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筋萎縮性側索硬化症-自然療法的概観

NPC COLLABORATOR
ND

21 November 2014
日本語

 

ルー・ゲーリック病としても知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS: amyotrophic lateral sclerosis)は、筋衰弱、まひ、重い物理的機能障害を引き起こす進行性の神経細胞死が特徴の神経筋疾患です[1]。おおよそ2,500-3,000人のカナダ人が現在この命にかかわる病気と共に生きています[3]。筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロンの疾患の一種で、この病気にかかると話すこと、嚥下(飲み込むこと)、呼吸すること、そして歩くことが困難となります[2]。筋萎縮性側索硬化症の原因は大半の場合は不明で通常60代の人たちに罹患しますが、もしこの病気の直接の遺伝があるなら5-10%の場合は50代で罹患します[1]。早期の兆候のいくつかとその症状とには、下肢、足、足首および手の脱力、筋肉のけいれんおよび引きつり、ろれつが回らない、また良い姿勢の保持、歩行や嚥下の困難といったものがあります[3]。この疾患は通常、手、足、腕や下肢から始まり、追って体の他の部分に広がります。体の筋肉が段階的に衰弱しますが、膀胱と排便管理、性機能および感覚には通常何の影響もありません。

筋萎縮性側索硬化症の原因は不明ですが、可能性がある原因のいくつかは、遺伝子突然変異、化学的不均衡や免疫反応の異常といったものです[2]。遺伝子突然変異は、筋萎縮性側索硬化症の遺伝の原因です。それに加えて、筋萎縮性側索硬化症の人たちの大半には、グルタミン酸塩と呼ばれる化学メッセンジャーのレベルの上昇が見られますが[2]、これはいくつかの神経細胞に有毒で、細胞死を引き起こします。さらに、筋萎縮性側索硬化症は、自分の免疫システムが自分自身の細胞を攻撃した結果かも知れません[2]。筋萎縮性側索硬化症を発症する確率を高めるような、いくつかのリスク因子が存在します。これらには、家族性筋萎縮性側索硬化症の両親を持つ子供でこの病気の発症リスクが50%の確率であることから遺伝、年齢が40-60歳であること、(年齢65歳未満の)男性であること、喫煙、そして仕事場における鉛への曝露といったものがあります[2]

筋萎縮性側索硬化症の80%の人たちが診断から2-5年以内に命を落とし、10年以上生存するのはたった10%です[3]。毎日のようにカナダ人が筋萎縮性側索硬化症で死亡します[3]。筋萎縮性側索硬化症には現時点で効果のある治療法や救済法がなく、この病気の人たちは、通常呼吸不全により最後に死に至ります[1]。世界保健機関によると、2040年までに神経変性疾患はカナダの死因第二位であるガンを上回ると予測されています[3]。この記事では、筋萎縮性側索硬化の症状に対する従来療法について概観し、精神的および感情的な支援について検討し、自然療法の選択肢を見て行きましょう。

従来療法 従来療法

筋萎縮性側索硬化症のような神経変性疾患は、進行性および不可逆のニューロン消失を特徴としています。生活の質を改善するために、この疾患の症状の管理を助けるための治療を利用できます。筋萎縮性側索硬化症の治療に用いられる主な薬には、リルゾール、バクロフェン、チザミジン(Tizamidine)、ベンゾジアジピン(Benzodiazipines)といったものがあります。リルゾールの作用メカニズムは大部分が明らかではありませんが、神経に作用して、脳内に存在するグルタミン酸塩の量を減少させることにより、グルタミン酸塩を介した過剰な興奮が原因の損傷を防ぐと考えられています[4]。長引く興奮は神経細胞に有害です。グルタミン酸塩は、受け側のニューロンの活性化を誘発させるために、ニューロンからニューロンへと伝達される神経伝達物質です。しかし、このメッセージを受け取ると、過剰な興奮を防ぐためにグルタミン酸塩は迅速に除去されます。複数の研究によると、筋萎縮性側索硬化症の患者たちに対して、リルゾールは適度の効果があり、おおよそ60日寿命を延ばすことが示されました[5]。リルゾールは12時間毎に50 mg、食間に服用することが推奨されています[5]。リルゾールは一般に耐容性良好ですが、吐き気、下痢や肝臓への損傷が起きる可能性があります。ですから、定期的な血液検査をして肝機能をモニターする必要があります[5]

対症療法が、筋委縮性側索硬化症に関連する筋痙直から来る不快感を緩和するのを助けるために行われるかも知れません。GABABアゴニストであるバクロフェンは、四肢および喉の筋肉のこわばりを緩和するのに用いられます。初期服用量は一日5-10mgからですが、最高一日200mgまで増やすことが可能です[5]。チザミジンはα2-アドレナリン受容体アゴニストで、いくつかの硬化症、脳卒中後そして筋委縮性側索硬化症の筋痙直の治療で広く用いられています[5]。副作用の可能性があるため、治療開始時の投薬量は就寝前2-4 mgと低く、それから次第に増やします。眠気、虚弱やめまいのような副作用のために、服用量が制限される可能性があります[5]。ベンゾジアジピンは効果的な鎮痙剤として用いられる可能性がありますが、末期の筋萎縮性側索硬化症患者では呼吸抑制という命に関わる副作用のリスクの可能性があります。さらに、あなたの担当医は、疲労、便秘、唾液分泌過剰や痰、痛み、抑うつや不眠といった筋萎縮性側索硬化症に関わる他の症状で助けとなる投薬治療を行ってくれるかも知れません。治療は人により大きく異なり、ですから自分に最適な治療法を決めるため、担当医との相談が必要です。

精神的および感情的な支援 精神的および感情的な支援

筋委縮性側索硬化症の神経変性は、精神的および感情的な状態に測り知れない影響を与えます。この病態は、人が知的な衰退に悩むことなく筋肉のコントロールを失わせるものです。筋委縮性側索硬化症の診断を受けたことを知ることは、その人とその家族の一人一人にとって衝撃的であることでしょう。拒絶、怒り、フラストレーション、孤独、悲しみ、恐れや喪失感のような強い感情を経験することは、正常で自然な嘆きのしるしです。嘆きの過程は、人生の教訓および対処を助けるスキルを与えてくれます[6]。精神的および感情的な格闘への旅は、時には実際の病気よりも辛いものです。このような否定的な感情にも関わらず、筋萎縮性側索硬化症を患い、家族や友人たちからの支援を受けている人たちは、生きようという彼らの意思を強めるのを助けるような人生の意味を、なおも見出しています[7]。人生には私たちの感情にマイナスの影響を与えるような困難が何回もありますが、それと同時にその困難に悩む人に彼あるいは彼女の人生を再確認させるのです。このような経験は、内面を認識しそれを信頼するのを学ぶために必要となるさらに深い認識を引き起こします。筋萎縮性側索硬化症を患う人の家族も、嘆きを経験します。ですから、家族にも喪失と向き合う時間が必要であることを認めることが重要です。サポートを申し出て、理解を示してくれるような友人たち、支援グループの人たちや自然療法医や職業カウンセラーたちは貴重であることでしょう。

自然療法医は、患者だけでなく嘆く家族たちの支援を提供するような他の形態の治療に伴うカウンセリングセッションを提供することができます。自然療法医学は、患者の治療に全体的なアプローチを用いますが、ですから物理的、精神的、感情的そして精神的な面を組み込みます。症状の管理および病気の進行を遅らせる事が治療の目的とされます。自然療法医は、患者を手引きし適切な生活の質を維持する力を与えます。必要なときには専門カウンセラーへの紹介が行われます。他人に手を伸ばし感情を表現するのを恐れないことは、強さの表れであり弱さではありません。死、ハンディキャップや自分自身の体に対するコントロールを失う事への恐怖は、筋委縮性側索硬化症を患う人たちの間では非常に一般的です。恐れは、私たちが肯定的に物事を見るのを妨げ、ですから愛を経験する障壁となる可能性があります。人生の意味および生きる強さを見出すことができる人たちは、ほぼ確実に恐れを征服するでしょう。

自然療法の選択肢 自然療法の選択肢

筋萎縮性側索硬化症には分かっている治癒法がありませんが、症状を縮小するために、そして悪化の速度を遅くするために、いくつかの自然療法の治療が用いられました。しかし、自然療法の治療の有効性を評価するために行われた研究の数には限りがあります。ですから、それらの治療法を開始する前にあなたの自然療法医に相談することが重要です。担当の自然療法医は、栄養カウンセリングに加えて生活習慣のアドバイスおよび病気が進行した際の支援を提供することができます。二、三の研究では、筋萎縮性側索硬化症および(重金属のような)環境要因との関連性が示されました[8]。この関連性に基づくと、解毒は筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くするのを助ける潜在的な治療かも知れません。いくつかの栄養サプリメントも何らかの利益があることが示されました。例えば、ある研究では定期的なビタミンEの利用が、進行を遅くすることに加えて筋萎縮性側索硬化症による死亡リスクの低下と関連していることが示されました。いくつかの小規模な研究でも、ビタミンE、膵酵素に加えて高タンパク低脂肪で低炭水化物の食事を実践は、筋肉量および筋力の喪失を減少させることが可能でした[9]。筋委縮性側索硬化症も酸化性ストレス(細胞の損傷)と関連性があるとされたことから、ビタミンCのような強力な抗酸化物質やグルタチオン注入は、筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くするのを助けるような効果のある治療法であるかも知れません。

特に、病気が進行すると嚥下が困難になるかも知れないことから、適切な栄養状態を担当の自然療法医に監視してもらい、脱水と栄養失調とを予防するよう計画することが重要です。適切な栄養も、筋萎縮性側索硬化症を防ぎ、あるいはその発症を遅らせるのを助けます。抗酸化物質(ルテインおよびβ-カロテン)が多く含まれる特定の食物には、ケール、コラードの若葉、芽キャベツ、ズッキーニ、卵の黄身、サツマイモ、ほうれん草、カンタロープ・メロンや緑色葉物野菜があります。より最近の研究でも、抗酸化物質のもう一つの候補かつ神経保護食物源として、スーパーフードのスピルリナが調査されました。最後に、あなたの自然療法医は、筋委縮性側索硬化症を予防し進行を遅くするだけでなく痛みを最小限に抑えるのを助けるような生活習慣の見直しについて推奨することでしょう。特に運動は、全ての患者にとって重要な治療ですが、個人の必要性に基づき優先されるべきです。現在の一般的な運動ガイドラインでは、(疲労するほどの教化訓練とは逆に)柔軟性を保持・高めるためのストレッチに加えて全ての主な関節の関節可動域訓練が推奨されています。精神的および感情的な支援と併せたこれら全ての対症療法の組み合わせにより、生活の質の改善をもたらすことを願っています。