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レスベラトロル-赤ワインの健康効果を明かす

Erica Nikiforuk
BSc, RAc, ND
https://www.whitelotusclinic.ca
10 February 2014
日本語

レスベラトロル-赤ワインの健康効果を明かす
By: エリカ・ニキフォラック理学士・自然療法医師
ホワイト・ロータス統合医療
18 Greenfield Avenue, Suite #201
Toronto, ON. M2N 3C8
www.whitelotusclinic.ca



What is a “Resveratrol - Uncovering the Health Benefits of Red Wine


レスベラトロル:赤ワインに含まれるアンチエイジング化合物

レスベラトロルは重要な植物性栄養素の一つで、赤ブドウ、ナッツ類やいくつかのベリー類の皮の中に自然に存在する抗酸化物質で [1]、赤ワインに含まれる健康増進物質として盛んに宣伝されています。ここ数年間でレスベラトルの研究は爆発的に増えました。過去2年間だけでも、この植物性化合物の健康効果を吟味する1,000を軽く超えた研究論文が書かれました。その万能の抗酸化およびアンチエイジング作用により、レスベラトロルは栄養補助食品として、かつ人気の外用剤として、第一の候補となりました。レスベラトロルは無数のターゲットに対する効能を示し、かつ循環器系、内分泌系、骨格系および神経系に対する作用についての十分なエビデンスおよび生殖に関する健康および妊娠に対する予備的効果が存在します。同様にレスベラトロルはそのガンを予防し治療する能力について手広く調べられています。この記事では、研究を批判的に吟味することにより、レスベラトロルのアンチエイジング剤としての使用、そして最も一般的な老化に伴う2つの病気、心血管疾患とガン、におけるレスベラトロルの作用について、現在のエビデンスの基礎を評価します。最後に、多嚢胞卵巣症候群や肥満女性そして妊娠を試みるより高齢の女性の受精率を改善するためのレスベラトロルの使用について、その予備的エビデンスを評価しましょう。

初期のレスベラトロル研究における興味はフレンチ・パラドクス、すなわちフランスのある地域の人々では、飽和脂肪の高食事摂取量にもかかわらず冠動脈性心疾患の発生率が比較的低かった、という観察により活発になりました。炎症と血管損傷を防ぎフランスの人たちの寿命を延ばしたもの、それは何であったのかと科学者たちは問いを立てました。1990年代初頭に、レスベラトロルがミッシング・リンクであったことが示唆され疫学的研究がなされたことで、適度のワイン、特に赤ワインの摂取により心血管疾患のリスクおよび死亡率が低下したことが示唆されました[2]。試験管内実験がこの仮説を支持し、レスベラトロルが実際にアステローム性動脈硬化症、あるいは血管内の血小板凝集やLDLコレステロールに対する酸化性損傷といった動脈プラークの発症に関わるプロセスを抑制することを示しました。妥当と思われる心保護のメカニズムが生み出され、それ以来、試験管内あるいは生体内の両方で行われる研究の数が着実に増え、レスベラトロルが老化プロセスを遅らせるメカニズムを明かそうとしています[2]

このような研究を通して、レスベラトロルは老化に関連する体の変化を予防する数々の重要な性質を持っていることが発見されました。例えば、レスベラトロルは強い抗酸化能力を持ち合わせていますが[2,3]、これにより細胞を活性酸素種による有害作用から守っています。レスベラトロルは、テロメアと呼ばれるDNAらせん構造の両端を、一般に老化プロセスの一部として起こる漸進的な短縮から保護する酵素であるテロメラーゼの活性を高めることにより、細胞内のDNAを守ります[4]。この老化プロセスは、時と共にDNAのらせん構造を損傷し、細胞による適切な遺伝子発現を抑制します。同様にレスベラトロルは、細胞のエネルギーを作り出す工場であるミトコンドリアを保護します[4]。それの持つ、劇的な抗炎症作用[5]およびいくつかの長寿遺伝子の発現に影響を及ぼす能力[4,6]は同様に、その働きの保護的かつアンチエイジングのメカニズムに不可欠です。

この無数の生物学的活性により、レスベラトロルは多くの異なる組織や臓器系に影響を与えることが可能です。マウスのモデルでは、人間で一日30mgと同等量のレスベラトロルを与えたところ、時間と共にいくつかの保護的変化が心臓、脳そして骨格筋で観察されました[7]。記憶と認知へのプラス効果[3,8,9]に加えて、神経保護的効果[3]も示されました。レスベラトロルは選択的エストロゲン受容体モジュレーターとして働くことが示されました[10]。更年期障害のあるラットのモデルでは、レスベラトロルによりホルモン補充療法(HRT: hormone replacement therapy)に匹敵する度合いで骨量の減少を予防する[10]一方で、(ホルモン補充療法とは異なり)心血管系および子宮への副作用を回避することが示されました[8, 10]

まだ寿命を延ばすということは示されてはいませんが、遺伝子発現およびDNA保護に関連するような細胞レベルの老化に伴う変化を予防することにおいて、レスベラトロルは有望な結果を示しています。このような効果のために、レスベラトロルは、アルツハイマー病、骨粗しょう症、心血管疾患やさらにガンといったいくつかの老化関連疾患の進行を、予防あるいは遅らせることができるかも知れません[11]。レスベラトロルの最適服用量、形態や使用期間を定めるために、人間を被験者とした研究をさらに行うことが必要です。さて、次はレスベラトロルが生殖、心血管の健康やガンといった特定の病態に果たす役割について注意を向けましょう。

レスベラトロルと生殖 レスベラトロルと生殖

ここまでで、レスベラトロルのアンチエイジング化合物としての基礎について述べました。良く知られているように、生殖能力は年と共に衰えますが、このプロセスは酸化性損傷の存在の前でスピードアップする可能性があるようです。ですから、老化は生殖に関連していることから、レスベラトロルは生殖能力を保持し未成熟の卵細胞や卵母細胞を保護するのに一役買っているかも知れず、生殖可能な年齢を引き延ばす可能性を秘めています。

女性の生殖能力の衰えは30代初めに始まります。事実、一人の女性の暦年齢は、カップルの生殖能を予期するたった一つの最重要因子であるとしばしば言われています。一人の女性の年齢は、卵母細胞(放出を待つ成熟した卵子)の数と卵子の質との両方に強く影響します[4]。体外受精(IVF: in vitro fertilization)のような生殖介助術(ART: assisted reproductive technologies)により、“過剰排卵“の誘発を通して受精可能な卵子数を増加させることがしばしば可能となる一方で、卵子の質に有利に影響する介入はほとんど存在しません[4]。ですから、卵子の質が悪いとしばしばカップルの受胎能力の障害となります。

全ての女性は生まれた時点で2つの卵巣それぞれに既に全ての卵細胞を備えており、誕生時にそれらの卵子の発育が中途で止められます。思春期までの10から15年間、これらの未成熟の卵子は休止状態にあり、ホルモンのカスケード情報伝達によりその成長、排卵や萎縮消失(正常の分解プロセス)が再開します。この長引いた待機期間中、未成熟の卵子はフリーラジカル蓄積により引き起こされる損傷を受けやすいのです[4]。ミトコンドリア、テロメラーゼへの損傷やDNAの突然変異は、卵子が生き残り成長する能力を妨げるため、卵質とその女性の受胎可能性とに影響を及ぼします[4]。前で述べたようにレスベラトロルは、アンチエイジング遺伝子を活性化し、ミトコンドリアの機能を守り、テロメラーゼ活性を高めることにより、酸化性損傷から細胞を保護する役割を演じます[4]。いくつかの動物実験では、レスベラトロルが卵子数と卵質との両方に好ましい影響を与える力がある可能性が強調されました。

2013年にマウスで行われたある研究では、レスベラトロルが卵母細胞をフリーラジカルによる損傷から守ることが可能であるかを評価しました。妥当と思われるメカニズムを考慮すると、研究者たちはレスベラトロルが長期間にわたり卵母細胞の質を維持し、ゆえに生殖年齢を引き延ばすことができるのだろうかと疑問に思っていました[4]。結果は非常に印象的で、レスベラトロルがメスのマウスの生殖能力を保持する作用があるというエビデンスが得られました。レスベラトロルが与えられたマウスでは、相当年齢の対照群よりも大きい卵胞の貯えが維持されました。

さらに、テロメラーゼ活性およびレスベラトロルを投与されたマウスの卵巣内の遺伝子発現は、より若いマウスのものと類似しており、レスベラトロルにより卵巣内のエイジングの過程を遅らせ、卵母細胞の質を保持することができたことが示されました[4]。2番目の動物実験も同様の結果を示し、レスベラトロルで処置した動物たちは卵胞プール中でより多数の卵母細胞を維持しました[12]。ですから、これら両方の研究では、レスベラトロルによる処置は卵母細胞の質と数との両方に対して好ましい影響を与え、齧歯類の生殖期間を延長させることが可能であったことが示されました[4,12]。これらの結果は非常に見込みがありそうではあるものの、人間の生殖期間への適用可能性は未だ確定していないため、これらの効果を人間で確認する必要があることを心に留めておくべきでしょう。[4]

[13]

この研究は続行し、レスベラトロルが顆粒膜細胞(卵母細胞を取り囲んでいる栄養を与える細胞)を酸化LDLの損傷効果から守ることができるかどうかを評価しました。酸化LDLの存在下では、卵胞が生き残る可能性が低いのです。しかし顆粒膜細胞がレスベラトロルにさらされると、酸化性ストレスのマーカーが有意に減少し、そして細胞はより良く生き残ることが可能でした[13]。全体として、この研究はレスベラトルが卵巣内の酸化性ストレスの減少に果たす役割の可能性と、これにより多嚢胞卵巣症候群や肥満に関連する不妊に悩む女性たちの受精率の改善とを強調しています[13]。将来、人間を対象とした試験により、受精率を改善するためのレスベラトロル使用の効能の程度や二世代にわたる作用について、さらに完全な理解が得られるかも知れません[13]

レスベラトロルとメタボリック症候群:心血管リスク因子 レスベラトロルとメタボリック症候群:心血管リスク因子

メタボリック症候群は、独立してかつ集合的に心血管疾患や糖尿病の発症、そして若死にに寄与するリスク因子の集合として定義されます[14]。メタボリック症候群として知られるこのいくつもの病態の集まりには、中心性肥満、高血圧、空腹時血糖上昇やコレステロール状態不良といったものがあります。これらの因子が異常値のボーダーラインにあるだけでも、メタボリック症候群と見なされます。現在、メタボリック症候群には北米人口のおおよそ25%が罹患しています。古典的には炎症と酸化性ストレスとがこれらの病態と因果関係にあるとされました。その抗炎症性および抗酸化性が証明されたと仮定すると、レスベラトロルはこの流行病に対する食事介入として一番に興味をそそられる候補の一つです。

フレンチ・パラドクスの観察に基づくと、レスベラトロルの心保護剤としての役割は非常に妥当と思われます。さらに、多数のエビデンスの蓄積によると、レスベラトロルはフリーラジカルを消し去るだけでなく炎症と戦うことも強く示唆されており、そして肝臓への脂肪蓄積の抑制[14]、内皮機能(血管機能)改善、コレステロール状態への好影響[6]やインスリン耐性(前糖尿病)の改善[15]といった可能性も暗示されています[2]。数々の動物実験では、レスベラトロルが著しく炎症を減らし、血管の健康パラメターを改善することが示されました[2,16]。レスベラトロルは、大動脈弾性を改善し、血管内皮(血管の内側表面)の健康を保ち [16]、インスリン感受性を改善し、肝細胞を保護しました[2]

II型糖尿病の人たちを対象として、レスベラトロルを経口糖尿病薬と共に用いる影響を測るための一つの研究が計画されました。調査対象の二つのグループ両方で血糖降下薬の服用を続けるかたわら、一つのグループのみがレスベラトロルの投与を一日250mg受けました。この研究は、レスベラトロルが心血管の健康に関わるいくつかのマーカーに統計的に有意な効果を与えることを明らかにしました。中でも注目すべきは、収縮期血圧および総コレステロール値と並んで、インスリン感受性に著しい改善があったことです[15]。この研究では、II型糖尿病において経口血糖降下薬と並び、レスベラトロルの心血管リスクを低下させる新しい役割が強調されました。同様に、血圧およびインスリン耐性におけるレスベラトロル補給の効能は、耐糖能異常の肥満男性を対象として、一日150mgの服用量を用いた次の研究でも再現されました[2]。それに加えて、この研究では、レスベラトロルの使用を始めて一か月後の炎症マーカーの低下に加えて肝臓への脂肪蓄積の減少についても注目されました[2]

狭心症の患者を対象とした研究の数々では、一日20mgのレスベラトロルを60日間補給することにより、炎症マーカーであるC反応性タンパク(CRP: C-reactive protein)が有意に減少し、生活の質が改善し[17] 、レスベラトロルの付加的な効能が実証されました。さらに喫煙者を対象として500mgのレスベラトロルを補給したところ、総抗酸化状態が著しく向上し、C反応性タンパクが減少し、コレステロールプロファイルが改善することが示されました[18]

しかし全ての試験が一致していた訳ではありません。グルコース調節が正常な肥満の被験者を対象としたある研究では、500mgのレスベラトロル投与によりインスリン感受性や身体組成[19] により大きな効果が示されることはなく、血糖管理が良好な人たちへのレスベラトロルの使用が疑問視されました。それに加えて、運動と組み合わせたレスベラトロル補給の効果を評価するために行われた別の研究では、予想外の結果となりました[20]。それまでは活動的でなかった健康な高齢の男性のグループが、激しい運動を8週間行うよう指示を受けました。調査対象の被験者の半分は、レスベラトロルの補給を、残りの半分はプラセボを受けました。調査の終了までに、レスベラトロルを受けなかった男性群では、血圧の低下や血中脂質プロファイルの好ましい変化といった数々の心血管の健康に関するパラメターに目立った改善が示されました。レスベラトロルを受けた群では、これらの効果は見られませんでした[20]。これらの予想外の結果に対して考えられる説明は、言及された2つの最後の研究ではレスベラトロルが健康な人々に投与されたためというものです。例えば、もし被験者たちが既に正常血糖値であるならば、血糖値にさらに効果を示すのは難しいことでしょう。ですから、健康ではない人々の結果を誤って解釈することなく健康な人々へ一般化することは出来ないことが示されたのです[21]

全体として、圧倒的大多数のエビデンスは、レスベラトロルの人間に対する万能の心保護薬および抗糖尿病薬としての役割の方向を指しています[2,15,17,18]。低用量のレスベラトロル(10-30mg/d)により心臓の働きに好ましい影響が与えられたことが示され、同様に90mg/dの服用量が人では抗炎症作用をもたらすことも示されました[2]。レスベラトロルの抗糖尿病あるいはインスリン増感の作用により、高服用量レスベラトロル(150-250mg/d)についての調査が行われました[2, 15]

レスベラトロルとガン レスベラトロルとガン

これまででレスベラトロルが老化、生殖および心血管の健康に果たす役割について吟味しました。この記事の最後のセクションでは、レスベラトロルがどのように作用してガンの発症を防ぎ、その進行を遅らせることができるかについて詳しく見て行きましょう。

レスベラトロルは、ガンの治療と予防との領域で非常に見込みがあることを示しています。数々の試験管内実験、動物実験や人を対象とした試験がこれまでに行われ、乳ガン、皮膚ガン、肺ガン、白血病、膀胱ガン、結腸直腸ガンといったいくつかのタイプのガンに対するレスベラトロルの効能が明らかにされました[2,22,23,24]。エビデンスによると、レスベラトロルは化学的予防薬であるだけでなく、老化に関連するDNA損傷から細胞を保護し、ガンの進行も抑制し、従来の化学療法薬のいくつかと組み合わせると治療成果を高めさえする可能性もあることが示唆されています。レスベラトロルは、イニシエーション、プロモーチョンそしてプログレションというガン発生の三段階各々全てに影響を与えることが示されています[2,24]。レスベラトロルの抗ガン作用のメカニズムはその抗炎症活性、そして細胞内の信号伝達経路を直接調整する力に帰され、ゆえに細胞分裂、細胞増殖、(正常な細胞死を誘発させる)アポトーシス、(腫瘍細胞に栄養を送る新しい血管の成長を抑制する)血管形成、そして(ガン細胞の遠隔転移)転移に影響を及ぼします[24]。それに加えて、レスベラトロルにはインスリン様増殖因子(IGF-1: insulin-like growth factor)と呼ばれるホルモンを遮断する力がありますが、このホルモンは乳ガンや前立腺ガンのような肥満に関連するガンを引き起こします[23]。ガンの原因は多要素から成るため、効果的な抗ガン剤は、レスベラトロルでみられるように、複数の抗ガンメカニズムを介して作用する必要があります。

ガン治療と予防とにおけるレスベラトロルの役割に関するある最良のエビデンスは、結腸直腸ガンの分野からのものです。結腸直腸ガンは男性で3番目に多く診断されるガンで、女性では2番目に多く見られます[23]。ガンの進行は遅くスクリーニング措置も整備されているにもかかわらず、多くの人にとって結腸直腸ガンの予後は不良です。結腸直腸ガンの発症リスクを低下させるための一般的な食事とライフスタイルについての勧告は、赤肉や加工された肉製品の摂取を制限し、肉を高温で調理するのを避け、アルコール摂取と喫煙を避け、健康的な体重を維持し、そして生活に定期的な運動を組み入れるといったものです[23]。これらの食事とライフスタイルの介入と並んで、結腸直腸ガンはその長期の前ガン状態を考えると、特定の科学的予防薬の標的とするのに理想的な病態です[23]

ヒトの結腸ガン細胞のある試験管内実験では、レスベラトロルが腫瘍細胞死(アポトーシス)を引き起こし、一貫して生ガン細胞数を減少させることが示されました[25]。重要なことに、化学療法薬の5-フルオロウラシル(5-FU: 5-fluorouracil)と組み合わされたときに、レスベラトロルと5-フルオロウラシルとは腫瘍の成長抑制と結腸ガン細胞のアポトーシス誘導とに対して相乗効果を示しました[25]。このユニークな発見は、レスベラトロルの役割は、ガン進行の保護剤であるだけでなく、より効率良く抗ガン剤を働かせる化学的増感薬でもあることを明らかにしました。結腸直腸ガン患者を対象としたもう一つの研究では、一日500mgあるいは1000mgの補給を手術前8日行うと、腫瘍細胞の増殖を減少させることが可能であることが、Ki-67抗原染色により確認されました[26]

幅広いガン細胞株について行われた他のおびただしい数の研究と合わせると、現在の研究結果では、一貫してレスベラトロルのガン細胞増殖および腫瘍形成に対する抑制に果たす役割が強調されました。ガン予防と進行中のガン治療との両方に対して、化学療法薬と組み合わせたこの抗酸化物質を使用する可能性は、現在も活気がある研究領域です[24]

結論

結論として、この記事では赤ブドウの皮や赤ワインに含まれる抗酸化成分であるレスベラトロルの主要な健康効果について概観しました。その効果には、抗酸化、抗炎症、アンチエイジング、抗発ガン、肝臓保護、そして心保護の働きがあります。もっぱらフレンチ・パラドクスの観察のおかげで、科学文献でのレスベラトロルの注目は過去数十年で高まりました。現在では、抗酸化作用やDNA保護作用といった各種の複雑なメカニズムにより、レスベラトロルには細胞の老化を遅くする力があるということに定評があります。

動物およびヒトを対象としたいくつかの予備的研究では、受胎を試みているカップルを対象としたレスベラトロルの使用の可能性が強調されました。予備データによると、自然な老化プロセスや肥満そして他嚢胞卵巣症候群による増加量の酸化性ストレスに晒されている卵胞の成長に対して、レスベラトロルが保護的役割を果たす可能性が示唆されています。代謝の健康に及ぼすその作用については、レスベラトロルにより心血管系への炎症性および酸化性損傷を軽減し、非アルコール性脂肪肝疾患を防護し、脂質プロファイルを改善することが示されました。血糖コントロールにレスベラトロルが及ぼす作用および運動との組み合わせについて疑問が投げかけられましたが、臨床疾患に罹患している人々に対して使用された際のエビデンスの大部分は良い効果を示しています。レスベラトロルは化学的予防薬および抗ガン剤として抗腫瘍遺伝子の誘導を介して細胞周期を制御し、酸化性損傷と炎症とを減少させることで作用します。レスベラトロルは高い科学的興味の対象の化合物であり続け、おびただしい数の効能を調査する多くの臨床試験が進行中です。