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男性の不妊症

Kendra Smith
BKin, Doula, ND
https://www.Kendrasmithnd.com
8 June 2015
日本語

男性の不妊症 - 治療としての鍼
ケンドラ・スミス・ホンズ・Bキン歯科医師、自然療法医師

ストーンツリークリニック
115 Hurontario St, Suite 200
Collingwood, ON

www.Kendrasmithnd.com



Male Infertility - Acupuncture as Treatment




はじめに

男性の不妊症は、精子の質と数とで測定されます。もし精子数が1mlあたり2億個未満ならば不妊症のリスクにあり、1mlあたり50,000個未満ならば不妊であると見なされます。一般に精液解析は光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡により行われます。女性の不妊症は医学上注目された話題でしたが、不妊方程式のもう半分である男性についてはどうでしょうか?イギリスでのある統計分析によると35%の男性が準不妊で、別の統計によると不妊症全体の20-50%を男性の不妊が占めるということです。このように、男性の不妊症の罹患率は実際に大きな幅がありますが、覚えて頂きたいのは、男性の不妊症はかなりのパーセンテージであり、恐らく大半の人たちが思っているよりも多いということです。この記事では、男性の不妊症と鍼とに焦点を当て、安全性、有効性、適切なツボ、頻度や期間について検討しましょう。鍼治療は精子数や運動性を改善し、ひいては男性の不妊症を改善するでしょうか?

男性の不妊症には前精巣および精巣のリスク因子が存在します。男性の不妊に共通のリスク因子の幾つかは、喫煙、アルコール依存症、性感染症、DDT農薬、精巣への外傷、そしてタンパク同化ステロイドです。不妊症の発症率は上昇傾向にあり、ですから効果的な補完治療に対する需要も増加することでしょう。この記事では、中国伝統医学の鍼という形態のナチュラルな治療オプションについて見てゆきましょう。鍼は、体のエネルギー経路を刺激して、体のエネルギーあるいは気の流れを増加させ、停滞やエネルギーの動きを止めているものを取り除きます。このテーマについての現在の医学文献の大半は、前向き研究とレビューです。これは、偽の鍼療法を行うことが難しいという事実や、異なるツボに鍼を施しても気の流れを増加させて患者に利益がもたらされるために対照群を設定するのが困難であるといった、多くの要素が理由です。


鍼と精子の質 鍼と精子の質

ガーフィンクル他(2003)によると、ある有望な対照盲険試験では、患者19人が無作為に10週間、鍼研究群あるいは(異なるツボに処置を受けた)対照群という2つのグループに振り分けられました(1)。一連の治療の前後で精液解析が行われました。結論によると、鍼およびモグサは、精子の数が少なく精子の運動率が低く正常形態の精子が少なく明らかな原因のない不妊患者たちにおいて、正常な形状の精子のパーセンテージを著しく増加させました(1)。これは勇気づけられる結果ですが、この研究にはいくつかの弱点があります。患者19人というのはグループの大きさとしては小さく、結果を全ての男性へと一般化するには数が少な過ぎる可能性があります。更に、対照群で異なるツボを採用したことで、気の流れを刺激することによって不明な形で間接的な患者への影響があったかも知れません。この研究では、正常な形状の精子が有意に増加することが分かりましたが、これは精子の数ではなく質に焦点を当てています。この小規模研究には幾つかの弱点がありましたが、全体としては、鍼を利用することによる男性の妊孕性増加についての良い方向への第一歩と言えるでしょう。


鍼と精子数 鍼と精子数

2000年に、もう一つの研究がテルアビブで行われ、鍼治療の精子濃度に及ぼす影響が調査されました(2)。先に私たちが見た研究では精子の質に焦点を当てていましたが、この研究では精子数を詳細に調べています。この研究グループは、無精子症の病歴のある患者20人で構成され、鍼治療前および治療一ヶ月後に彼らの精液のサンプルを光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で検査しました。対照群は無治療の男性20人で構成されましたが、彼らは研究群と同様の男性病学的プロファイルで、同じく2回の精液解析を行いました。無精子症患者のうち、67%が疑いなく精子数の増加を示しました(2)。無精子症患者15人のうちの7人では、射精一回あたり0から平均1.5+/-2.4 x 10の精子へと著しく増加し、治療後の精子数は光学顕微鏡検査でさえも検知可能でした(3)。研究群の生殖管炎症の男性たちでは、精子濃度に最も著しい改善が示されました。この調査の結論では、精子濃度が劣悪な男性たち、特に生殖管炎症の病歴の男性たちにとって鍼が有用な可能性があると述べられています(3)。同じく、もう一つの研究は男性不妊症のための鍼治療をプラス方向へと前進させましたが、この研究には幾つかの弱点がありました。この研究でも、参加者数が比較的少なく、一般大衆には適用できない可能性があるのです。また、対照群が鍼群と同様のプラセボ治療を行わなかったと批判される可能性があり、ですから、治療中に触れられることによる治癒や単なるプラセボ効果といったような鍼治療の他の面に帰する結果であるという議論の余地が生まれます。この研究の強みは、一貫して効果的な精子濃度測定方法および結果の正確な数値です。幾つかのグループで精子濃度が著しく増加したという事実は、この治療法の将来について大変心躍らせます。

私たちが検討しようとしている一番最近の研究はディーテールらによるもので、これは最初の前向き無作為盲検プラセボ対照試験で、鍼研究グループとして精子の数が少なく精子の運動率が低く正常形態の精子が少ない重度の不妊症患者28人、およびプラセボ鍼グループとして不妊症患者29人について調査しました。著しく高い割合の運動精子が鍼グループで観察されましたが、精子濃度や精子密度には何の影響もありませんでした(4)。この研究には多くの強みがあります。例えば、無作為、盲検そしてプラセボ対照であるという事実は、エビデンスを基礎とした医学研究ピラミッドにおいて、この研究を高く押し上げます。これらの二つの研究結果の間には幾つかの不一致があり、後者では精子の運動性に増加が見られたものの精子数には増加が見られませんでした。大量の文献を比較する際に一定量の不一致は予想されますが、男性の不妊症治療において鍼が有効であるかどうかという全体的な結論において、この不一致は大したものではないと個人的には考えています。


使われたツボ

ここまでに吟味した研究から、精子数および精子の質の両方は、鍼治療で改善する可能性があることが分かりました。イスラエルで行われた前向き対照研究では、鍼治療を受けた準不妊男性16人(週2回の鍼治療を5週間)および対照群の何の治療も受けていない準不妊男性16人が対象でした(5)。測定方法は、拡張精液解析で、これはルーチンの解析と超形態学的観察とで構成されます。治療前および治療1か月後に、精液のサンプルが解析されました。その結果、軸糸が損なわれず、精子の運動性が大きく改善し、それによって受胎率が著しく増加したことが示されました。精子の活性減少が原因の生殖力の低い男性たちには鍼治療が良い可能性があります(5)。もう一つの前向き対照研究では、精子の質、特に精子の超構造的完全性が改善することが分かりました(6)。この研究では、特発性不妊症の男性40人中28人が週二回の鍼治療を5週間受けました。Guan yuan (Ren 4)、shen shu (UB 23, bilateral)、ci liao (UB 32, bilateral)、tai cong (Liv 3, bilateral)、そしてtai xi (KI 3, bilateral)といったツボが主に用いられました(6)。二次的なツボには、zhu san li (ST 36, bilateral)、xue hai (SP 10, bilateral)、san yin jiao (SP 6, bilateral)、gui lai (ST 29, bilateral)、そしてbai hui (Du 20)といったものがありました(6)。透過電子顕微鏡法のデータを用いた統計的な評価によると、鍼治療後、総精液中における超構造的欠陥を伴わない精子の割合および数に、統計的有意な増加があることが説明されました。


結論

この記事で紹介した研究解析および総合情報は、男性の不妊と鍼についての研究および医学的分野に望みと励ましとをもたらします。鍼治療の有効性を測定・研究するために、将来、更に多くの効果的な手段が発見されることを願っています。有害な副作用や安全性への懸念があることを示した研究はありません。鍼治療の平均頻度および期間には、週一、二回を5-10週間という幅があります。一回の治療は、鍼を患者に挿入してから20-35分そのままにします。治療に用いられた特定のツボは異なる研究で様々ですが、これが治療の一貫性における弱点です。この記事が見た大半の研究は前向き対照研究でしたが、これはエビデンスを基礎とした医学研究ピラミッドほどには信頼性が高くありません。ですから、これらの研究は完全に確実であるとは見なされませんが、一貫して類似した肯定的な発見を形作っていることから有効です。個々の研究は、前臨床的エビデンスを支持し、この研究分野での新しい情報に寄与しています。上で言及された全ての研究では患者さんたちが異なる国々から集められたため、人種に関する制限はなく、ですからこれが結果をより一般化可能なものにしています。研究グループおよび対照グループの全ての患者さんたちで類似した不妊レベルが測定されましたが、これにより標準化が維持されました。私たちの社会では、不妊は大部分が女性の問題であると見られていますが、この記事によって生殖能力の議論および治療計画に男性を含めることの重要性が明らかにされることを望んでいます。鍼は、精子数よりも精子の運動性の改善により効果的であるように見えますが、この記事で吟味した研究では、両方に対するプラスの影響が示されました。