受胎準備 - 自然療法の視点

妊娠を考えていますか？卵子が成熟するまで「100日間」かかることを聞いたことがあるかもしれません。男性の場合、精子が成熟するまで約80日かかります。この発達と成熟の期間中、女性の卵胞と男性の精子は、毒素への曝露、全身性炎症や慢性炎症、栄養不足によるDNA損傷を非常に受けやすいです。これは、そう遠くない将来に妊娠する予定があるか、妊娠を考えている多くの人にとって、卵子や精子が、排卵中や射精中に放出される前に、大きな影響を受ける可能性があることを意味します。これからご紹介する内容は、卵子や精子の質を向上させて、卵子生存や受精の確率を高めるためのヒントです。

女性の生殖能力が重視されていますが、精子の質（適切な形態（形状）か否か、運動性（適切に動いたり泳いだりする能力）によります）は、男性の健康に直接関係しています。精子が機能していて、DNA断片があったり、頭部や尾部の形が異常だったりする場合、受精はおろか、卵子と出会う確率はわずかしかありません。

そのため、健康な妊娠の計画は、実際には受胎前に始められ、男性と女性の両方によって取り組まれなければなりません。胎児に栄養を与える母体の健康は非常に大切ですが、胎芽の形成に組み込まれる精子、つまりDNAを持つパートナーの健康も重要です。

カップルを怯えさせるつもりはなく、力づけることが目的です。卵子と精子の質を左右する身体の健康のためにできることは数多くあります。

何種類かのビタミンB、ビタミンD、葉酸など、生殖にかかわる健康に不可欠な栄養素やビタミンがあります。推奨については、自然療法医に相談してください。妊婦用マルチビタミンがすべて同じであるわけではありません。安価な合成ビタミンや、増量剤や着色料が含まれている製品が数多くあります。最も重要なのは葉酸1mgを摂取することで、最適なのは、メチル化または「天然の葉酸化合物」、5-メチルテトラヒドロ葉酸（5-MTHF）です。[1]

5-MTHFには、古い単型の葉酸に比べて利点があります。胃腸管でよりよく吸収され、遺伝子に変異がある、またはMTHFR（メチレンテトラヒドロ葉酸還元型酵素）遺伝子に変異がある場合でも体内に吸収されます。また、5-MTHFは、ビタミンB12欠乏症の症状が隠されるリスクを軽減することから、葉酸の優れた形態です。[1]

ビタミンDは、主なステロイドホルモンです。北米に住む人々の多くが、冬にビタミンDが不足します。最適なビタミンDのレベルを保つことで、着床率や臨床妊娠率がより高くなる可能性があります。これは、子宮内膜症を患う女性や中絶を繰り返した女性にとって特に重要です。[2]

Fertility Awareness Methods（生殖能力啓発法）などを利用すると、妊娠可能期間を特定できます。専門書には排卵日は月経の14日目と記載されていますが、実際にはそれより早かったり遅かったりする女性が数多くいます。そのため、月経の14日目にのみ性交渉を行うと、なかなか妊娠できないかもしれません。

頸管粘液と分泌の質を追跡しましょう。また、毎朝基礎体温を測定すると、排卵期を確認するうえで役立ちます。

栄養が大切です！ 健康的な食事や妊婦用ビタミンにより栄養素を摂ることは、健康全体にとって重要です。毎日、より多くの野菜と1〜2人分の果物を食べましょう。また、複合炭水化物は、ホルモンの調節と消化（除去）に大切です。

良質のタンパク質や体にいい脂肪も不可欠です。ファーストフード、揚げ物、精製糖、コーンシロップなどの甘味料は避けてください。目標は、体が適切かつ効率的に動作するために必要な構成要素と補因子を摂取しながら、生殖細胞を保護することです。このためには、抗炎症機能を促進し、DNA断片化の原因となるフリーラジカルを除去する抗酸化物質を摂りましょう。

とにかく、妊娠中は適切な栄養素で身体に栄養を与えなければなりません。さあ、今すぐ始めましょう。

ある研究では、毎日25gのアルコール（約8オンスのワイングラス1杯）を飲む女性は、胚の質が低下することが示されています。アルコールを摂取している女性の胚の70％は、DNA断片化の程度（10～25％）、DNAの対称性や分裂ペースに定期的に偏差がみられました。[3]

分析された胚のうち、アルコールを摂取した女性の胚の15％のみが「クラスA」胚として分類されました。これは、生殖能力が最も高いことを意味します。それに比べて、アルコールを摂取しなかった女性では、胚の42％が「クラスA」として分類されました。[3]

アルコールの摂取は、男性の生殖能力にも悪影響を与える恐れがあります。アルコールは精子の形態と運動性（形状と運動能力）に影響を与えることが示されていて、テストステロンレベルが低下する可能性があります。[4]

アルコールの摂取を制限したり止めたりすると、より質の高い胚が生成される可能性があり、体外受精（IVF）などの高度な生殖技術（ART）を用いる場合、成功率が高くなる可能性があります。[3]

肝臓の解毒作用は代謝において必須です。つまり、食事やサプリメントからの栄養素が細胞内の複数の反応で用いられます。「汚染された国：カナダ人の汚染に関する報告書」と呼ばれる研究の報告書によると、研究対象ボランティアに、41種類の発癌物質、27種類の内分泌攪乱物質、21種類の呼吸毒、52種類の生殖発生毒性が測定できるほどのレベルあったことが示されています。これには、有機リン系殺虫剤、有機塩素系農薬、揮発性有機化合物（VOC）が含まれます。

私たちは日々、こうした物質に曝されています。多くの場合、こうした物質は、解毒されて尿や便、汗とともに排出されます。

以下は、適切な解毒のために主に行うべき3点です：

• 有害物質との接触を減らす：プラスチック容器に入った電子レンジ用食品、BPA（缶詰食品に含まれています）、香料/パルファムおよびパラベン（美容製品やボディケア製品に含まれています）、自動車の排気ガス、タバコの煙、消臭スプレー、多くの家庭用清掃製品を避けましょう。
• 栄養を十分に摂取し、指示どおりにビタミンとミネラルのサプリメントを摂取してください。こうした化合物には、解毒を促す働きがあります。
• 定期的に排泄し続ける：1日あたり約2ℓの水を飲んで排尿しましょう。頻繁にトイレに行くのは面倒だから、あまり水を飲まないという患者さんが多くいます。トイレに行きましょう！身体は余分なものをフィルターして除去するようにできています。それについて考えながら、毎日規則正しい排便の習慣をつけましょう。

睡眠を十分にとり、ストレスを管理する

健康を保つには、1日7時間半以上の睡眠が必要です。ストレス管理も、夕方または就寝前に「疲れているのに心が休まらない」状態や落ち着かない感覚を経験している多くの人にとって大切です。睡眠とストレスの管理は、身体の修復メカニズムの促進、身体と脳組織の回復、体温の調節に有効で、最適な健康のために重要な遺伝子スイッチのオンとオフをコントロールするのに役立ちます。ストレスは、性ホルモンにも悪影響を与え、プロゲステロンやエストロゲン、黄体形成ホルモンのレベルを低下させ、無排卵（月経周期で排卵を伴わない状態）の確率を高めます。 [6]

運動や定期的な身体活動に参加し、健康的な体組成を得る

上記の事項に従いながら、毎日タンパク質を十分に摂取し、身体活動を定期的に行うことで、健康的な体組成を手に入れられるでしょう。理想的な女性の体脂肪率は、約18〜25％だといわれています。[7]この範囲外では、無排卵、不規則な周期、無月経などのホルモン異常や、流産などの後遺症が生じることが多いです。

女性は、妊娠により身体的な負担がかかる場合があります。成長する胎児をお腹に抱えながら栄養を与えて出産し、その間、骨盤内の構造が劇的に変化します。身体の強化は、受胎準備に重要ですが、妊娠や出産にも大切です。

筋力トレーニングは筋肉を鍛えるうえで優れていますが、毎日20〜30分早歩きするだけでも、心拍数の上昇とともに循環が大幅に改善されて、持久力の向上に役立ちます。

ヨガは、肉体強化や姿勢改善に役立ちますが、呼吸に注目した運動としても有効です。身体的に不快な状態で筋肉を収縮しながら呼吸することは、出産の練習に最適です。また、ヨガはストレスの軽減にも役立ちます！

体調がすぐれない際や運動を始めたばかりの場合は、まず、身体のメカニズムに合った運動をゆっくり行いましょう。自宅でトレーニングする場合は、フォームが見えるように部屋に鏡を置いてください。大半のジムやヨガスタジオでは、等身大の鏡が設置されているため、動きを確認できます。初心者や過去に怪我をしたことがある場合は、新しいトレーニングプログラムを始める前に医師または理学療法士に相談してください。

パートナーに受胎前の健康管理に参加してもらう

男性と女性の両方が、受胎において大きな役割があります。卵母細胞はDNA損傷を受けやすいですが、これは精子も同じです。精子の健康な発達と運動性には、セレンや亜鉛などの適切な栄養素も必要です。こうして一緒に健康維持に取り組むことで、絆が生まれ、身体の健康に対する満足感を共に味わえます。パートナーと一緒に散歩に出かけて料理を作り、この人生でわくわくする時期に、精神的および感情的にサポートし合いましょう。