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不安 - いくつかの役に立つハーブ

NPC COLLABORATOR
ND

5 June 2014
日本語

 

 

不安とは

不安はきわめて一般的です。全ての人が実際、不安の症状を経験していますが、大半は短期的なもので問題とはなりません[1]。短期的に経験する場合、不安は私たち生存の良い側面かも知れません。例えば、不安のお陰で差し迫った危険に対して私たちが警戒するときがそうでしょう。これは特に、私たちが命を脅かす障害に直面していた過去の時代に役に立ちました。しかし不安はしばしば、睡眠、食事や生活習慣と同様に、私たち           の生活を乗っ取り、日々の活動を妨げ、外に出て他の人たちと付き合いたいという気持ちさえ失くさせます[2]。不安障害には、パニック障害、強迫性障害、そして様々な恐怖症のような、しかしこれらに限られない、多くの形があります。これらの不安障害は独特ですが、全て折り紙付きの同一の特徴があります。全ての不安障害に共通の最も一般的な不安症状は、不合理でかつ過剰な恐れ、恐れの感情と緊張感、そして日々のタスクの遂行困難です[1]。これら不安の症状は、比較的軽度から、心臓発作と誤解されるほどの重度まで、幅広いもので有り得ます。不安を感じる際に、動悸、息切れ胸の締め付け感、そして他の極めて激しい身体的症状が現れる人たちもいます[2]。不安の正式な用語は“全般性不安障害”です。

不安不安は上で挙げた症状の他にも、いくつかの深刻な健康上のリスクがあります。最近になって、不安は心臓に有害であるかも知れないことが研究により示されました。最近のある論文では、高いレベルの不安は、抑うつといった他のリスク因子とは独立して、卒中リスクの上昇と関連があることが示されました。最も不安が高い人たちは、最も不安が低い人たちと比較して、33%卒中によりなり易いのです[3]。不安の適切な評価および治療を行うことにより、多くの人たちの生活の質全体を有意に改善することができ、そして全体的な心血管の健康にも寄与する可能性があります。不安障害は、必ずしも幸せで生産性の高い人生の邪魔ではありません。この記事ではこれを受けて、不安を改善するのを助ける力のある選りすぐりのハーブ療法について論じます。イチョウ、イワベンケイ、セントジョーンズワート、そしてバレリアンについて検討しましょう。ハーブ療法は一般に安全ですが、副作用が起こり得ることを常に心に留めておくことが大切です。もしあなたがこれらのハーブのどれかをご自身でやってみたいとお思いならば、まず担当の医療担当者に話し、これらのハーブが自分に適切であることを確実にしてください。

イチョウとイワベンケイ イチョウとイワベンケイ

イチョウは、秋に素晴らしい黄金に変わる扇形の葉を持つ高さおおよそ30mの木です。イチョウの木は野生では希ですが、その順応性のある性質から都心で広く育てられており、皆さんのご近所のどこかにイチョウがあることでしょう。イチョウ木の葉が脳への血液循環を改善することから、伝統的医療では認知および記憶を高めるために使われていることが広く知られています[4]。予備的研究でも、この薬用植物が全般性不安障害の治療に有益であることが示されています。イチョウは、ドーパミンやセロトニンといった気分に関わるいくつかの化学伝達物質あるいは脳内化学物質に作用を及ぼします。ブラセボ対照臨床試験によると、イチョウ抽出物により不安の診断を受けた人たちの不安症状が有意に減少し、さらにイチョウが気分を改善させることも可能であることが立証されています[5]。イチョウは抗凝結剤や抗血小板薬と一緒に服用しないよう勧められていますが、一般に良好な安全プロファイルを持つこともこれらの研究では証明されています。さらに進んだ研究によると、イチョウは人口の非常に小さな割合の人々に対して頭痛、吐き気そして胃の不調を引き起こす可能性があることが示されました[6]。しかしイチョウのプラス効果はリスクの可能性に大きく勝っています。

イワベンケイは、長年の間、先住民により使われてきた薬効性のある植物です。この植物の伝統的な用途は、精神障害、圧倒的に不安症状の緩和です[7]。さらに最近では、全般性不安障害の患者たちを対象として、この植物の特性をさらに調査する研究が行われました。ある研究では、イワベンケイには抗不安作用があり、人々の精神状態に有意な影響を与え得るという結論が下されました。既にイワベンケイは記憶および男性の性的機能不全に対してプラスの効果があることで知られていますが、これらの特性の他に、このハーブはストレスの高い状況での保護として使うことが可能で、体が新しい障害に適応するのを助ける可能性があります。この理由から、イワベンケイはしばしば適応促進薬あるいは適応促進ハーブと呼ばれています。いくつかの研究では、ある一定期間イワベンケイによる処置を行った後、人々を臨床質問表に答えてもらうことにより評価したところ、不安のレベルが低くなることが報告されました。これらの研究期間中に、副作用が見られましたが、酷さは軽度から中程度に過ぎず、最も一般的な副作用はめまいおよび口の乾燥でした[8]。全体としてイワベンケイは、ストレスを緩和し不安を減少させるのに使うことのできる安全で効果的な植物薬です。乾燥ハーブ含有のカプセル、あるいはチンキ剤として提供されていると思われますが、このチンキ剤というのはアルコールベースのイワベンケイ抽出物です。

セントジョーンズワート セントジョーンズワート

オトギリソウとしても知られるセントジョーンズワートは、二千年以上にわたり不安の治療に使われてきました[9]。セントジョーンズワートは主に軽度から中程度の抑うつの治療に使われますが、副次的効果として不安を軽減することも示されました。不安障害の患者では、脳内のあるいくつかの化学伝達物質のレベルが低いことが示されましたが、それらは悲しみや不安の感情に寄与している可能性があります。研究では、セントジョーンズワートはこれらの化学伝達物質(セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン)の量を脳内で増加させることによって作用することが示されました[4]。これらの化学伝達物質を増加させると、気分、充足感、そして全体的な生活の質の改善をもたらす可能性があります。研究では同様に、セントジョーンズワートがストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させる一方で、脳内に本来存在している精神安定剤であるGABAの活量を高める可能性があることを示唆しています。実際、欧州での研究では、セントジョーンズワートの抗不安作用が、バリウムのような不安治療に用いられる薬剤のそれと同等であることが示されました[10]。それに加えて、セントジョーンズワートは副作用がより少なく、中毒性がなく、そして抗不安剤よりも安価です。セントジョーンズワートの最も一般的な副作用は日光に対する過敏症で、ですからもしこのハーブを服用するつもりならば、太陽の下で過ごす際には保護を利用するよう心を配ってください[9]

セントジョーンズワートは健康食品店や多くのドラッグストアで広く入手可能です。プラスの効果を得るために、オトギリソウ0.3%に標準化された製品を探してください(というのもこれが活性成分であるからです)。そして胃の不調を避けるために食事と一緒にこのハーブを服用してください。セントジョーンズワートは患者さんたちが軽度から中程度の不安に対処するのを助けるために使われます。これは、不安のレベルが生命活動や人間関係に大きな障害をあたえることはないものの、それが折に触れて厄介で、時には苦痛をもたらすかも知れないというレベルです。セントジョーンズワートは効き始めるまでに4-6週かかり、そして急性パニック発作、強迫性障害や心的外傷後ストレス障害を和らげるのには効果はないようです。ですから、もしあなたがセントジョーンズワートを試しているのならば、確実に十分な時間を取るようししてください、さもなくば、効果を見ることがないかも知れません。また、セントジョーンズワートは多くの一般的な薬剤、特に気分障害を治療する薬剤(例えばプロザック、ゾロフト、パキシル、セレクサ)と相互作用を持つ可能性があることに注意するべきです[9]。もしこれらの症状のいずれかが見られたり、これらのいずれかの投薬治療を行っていたりするならば、セントジョーンズワートを服用する前に担当の医療実践者に話してください。

バレリアンと結びの言葉 バレリアンと結びの言葉

バレリアンで最も良く知られているのは、その鎮静効果です。この理由から、バレリアンは不眠症の第一選択のハーブでもあり、そして抑うつおよび気分障害を治療するのにも使われてきました。時には、バレリアンを抗不安剤や睡眠薬をやめる助けに使う人たちもいます。このハーブの根は薬効があることから薬として使われますが、形は様々です。このハーブはお茶や経口薬の形で供されるかも知れません。バレリアン抽出物も、タブレットやチンキ剤という形で提供されており、単独および他のハーブや栄養素との組み合わせのどちらの形も見られます。バレリアンの有効成分はセスキテルペンおよびバレレン酸(valerenic acid)として知られており、特にこれらには鎮静作用があることが複数の臨床試験で示されました[11]。バレリン酸はGABAのレベルを上昇させるのを助けますが、GABAは確認されている通り、中枢神経システムの主要な抑制性神経伝達物質です。バレリアンは、体の中枢神経システムでGABAを分解する酵素を抑制することにより作用しますが、これによって鎮静効果をもたらし不安症状を低減します[12]。バレリアンの使用は、臨床試験ではいくつかの有害反応と関連性があるとされました。これらには、頭痛、消化不良、精神鈍重そして朝の眠気などがあります[13]。もしアレルギーであったり、何らかの投薬治療を受けたりしているならば、このバーブを試す前に担当の医療提供者に相談してください。

不安は多くの人たちにとって不利益で、胸痛のように深刻な多くの身体症状を引き起こしさえします。他の人たちにとって、不安は単に人生をそうであったであろうものよりも楽しくなくするものです。症状の種類および酷さは両方とも人によって様々です。私たちは不安の治療に使われる数々の一般的なハーブを検討しました。もしこれらのハーブのいずれかを用いることに興味をお持ちならば、資格のある医療実践者のケアの下で治療を受けることが大切です。わたしたちは、最も一般的な副作用についても確認しましたが、アレルギー反応や他の副作用が起こる可能性は常にあります。これらのハーブは薬剤や市販薬と相互作用をする可能性がありますので、皆さんの担当の医師はどのハーブがあなたに相応しいかを知らせることができなければなりません。ハーブは治療の一要素ですが、考慮すべき多くの付加的治療オプションが存在します。食事の変更、生活習慣の見直し、栄養補給、そしてカウンセリングも包括的な治療計画を構成する重要な要素です。個別化した治療計画は、あなた特有の状況に合わせられているので、いつでも理想的であり、ですから担当の医師にご自分が利用可能な選択肢について常に尋ねるようにしてください。