食物過敏症－食物過敏症について知っておくべきこと

はじめに

多くの人たちが食物過敏であることを知らずにすらいるのをご存知でしたか？特定の食物を酷く不快に感じる人たちがいる一方で、摂取した食物の量に応じた軽度の症状を経験する人たちもいます[1]。食物過敏症は体の中で様々な異なった方法で現れるため、異なる二人の人が必ずしも全く同じ症状であるとは限りません。幸いなことに、全ての食物過敏症が慢性ではないのが救いです。

人々が特定の食物に反応する理由は様々です。幾つかの主要な原因は、まず遺伝によるものです。例えば、セリアック病が小腸のグルテン、とりわけグリアジン（グルテンのタンパク成分）に対する過敏症であると考えてみて下さい。セリアック病の人たちでは、吸収力のある小腸表面はグルテンに晒されると損傷を受けます。そのような人たちは、グルテン除去食を取り入れると最も調子が良いのです[2]。

環境および生活習慣の要素も考慮するのが重要です。ストレスは消化システムを大きく混乱させ[3]、腸管の構造や本来の働きに対して酸化および損傷を引き起こします。消化管は複雑で、上皮バリアー、密着結合、それに加えて“善玉”バクテリアの共生的な細菌叢で構成されています。ストレッサーはこの厳重に統制のとれたシステムのバランスを崩す原因となり、体に良いバクテリアの数を減少させます。良いバクテリアは病原体から体を守り、免疫システムを維持し、そして健康的な体重を管理するために重要です。可能な限りストレスを取り除き、ストレスに対処するのに役立つ効果的なテクニックを学ぶことは、消化システムに良いだけでなく、全体的な健康およびウェルビーイングに良い影響を与えるでしょう。その一方で、抗生物質のような薬の使用は腸管内の良いバクテリアを枯渇させ、食物過敏症の発症の原因となるかも知れません[4]。

食事も同様に重要です。私たちが摂取するものは、体に直接の影響を与えます。多くの食物は体内に炎症を作り出し、腸管の構造に好ましくない変化やダメージを引き起こします。炎症性食物の数例には、砂糖、乳製品、そしてアルコールといったものがあります[5]。抗炎症性の食事を取り入れることで、消化管の健康の保持を助けることが可能です[6]。あなたの自然療法医に会い、これらの適切な食事の見直しを行う方法を学んで下さい。

食物過敏症は遺伝、環境、生活習慣、そして食事の要素に基づいて発症するようです。腸のバリアーに透過性が生じる時、未消化の食物粒子がバリアーを通り抜け直接血流に入り込み、免疫反応を誘発します。免疫反応は炎症性メディエーターを呼び込み、それが体の組織内に炎症を引き起こします[1]。更に、免疫システムは異物侵入の記憶を形成するため、体はその食物が再度現れる度に攻撃を続けます。これが食物過敏症の症状の原因です。

食物粒子の通過は腸の過透過性、あるいは“漏れる腸”としても知られています。胃腸管内の毒物および炎症性メディエーターが体の他の部位へと“漏れ”て、その結果として慢性疾患および自己免疫疾患がもたらされます。 漏れる腸が原因となる病態には、炎症性腸疾患、慢性疲労症候群、そして異なる亜型の関節炎といったものがあります[7]。

食物過敏症の一般的な兆候および症状の一部を挙げると、湿疹、腫脹、お腹の痛み・痙攣、消化不良、便秘、関節痛、頭痛、疲労、もうろうとした頭、そして気分の揺れといったものがあります。通常、食物不耐性のある人たちには上記症状のうちの全てではなく、ほんの幾つかのみが現れます[1]。

他の健康上の懸念が似通った症状として現れる可能性のあることを、心に留めておくことが大切です。ですから、あなたの懸念の根本原因に取り組むために、自然療法医のような資格のある医療専門家の診療を受けることが勧められます。

食物過敏症および食物不耐性を評価するのに通常自然療法医が使う二つの方法があります。除外食がその一つで、これは抗炎症性の食事を3-4週間の期間摂取し、次に個々の食品を一度に一つずつ徐々に再導入し、体がその食物にどのように反応するのかを監視します。他方で、食物過敏症検査は、即座の食事の見直しは必要としません。この検査で過敏症が陽性となる根拠は、食物の抗原および抗体の有無です。食事の見直しは検査結果に引き続き検討されます。

多くの人々が食物過敏症および食物不耐性に悩んでいます。症状の原因に気付いていない人たちもいます。症侯学に基づくと、食物過敏症検査はあなたに適しているかも知れません。検査が望ましいかどうかを判断するために、自然療法医の診療を受け、食物過敏症について更に学んで下さい。適切な治療プロトコルは、患者さん一人一人の結果に基づいて得られ、腸管の治癒と過敏症の最小化とにあなたが近づくことを可能とするでしょう。