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糖尿病

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糖尿病
By: Philip Rouchotas MSc, ND
Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
www.boltonnaturopathic.ca
info@boltonnaturopathic.ca


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パートI パートII パートIIIパートIV

Diabetes


パートI:定義、診断

糖尿病は、血糖(この糖はブドウ糖とも呼ばれています)を調節することができない結果として生じる慢性変性疾患の一つで、複数の器官システムに影響します(1)。糖尿病は、ますます多数の人々を罹患させていることから“21世紀の伝染病”と呼ばれてきました。今年は7%以上のカナダ人が糖尿病に罹患しており、ほぼ同数の人々が未だ診断されていないものの糖尿病であり、総計およそ13%のカナダの人口にのぼると見積もられています(2)。このシリーズもの記事では、最初に糖尿病の診断について議論し、続いて良くある、しかしきわめて重いこの疾患の管理を改善するために効果的なナチュラルな戦略について述べましょう。

糖尿病はインスリンホルモンの問題が原因で起こります。インスリンは、血糖が高い時にはそれを下げることで血糖を調節します。もしそれがコントロールされないと、高血糖値は血管、神経、眼、腎臓にダメージを及ぼし、四肢への本来あるべき循環を損ないます。もし血糖が何年もコントロールされなければ、様々な合併症が起こりますが、それらは心臓発作や脳卒中のリスク上昇、失明にさえ至る視力低下、腎臓損傷、脂肪肝、慢性神経痛、そして癌のリスクの上昇すら含みます(3)。

糖尿病は、I型とII型との2つのタイプに分類されます。両方ともインスリン活性の欠乏および血糖値上昇という結果を生みますが、現れ方は多少違います。例えば、I型は典型的に幼児期に始まり、β細胞と呼ばれるすい臓中のインスリン分泌細胞に免疫介在性の崩壊が起こります。体自身の免疫システムがこれらの細胞を攻撃し破壊するために、インスリンを生産することが不可能となります。このような人々は血糖の正常値を維持するために、毎日のインスリン注入と血糖値の慎重な監視が必要です。

II型糖尿病は通常成人に起こり、免疫過程を巻き込むことはありません。その代わりにII型糖尿病では、細胞がインスリンに対して耐性を持つようになり、インスリンに正しく反応しなくなります。これは、たとえ体が血糖値を下げるためにインスリンを分泌しても細胞が血糖を取り込むような反応をせず、それにより血糖値が上昇したままになります。II型糖尿病は通常、メトフォルミンのような経口投薬によって管理され、一般的には病気がかなり進むまでインスリン注入は必要とされません。

糖尿病は、空腹時血糖値が7.00 mmol/L以上であるか、ブドウ糖負荷75gに対して注入2時間後に11.0mmol/L以上か、またヘモグロビンA1C値が6.5%以上といった幾つかの検査を通して診断されます(4)。ヘモグロビンA1C(HbA1c)は、過去3ヶ月の平均血糖値と相関のある血液マーカーです。血糖値は食物摂取に応じて急激に上下したり日毎にさえ変動したりしますが、HbA1cはより長期にわたる、でもごく最近の一定の期間の血糖値に関する貴重な指標です。このようにHbA1cが3ヶ月の平均を反映していることから、糖尿病がどれくらい良く管理されているかを医師が見極めるのに使われます。

以下のパートでは、食事とライフスタイルとの戦略および糖尿病を管理する助けとなる栄養補給剤について検討します。これらの戦略はI型糖尿病を治すことはできませんが、患者が糖をより良くコントロールするのに役に立ち、コントロール維持に要するインスリンの量を減らす可能性があります。II型糖尿病の患者にとっては、次の戦略は糖のコントロールを改善し、経口投薬のニーズを減らし、そして糖尿病の診断をひっくり返しさえするかも知れません。



Diabetes - A Naturopathic Approach

パートII:食事とライフスタイルに関する重要な考慮事項

by: Philip Rouchotas MSc, ND
Bolton Naturopathic Clinic
64 King St W, Bolton, ON L7E1C7
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Important Diet and Lifestyle Considerations パートIでは、糖尿病の診断について概観しました。パートIIでは、最適な糖尿病予防および管理の鍵となる、基本的な食事とライフスタイルとの戦略について検討します。以下の戦略のための文脈を提供するために、最初に画期的な二つの糖尿病研究についてお話ししましょう。

2001年、New England Journal of Medicineが草分け的なフィンランドの調査を発表しました(1)。研究者は、糖尿病前症(ボーダーライン高血糖値)にある平均肥満度指数(BMI: Body Mass Index)31の太り過ぎ中年被験者522人について調査しました。これらの被験者は無作為に治療群または対照群に入れられ、テスト戦略により完全な糖尿病への進行を防げるかどうかが確かめられました。現在は糖尿病予防プログラムとして知られているこのテスト戦略は、体重や総脂肪摂取量および飽和脂肪摂取を減らすと同時に食物繊維の摂取と運動とを増やすのを目的とした、個別カウンセリングによる包括的な食事とライフスタイルのプログラムです。3年後、対照群の23%が糖尿病になる一方で、治療群の被験者の11%が糖尿病を発症しました。このプログラムを行った被験者は、対照群と比べて糖尿病進行のリスクが58%減少しましたが、これは3-4 kg(7-10 lb)の適度の減量と関連していました。

翌年には同様にアメリカでの類似した調査がNew England Journalに発表されましたが、ここでは同じような食事とライフスタイルのプログラムが、メトフォルミン投薬あるいはプラセボと比較されました(2)。この調査には3200人以上の患者が参加しました。最初の調査と同様に、食事とライフスタイルのプログラムはプラセボや投薬よりも、糖尿病発症のリスクを減らす効果が高かったのです。メトフォルミンはプラセボに比べて糖尿病を31%減少させたのに対して、ライフスタイルへの介入は糖尿病発症率を58%減少させました。

これらの調査は、特に、既に糖尿病前症の患者が包括的な食事とライフスタイルの変化とのプログラムを通じて糖尿病を予防できることを初めて明らかにしたという理由により、非常に重要です。更に、フィンランドの調査のみが、被験者の食事やライフスタイルへの提案に対する遵守度を評定した唯一のものでした。被験者がプログラムを守る際にどのくらい遵守しているかを分析すると、プログラムを通じて5つ中4つのターゲットを達成した人たちには、糖尿病の事例が生じることはありませんでした。

これらの調査でのターゲットは
1. 当初の体重の5%減量
2. 脂肪の摂取<エネルギー摂取の30%
3. 飽和脂肪の摂取<エネルギー摂取の10%
4. 食物繊維の摂取>=1000 kcalにつき15g
5. 運動>週4時間

これらのターゲットに加えて、地中海式食事パターンに類似する食事を守ると、糖尿病の発症リスクを減らす(3)のに加えて、現に糖尿病である患者の血糖コントロールを改善し(4,5)、心臓病のリスクを減らす(6,7)ことが再現性を持って示されました。とりわけ、今や有名なリヨン心臓病患者調査では、地中海式食事が心臓病罹患者の合併症を減らすのが可能であることが分かりました(8)。

最後に、25-45%の炭水化物から成るより低い炭水化物の食事法を実行することは適切であると考えられています(9,10)。この食事はアトキンスダイエットのような超抵炭水化物ダイエットとは確実に異なり、しばしば55-60%以上の炭水化物で構成される典型的なカナダ人の食事よりも若干低いことを心に留めておくのは大切です。

パートIIIでは、糖尿病の治療における主要な “処方食品“について検討します。



Diabetes - A Naturopathic Approach

パートIII:糖尿病と“処方食品”

by: Philip Rouchotas MSc, ND
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Diabetes and “Prescription Foods” パートIIでは、地中海式食事パターンのような食事とライフスタイルとの戦略が糖尿病の予防と管理に及ぼす強力な影響について論じました。パートIIIでは、特定の“処方食品”の役割について概説します。初めのうちは分かりにくいものの、この用語は単に食品を薬として用いることを文字通りに表すための呼び方です。ある食品が毎日一定分量(つまり服用量)摂取されると、血糖や血圧、そしてコレステロールを低下させるといった特定の治療効果を及ぼすことが分かりました。

このような素晴らしい食品の首位は、非加熱のエクストラバージンオリーブオイルです。オリーブオイルは地中海式食事の中心的な食材で、地中海式食事が心臓に及ぼすプラス効果の理由の一部であると考えられている、健康的なモノ不飽和脂肪酸および抗酸化ポリフェノールを含んでいます。オリーブオイルは、それ単独で一日に小さじ2杯を摂取すると、血圧、コレステロールそして血糖を低くすることが示されました(1,2,3)。同様に、エクストラバージンオリーブオイルは酸化性のダメージを防ぐ可能性があります (4)。それというのも、コレステロールの酸化は心臓病発症に不可欠な一段階であるため、オリーブオイル中のポリフェノールの抗酸化作用がコレステロールの酸化を防ぎ、その結果として心臓病を予防するかも知れないからです。ポリフェノールの含有はオリーブオイルが最高であることから、エクストラバージンオリーブオイルを用いることはきわめて重大です(4)。

その次に重要な処方食品は生のナッツ類です。ナッツ類は、血糖値の安定を助けるタンパク質、不飽和脂肪、そして複合糖質を含んでいます。カップ4分の1のナッツ類の摂取は、アーモンド、クルミもしくはピスタチオ14個分と同等ですが、血圧を下げ、ストレス性の血圧上昇(心臓病を発症させるリスクの一つ)を軽減し、コレステロールを下げ、そして最後に血糖を下げることが示されました(5,6,7)。糖尿病患者では、12週間毎日アーモンドを摂取すると、食後の血糖値のスパイクが30%も減少し、ヘモグロビンA1C値が4%改善することが示されましたが、空腹時血糖濃度には影響がありませんでした(7)。

ブラックチョコレートは多くの人にとって大好きなごちそうであるだけではなく、入手可能な最良の抗酸化物質(カカオの中に存在するフラボノイドによる)の一つでもあります(8)。ブラックチョコレート(少なくとも70%)を摂取すると、動脈機能に作用して血流をより“スムーズ”にし、動脈壁への損傷を減らし、アテローム性動脈硬化症や“プラーク”のプロセスを遅め、それらにより高血糖値で起こる血流の変化を改善することが示されました(9)。同様にブラックチョコレートは、一酸化窒素濃度を上げることにより血圧を低め、そして体のインスリンに対する反応を改善することが示されました(10,11)。

ブラックチョコレートの次、入手可能な二番目に良い抗酸化物質はベリー類です(12)。ベリー類は、コレステロールを減らし、コレステロールの酸化を減らすことが示されました(13,14,15)。糖尿病前症患者では、ブルーベリーが体内のインスリンの機能を改善することが示された(15)のと同時に、糖尿病の患者では、ブルーベリーが血糖値を低くすることが示されました(16)。ザクロジュースにも同様の効果があることが示されました(17)。

エクストラバージンオリーブオイルの摂取、生のナッツ類、ブラックチョコレート、ベリー類、そしてザクロジュースは、血糖、血圧、そしてコレステロールといった糖尿病の患者にとって重要な治療のターゲットを改善することが示された、強力な植物主成分のポリフェノールを有しています。パートIVでは、厳選した栄養補給剤の使用について検討します。



Diabetes - A Naturopathic Approach

パートIV:糖尿病における補足的考慮事項

by: Philip Rouchotas MSc, ND
Bolton Naturopathic Clinic
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Supplemental Considerations in Diabetes 食事とライフスタイルそして“処方食品”に加えて、選り抜いた栄養補給を用いることにより糖尿病の管理や、高血圧、心臓病のリスク、そして眼疾患のような糖尿病関連のリスクを更に改善できる可能性があります。パートIVでは、魚由来のオメガ3脂肪酸(つまり魚油)、ビタミンD、ハーブのハイビスカス、そしてコエンザイムQ10の効果について検討します。

魚由来のオメガ3脂肪酸である、エイコサペンタエン酸(EPA: eicosapentanoic acid)とドコサヘキサエン酸(DHA: docosahexanoic acid)とは、特に高リスクの人々の間における心臓病のリスクを低める効果により、最も良く知られています。たぶん、心臓病に及ぼす魚油の効果について最も良く知られている調査は、イタリアで行われてLancet medical journalに発表されたGISSI-Prevenzione試験でしょう(1)。この調査では、1gのEPA+DHAが3年半の間、心臓発作から回復した患者に投与されました。魚油は、その投与を受けなかった患者と比べて、心臓病による死亡について30%に至る減少をもたらしました(1)。

ビタミンDは、糖を下げる作用があると思われている新興の栄養素です。例えば、ビタミンD欠乏を4000IUのビタミンD補給で是正することにより、糖尿病前症の患者のインスリン機能を改善します(2)。糖尿病もしくは糖耐性を害した患者を対象としたビタミンD補給についての2012のあるメタ・アナリシス(訳者注:先行研究からのデータを全て合わせた一連の強力な研究)では、空腹時血糖へのわずかな効果(-0.32 mmol/L)および体内インスリン機能の少しばかりの改善を示しました(3)。カナダ人の間ではビタミンD欠乏が普及していることを考慮に入れると、ビタミンD補給もまた、妥当な栄養状態を維持するために良い考えです。

ハイビスカス(Hibiscus sabdariffa)は、伝統的には中東でお茶として用いられてきたハーブです。最新の調査では、ハイビスカスが血糖、血圧、そしてコレステロールを改善するという、実に印象的な代謝的効果のプロファイルを有することが示されました(4,5,6)。ハイビスカスは、収縮期血圧を10ポイント低くし、初期段階の高血圧治療薬に匹敵することが示されました。血圧とコレステロールとは心臓病の重要なリスク要因であることと、糖尿病の患者は心臓病のリスクが高いこととを考慮すると、ハイビスカスは糖尿病管理を助けるのに役立つ戦略であるかも知れません。

コエンザイムQ10は、血圧に対してゆるぎない効果を有する栄養補給剤です。血圧は、上記のように心臓病のリスク要因であるだけでなく、眼疾患や腎疾患のような他の糖尿病の合併症のリスク要因でもあることから、糖尿病の患者にとって重要なターゲットです(7)。研究では、60から200mgの間のコエンザイムQ10の補給により収縮期血圧の10ポイント以上に至るまでの減少が見られました(8,9,10)。

最後に、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチンといった、植物が主原料の栄養素を主成分とした目や視力のサポートための総合的な処方を、網膜と網膜の血管への損傷を防ぐために、I型糖尿病や長年のII型糖尿病の患者に行うのは適切です(11,12)。600mg以上のαリポ酸は、末梢神経障害(糖尿病の慢性神経痛)の治療そして事によるとその予防になることが示されました(13)。

要約すると、食事とライフスタイルとの戦略をとり囲むようにして包括的なプログラムを作り、処方食品と栄養補給剤とを用いることにより、糖尿病患者の血糖管理を劇的に改善し、合併症のリスクを減少させることが可能です。