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瞑想が免疫を高める-そのエビデンス

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瞑想が免疫を高める-そのエビデンス

by: Liam LaTouche, ND

Mahaya Forest Hill Integrative Health
73 Warren Road, Suite 102
Toronto, ON M4V 2R9
info@liamlatouche.com
www.liamlatouche.com



How Meditation Boosts Immunity - The Evidence





瞑想について


瞑想という言葉は、人によって異なるものを意味するかも知れません。お寺であぐらをかいて静かに座るお坊さんのイメージのある人もいるかも知れません。単に職場の机で目を閉じて深呼吸を二、三回することだと思う人もあるでしょう。一方で、公園でチェスの棋士が何にも気をそらされず集中している様子を思い起こす人もいるでしょう。

これらの例は全て、瞑想という言葉が今日の私たちの社会の中でどのように用いられているかという文脈の反映です。素早くグーグル検索すると、マインドフルネス瞑想、優しく愛情ある瞑想、動きのある瞑想、ボディ・スキャン(身体走査)といったものが多く表示されるでしょう。これらを考慮に入れると、瞑想は、数々の事柄を目的としてバランスおよびウェルビーイングを養うための一群の精神および感情の訓練方法と考えられるかも知れません[1]。瞑想のための数々の手法は、人の感覚を研ぎ澄まして心の中身(思念)を、善悪の判断を下さない観察者として意識し、結果として、このような思念により自分自身を決め付けないようにするためのトレーニングを行うことによって、その根底で効果を発揮します。言い換えると、瞑想者は意識的にその人の注意を、偏見なく、現在の瞬間に集中させる力を養います。人は時間が経つにつれ、心の中に氾濫して大きな影響を及ぼす思念のほとばしりをコントロールして、人生の様々な状況やストレッサーに対処する力が養われます。頭ではこれを概念化するのは難しいかも知れませんが、ここは、経験的知識を得ることで更に瞑想についての真の理解を深めるために、形式的な実践が必要とされる部分です。

How Meditation Boosts Immunity - The Evidence

しばしば宗教的かつ霊的な含意があるものの、多数の世俗的かつ実践的な伝統も有している瞑想は、様々な文化や人々が行っている普遍的な行為です。瞑想者たちには、心を落ち着かせ、精神的ストレスを減らし、身体の健康を改善し、文化的あるいは宗教的な儀式に参加し、怒りの管理と共感を育てることで感情面でのウェルビーイグを改善し、日々の活動でよりマインドフルでいる(意図的に現在の瞬間に生き、判断を下さない)力を更に付けるといった、その他多くの理由による動機があるかも知れません。

古くから存在している行為を科学が明らかにし続けていることから、私たちは瞑想の効果がどのようにして発揮されるのかをより良く理解・評価し始めています。一般に、人は瞑想後に気分が良くなります。多くの人にとって、瞑想は心を落ち着かせ、回復させるものです。しかし、体、とりわけ免疫システムに対して瞑想がもたらす幾つかの非常に興味深い作用があります。この記事では、この関連および免疫機能を高めるために瞑想を利用する方法について探求しましょう。


How Meditation Boosts Immunity - The Evidence

健康全般における免疫システムの役割

瞑想が免疫システムに及ぼす影響について探求する前に、健康全般における免疫システムの役割をより良く理解するのが重要です。一般的に、免疫システムは体の防災部門であり、複雑な化学メッセージを用いて、感染源や環境有害物質・化学毒素のように潜在的に有害な外来の侵略者から私たちを守ります。私たちは物事が上手く行っている際にはしばしば免疫システムについて考えませんが、水面下では常に何らかの作用が続いています。

殆どの人々は、私たちが感染しないように作用する、あるいは感染を取り除くために作用するという観点で免疫システムを考えています。しかし、より深い見地から、免疫システムの多数の異なる病態における作用についての洞察が得られます。例えば、心疾患、ガンや糖尿病といった数多くの病態は、免疫で統制された炎症が根本的な原因あるいは介在因子であると理解されています。更に、免疫機能障害は、リウマチ性関節炎、橋本病、そしてループスのように体が自分自身を攻撃する自己免疫疾患や、ぜんそく、湿疹やアレルギーのように体が外来の引き金に対して過敏になるアトピー症候群を引き起こす可能性があることも理解されています。非常に複雑な免疫システムについて、解明されていいないことは多くありますが、心理-神経-内分泌-免疫学(PNEI:心理過程、神経システム、ホルモン調節、そして免疫機能の繋がり)の分野は、免疫機能の基礎と体内における相互接続の作用を明らかにするのに役立っています。

心身相関の中心にはPNEIシステムがあります。私たちが考えていることが、運動が気分や精神機能にどのように影響を及ぼす可能性でも、マインドフルネスが身体の健康に与える影響でも、PNEIシステムはこれらの体の主要な調節システムと複雑に絡み合って、健康促進あるいは健康悪化の下地を作ります。私たちの考え、感情、そして身体の健康が免疫システムに影響を及ぼすようなクモの巣状のネットワークが存在します。例えば、ストレスおよび感染は一部が同じ経路で脳を刺激し疾病行動(あなたが風邪をひいた際の一般的な兆候および症状、休息、回復そして免疫サポートを奨励する)を生じさせます。この共有された経路は迷走神経にあり、ストレスによって経路が敏感になり、将来の感染に対して誇張された反応を講じさせる可能性があり、またその逆もあるでしょう[2]。言い換えると、もしあなたが慢性的にストレスに晒されていたとすれば、あなたの感染に対する感受性は高まります。また、感染がどのようにして将来のストレスによる引き金に対する体の反応を高めるのかを考えると、同様のことが言えるでしょう。

このような認識で、最高の免疫機能を支えると同時に、免疫に影響を及ぼす様々な要素について考慮することが大切です。


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免疫に対する瞑想の影響

免疫の作用は、化学的メッセンジャーの精巧なネットワークに基づいています。前述のように、私たちの思念はPNEIシステムを通して免疫システムに影響を及ぼす可能性があり、瞑想は私たちの思念に影響を与えることが可能です。

様々な研究によって、マインドフルネスに基づくストレス軽減(MBSR: mindfulness-based stress reduction)トレーニングの免疫機能に及ぼす効果についての調査が行われましたが、ここでは形式的な瞑想およびマインドフルネスが取り入れられました。MBSRプログラムはストレスに対する認識とその統制を増加し、老人の炎症性遺伝子発現を減少し、インフルエンザワクチンに対する免疫システムの反応を高め、ガン患者さんたちの免疫による化学メッセージを改善し、HIV患者さんたちの免疫細胞数およびその活性を増加することが明らかとなりました[3,4,5,6,7]。

更に最近の研究では、6日間のリトリートに参加中の3グループの女性たちを対象として調査が行われました。一つのグループは瞑想トレーニングに参加せず(ただリゾートに滞在しました)、初心者のグループは瞑想に参加し、三番目のグループは経験のある瞑想者たちで、瞑想プログラムに参加しました。各グループとも、ストレス、炎症、傷の治癒に対する遺伝子発現に好ましい変化がありました。この状況では、結果が瞑想によるものなのか、それとも休暇中でストレッサーと物理的に離れているからかなのかを見分けることは困難です。経験のある瞑想者のグループでは、ウィルス感染にかかわる遺伝子に良い変化があることが分かりましたが、これは抗ウィルス作用の増加と関係があるかも知れません[8]。この知見は、定期的な瞑想による免疫に対する優れた効果を提示しているかも知れません。 最後に、参加者合計1602人を対象としたある大規模なレビューにおいて、マインドフルネス瞑想が炎症プロセスの低下および免疫細胞介在防御を高めることが立証されました[9]。しかし、様々な他の免疫細胞および炎症性メッセンジャーの好ましい変化についての知見を裏付けるには至りませんでした。これは、瞑想の作用および応用をより良く理解するために、この心身相関の様相についての調査を将来行う価値があることを確認させるものでした。

全体として、瞑想は、炎症の調節、免疫細胞介在の防御の増大、そしてストレスに対する体の生理学的反応(ホルモンのバランスおよび炎症に影響を及ぼす)の調整といった様々なメカニズムを介して免疫に良い影響を与えます。これらの生物学的変化が疾病予防および疾病管理において実際どのように解釈されるかを確認するために更に調査が必要ですが、現在のデータは有望であり、感情的ウェルビーイングを高めるといった、現存の瞑想に関する効果のリストに加えられるものになっています。


瞑想101-科学を応用する

瞑想を一回もしたことのない人にとって、瞑想についての考えには圧倒されることもあるかも知れません。現実は、多くの道が一つの山の頂上に続いており、多数の種類や形態の瞑想が存在して、各人の好みやニーズを満足させています。

現存の研究に基づくと、一回1.5-2.5時間、週6-8回のMBSRあるいはMBSRから派生したセッションにより、免疫マーカーに好ましい変化がもたらされました。これは数日間のリトリートの場合も同様です。実践的な学びと応用についての体系的な導入を求める人たちには、MBSRプログラムは広く研究されており、多くの大都市で行われています。これは、その上に構築するための頑丈な骨組みを提供し、毎週のグループセッションによって責任、一貫性、そして支援が得られます。

慎重に始めたい人は、ガイド付き深呼吸およびボディ・スキャン(身体走査)瞑想が良いかも知れません。これらは多数がインターネットや、Calm and Headspaceのようなアプリケーションとして存在します。もしこの段階があなたに合っていたら、目標は一貫性を築き上げることです。一日一回5分の瞑想を、次に10分実践してみてください。徐々に、一回につき20-30分まで瞑想時間を増やしましょう。もし時間に対するこのような種類のコミットメントが現実的でないならば、あるいは単に出来ないならば、可能な長さで続けてください。

How Meditation Boosts Immunity - The Evidence

ある程度の経験があり、哲学的な面をより多く取り入れ厳格に実践したい人には、Vipassanaのような数日間のリトリートが多く存在します。様々な異なるプログラムがありますが、参加者たちは大抵の場合リトリートの期間中の沈黙とそこで過ごす大半の時間に瞑想を行うことが要求されます。私も個人的に10日間のVipassana瞑想、そして幾つかのより短期間の瞑想に参加しましたが、参加するのに必要な準備や訓練について証言できます。色々な困難な面はありますが、経験的知識を集める力および瞑想の作用や瞑想の持つ力に対する認識が、非常に深まります。これによって、定期的な瞑想行為を自分のライフスタイルや日常業務により容易に統合できるでしょう。

お分かりのように、瞑想を取り入れることを可能にする多数の方法があり、瞑想に関連する多数の実証された潜在的健康効果が存在します。瞑想は簡単で、お金もかからず、免疫機能を高め、バランスの取れた健康およびウェルビーイングを促進するために、従来の治療や自然療法と並行して行うことのできる安全な戦略です。