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乳腺線維嚢胞

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乳腺線維嚢胞 - ナチュラルな治療戦略
アシュレー・コワルスキ名誉理学士、自然療法学士

ハンプトンウェルネスセンター
1419 Carling Avenue Suite 209
Ottawa, ON K1Z 8N7

www.ashleykowalskind.com



Fibrocystic Breasts - Natural Treatment Strategies




乳腺線維嚢胞とは?

乳腺線維嚢胞の特徴は、胸に“塊”や“嚢胞”が見られることです(1)。乳腺線維嚢胞は、エストロゲン優性およびプロゲステロン欠乏が原因で、結合組織の過増殖を引き起こします。この病態は、無症状あるいは胸の小結節形成、腫れ、そして痛みの症状があります(2,3)。胸部小結節形成は環状で左右対称な様々な大きさの嚢胞を伴います。月経前に組織はエストロゲンに対してより過敏になりやすいことから、月経前で痛みが最も酷くなる傾向があります(2)。病態は年齢が進むにつれ進行し、40代女性で最も顕著となります。閉経後の女性では、エストロゲン値に劇的な衰えがあることから、乳腺線維嚢胞は退行します(3)

原因

乳腺線維嚢胞の原因は、エストロゲン対プロゲステロン比の上昇です。大量の外因性エストロゲンは胸部組織に蓄積する可能性もあります。外因性エストロゲンは天然あるいは合成のエストロゲンの源で、体の外で作られます。それに加えて、甲状腺機能の低下により胸の細胞がエストロゲンに対してより過敏になります。乳腺線維嚢胞は、リンパ液の循環が閉塞することによっても発症する可能性があります。リンパ液や血液の流れが損なわれると、体はこれらを適切な速さで排出することが出来ず、毒物およびエストロゲンが蓄積します。栄養不足も乳腺線維嚢胞に関連する症状を悪化させる可能性があります。

診断

乳腺線維嚢胞は他の胸の病気と似ている可能性があり、これらは区別されなければなりません。線維嚢胞性の変化を暗示するのは、痛み、周期的な胸の変化、高移動性、対称性、そして小結節の多重形成などです。乳腺線維嚢胞を乳ガン、線維腺腫や他の病態から区別するために、超音波検査やマンモグラフィーのような非侵襲処置が用いられます。細針生検は侵襲性ですが、必要ならば最終診断を下すために用いられる可能性があります(2)


ナチュラルな治療法
食生活の見直し
  1. 果物および野菜の摂取を増やしましょう:ある最近の研究では、増殖を伴う胸の非定型病変のリスクの低下が果物や野菜の摂取と関連があることが分かりました(1)
  2. 大豆の摂取を増やしましょう:大豆は胸の組織の細胞増殖を減少させる可能性があります。ある一般試験では、大豆タンパク質を1年間摂取したところ、主観的な胸の圧痛の減少と併せて、胸の組織の活性の変異性が統計的に有意な減少が示されました(2)
  3. メチルキサンチンを避けましょう:カフェイン、テオフィリン、そしてテオブロミンは全て、環状アデノシン一リン酸(cAMP: cyclic adenosine monophosphate)および環状グアノシン一リン酸ホスホジエステラーゼを阻害し、胸の組織内でそれらを著しく上昇させることで知られています。これらの過剰量のヌクレオチドはプロテインキナーゼ活性を刺激し、線維形成および嚢胞液の原因となる細胞生産物の増加を引き起こします。ある研究では、食事からメチルキサンチンを完全に除外した45人の女性たちの97.5%およびメチルキサンチン摂取を制限した女性28人のうちの75%で、改善が示され示されました。定期的にメチルキサンチンの摂取を続けた人たちでは、改善はほとんど見られませんでした(2)
  4. 食事からの脂肪を制限し、食物繊維を増やしましょう:食事に含まれる脂肪を減少させることは乳腺線維嚢胞の女性たちに利益があるでしょう。脂肪摂取を減らすことにより体内の循環エストロゲン値を減らすのにプラスの作用があります。食物繊維は体内で過剰のエストロゲンを結びつけるのを助け、便の大腸通過時間を短縮することにより排泄プロセスをスピードアップします(1)


生活習慣の見直し 生活習慣の見直し
  1. 運動はどんなにとにも利益があります。運動の強度は、しかしながら、各自独特の状況に応じて様々でなければなりません。一日40-60分の運動は、リンパ液の循環およびエストロゲンの代謝を改善するのを助けます。運動中に脇の下や胸を動かすことは、リンパの流れおよびエストロゲン代謝にプラスの追加的効果を及ぼすかも知れません。特にジャンプ運動は、乳腺線維嚢胞に関連する病状や兆候を軽減するために理想的な運動であることが分かっています(4)
  2. プラスチック容器やボトルにに食べ物や飲み物を保存しないようにしましょう。ビスフェノールA(BPA: Bisphenol-A)はプラスチック容器やボトルに含まれる化合物で、人が間違って摂取してしまう可能性があります。ビスフェノールAは天然のエストロゲンを擬態するため、ホルモン値を不適切に変化させる可能性があります。この化合物はエストロゲン受容体を欺いて不適切な活性化状態に陥らせ、人の健康に悪影響を与える、エストロゲンの優性な環境で強くなる病態の発症へと影響を与えるかもしれません(5)


サプリメント サプリメント
  1. ビタミンE:複数の研究では、その作用のメカニズムは未だ明らかにはなっていないもの、ビタミンEが胸の痛みや圧痛を和らげるのに有益であることが明らかにされました(1)。αトコフェロールは、幾つかの二重盲険臨床試験で科学的根拠が示されたように、多くのPMSの症状を緩和することが示されました。ある研究では胸の痛みに対するビタミンEの有効性が評価されましたが、ビタミンEのかみ砕くタイプの錠剤が一日2回、4ヶ月間与えられました。ビタミンEあるいはプラセボを受けた両方のグループで、2ヶ月間の終わりに痛みを評価しました。ビタミンEを受けたグループでは、痛みの酷さ、継続時間および痛みの減少が報告され、4ヶ月後には何の改善も報告されました(2)
  2. 待宵草オイル(EPO: evening primrose oil):乳腺線維嚢胞の痛みおよび圧痛は、待宵草オイルにより緩和されました(4)。待宵草オイルは、良質のガンマリノレン酸(GLA: gamma linolenic acid)源です。体がリノール酸(LA: linoleic acid)をガンマリノレン酸へ転換する効率が悪いため、大半の人たちではガンマリノレン酸の貯蔵が不十分です。ガンマリノレン酸は、プロスタグランジンとして知られるホルモン様化合物を生産するのに使われます。プロスタグランジンは、炎症や痛みを調節するのを助けるのに用いられます。これらの化合物は、ホルモンの生産や働きにも影響を及ぼします(1)。ある研究では、胸に痛みのある女性73人が無作為に宵待草オイルかプラセボかのどちらかを受けました。3ヶ月後、痛みおよび圧痛は、宵待草オイルを摂取した人たちで著しく減少し、プラセボ群では何の改善も見られませんでした。もう一つの研究では、乳腺嚢胞の再発に対する宵待草オイルの有効性を調査しました。宵待草オイルの投与を受けた女性たちでは、わずかな、しかし統計的に有意な再発の減少がありました(2)
  3. βカロテン:レチノイド受容体は胸部組織内にあり、これらの受容体は、良性および悪性両方の胸部の変化のリスクを減少させることにより、私たちの遺伝性疾病素質を調節すると言われています。βカロテンには炎症性疾患におけるビタミンAと同様の活性がありますが、高用量ビタミンAを服用することによる副作用の可能性はありません。βカロテンはサプリメント、あるいは黄色やオレンジ色の果物や野菜の食事に含まれます(1)
  4. ヨウ素(元素状ヨード):ヨウ素の欠乏は乳腺線維嚢胞の発病の原因要素の可能性があります。胸は、甲状腺ホルモンおよびヨウ素の両方に親和性があります(1)。実際、胸の組織は、甲状腺よりも更に大きい度合いでヨウ素を濃縮させるようです(6)。ヨウ素は、胸部組織の末端細胞および小葉管導管細胞に存在し、これらの部位でも嚢胞性変化が起こります。胸部組織は、ヨウ素不在の場合にエストロゲンに対してより敏感になります。ですから、ヨウ素は、正常な胸部組織の構造および機能の維持に重要な役割を果たす可能性があり、ですから急性および慢性のシナリオでは抗炎症および抗繊維作用があるようです(2)。ある研究では、分子状ヨウ素の投与を受けた女性たち1,365人のうちの65%で、主観的および医師の評価による臨床改善があったことが分かりました(6)。ヨウ素源となる食物には、海草や海産物がありますが、これらはヨウ素が少量しか含まれない食事を補うために利用されるかも知れません(1)
  5. インドール-3-カルビノール(I3C: Diindolylmethane)およびジインドリルメタン(DIM: Diindolylmethane):I3CおよびDIMは肝臓のエストロゲン代謝を助けます(4)。複数の研究によって、I3Cはホルモンマーカーを良い方向にシフトすることが明かになりました。その一方で、DIMについての同様な利用法および安全性を確認するために更に詳細な研究が必要とされています(7)。これらの化合物は、ブロッコリー、芽キャベツ、コラードグリーン、キャベツ、カリフラワーやケールといったアブラナ科の野菜に含まれています(4)


薬草 薬草
  1. 利尿作用のあるハーブ(Taraxacum officinale、Galium aparine、Achillea millefolium、Arctostaphylos uva-ursi):利用薬は、胸の腫れや関連する不快症状を減らすのを助けるのに役立ちます。利尿薬はカリウム値を低下させる傾向も持ち合わせています。カリウムは、線維症および嚢胞の分離に関与しているため、カリウム値を低下させる傾向を持つ利尿薬は非常に望ましく好ましいのです。Taraxacumはカリウムが高濃度で含まれていると信じられており、ですから利用するのに理想的な利尿剤ではありません(1)
  2. ヨウュヤマゴボウ(Phytolacca americana):このハーブは胸部の外用オイルとして用いられますが、小結節のしこりおよび大きさを減少させます(1)
  3. 肝臓サポート(Taraxacum officinale、 Silybum marianum、Arctium lappa、そしてChelidonium majus):エストロゲンは肝臓で代謝されるため、健康で正常に機能する肝臓はエストロゲンや毒物の適切な代謝に不可欠です(1)

結論

乳腺線維嚢胞は、妊娠・出産年齢にある女性たちで最も一般的です。これは、胸部組織へのエストロゲンの作用が原因であるようです。この病態は、無症状あるいは胸部小結節、腫れ、そして痛みを伴います。乳腺線維嚢胞は、他のタイプの胸部疾患に似ている可能性があり、ですから確信が持てなければ専門家に助けを求めるのが賢明です。識別診断のための非侵襲性の検査方法が存在します。治療および管理に取り組むための多くの異なる方法があります。食事や生活習慣の見直しの利用、補給、そして薬草は全て症状管理を助けます。エストロゲン代謝および排泄を支えることは非常に重要です。自己診断や自己流の治療を行う前に主治医に相談して下さい。この記事で紹介された情報は、自然療法医の診察の代わりにはなりません。天然の物質は副作用がない訳ではなく、ある患者さんたちにとっては危険な可能性があります。