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ココナッツオイル

Melvia Agbeko
BSc, ND
https://www.ccnm.edu
30 September 2013
日本語

ココナッツオイル
By: Melvia Agbeko BSc, ND

Trinity Health Clinic Robert Schadd Clinic
516-220 Duncan Mill Road 1255 Sheppard Ave East
Toronto, ON Toronto, ON
M3B 3J5 M2K1E2
www.melviaagbekond.com www.rsnc.com
www.trinityhealthclinic.com


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パートI パートII パートIIIパートIV

Coconut oil effects on Weight Loss




パートI:ココナッツオイルの紹介および減量効果

減量から記憶、コレステロール調整、そして毎日のお肌のお手入れに至るまで、多くの良くある関心事を正す効果がココナッツオイルにあると、近年かなりの噂が囁かれました。これについて驚く人もいるかも知れません。それというのも歴史的にココナッツオイルは、特に虚血性心疾患について、健康に良くない飽和油であるというレッテルが貼られていたからです(1)。確かにココナッツオイルは飽和油ですが、実際はとても用途の広い植物ベースの健康促進オイルです。ココナッツ自体に万能の抗酸化剤やビタミン、ミネラルが含まれているだけでなく、その油にも同様に体が消化し易い脂肪が含まれています(2)。この記事では、コレステロール調整、体重管理などの心血管の健康、そしてアルツハイマー病などの疾患に見られる認知障害のような神経の問題におけるココナッツオイルの治療学について検討します。後に、肌の問題に対するココナッツオイルの効能について検討し、効果の上がる服用量に関するエビデンスを紹介します。

ココナッツ(Cocos nucifera)は「命の木」とも呼ばれており、世界の複数の文化圏で常用され続けている油です。ココナッツオイルは、中鎖トリグリセリド(MCT: medium chain triglyceride)であるラウリン酸を含んでいますが、このMCTというのが減量にとても良いとても大切な理由です(3)。MCTは体できわめて迅速に代謝されるため、脂肪という形で貯蔵されることが少ないのです。2012年のシステマティック・リビュー(訳者注:文献をくまなく調査し無作為化比較試験のような質の高い研究データを限りなく偏りを除いて分析したもの)でのある調査では、長鎖脂肪酸と比べてMCTが太り過ぎの男性の脂肪をより多く減少させたことが確認されました(3)。この効果の背後には、MCTが長鎖トリグリセリドと比べてβ-酸化(脂肪分解)とエネルギー消費とを増大させるというメカニズムがあります。一方、長鎖トリグリセリドは、リンパ液の循環に吸い上げられ脂肪になり貯蔵される傾向があります。

別の調査では、大豆油に比べてココナッツオイルは女性の胴囲を減らすだけでなく、有益なHDL-コレステロールを増加させることも分かりました(5)。同様に、これらの女性たちのBMIとLDL:HDL比とが低下しましたが、これらは合わせて健康を全体的に促進します。これらの結果が重要なのは、ココナッツオイルが異脂肪血症を促進するという実際には正しくない考えの虚偽をあばく一助となるためです。加えて、この調査ではココナッツオイルが腹部肥満を減少させるのにとても役立つことも示されました。腹部肥満はそれ自体が他の多数の健康問題を伴います。腹部肥満では、脂肪が肝臓のようなきわめて重要な組織に蓄積(脂肪肝疾患)されがちであるために、体の解毒・自浄能力が変わってしまう可能性があるのです。更に、腹部脂肪を減らすのはより難しい(腹部脂肪は重要な内蔵組織を取り巻いている)傾向にあるため、虚血性心疾患の問題を進行させるコレステロールの調整異常がもう一つの問題となります。その結果、心臓発作や卒中のリスクが上がります。本シリーズのパートIIでは、コレステロール調整に対するココナッツオイルの効果について検討します。



Coconut oil - What’s all the buzz?

パートII:ココナッツオイルとコレステロール
By: Melvia Agbeko, BSc, ND

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Coconut oil and Cholesterol ココナッツオイルは飽和脂肪であることから、歴史的に冠状動脈不全(CAD)の一因となると考えられてきました。この理由により、心血管の一大事のリスクを増やさないよう食事での摂取を減らすことが推奨されました。2013年のリビューで、これはそうではないことが分かりました。実際、著者たちはココナッツや乳製品に見られる飽和脂肪が健康の全体的な改善に寄与すると断定しています(1)。別の調査では、ココナッツオイルを含む食事は、バターの量が多い食事と比べて全体のコレステロールレベルを減少させ、“悪い”コレステロールであるLDLの量を減らす傾向が見られました(2)。それでは、厳密にどのようにしてココナッツオイルはこのような作用を及ぼすことができるのでしょうか?1ステップ後戻りしてみましょう。体内で複数の機能を持つ幾つかのホルモンを体は生産しています。そういったホルモンのうち、私たちが大変良く耳にするお馴染みのものに、性ホルモンや甲状腺ホルモンなどを含むステロイドホルモンと呼ばれる一群があります。ステロイドホルモンの前駆体の一つにプレグネノロンと呼ばれるものがあります。プレグネロンはコレステロールから誘導されますが、ココナッツオイルはコレステロールからプレグネロンの転換を促進するのに一役かっていて、ですから血液中のコレステロール濃度を減少させます。(コレステロールについての注意:体内の“悪い”化合物であると考えられていますが、実はコレステロールは、細胞膜を維持し、胆汁塩を生産し、性ホルモンを作るといった体内での多くの重要な役割を担っています。体内で酸化が起こり、コレステロールの賦形剤がダメージを受ける時に、コレステロールはよりいっそう問題となります。(3))

伝統的な社会では長い間ココナッツオイルを摂取してきました。たとえばインドでは、食事は通常低脂肪であるのに冠動脈心疾患(CHD)がはびこっているように見えます。ある調査では、ココナッツオイルを摂取するとCHDの割合が高くなるかどうかを明らかにしようと試みました。結果、ココナッツオイルは人口中の高いCHD率とリンクさせることができないことが分かりました(4)。実際にインド社会で心血管の問題が蔓延しているように見える理由は未だに調査中です。

著者が個人的に感じるのは、ココナッツオイルはインド人のライフスタイルの一部であり、彼らの食事でココナッツオイルが不足することは少なくともインド西部ではないため、インド社会においてココナッツオイルの補給が調査結果に差を生まなかったのではないかということです。これを北米と比べてみましょう。北米では食事中に健康を促進するような油が不足しています。この文脈では、ココナッツオイルが私たちの体が必要であるにも関わらず頻繁に摂取しないものであり、ですからそれを補給することでCHDのリスクがずっと大きく減少する結果となることでしょう。これをマレーシアやフィリピンのようなココナッツオイルを常用している他の国と比べてみましょう。

この点を説明するために2011年の調査を紹介しましょう。調査では、45人の健康な大人がヤシ油、ココナッツオイル、またはオリーブ油の補給を受けました。これらの油を摂取後、研究者たちは心血管疾患(CVD)の指標である体内の炎症マーカーの濃度を測定しました。それらの脂肪は食事の30%を占めていました。食後ココナッツオイルが、あるリポタンパク質を穏やかに減少させたことを除いては、グループ間に優位な差がないことが分かりました。どの油も炎症マーカーを減少させなかったため、ココナッツオイルには心血管疾患のリスクを予防する効果はないと研究者たちは結論付けました(5)。繰り返しますが、そもそも既にこれらの人々の食事にココナッツオイルが潤沢に含まれており、被験者たちが既に適切な健康状態のベースラインにあることを研究者たちが考慮しなかったのですから、この結論は正しくありません!

ココナッツオイルは全般的な心血管の健康に効果がありますが、その効果の顕著さがより良く分かるのは、ココナッツオイルが不足している食事にそれが加えられた時です。もしココナッツオイルが食事に不足しているのでなければ、その効果は結果を劇的に改善することはありませんが、でも害になることも絶対にありません。



Coconut oil - What’s all the buzz?

パートIII:ココナッツオイルと脳の健康
By: Melvia Agbeko, BSc, ND

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Coconut oil and brain health ココナッツオイルには、特に神経プロセスと関係のある幾つかの他の用途があります。例えば、アルツハイマー病とてんかんとに一役買っていることが示唆されました。アルツハイマー病は最も良くあるタイプの認知症で、通常50代に発症します。この神経疾患は短期記憶に影響する傾向があるため、それが進行するにつれ日常活動にも影響を及ぼす可能性があります。患者の病気が進行するにつれて、錯乱、短気、気分の振れそして時には暴力的な振る舞いを経験するのも良くある事です。ある調査では、ココナッツオイルがアルツハイマー病で見られる認知の衰えの緩和を助けるために医用食品として用いられ、薬剤と組み合わせた中鎖トリグリセリド(MCTs)が、認知機能スコアを著しく改善する事が分かりました(1)。しかし、認知が衰える原因があまり良く分かっていないため、ココナッツオイルがどのように認知を改善する助けとなるのかも同様に良く分かっていません。別の調査では、アルツハイマー患者にMCTsを与えると認知機能スコアおよび再生課題(訳者注:認知機能評価に使用される心理検査の一つ)が改善することが、分かりました(2,3)。更にもう一つの調査でも、MCTsを与えると痴呆が軽減し生活の質が改善しました(4)。そのメカニズムはあまり明らかではないものの、MCTsがケトンに変換されている可能性があります。このケトンはブドウ糖の代わりに脳の燃料として使われます(4)。つまり、アルツハイマーにはケトン症(訳者注:ケトン体が異常に増えること)の原因となる脳のブドウ糖代謝の減少を伴う傾向があり、結果として起こるケトン状態はもう一方では、アルツハイマー患者の認知を改善する何らかの効果があるのかも知れません。

同じ文脈で、MCTsはてんかんの治療にも使われてきました。てんかんでは脳の神経細胞の異常な励起が起こり、それにより脳の電気化学的な活動が変わります。これは、行動の変化から筋肉の痙攣あるいは全身のひきつけすら起こします。ケトジェニック食(訳者注:ケトン体を生成するような食事)というのは、てんかん治療を助けるために使われてきた高脂肪・低カロリーのオプションです。神経学的機能に対する効果を期待しつつ、この食事でケトン症の状態を作り出そうとしているのです。この食事は長い時間をかけて修正され、今ではMCTsを含んでいますが、それはMCTsが著しい効果を発揮することが分かったからです(5)。このMCTケトジェニック食は、特にてんかんの子供の発作を減らすのに役立ち、古典的ケトジェニック食に比べてもひけを取ることはありませんでした(6)。

ココナッツオイルの役割は神経システムだけにとどまりません。ココナッツオイルは乾燥肌に対しても良い結果を示しましたし (7)、ダメージを受けた髪にも効果があります(8)。ココナッツオイルは、ヒマワリ油や鉱物油とは異なって、毛幹に浸透する力があるため、タンパク質の減少を防ぎます(8)。ココナッツオイルは、多数の化粧品の配合物にも使われており、防虫剤を調合する際にベース・オイルとして使うことが出来ます(9)。私自身、ココナッツオイルは自家製防臭剤のベースに使ってさえいます。

繰り返しますが、ココナッツ油はきわめて用途が広く効果の高い油です。パートIVでは、使用上の注意と服用量について検討します。



Coconut oil - What’s all the buzz?

パートIV:ココナッツオイルの服用量と安全性
By: Melvia Agbeko, BSc, ND

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Dosage and Safety これまで見てきたように、ココナッツオイルは心血管の健康から神経学的補助や体重管理そして日々の美容までに至る広い範囲の関心事に対して効果を発揮する可能性があります。ココナッツオイルの中に含まれる中鎖トリグリセリドは体に容易に吸収され、体の複数の目的のために働きます。

使用上の注意

ココナッツオイルは歴史的に幾つかの文化圏で使われてきましたが、その潜在的な用途についてのエビデンスは今も増えています。ココナッツオイルは非常に安全で、他の薬剤と組み合わせて用いることで治療に付加的な効果をもたらすことが可能です。ココナッツオイルは、米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)により無有害成分食品合格証(GRAS: Generally Recognized as Safe)と承認されており、ココナッツオイルを使用することについて“公衆に対する危険を疑う合理的根拠”のないことを、エビデンスが示唆しています(3)。

服用量
内服で
高コレステロール
減量
てんかん
糖尿病

30mLまたは小さじ2杯までの量を6-12週(1)
外用として 局所に一日二回塗布


副作用

経口では耐性が良好です。最も良く見られる副作用は、油の高含有が原因の下痢と胃腸の不調です。大変希ではあるものの、ココナッツに対するアレルギー反応・感受性の可能性があります(4)。

結論として、ココナッツオイルは健康に関する複数の関心事に対して安全で効果の高い介入です。ココナッツオイルは、内服および局所に外用して用いることが可能で、子供や妊婦そして授乳中も安全であると見なされています。ココナッツオイルは心臓の健康とコレステロールの代謝の調整を助け、神経システムを防御する作用があります。薬や食べ物との相互作用は知られておらず、より健康になるために必要なのは一日小さじ二杯のココナッツオイルだけです!