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ビタミンAから亜鉛まで: 健康に不可欠なミネラル

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亜鉛は、鉄に次いで多く体内に存在する元素で(約2〜4 g)、筋肉(60%)、骨(20%)、肝臓、皮膚にあります。豊富にあることから、亜鉛欠乏症に関する懸念は見過ごされがちですが、この記事でこれからご紹介するように、サプリメントによって効果が期待できる場合があります。ただし、亜鉛を過剰に摂取すると、それ自体がリスクを伴うため注意が必要です。これについては以下で解説します。亜鉛欠乏症のリスクについては広く研究されていて、食事の変更やサプリメントの効果に関する研究により、その実態がより明らかになっています。

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亜鉛欠乏症は、全年齢層においては、栄養不足が蔓延している地域で広く見られますが、高齢者の間では、地域にかかわりなく多く見られ、高齢者の30%が亜鉛欠乏症であるといわれています。亜鉛が含まれる食品は、野菜(海藻、全粒穀物、キノコ、クレソン、ヒマワリ、カボチャの種、レンズ豆、キビ、キノア、豆腐、醸造用酵母など)、動物性食品(カキ、鶏肉、卵、脂肪の多い魚、甲殻類)で、比較的幅広い食品に含まれています。その生物学的利用能は動物性食品でより高く、推奨される1日あたりの摂取許容量は、成人で約10mg/日、妊娠中または授乳中の女性で12mg/日です。現在、亜鉛が注目されているのは、亜鉛は必須ミネラルで、特に感染症が発症した際に、免疫力を強化するのに役立つためです。しかし、亜鉛には免疫系のサポート以外にも様々な効果があります…

用途の広いミネラル1

亜鉛は、遺伝子発現、細胞の増殖やエネルギー生成、タンパク質の合成を含む体内の様々な生化学反応に不可欠で、組織の形成や細胞膜の安定化に必要です。マグネシウムと同様に、数百の酵素反応において補因子として作用します。感染時にTリンパ球の増加を促すことで、免疫機能を維持します。2また、インフルエンザや単純ヘルペスなどの特定のウイルスの成長を抑制する他、主に抗酸化作用があり、酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の機能を正常な状態に保ち、スーパーオキシドを捕捉して酸化ストレスや加齢に伴う神経変性疾患を防ぎます。皮膚や結合組織では、リシルオキシダーゼと結合してエラスチンとコラーゲンの合成を促し、真皮でのメラニン生成においてチロシナーゼと作用します。また、その抗炎症作用と治癒作用により、ニキビなどの皮膚疾患に効果がある他、シスチンとメチオニンの合成を促進することで、髪の重要な成分であるケラチンの生成を促します。さらに、亜鉛はホルモンレベルにおいて重要で、テストステロンとインスリンの合成に不可欠です。多価不飽和脂肪酸からのプロスタグランジンの生合成に関与し、オメガ3とオメガ6の代謝に重要な酵素、デルタ6デサチュラーゼの補因子として働きます。また、前立腺の健康と精子の質を保つうえでも必要です。

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亜鉛欠乏症の症状

 

亜鉛欠乏症の主な症状は、免疫力の低下、食欲不振、発育阻害、倦怠感です。欠乏がより著しい場合、以下の症状が生じます:

  • 皮膚障害(湿疹、乾癬、脱毛症、爪の白い斑点、ストレッチマーク)
  • 膵機能障害/糖尿病
  • 月経困難症
  • 前立腺肥大症
  • 不妊症
  • 味覚障害(味覚欠如)
  • 味覚と臭覚の変化
  • 脱毛
  • 創傷治癒の遅れ
  • 眼病変または黄斑変性症

亜鉛欠乏症の主な原因は以下です:

  • フィチン酸塩やリグニンを含む食品の多量摂取、厳格なベジタリアン食またはビーガン食
  • 加齢
  • 腸機能障害(クローン病、セリアック病、吸収不良症候群)
  • 妊娠
  • 腎不全
  • 慢性の下痢
  • アルコール依存症
  • 食欲不振またはその他の摂食障害

亜鉛補給の利点に関する科学文献からの抜粋

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亜鉛の効果については、注目され、広く研究されていて、様々なことがわかっていることから、それをすべて挙げると一冊の本になるでしょう。この記事では、亜鉛の主な効果2つに焦点を当てます。

免疫サポートおよび抗感染効果

健康な成人を対象とした20件の臨床研究のレビューでは、亜鉛の補給によりインフルエンザの症状の持続期間が平均して2.25日短縮できると結論付けられました(95%CI:-3.39〜1.12)。また、亜鉛の補給により、10歳未満の子どものインフルエンザの発症率が53%減少することもわかりました(RR:0.64、95%CI:0.47〜0.88)。3

亜鉛が欠乏すると、免疫力が弱まり、疣贅が生じるヒトパピローマウイルス(HPV)感染症などの感染症が起こります。亜鉛の経口投与や局所治療は、疣贅に効果があり、事実、2件のプラセボ対照ランダム化比較試験では、再発性の疣贅を経験している患者の84〜87%が、硫酸亜鉛の経口投与により(10mg/kg/日)2ヶ月で完治しました。4

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の治療における亜鉛の可能性を評価した文献レビューによると、亜鉛は、特に亜鉛が不足している高齢者を含め、ほぼあらゆる人々に効果があるといわれています。COVID‑19患者を対象とした臨床研究の結果は不十分ですが(うち4件が進行中)、5「亜鉛の補給により、粘液線毛クリアランスが改善されて上皮の完全性が強化され、ウイルス複製が減少して抗ウイルス免疫が維持され、過剰炎症のリスクが減少して抗酸化効果が高まるため、肺の損傷が軽減して二次感染のリスクを最小限に抑えられる」ことから、亜鉛は現在の治療に役立つ可能性があるといわれています。6亜鉛を30〜50mg/日摂取することで、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスなどのRNAウイルスに対し、1型インターフェロンの応答を促せる可能性があります。7こうした効果のあるその他の栄養素には、N-アセチルシステイン、α-リポ酸、β-グルカン、スピルリナ、ニワトコなどがあります。

甲状腺と心血管代謝のサポート

亜鉛は、甲状腺ホルモンの合成と、サイロキシン(T4)のトリヨードサイロニン(T3)への変換を促します。そのため、亜鉛が不足すると、甲状腺とその代謝調節機能に影響が生じる可能性があります。ある二重盲検無作為化比較試験では、甲状腺機能低下症を患う肥満女性を対象とし、亜鉛とセレンの補給による効果を評価したところ、血清T3レベルとT3:T4の平均比(p <0.05)が上昇しました。これによって、亜鉛(単独またはセレンとの併用)により、甲状腺の機能を改善できることがわかりました。8

亜鉛不足によりインスリンの産生が妨げられるため、亜鉛欠乏症は糖尿病患者に多く見られます。9高血糖症を患うと、亜鉛の尿中排泄量が増加するため、亜鉛欠乏症がさらに悪化します。糖尿病や前糖尿病の患者に亜鉛を補給することで、慢性的な高血糖に伴う酸化ストレスの影響が軽減され、10糖代謝とインスリン感受性が改善されるといわれています。11こうした効果は、心血管の健康全般に有効な可能性があり、長期にわたる心血管疾患のリスクを軽減できる可能性があります。ある系統的文献レビューにより、「亜鉛の効果は、2型糖尿病患者や疾患の危険因子を持っている人など、脆弱な状態の場合により顕著に見られる」と報告されています。12

 

摂取量に注意

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亜鉛には、特に亜鉛欠乏症をはじめ、様々な健康状態に効果があることが多くの研究により示されていますが、数多くの研究者や医師が、亜鉛の誤用について注意を促しています。その主な理由は、数ヶ月にわたって亜鉛を過剰に摂取すると、体内の銅が減少し、様々な生理機能(免疫、神経、抗酸化、抗炎症、心血管代謝、骨関節の完全性など)に影響が生じるためです。13そのため、サプリメントを摂取する前に体内の亜鉛レベルを検査して、どれほど不足しているかを確認してください。健康な場合は、銅欠乏症に伴う症状を防ぐために、亜鉛を短期間のみ摂取することをお勧めします。銅が不足すると、終末糖化産物(AGE)の増加、関節痛、神経障害、骨代謝異常症、糖質代謝異常症などが生じます。亜鉛を補給すべきかわからない場合や、亜鉛の効果が期待できる場合は、亜鉛に関する専門知識がある自然療法医に相談しましょう。