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健康と自然

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健康と自然

by: Dr. Monique Aucoin, BMSc, ND

Justine Blainey Wellness Centre
220 Wexford Rd
Brampton ON L6Z 4N7

Phone: 905-840-WELL (9355)
http://www.moniqueaucoinnd.com/



Health and Nature - Surprising Effects

現状

今週あなたはどれくらいの時間を野外で過ごしましたか?多くのカナダ人やアメリカ人の答えは“多くはない”でしょう。現在、北アメリカ人は一日の95%を室内あるいは乗り物の中で過ごしています。加えて、そのような時間の多くをテクノロジーと関わって過ごしています。平均的な子供が野外での活動に費やす時間は、一日につき6分で、コンピューターを使う、あるいはテレビを観ている時間は6時間です[1]。過去50年の間に緑の空間で過ごす時間は50%減少しました。日光に反応して皮膚中で合成されるホルモンであるビタミンDが、北アメリカ人の77%で不足していることは驚きではありません[1]。しかし、もしこれら全ての人たちで見逃されている何か、例えば“ビタミンN”のようなもの、があるとしたらどうでしょう?

自然の中で過ごす時間は、物理的および精神的の両方において、私たちの健康に極めて重要な役割を果たしているという仮説を支持する研究が急速に高まっています。インドの医療体系であるアーユルヴェーダの伝統的な治療者や漢方医学では、医療の一形態として自然に親しむことが、歴史的に支持されています。有名なアメリカのナチュラリストで自然保護活動家のジョン・ミアーは、1800年代後半に、人の精神的なウェルビーイングのために、現代文明から離れて自然とつながりを持つための時間を過ごすことを提唱しました[2]。 これは直感的であり、また何世紀も実践されている一方で、西洋医学がこのことに注目し始めたのはほんの最近のことです。1984年には、胆嚢の手術から回復中の人々の病室が廊下のどちら側にあるかによって回復時間や鎮痛薬の使用が異なることが、ある研究者によって観察されました。片側は木々を見下ろしていたのに対して、もう片側は壁に面していました[2] -非常に好奇心をそそられます。

自然に触れることが私たちに影響を及ぼすメカニズム、その影響の大きさ、そして正確な作用を理解する方法が、科学技術によって明かされつつあります。例えば、異なる画像を見せられた被験者の脳の活動には変化があることが観察されています。都会の景色の画像を見る際、ストレスや恐れに関連する脳の部位が活発になります。それとは対照的に、自然の景色を見ると安定感や愛情に関連する脳の部位が活性化するのです[2]。


Effects of Nature on Physical Health 自然が身体の健康に及ぼす作用

自然の中で時を過ごすことが私たちの身体的健康に及ぼす効果は、広範で非常に大きいもののようです。自然との触れ合い介入は血圧および血糖の低下、免疫機能の改善、そして肥満の減少と関連しています[2]。個々人の健康への影響の大きさが段々と知られるようになって来ました。ある研究では、トロント市の二組のデータを比較したところ、通りに植えられている木々の本数と住民の健康との関連性が認められました。収入、年齢、そして教育といった要素を説明した後に、一つの通りにつき木が10本多いことは、住民が健康だと感じる感じ方に1%の改善と関連がありました。これは、大したことではないように聞こえるかも知れませんが、同様の改善を達成するために調整しなければならない年齢は7歳若いものです。このデータは同様に、より多くの木とより少ない心疾患、卒中、そして糖尿病との関連を示しました[5]。


Effects of Nature on Mental Health 自然が精神的健康に及ぼす作用

私たちは、自然と触れ合うことは認知的および感情的なウェルビーイングにも影響することを知っています。幾つかの研究によると、ストレス評価および不安や抑うつ症状の改善、衝動コントロールの改善、認知機能の改善、成人では職場でのパフォーマンスの改善、子供では学業成績の改善、そして記憶と集中力の改善が明らかにされました。創造性、好奇心、そして問題解決能力の改善についてのエビデンスも認められました[2]。

スタンフォード大学で行われたある最近の研究では、芝生あるいは交通量の多い高速道路脇での90分のウォーキングを比較したところ、脳スキャンによる調査結果に有意な際が見られました。自然と触れ合うことは、反すう(否定的な感情を繰り返し注目する)時に活性化する脳部位の活性の低下と関連がありました[4]。

自然と精神的健康に関するもう一つの魅惑的な研究分野は、土壌に含まれる微生物に関するものです。最近では、善玉バクテリアと健康的な気分との間の関係に関する研究が多数あります。マウスを使った研究では、良く有る無害な土壌中のバクテリアに接触すると、うつ病測定に用いられるテストのスコアが改善することが分かりました。この結果は、人々に、気分障害の治療の一部として自然の中や園芸をして時間を過ごすといった、“手を汚す”アクティビティを求める根拠となりました[2]。


How to Incorporate Into Your Life どうやってあなたの生活に取り入れるか

この強力な介入についての素晴らしい朗報は、全ての人がこれを利用可能であり、お金もかからないということです。自然との触れ合いを生活に取り入れるための多数の方法がありますが、これには、分譲地や商業区画ではなく、公園、森林、保護区のような自然環境の中を選んで歩く、野外で昼休みを取る、そして野外の眺めがある窓に面した場所に座るといったものがあります。園芸のような(バルコニーに一つプランターを置く、友達の庭で雑草取りをする、といったことですら)自然と触れ合う方法も考慮してください。

あなたはこのようなアクティビティはそれほど好きではないかも知れませんが、実際それは問題ありません。ミシガンで行われたある研究では、自然の中のウォーキングに伴われる記憶や注意の高まりの程度は、楽しさについては1月のグループの方が小さいと感じられたにも関わらず、6月と1月のウォーキングのグループの両方で等しいことが示されました。

同様に、この介入は一回の分量が重要であることから、より長時間、自然と触れ合う機会を考慮してください。ある研究では、自然の中で二日間過ごすと白血球が50%増加し[2]、もう一つの研究では自然の中で三日間過ごすと創造性が50%高まる[5]ことが分かりました。これに相当するアクティビティは、州立公園でのハイキングやキャンプ、あるいは野外で過ごすバケーション計画かも知れません。

あなたの時間の多くを自然の中で過ごすために、全ての注意を傾けてください。私たちの感覚を組み合わせることで自然で過ごすことの利益を十分に享受できます。多くの研究で、自然の音、画像、匂い、そして身体的な感覚の作用についてのメカニズムが特定されました[2]。これら全てを理解するためには、スマートフォンやヘッドフォンは家に置いてこなければなりません。また、自然の中で過ごす時間は、マインドフルネス(認知や感情に更に良い効果を得るために今現在の瞬間に注意を払う習慣)や(身体および精神に更に効果的な)運動と組み合わせることが可能です。