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高血圧

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高血圧
By: Heidi Fritz MA, ND
Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


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High Blood Pressure




パートI:高血圧

高血圧は、医学的には高血圧症として知られていますが、卒中、狭心症、心臓発作、腎疾患や眼疾患のような合併症を含む心血管疾患のリスク要因であることは広く認知されています(1)。これらの疾患の長期的リスクを減らすために、高血圧はその発症から血圧をコントロールすることが重要です。

正常な血圧は、最低90/60と最高120/80の間であると考えられています。診療所で主治医が血圧測定を2回行った後、測定値が140/90以上である場合に高血圧と診断されます。血圧の二つの数字は、動脈内のa) 心臓が収縮している時、そしてb) 心臓が弛緩している時の血圧にそれぞれ対応します。このポンプの働きは、動脈中の血圧に波のようなパターンを生じさせ、血圧の高値(収縮期血圧)と低値(拡張期血圧)との繰り返しをもたらします。血圧を、内側が高い水圧の長いホースであると考えてみてください。もし血圧が高すぎると、この高い圧力に対して更に強く血液を押し出さなければならないために、長い時間の経過後、血管や心臓に損傷を与えます。

120/80(正常値の上限)と140/90(高血圧と診断される下限)との間の測定値はボーダーラインと考えられており、高血圧症の進行を防ぐためにライフスタイルの変更を要する可能性があるという警告サインが出されます。更に、血圧値がボーダーラインであることはメタボリックシンドローム診断基準の一つですが、メタボリックシンドロームは事実、心疾患のリスクの増加と関連があります(2)。

高血圧には通常、1つ以上の薬を組み合わせて治療を行います。これらの薬には、利尿剤(いわゆる“尿の流れを良くする薬”)だけでなくACE阻害薬と呼ばれる薬剤、カルシウムチャネルブロッカー(CCBs: calcium channel blockers)そしてアンジオテンシン状態拮抗薬(ARBs: angiotensin receptor blockers)などがあります。栄養およびライフスタイルの戦略も同じく血圧コントロールの重要な一面で、この戦略により、特に多くの人々について、肥満、良くない食事、怠惰や下手なストレス管理などの高血圧に寄与する根本的な問題を正すことが可能です。米国心臓協会は、“著者グループは、血圧120/80 mm Hg以上の全ての人々が、医学的に望ましいときには血圧を低下させる助けとなる補助的な方法として、代替的アプローチの試みを考慮するのは合理的であることに合意している”と述べています(3)。

このシリーズでは、高い血圧のコントロールを助ける方法として、食事とライフスタイルの役割、栄養補給そして瞑想について検討します。



Elevated blood pressure - A naturopathic approach

パートII:高血圧のための食事と運動
By: Heidi Fritz MA, ND
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Diet & Exercise for High Blood Pressure

パートIでは、高血圧症の定義と、もしそれを放置した場合のいくつかの長期的な顛末について概観しました。食事とライフスタイルの戦略には、この病状を治療し予防するのを助ける役目があることが、広く認知されていることも確かめました。このパートでは、DASH食事法に加えて血圧コントロールするためのエクササイズについても検討します。

DASHとして知られる「高血圧症をなくすための食事に取り組むダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension diet)」は、ナトリウム、飽和トランス脂肪そしてコレステロールを制限すると同時に、食物繊維の多い全体食品食事や全粒、果物、野菜、魚や鶏肉のような脂身の少ないタンパク質、ナッツ類や豆類そして低脂肪乳製品といった他の栄養素を重要視する食事パターンです(2)。特に、ナトリウムは一日<2300mgに制限しなければなりませんが、既に高血圧症である高リスクの人々やアフリカ系アメリカ人は、ナトリウムを一日<1500mgに制限すべきです(2)。それに加えて、DASH食事法は、少なくとも果物と野菜とをそれぞれ少なくとも5サービング(訳者注:ヘルス・カナダにより規定された各食品を食事として摂取する際の量。例として、野菜や果物の1サービングは1/2カップ(125ml)と規定されている。)摂取することが勧められます。マヨ・クリニックによると、DASH食事法に従うことにより血圧を最大12ポイント低下させることが可能ということですが、この効果は初期段階の高血圧治療薬と同等です(2)。

DASH食事法についての研究は同様の効果を示しています。血圧160/95未満の大人を対象としたある調査では、8週間DASH食事法に従ったところ5.5/3.0ポイントと同等の血圧降下がありました(1)。このグループは正常血圧の人々も含んでいたことから、この結果は印象的です。高血圧の人々のみを分析したところ、血圧降下は更に大きく、平均で11.6/5.3ポイント低下したのです!これに加え、アフリカ系アメリカ人の高血圧症リスクがより高いことから、結果を人種グループについても分析したところ、アフリカ系アメリカ人で血圧が6.9/3.7ポイント、コーカサス人で3.3/2.4ポイント、それぞれ低下しました。食事戦略が血圧コントロールに対して大きな影響を及ぼすことが可能であるのは明白です。

定期的な身体活動も同じく血圧を降下させるのにきわめて重大です。高血圧症の治療薬を飲んでいる年配患者を対象としたある調査では、アエロビクスと筋力トレーニングとを組み合わせた運動プログラムを6ヶ月の期間行ったところ、歩行距離と筋力とを改善し、収縮期血圧および拡張期血圧の両方を低下させました(3)。このプログラムは、週3回、各セッションの間が休み1日となるよう構成されました。

無作為臨床試験のPREMIER調査では、研究者たちが、高い血圧を低くするためにナトリウムとアルコールの制限、減量、運動の組み合わせによる効果を評価しました(4)。血圧正常値を超えた、でもまだ投薬治療を受けていない参加者総勢810人が参加しました。調査の開始時には、参加者の38%が高血圧、残りは高血圧ボーダーラインでした。組み合わせた治療介入を6ヶ月間行った後にもまだ高血圧だったのは、参加者のたった12%でした。

パートIIIでは、高血圧の管理における栄養補給の役割について検討します。



Elevated blood pressure - A naturopathic approach

パートIII:高血圧のための栄養補給
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Nutritional Supplementation for High Blood Pressure

これまでのパートでは、高血圧症の管理における食事と運動プログラムの役割について検討しました。これらには初期段階の高血圧治療薬に匹敵する影響力があり、病気の初期段階にある人々については血圧を正常に戻すことすら可能なことを確認しました。このパートでは、妥当な場合に、更に血圧を下げるための選り抜いた栄養サプリメントの役割について検討します。

コエンザイムQ10は、血圧コントロールの文脈において恐らく最も良く研究された天然薬剤でしょう。コエンザイムQ10は“内皮機能”と呼ばれるものを改善します。内皮は、動脈および血管の内膜の内側の層から成っています。内皮細胞は、血管筋層に信号を送ることでそれを弛緩させる一酸化窒素のような化学物質を分泌します。同じくコエンザイムQ10は、心筋がより多くのエネルギーを生産するのを助けることにより心筋のポンプ能力を強めもします。患者362人が対象となった12の臨床試験のメタ・アナリシス(訳者注:過去に行われた複数の研究結果を統合しより信頼性の高い結果を求める統計解析手法)では、コエンザイムQ10を一日200-300mg補給すると、収縮期血圧(高値)をプラセボと比べて最大16ポイント減少させることが可能なことが示されました(1)。拡張期血圧(低値)は9ポイント以上減少しました(1)。

ハイビスカスは、血圧に印象的な効果をもたらすことが記録されている、もう一つの天然薬剤です(2,3)。ハイビスカスは、ここ“自然療法の潮流”ではお気に入りの薬剤の一つで、メタボリックシンドローム、糖尿病、コレステロール、血圧に関してしばしばハイビスカスの名が上がっているのに、定期的な読者はお気付きでしょう。複数の研究では、一日3回の240mLのハイビスカスのお茶を6週間続けることにより、高血圧症の患者たちの収縮期血圧が7ポイント以上、拡張期血圧が3ポイント、それぞれ低下したことが示されました(2)。別の研究では、ステージI-II高血圧症の被験者の収縮期血圧が、ハイビスカスにより平均146から129に(17ポイントの違い)低下させることが可能であったことが分かりました(2)。

もう一つの新規で、より知られていないものの、研究されている血圧降下剤はリコピンです。リコピンはトマト成分の抗酸化物質で、その前立腺に対する効能で良く知られていますが、高血圧の人への効果を調査する2,3の研究が始まったところです(4,5)。一つの研究では、ステージI高血圧症患者31人にトマト抽出物を含むリコピンであるLyc-O-matoを1日250mg、8週間与えました(4)。プラセボのグループには何の変化もなかったのに比べ、収縮期血圧は144から134ポイントに減少、そして拡張期血圧は87から83ポイントに減少しました。2つ目の研究では、投薬を受けているものの高血圧症を十分にコントロールしていない患者たちがいることが分かりました (5)。

あなたの生活規則に自然療法であろうが投薬であろうが何らかの介入を加える際には、各人の主治医に血圧を監視してもらうことが重要です。90/60以下の血圧は眩暈や転倒を引き起こします。普通、天然薬剤が血圧を異常なレベルまで低くすることはありませんが、それでも投薬治療を行う人々がどんな変化も監視するのは賢明で、これは治療上の変化および安全性をあなたが監視する助けとなるでしょう。

パートIVでは、血圧管理における瞑想の役割について検討します。



Elevated blood pressure - A naturopathic approach

パートIV:高血圧のための瞑想
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Meditation for High Blood Pressure

これまでのパートでは、DASH食事法、運動、選り抜いた栄養サプリメントおよび高血圧症の緩和をナチュラルに助ける方法などの役割について概観しました。このパートでは、瞑想によるストレス軽減という、しばしば顧みられない話題について検討します。恐らく驚く人もいるかも知れませんが、これも良く研究されている領域で、高血圧管理のためのもう一つのライフスタイルの基礎として取り組む価値があります。

ある調査では、これまでに瞑想をしたことのない合計52人の参加者を、8週間の静観的瞑想あるいは介入なしのいずれかのグループに無作為に振り分けました(1)。これらの被験者は収縮期血圧が140ポイント以上180ポイント以下(ステージI-II)でした。全ての被験者たちは、現在のガイドラインで推奨されているライフスタイルに関するカウンセリングのセッションを1回受けました。次に瞑想グループでは、40分のセッション二回が早朝と夕方とに行われました。最初の段階(10-12分)では、参加者に瞑想の準備をさせ、全体的な筋肉の緊張を解くためのゆっくりとした下腹での呼吸エクササイズに集中させます。次の段階(30分)では、様々な瞑想のテクニックを実施します。

印象的なことに、この研究では、8週間後の安静時の収縮期血圧の平均が15ポイント低下しただけでなく、参加者たちの高ストレスの状況に対する反応としての血圧も低下したことが報告されました。無治療のグループでは、収縮期血圧の平均は3ポイントしか低下しませんでした。この研究の追跡調査では、CMBT(訳者注:呼吸および静観的瞑想テクニック, meditation combined with breathing techniques)グループ75%の被験者たちの安静時血圧は130/80以下でしたが、対照グループでそれを達成した人はいませんでした。模擬的に精神的ストレスを引き起こすような状況では、瞑想プログラムを行った参加者たちは対照群の被験者たちと比べて、血圧が11ポイント低かったのです。

別の形の瞑想であるヨガと呼吸エクササイズについて同様の効果が報告されました。超瞑想法とヨガ瞑想法とは、最大9ポイントの血圧降下を示しました(2,3)。アフリカ系アメリカ人の若者では、呼吸意識瞑想法(BAM: breathing awareness meditation)が血圧をおよそ5ポイント低下させ、尿によるナトリウム排泄を減少させることを示しました(4)。17のヨガ実践の研究についての最近のメタ・アナリシス(訳者注:過去に行われた複数の研究結果を統合しより信頼性の高い結果を求める統計解析手法)では、“収縮期血圧と拡張期血圧とに適度なしかし有意な効果(各々およそ4ポイント)”のあることが分かりました(5)。このテクニックの血圧に対する効果と関連がある要素は、姿勢、瞑想、呼吸といったものです(5)。

結論として、栄養補給と体に対するストレスの影響を軽減することで知られている瞑想・呼吸法とで完璧となる、基礎的な食事とライフスタイルの戦略を組み入れた包括的なアプローチは、高血圧を管理する際に重要な役割を果たす可能性があることを確認しました。