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尋常性座瘡

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尋常性座瘡-主要な自然療法の取り組み

by サラ・スペクター、自然療法医師

Natura Wellness Clinic
3885 Duke of York Blvd. Suite 211
Mississauga, ON L5B 0E4

905 276-6800
laraspector.nd@gmail.com



尋常性座瘡-主要な自然療法の取り組み

Introduction

尋常性座瘡は医師が診察する最も一般的な皮膚疾患です。ニキビは大きな悩みとなる可能性があり、その結果として自尊心が低くなってしまう人もいます。ニキビ患者さんの間でのメンタルヘルスのスコアは、他の多数の慢性疾患と比較して高くなっています[1]。しばしば患者さんたちは肌を鎮静するために、経口避妊薬、スピロノラクトン、あるいはAccutaneのような薬物療法を求めますが、これには栄養の枯渇、リスク、そして副作用が伴われる可能性があります。自然療法医学はニキビの原因に標的を定め、この皮膚病の長期的な解決策としての安全で効果的な治療を提供することを目指しています。


食事—乳製品と砂糖に対する症例:mTOR 食事—乳製品と砂糖に対する症例:mTOR

ある重要な研究が2012年に現れましたが、この研究が下した結論は、ニキビは血糖負荷の低い旧石器時代の食事を摂取している群と、乳製品が含まれない食事を摂取している群との二つの人口には見られないというものです。細胞機構が解明され、高血糖食物および乳製品はIGF-1およびインスリンのレベルを増加させることが明らかとなりましたが、次にこれらの増加がmTORと呼ばれる酵素を活性化します[2]。mTORは様々な細胞機能を調節しており、この酵素の調節異常は炎症を引き起こし、とりわけニキビを促進する効果があることが示されました。Monfrecolaらによるある最近の研究(2016)では、ニキビ患者さんたちの肌にはmTORの遺伝子発現がより多いことが分かりました[3]。ですから、乳製品や高血糖食品が足りない食事はmTOR酵素の遺伝子発現を減少させるため、ニキビを減らす効果的な食事戦略です。



ベルべリン、腸の治癒、そしてプロバイオティクス

Berberis vulgarisは、抗菌、抗炎症、そしてインスリン感作の働きがあることでよく知られたハーブです。2012年のある調査では、中程度から酷い尋常性座瘡に悩むティーンエージャーにベルべリン600mgを4週間処方しました。この治療期間後、損傷の総量およびニキビの酷さの平均スコアは、プラセボと比較して45%減少しました.[4]

ベルべリンは、小腸細菌過剰繁殖(SIBO: small intestine bacterial overgrowth)に対する効果の高い抗菌療法となることが示されましたが、この小腸細菌過剰繁殖には過敏性腸症候群(IBS: irritable bowel syndrome)患者の64%が罹患していると推測されています[6]。過敏性腸症候群は腸の透過性が増加する病態で、尋常性座瘡の患者さんたちには腸の透過性増加が見られることが幾つもの研究によって示されていますが、これは、もし胃腸症状が報告されるならば、過敏性腸症候群の治療や腸細菌過剰繁殖のような病態の検査の必要性があることは明らかです。

ある研究では、調査対象のニキビ患者さんの54%で腸内細菌叢の変化が見られたことが報告されました。別の研究では、乳酸菌発酵飲料の摂取によりニキビの臨床転帰の12週に渡る改善が示されました。プロバイオティクスは、肌の中の炎症性サイトカインの放出を調節するため、ニキビ治療において価値のあることが示されました[1]


ビタミンA、ビタミンE、そして亜鉛 ビタミンA、ビタミンE、そして亜鉛

ビタミンAは、肌および粘膜の正常な分化および上皮組織の維持に不可欠です。尋常性座瘡に対する効果の高い治療法の一つとして、レチノール形態のビタミンAについての調査が行われました[7]。レチノールの作用機構の一つは、プロピオン酸菌属アクネ菌(ニキビの発病機構において重要な役割を果たすことが示されているバクテリア)によって誘発されたIL-17反応の調節です[8]。1日あたり子供は18,000–60,000 IU以上、成人は50,000–100,000 IU以上のビタミンAの摂取で、ビタミン過剰症が起こります。ビタミンAは脂溶性であることから、治療の開始前および治療の3ヶ月後に肝臓酵素をチェックして下さい。妊娠中のビタミンAは禁忌ですが、これはレチノールが胎盤を自由に行き来して胎児の頭蓋顔面変形、骨および心血管の異常、そして内分泌機能不全といった深刻な奇形の原因となるためです[7]。ビタミンA療法の開始に先がけて妊娠は除外するべきでしょう。

Ozuguzらによる2014年のある調査では、尋常性座瘡の重症度に応じたビタミンEおよび亜鉛の血中レベルを測定しました[9]。ニキビの酷さとビタミンEおよび亜鉛の値には負の相関が見られ、ニキビの予防および治療に対するこれらの重要な栄養素の利用が支持されることが分かりました。Brenoらによるある調査(2001)では、ニキビの患者さんが3ヶ月間グルコン酸亜鉛30mgを服用した際に、ニキビの総数が49.8%減少する事が分かりました[10]


オメガ-3脂肪酸とガンマリノレン酸(GLA: Gamma  Linolenic Acid) オメガ-3脂肪酸とガンマリノレン酸(GLA: Gamma Linolenic Acid)

オメガ-3脂肪酸は抗炎症作用で知られており、とりわけ皮膚上皮に対して抗炎症作用を及ぼすことから、研究されてきました。Yoonら(2014)は、軽度から中程度のニキビの治療としてのオメガ-3脂肪酸およびガンマリノレン酸(GLA)の臨床有効性について、これら二つの酸についてニキビを背景とした無作為二重盲対象試験および評価を行いました。彼らの研究では、オメガ-3脂肪酸およびGLAの両方の補給を行った10週後、炎症性および非炎症性ニキビの損傷が有意に減少しました。患者さんたちの主観的評価が改善し、ニキビの損傷の痕は、そのシミの濃さに減少を見せました。このように、オメガ-3脂肪酸およびGLAは有効な尋常性座瘡の補助的治療です[11]


ホルモンのアンバランスへの取り組み

様々なニキビの治療は、炎症の軽減からプロピオン酸菌属アクネ菌の繁殖の抑制まで、ニキビの発病機構の異なる段階を標的としています。ニキビの発病機構におけるもう一つの一般的なターゲットは、ホルモンのアンバランスに取り組むこと、これは最も一般的に、高アンドロゲン血症に対抗することです。経口避妊薬は、性ホルモン結合グロブリンを上昇させることで遊離テストステロン値を低下させることによってニキビを減少させるのに役立つ可能性があることが、臨床試験で示されました。もう一つの経口の高アンドロゲン処方薬はスピロノラクトンですが、これはニキビを改善するのに効果的であることが示された5-α還元酵素阻害剤です[12]。植物から抽出された5-α還元酵素阻害剤はニキビ治療に有望ですが、現時点ではより多くの研究が必要とされています。


局所のケア 局所のケア

サプリメントおよび食事戦略に、効果の高いお薦めの局所洗浄製品を加えれば、尋常性座瘡のための全体的計画が完成します。効果の高い洗顔料は過剰な皮脂を取り除き、皮膚レベルの炎症を軽減するものでなければなりません。グリコール酸は天然に存在するαヒドロキシル酸で、皮膚の炎症性発疹の出現を減少させることが示されました。Abelsらによるある研究(2014)では、洗顔料製品をグリコール酸と共に一日2回、6週間、単剤治療として行うと、軽度のニキビが有意に改善しました[13]


結論

この記事で議論されたエビデンスに見られるように、尋常性座瘡には多くの効果的な治療選択肢があります。尋常性座瘡を治療するための成功率の高い自然療法的取り組みは、個人のニキビの原因(例えば、炎症、プロピオン酸菌属アクネ菌の過増殖、アンドロゲン血症)に対処し、食事戦略、サプリメント、そして局所ケアといった多角的で全体的なアプローチを用いることです。