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脱毛症

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脱毛症 - ナチュラルなサポート
ガヤマリ・カルナラトナ自然療法医師




Guease

はじめに

ああ、始まりました。枕の上に数本の髪の毛が、ブラシには普段以上の量が付いています。家を掃除する時には、床の上、風呂場、そして洋服の上の髪の毛が目に付き始め、あなたは、家のあちこちに髪の毛を落としているだけではなく、ひょっとしたら頭皮上に禿げたパッチがあるかも知れないことを理解し始めます。脱毛症とも言われる脱毛は、大部分の人たちに人生の何らかの時点で関係してくる現象です。ストレスの高い時を過ごしているかどうか、妊娠中に予想されるホルモンの変動をやりくりしているかどうか、あるいは単に老化の影響を体験しているだけなのか、脱毛はあまねく広まっており、感情的および生理学的な苦難をもたらす可能性があります。

脱毛についての良くある思い違いは、脱毛が老化の兆候に過ぎないというものです。人生の様々な段階で、人は異なる多くの理由による脱毛を経験します。更に、一般に信じられているのとは反対に、毛髪には単に私たちの顔を取り囲んでスタイルや色のための人気の装飾品であること以上の働きがあります。毛髪は、頭部を温かく保ち、体温を調節するのを助けるという極めて重要な役割を果たしています。毛髪には、個人個人で異なる自然の成長サイクルがあります。毛髪の成長サイクルは2-6年であることから、成人では毎日50-100本の毛髪が抜けると見積もられています[1]。何本かの毛髪が毎日抜けることは正常なことですが、脱毛の速度が生産の速度を超える際には脱毛症が起こります[1]


脱毛のタイプおよび原因 脱毛のタイプおよび原因

一般に男性型脱毛と言われるアンドロゲン性脱毛症は、良くある発症年齢依存性のもので、アンドロゲンへの依存が強いことが分かっています[2]。アンドロゲンはホルモンの一群で、主に男性生殖器系の成長と発達とに影響を与えます。アンドロゲン性脱毛症の引き金は、テストステロンあるいはDHTによって起きる毛包アンドロゲン受容体(AR: androgenic receptors)の活性化です[3]。しかし、DHTはテストステロンの5倍の速さでアンドロゲン受容体に結びつき [4] 、ですからDHTは男性型および女性型の脱毛で主因となるアンドロゲンであると見られています。テストステロンは5α-還元酵素によってDHTに転換されます[5]

アンドロゲン性脱毛症の病因にはDHTによる毛包の小型化も携わっています。更にこれには硬毛毛包の産毛様毛包への進行性の変形という特徴がありますが、産毛様毛包というのは直径0.03mm以下で非常に細い毛髪を作ります[6]。男性型脱毛は殆どがこめかみや頭頂部に起こりますが、女性型脱毛はおでこから頭頂部にかけて僅かに広がる薄毛から始まり、続いて頭頂部の毛量が減少します[6]。脱毛の臨床パターンには男女で違いがあることが観察されていますが、女性型脱毛もアンドロゲン依存の病態であることが、抗アンドロゲン薬に対する反応から示唆されています[6]。円形脱毛症は、自己免疫の病態であると考えられている脱毛の形態です[6]。このタイプの脱毛では、体は毛包を異質なものであると誤って攻撃し、頭皮上、顔面や体の他の部位に広がる特徴のある無毛のパッチを生じさせます。

休止期脱毛は 、自己制御型の脱毛で、体の病気、外科手術、出血や食生活の崩壊などが引き金となります。慢性休止期脱毛は、甲状腺疾患、全身性紅斑性狼瘡、薬剤服用や鉄欠乏性貧血に続いて発症します[6]。成長期脱毛というのは、毛髪の成長期に起きる脱毛の形態のことを言います。2-4週間以内に起きる可能性があり、化学療法、放射線療法、栄養失調、そして幾つかの薬剤が原因で起きる可能性があります[7]。上で記されたタイプの脱毛やその原因に加えて、栄養不足、妊娠、毛髪に苛酷を強いる毛髪製品の慢性的使用、太陽光によるダメージやストレスは全て一時的脱毛に寄与する要素です。


自然療法的治療:
自然療法的治療: ノコギリヤシあるいはソー・パルメット

ノコギリヤシは、西インド原産のシュロの木の果実の抽出物です。この植物は、北アメリカの南西海岸に多数成育しています[8]。前述の通り、テストステロンからDHTへの不可逆転換は、5α-還元酵素によって促進されます。ノコギリヤシは脱毛に一般的に使われるハーブですが、ノコギリヤシの作用機構は5α-還元酵素抑制に基づいていることから、DHTの生産そしてアンドロゲン受容体へのDHTの結合を減らします[8]。同様に、ノコギリヤシは男性のテストステロン値に影響することなく5α-還元酵素のレベルを抑える力があることから、男性の良性前立腺肥大でしばしば利用されます[8]。このように、この植物の作用メカニズムは薬剤のフィナステライドと同様であると考えられていますが、このフィナステライドは従来の脱毛治療で使われています。

ココナッツ油 ココナッツ油

ココナッツ油はラウリン酸のトリグリセリドですが、ラウリン酸は主要な脂肪酸です。素晴らしい調理油かつ肌用モイスチャークリームであることに加えて、ココナッツ油には毛髪タンパク質と高い親和性があります。ココナッツ油は分子量が低く直鎖であることから、毛幹の中に浸透し毛髪をダメージから守る力があります。ある研究では、ココナッツ油は、ダメージのない髪およびダメージのある髪の両方で、タンパク質の損失を著しく減少させることが分かりました[9]

ラベンダーのエッセンシャルオイル

家庭でラベンダーオイルは珍しいものではありません。石鹸やパーソナルケア製品の人気の香料として使われており、頭痛を治すために外用で塗布し、またアロマテラピーでは睡眠を助けるために吸入します。多くの人が知らないのは、他の薬用性に加えてラベンダーには血行刺激剤としての働きがあり、ですから脱毛症の人たちでは毛髪の成長を促進することが分かっているということです。ヘイらによって行われた無作為二重盲険対照試験では、ヒマラヤスギ、ローズマリーやタイムと混合したラベンダーのエッセンシャルオイルで頭皮をマッサージするような、こう薬療法により、3-7ヶ月以内に毛髪の成長をもたらすと報告されたことが分かりました[10]

ローズマリーのエッセンシャルオイル

ローズマリーは、医薬用に広い範囲で使われている人気の植物です。この植物は、風味豊かな料理用ハーブであることに加えて、エッセンシャルオイルの形で頭痛を緩和し、記憶を改善し、そして毛細管現象を高めることが分かりました。これは特に毛髪の成長を促進するのに効果的です。ある比較対照研究では、アンドロゲン性脱毛症の人たちに対してローズマリーオイル塗布の臨床的効果をミノキシジル薬と比較して吟味しました[11]。この研究では、無作為にローズマリーオイル群に振り分けられた人々に6ヶ月の時点で毛髪数に著しい増加があり、これはミノキシジルを用いた群と同様であることが分かりましたが、これらの発見は被験者一人一人の顕微鏡写真による標準化された評価で測定・確認されました。

ビオチン

ビオチンは、体で特定の化学反応、すなわちカルボキシル化反応に利用される水溶性ビタミンBです。ビオチンは、卵、ピーナッツ、スイスチャード、そして他の多くの緑の葉野菜といった広い範囲の食物に含まれています。生卵白にはビオチンと強く結びつくアビジンと呼ばれる糖タンパク質を含んでいるため、過剰量の摂取はビオチン欠乏症を引き起こす可能性があります。ビオチン欠乏の一般的な症状の幾つか例を挙げると、脱毛症、もろい爪、脂漏性皮膚炎と似ているうろこ状の紅斑様皮膚炎、うつ病、昏睡、筋肉痛といったものがあります[12]

亜鉛

体内の他の組織が適切に成長するために一定の栄養素を必要とするのと全く同様に、毛髪も数々の異なる栄養素を必要とします。亜鉛は、多くの生化学経路に携わる主要な微量元素です。亜鉛は、多くの機能のうちの成長、免疫機能、創傷治癒に必要不可欠で、多くのヘアケア製品に含まれています。脱毛患者の血漿中の亜鉛および銅の濃度についてのある分析では、血漿亜鉛値の平均が、脱毛のない対照群よりも脱毛患者で著しく低いことが分かりました。この発見は、亜鉛代謝の乱れが、脱毛、特に円形脱毛症および休止期脱毛では鍵となる役割を果たしていることを示唆しています[13]。亜鉛欠乏の兆候には、味覚障害、食欲不振、抑うつ、創傷治癒障害、感染症への感受性の増加、そして脱毛症といったものがあります[12]

注意:上述の治療法全ては、行う前に自然療法医の診察を受けることが重要です。

結論

脱毛は、ストレス、特定の薬、慢性的な化学製品、あるいはホルモンの変化が原因であるかないかに関わらず、人生の何らかの時点で私たち全員が経験する自然のプロセスです。脱毛は、過度の感情的および生理学的なストレスを引き起こし、脱毛のサイクルを更に促進する可能性があります。ですから、脱毛は個人の食事、生活習慣そして精神的・感情的な健康に関わってくる、ずっと複雑な健康問題です。数々の発毛製品が、オンラインやテレビの至るところで宣伝され、短期間で発毛を促進すると主張しています。治療を開始する前に脱毛の原因を確認し、症状ではなく原因を治療することが重要です。この記事で検討したナチュラルな介入の一覧は統合的なものではありませんので、患者さんたちはどの治療法が適切であるかを決めるために、自然療法医の診察を受けるべきでしょう。