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トレッドロックスの薄毛

Melvia Agbeko
BSc, ND
https://www.ccnm.edu
9 November 2015
日本語

トレッドロックスの薄毛-7つの良くある脱毛の理由

メルヴィア・アグベコ理学士、自然療法医師

トリニティ健康クリニック
516-220 Duncan Mill Road
Toronto, ON
M3B 3J5
www.melviaagbekond.com
www.trinityhealthclinic.com



トレッドロックスの薄毛-7つの良くある脱毛の理由




はじめに

自分が誰でどう感じているかというのは、しばしば髪型で表現されます。巻き毛であろうと、直毛、ねじれ毛、コーンロウやトレッドロックであろうと、髪は美、官能、生殖力、そして魅力の普遍的な印です。更に、髪は私たちの健康状態を伝えてくれます。髪は、私たちの頭と皮膚とを守り絶縁層となるだけでなく、私たちのパーソナリティへ更に多くの奥行きを加えてくれます。髪は生化学的に、私たちの内面世界の状態を反映しています。そして髪は社会的に、この世界の中で私たちが個性を形作るのを助けてくれるでしょう。理容産業の市場総額が数百万ドル規模、あるいは毎年10億ドル規模の収益であることは不思議ではありません。髪の毛にまつわる儀式は世界中全ての文化で伝統的に行われており、たぶん髪の毛は、自尊心、自信、そして美に関して、最もフォーカスされている身体の一部分でしょう。髪の毛が私たちの情緒にどう影響するかは、私たちがよく言う「今日は髪が変で…」あるいは「彼•彼女の髪型って良いね!」といった表現にすら現れています。ですから、その栄光の冠が抜けて行く際に、人々はどんなに心を痛め、苦悩さえするであろうかというのは、想像に難くありません。

髪の毛は主にケラチンと呼ばれるプロテインからできており、皮膚表面直下の毛包から成長します。この毛包は、血管によって毛髪が成長するのに必要な栄養素が運ばれてくる部位です。毛髪は皮膚から外側に向かって毛幹として伸び続けますが、この毛幹は実際には“死んでいる”と考えられています。毛髪が成長に必要な栄養を受け取らなくなったら直ぐに、頭皮から離れ、抜け落ちます。

自然界の全てのものと同様に、成長、休止、死、そして再生というサイクルは、髪にとっても変わりありません。ヘアサイクルの主な4つの段階は、成長期(特徴は急速な成長および増殖)、退行期(細胞のアポトーシスの期間)、休止期(休みの期間)そして脱毛期(毛根からの脱毛)です[9]。毛髪には、最初の3つの全ての段階が同時に存在するでしょう。髪は一年で平均15cm成長し、一日平均50-100本が抜け落ちますが、これは正常であると考えられています。抜け毛がこのパターンと異なる場合には警戒するべきかも知れません。ですから、髪が抜け落ちる理由を正確に把握することによって、治療オプションをより集中的なものにすることが重要です。抜け毛の理由は数多くありますが、大きく分類すると、栄養不足、ホルモンのアンバランス、自己免疫の現れ、遺伝そして感染があります。この記事では、抜け毛のより一般的な原因の幾つかに光を当てましょう。


鉄欠乏症 鉄欠乏症

米国家庭医学会の出版物で、鉄分欠乏性貧血の罹患率は男性(2%)よりも女性で高く、メキシコ人女性およびアフリカ系アメリカ人女性が最高(コーカサス人女性の12%に対して20%)であることが、引用されました[3]。鉄分はヘモグロビンの一部となり、私たちの体全体の酸素供給で主要な役割を果たします。そして私たちの細胞でエネルギーを生産し、甲状腺がそのホルモンを作るためにも、鉄分は必要とされています[4]。鉄分は、ヘム鉄(肉)および非ヘム鉄(野菜および幾つかのサプリメント)という二つの形で体が利用します。欠乏症およびその結果起こる貧血は、体に十分量の鉄分が取り込まれない際に起こります。これは鉄分吸収に問題がある、またはより一般的には出血がある場合です。月経のある女性たちで大量の痛みを伴う子宮出血がある場合には、鉄分欠乏症および貧血である傾向があります。毛根に届く血液がそれに栄養を与え成長を促すには不十分であることから、多くの人たちは徐々に抜け毛についても訴えるようになるでしょう。具体的に言うと、毛髪が細くなり抜け落ち易くなるでしょう。もし鉄分不足が抜け毛の理由ならば、この欠乏症を確認するために必要な検査を受けることが妥当であり、それに続いて問題を治すための見直しを行う必要があります。


タンパク質不足

髪は、毛髪一本一本を満たし髪に量やボリュームを加えるタンパク質で主に構成されていることは知られています。これは多くのヘアケア製品が謳っている“ボリュームとハリを出す”効果の背景にある考えです。タンパク質自体は、体内で生産される、あるいは食事から得られるアミノ酸で構成されています。タンパク質は体内の免疫システムの主な担い手であるのに加えて、酵素、筋繊維、調節分子そして毛髪の構成要素です[4]。要するに、タンパク質は、私たちが毎日の働きを遂行する上で非常に重要な部分を担っています。ですから、植物および動物性のタンパク質を十分に摂取しない際に、体内で欠乏するであろうというのは不思議ではなく、また髪の毛だけでなく他の多数のシステムも影響を受けるであろうということは想像に難くありません。タンパク質不足は、持続性の疲労、情緒の変化、傷の回復の遅れや、時には筋肉疲労も伴う筋肉の衰弱として現れるかも知れません[7]。動物性のタンパク質の方が生物学的利用能の高いことから、タンパク質不足を評価することは、特にベジタリアンやベーガンの人たちには重要です。十分に変化に富んだ種類のタンパク質やサプリメントを摂取することは、抜け毛を経験していて、かつ肉を食べない人たちにとって利益になるでしょう。


ビタミンA毒性

ビタミン類は体内の多くの反応で重要な役割を果たします。ビタミン類は免疫システムを調節し、消化を助け、全体的な健康に必要とされています。ビタミンAは肝臓に貯蓄される脂溶性ビタミンで、視覚機能に大切なビタミンです[4]。ビタミンAは素晴らしい抗酸化物質でもあります。体は、私たちが摂取する食物を(人参や多の黄色野菜に含まれる)βカロテンに転換して必要に応じてビタミンAを作り出すことができます。体内のビタミンAは、尋常性座瘡で使われるような特定の薬剤により増加する可能性もあります。体内ビタミンA濃度が高い時、それに続いて抜け毛が起こる可能性があります。早期の兆候として皮膚が乾燥し、爪が脆くなるかも知れません。ビタミンAの毒性が長く続く場合には肝疾患が起こる可能性があるため、これが疑われるならば、ビタミンAについてモニターし、事態に応じて手を打つのが最善です。

抜け毛がどちらかというとホルモン性である場合には、内分泌システムが影響を受けているのと同じ病態が関与しています。


甲状腺機能 甲状腺機能

抜け毛が多因性であることは確かです。肌の変化、温度不耐性、体重の変化や排便の変化が抜け毛に伴われる場合には、主な原因は甲状腺かも知れません[4]。甲状腺は胸骨のちょうど上に位置し、代謝および他の幾つもの機能を担っています。甲状腺は下垂体および視床下部からの信号を受け取り、甲状腺ホルモン(T3およびT4)を生産しますが、これらのホルモンは体内で複数の働きをしています。甲状腺ホルモンは毛包の成長に影響していることから、甲状腺ホルモンが低下すると、結果として抜け毛が起きる可能性があります[8]。しかし、この抜け毛は頭髪だけに限られません。眉毛や体毛も細くなり抜け始めます。もし甲状腺機能異常が疑われるならば、適切な対処を行うことが非常に重要です。


多嚢胞卵巣

抜け毛は、時には他のホルモンが原因で起こります。人は思春期になると、胸が大きくなり脇毛が生えるといような第二次性徴が現れ始めますが、女性ではこれらにエストロゲンホルモンが影響を与えます。男性では、声変わりや性的な成熟に影響を与える主なホルモンはテストステロンです。エストロゲンおよびテストステロンは、卵巣および精巣に影響を及ぼすステロイド・ホルモンで、男女ともに量は様々であると考えられています。月経周期中の女性は卵子を生産し、卵子は後に受精するか、あるいは子宮から出てゆきます。はっきりした理由は分かりませんが、卵巣内に複数の嚢胞が形成され、それが原因で月経不順、受胎困難、挫創や多毛症となる女性たちがいます[4]。テストステロン値の上昇および高インスリン値はこの過程を促進し、それが抜け毛と関連している可能性があります[1]。この場合の違いは、抜け毛が(頭頂部の毛髪が細くなり額の生え際が後退する)男性型の脱毛と類似していることで、アンドロゲン性あるいは男性パターンの禿げと言われます。これは複雑な病態で、多くの要因が関わっていますが、この病態に取り組むための主要な目標はインスリン値を適切に管理することです。


更年期障害

女性が歳を取るとエストロゲン値が低下し易くなり、卵巣機能が衰え始めます。ある女性たちにとっては、この早かれ遅かれ起こる衰えが、他の要因になる可能性もあります。女性が12ヶ月のスパンで月経がない場合が更年期です[4]。この時点で、抜け毛が始まる可能性があります。この場合の特徴となるパターンでは、多嚢胞卵巣症候群で見られた脱毛とは異なり、頭頂部の毛髪は細くなりますが額の生え際には何の影響もありません(女性型脱毛)[6]。幾つかの研究では、テストステロンからエストロゲンへの転換を阻害したところ、脱毛が確認されました。これには、毛髪の成長を促すのにエストロゲンが重要である可能性があり、そのために更年期および閉経後の女性のエストロゲンの減少は、それと同時に起こる脱毛と関係しているかも知れないという含意があります。更年期に脱毛が起り得る理由をより明らかにするのを助けるために、この分野での研究は引き続き行われています。


円形脱毛症

抜け毛は時には自己免疫性があります。これは、免疫システムが自分自身を認識しなくなる結果として自分自身を攻撃するほどの、重い負荷が免疫システムにかかっていることを意味します。具体的には、免疫システムは毛包を攻撃し始め、それが脱毛を引き起こします。この脱毛パターンは頭部全体に起こる(完全脱毛症)あるいは、全身に起こる(全身性脱毛症)可能性があります[5]。これは非常に悩ましいことで、更に残念ながら円形脱毛症は大変一般的な疾患でもあり、予想できない過程を辿ります。円形脱毛症になる人たちは、幾つかの治療オプションが存在するにも関わらず複数回の再発を経験する可能性があるため、こういった傾向を周知しカウンセリングを行うことが、治療と管理において極めて重要になります。


結論

これらの共通の原因の他に、抜け毛は様々な理由で起こる可能性があります。主な幾つかの考慮事項には、真菌感染症および他の感染症、遺伝様式そして毛髪の手入れ法の不良(けん引性脱毛症)といったものがあります。こういった点では、単一の症状や抜け毛のような病態には複雑さがあることを認識する人もいるかも知れません。ですから抜け毛がある場合には、その原因を捜し、適切な処置を取り、正しい解決法を見付けることが重要です。