンは、コレステロールおよびトリグリセリドの値を低くする力があることから、メタボリック症候群の管理という付加的な恩恵があります。これは、糖尿病とメタボリック症候群とは通常密接に関連していることから、非常に優れています。

このようなことが言われているものの、ベルベリンには前で言及された幾つかの欠点があります。ベルベリンは他の薬剤と相互に作用し、筋肉組織のタンパク質合成に有害な影響を及ぼし、胃腸の不調の原因となる可能性があります。私たちは、自然療法であろうが従来療法であろうが、治療の際には、もしその効果が強いならば何らかの副作用があることが予想できるということを、常に覚えておかなければなりません。注意を払うべきでしょう。

では、ベルベリンは結局どうなのでしょうか?ベルベリンは、包括的な糖尿病・メタボリック症候群の治療計画(これには必ず食事の見直しが含まれるべきですが)に加えるのに全く非常に優れています。いつもの通り、かかりつけの医療専門家と相談して、あなたにとって最善のアクションプランを作ってください。