脳損傷－脳震とうについて

はじめに

脳震とうは外傷性脳損傷の最も一般的な形態です。毎年、年齢19歳未満の若者たち数千人が、病院の救急外来室でスポーツや他の娯楽アクティビティに関係する脳震とうの治療を受けています。脳震とうは一般に、自動車や自転車の事故や落下といった頭部の強打が原因で起こります。脳震とうの影響は通常一時的ですが、バランスと運動の感覚の働きに強く影響する可能性もあります^[1]。脳震とうは、視力の問題の原因や意識を失う原因となるかも知れません。症状は子供たちでわずかに異なり、興奮、不機嫌、過剰に泣いたり、食事や眠りのパターンが変化したりといったものです。

脳震とうには、生活の質に悪影響を及ぼすような多くの合併症があるかも知れません。たとえば、脳震とうを起こした人たちでは、怪我後5年以内のてんかん発症リスクが高くなります。いくつもの脳損傷による累積的な影響があり、これは人が機能する能力に大きく影響する可能性があります。‘脳震とう後症候群’と呼ばれる発症があるかも知れませんが、この病態は頭痛、意識朦朧や思考困難のような症状をあらわしています。以前、脳震とう後症候群を別の特集記事で議論しました。脳震とう後症候群は、脳震とうの後数日続く可能性がありますが、数週や数カ月続く人もあります。もし最初の脳震とうの症状が消散する前に次の脳震とうを起こしてしまったら、これは非常に危険で脳腫脹を引き起こす可能性があります。

この記事では、病歴、理学的検査と画像検査の可能性といった、脳震とうの診断プロセスを概観します。管理という視点から従来の勧告をおさらいし、症状を改善し完全な病気消散までに必要な時間を減少させるような、チュラルな治療法のいくつかについて検討しましょう。ナチュラルな治療法は、将来の脳損傷を予防するのを助けるためにも利用できます。特に、抗炎症治療および抗酸化物質の利用は、最も科学的裏付けのあるようです。医療専門家のチームを利用し、推奨に従うことは、最初の脳震とう後では特に直接の助けとなります。

脳震とうには異なる種類があります。それらは、あらわれる症状といった数々の要素により軽度から重度（グレード1から3）に分かれています。例えば、もし記憶喪失および平衡感覚の喪失があれば、より重症かも知れません。最も軽度の脳震とうでは、症状は最長1分しか続きません^[1]。重度の脳震とうにあるとき、人は意識を失います。

医師は、患者が経験している兆候および症状を評価することができます。医師は、怪我の性質に関するいくつかの事項について質問し、神経学的検査を行う可能性があります。視力、聴力や反射といった項目が検査されるでしょう。記憶および集中の検査を行うには、単語や画像を想起する能力を評価することのできる標準化検査を利用します。医療専門家は、特にもし嘔吐を繰り返すというような心配な症状が多いならば、何らかの画像検査も提案するかも知れません。CTスキャンは怪我の直後に脳を調べるための標準的な検査で、病院で行われるでしょう。X線やMRIも役に立つ可能性があります。特にMRIは脳内の出血を特定することができるため、より深刻な合併症の検知・予防を助けるために用いられるでしょう^[2]。

患者は一夜、（病院あるいは自宅で）経過を観察することが勧められます。これは症状が悪化しないことを確かにするために有用です。もし患者が子供ならば、子供が確実に正常に起きられるよう、両親は通常、子供を定期的に起こすようにと指示されます。最初の怪我の後、全ての機能が回復したことを確認するための追跡検査があるでしょう。同様の試験や検査は、時間が経つにつれて違いが出るかを確認するために繰り返されるかも知れません。

休息は、脳が回復するのに最善の方法です^[1]。これには、身体的および精神的両方の休息が含まれます。運動選手たちは特に、脳震とうの症状がある間は競技や精力的な活動に戻ってはいけません。その代わりに休みを取り、脳を回復させるのを助けるべきです。精神的休息の観点からは、ビデオゲーム、テレビやコンピューターを使うような、考えたり集中したりすることが必要となるアクティビティを休むことも含まれます。もし頭痛があるならば、（例えばタイレノールのような）鎮痛剤を用いることが可能です。アドヴィルやアスピリンは、出血のリスクを高め、ですから結果のリスクを高める可能性があるため、通常は勧められません。

休息や休みを取るのに加えて、脳震とうの繰り返しに対する防護策を取るよう、勧められます。繰り返す脳震とうは、（脳損傷、長期障害のような）累積的な影響を及ぼす可能性があるため、症状が消散するまでは通常の活動に戻ることは勧められません。スポーツやレジャーの活動中は防具を身に着けるというような保護策を取ることが可能です。ヘルメットや頭を守るものを、自転車に乗ったりスキーやスノーボードをしたりする際に身に着けることが、勧められます。運転中は、シートベルトが怪我を防ぐのに有用かも知れません。最後に、（特に患者が高齢ならば）定期的な運動は足の筋肉を強くし、バランスを改善するのに役立つ可能性があり、ですから転倒やそれに伴う脳震とうのリスクを低下させます。

スポーツでの脳震とうの予後のエビデンスを総合的に扱ったある研究では、回復の遅れは、脳震とう歴を持ち、脳震とう後の症状数と期間とがより大きい高校生の運動選手に、より起こり得ることが分かりました^[3]。これが、このトピックにおける最も新しいエビデンスのうちのいくつかであるにも関わらず、相変わらず、正確にいつ運動選手が運動を再開できるかについての完璧なガイドライン作成には至っていません。結果として、多くの医師たちは、たとえそれが大変長い時間かかったとしても、全ての症状が消散するまで待つようにと提案します。

自然療法的観点から考慮できる、多数の補完的および付加的な治癒療法が存在します。休息および休みを取るという勧告は守らなければなりませんが、治癒プロセスをスピードアップすることが可能な、あるいは痛みの助けとなるようなサプリメントが存在します。

炎症を減少させ、最適な栄養状態を助けるために、EPAおよびDHA（オメガ3脂肪酸）を利用することが可能です^[4]。オメガ3脂肪酸の一日当たりの服用量は、しばしば全体的健康のための推奨量ですが、外傷性脳損傷の人たちは、最適な消炎作用を得るために、さらに高い服用量が必須となります。クルクミンのような他のサプリメントは、神経細胞のエネルギーレベルの改善を助けることが示されました^[5]。クルクミンには非常に強力な抗炎症作用もあり、ですから脳腫張を予防するのを助ける可能性があります。神経伝達物質のアンバランスは脳震とうの結果として起こる可能性がありますが、このアンバランスが原因で起こる損傷を予防するのを助けるために、多くの抗酸化物質を補給することが可能です。これらには例えば、緑茶、レスベラトロル、αリポ酸やビタミンEといったものがあります。興味深いことに、これらの治療オプションの多くは痴呆の予防を助けるためにも推奨されています^[6]。その論理的根拠は、アミロイドβペプチド細胞毒性には酸化性ストレスが直接関わっており、抗酸化物質が保護的に働く可能性があるというものです。例えばビタミンEは、生体膜に存在する主な疎水性の抗酸化物質です。ビタミンEは脂質の過酸化およびカルボニル生成を防ぎ、細胞シグナル情報伝達経路の細胞内調整を促します。言い換えれば、ビタミンEは、起るかも知れなかった血管損傷を減少させたり予防したりすることが可能です^[6]。

自然療法医は、痛みがもしあるならばそれを軽減するのを助ける可能性のある他の広範な治療法を利用します。例えば、骨と関節とを正しく揃えるのを助けるために、頭部矯正や脊椎の徒手整復術が、より軽度の脳震とうで利用される可能性があります。代償機構の一部として起こるかも知れない筋肉の硬直を弛緩するのを助けるために、鍼を利用することが可能です。水治療法は血液循環の改善に役立つかも知れない治療の一選択肢ですが、これは怪我の老廃物を脳から移動させるのを助け、新鮮な栄養素を最も必要としている部位に送るのを助けます。自然療法の治療はパーソナライズされるため、もし他の症状があるならば、それらも対処されるでしょう。例えば、もし頭痛があるならば、頭痛の自然療法も何らかの利益があることでしょう。

全体として、脳震とうは極めて一般的で、軽度から重度までの範囲があります。実際に何が起こっているのかを見付けるために、多くの質問や検査が行われるでしょう。最善の勧告は、常に休息と休みを取るといったもです。出血のリスクを上昇させない限りは、痛みを助ける薬剤を使うことが可能です。怪我直後、今ある症状が改善し、新しい症状があらわれないことを確実にするために、患者たちは注意深く監視されなければなりません。回復時間をスピードアップするのを助け、将来の損傷を予防するのを助けるために、従来のアプローチに自然療法を加えることが可能です。