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骨粗鬆症 - より健康な骨の構築

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骨粗鬆症 - より健康な骨の構築 

by Sarah Penney 自然療法医、理学博士

https://www.completenaturalhealth.ca/



Osteoporosis - Building Better Bones 

これまでで最も一般的な骨の疾患は骨粗鬆症です。ご存じの通り、骨粗鬆症の特徴は、骨量の減少と骨組織の劣化です。骨はいわば水域に架かる橋で、共に細い網目状の母体によって支えられ、強く保たれています。この橋の構造に何らかの欠陥があると、圧力により壊れる可能性があります。したがって、骨粗鬆症や骨密度の低下は骨折のリスクを高めるため、問題なのです。最も骨折しやすいのは、背骨や手首、股関節で、最も危険なのは股関節です。

骨粗鬆症は一晩では発生しません。何年にもわたり症状を伴わずに骨量が減ることから、事実「沈黙の泥棒」と呼ばれています。同様に、治療による骨の構築にも時間がかかることが多いです。骨粗鬆症による骨折は、心臓発作、脳卒中、乳がんよりも一般的で、少なくとも女性の3人に1人、男性の5人に1人が生涯において骨粗鬆症による骨折に苦しみます。[1] カナダの医療システムが、こうした骨折の治療に費やしている推定年間費用は約23億ドルです。[2]危険因子には、65歳以上、低体重、喫煙歴、アルコールの大量摂取(女性の場合、1日当たり3杯以上のアルコールを摂取)、糖尿病、ステロイドや睡眠薬、抗うつ薬などの薬物が含まれます。[3]

ホルモンと骨の健康

生涯において骨の健康を保つことは、いわば綱渡りのようなもので、骨芽細胞と破骨細胞と呼ばれる2種類の細胞によります。骨芽細胞は骨をつくり、破骨細胞は骨を壊します。30歳くらいまでは、骨の生成が骨の損失を上回りますが、年齢とともに急激に変化することは想像できるでしょう。興味深いことに、閉経後の女性が骨粗鬆症の症例の80%を占めています。この主な理由は、閉経後にエストロゲンの最も強力な形態であるエストラジオールの体内における分泌が低下するためです。このホルモンは、骨芽細胞による骨形成を促進するといわれていることから、重要です。[4] また、テストステロンと呼ばれる同様のホルモンは、男性の骨密度を保つのに役立ちます。男性も骨粗鬆症を発症するリスクがありますが、女性のエストロゲン値のようにテストステロン値が急激に低下することはないため、女性よりも5〜10年遅れて発症する傾向があります。[5] 50歳以上の女性の半数が、骨粗鬆症により股関節、手首、背骨が骨折すると推定されています。[6]

骨の生成を最も容易に活かせるのは、30歳前までです。この時期は、骨が急速に蓄積し、将来、骨折を防ぐための強固な基盤が築かれます。30歳以降は、骨の成長が遅くなりますが、骨の健康を改善し始めるのに遅すぎることはありません。上記に述べたように、遺伝子、運動不足、ホルモンの変化など、数多くの複雑な要因が骨量の減少に影響する可能性があります。また、研究によると、経口避妊薬の早期使用も骨の発達に関係するといわれています。初経から3年以内にホルモン避妊薬を使用すると、この年齢で最大骨密度の発達が妨げられる恐れがあります。これは、避妊薬に含まれる少量のエチニルエストラジオールにより、体内におけるエストロゲンの放出が抑制され、ホルモンレベルが変化して骨量の増加が妨げられるためです。[7]この年齢層は、摂食障害による栄養失調も懸念され、これによって骨の発達が阻止される可能性もあります。

骨密度の測定 Osteoporosis - Building Better Bones 

骨粗鬆症の発見は、骨折の予防と適切な治療の第一歩です。骨の密度を検出できる特別なX線、DXAスキャン(骨スキャンとも呼ばれます)を用いて行われます。このX線は、いわばカーテン越しに輝く光のように働き、向こう側に光が多くある場合、カーテンは薄くなります。大量のX線が骨を通して光る場合、骨密度は骨量減少(骨粗鬆症の初期段階)や骨粗鬆症に分類されます。通常、スクリーニングは50歳で開始し、5年ごとに行う必要があります。

骨密度や年齢にかかわりなく、骨の健康維持に積極的に取り組むのは、素晴らしいことです。以下は、骨粗鬆症を自然に予防・治療するためのステップです。

骨をつくる

動き続ける-b骨粗鬆症には何種類かの運動が推奨されています。主な形態は体重負荷運動と呼ばれるもので、重力に逆らって行う運動です。この種類の運動は、筋肉の構築に役立ち、その結果、骨が引き寄せられ、骨芽細胞が活性化して骨の成長が促進されます。この例として、ウォーキング、ジョギング、ダンス、階段上りなどがあります。骨量減少の予防や治療には、体重負荷運動をほぼ毎日30分間行うことが勧められています。ストレッチングも同様に重要で、骨粗鬆症患者がモビリティ(可動性)を維持し、痛みを軽減するのに役立ちます。[8]

バランス力を鍛える-年齢を重ねるとバランス力が大切で、骨粗鬆症を患っている場合、バランス力を保つことで、転倒による重度の骨折を防止できます。運動は、コアマッスル(体幹の筋肉)の構築に役立ち、これによって体が安定し、つまずいて転倒するのを防げます。太極拳は、バランスの改善に役立つといわれる運動の一つで、腰椎と股関節の骨量減少を遅らせる効果もあります。[9]バランス力を試すための簡単な手段は、夜に歯磨きをしている間に片足で立つことです。この際は、バランスを崩した場合のために、必ず近くに何か支えになるものを用意しましょう。

Osteoporosis - Building Better Bones 

何といってもカルシウム--このミネラルは、骨芽細胞によって新しい骨が構築されるために使用されます。最も健康的かつ安全なカルシウムの摂取量については、やや議論の余地があり、乳製品を摂らなくても食物を通じて1日に必要な量を得えられます。一般に、50歳未満の人は1日あたり1,000 mg、50歳以上の人は1,200 mgのカルシウムを摂取する必要があるといわれています。ただし、過剰に摂取するとよくありません。カルシウムを1日あたり2,500 mg以上摂取すると、腎機能に影響を及ぼし、体内の亜鉛、マグネシウム、鉄などのミネラルが激減する可能性があります。通常、私は各患者の食事内容を評価してカルシウムの摂取量を調べ、必要に応じて少量のサプリメントと食事の変更を勧めています。

Osteoporosis - Building Better Bones 

どんな種類のカルシウムを選ぶべきでしょうか?カルシウムサプリメントを選ぶ際に大切なのは、カルシウム形態とそれに含まれる単体カルシウムの量で、これが実際に体に吸収されるカルシウム形態です。薬局でよく見られるのはクエン酸カルシウムで、通常消化不良を引き起こしませんが、単体カルシウムはあまり含まれていません。また、炭酸カルシウムも目にするかもしれません。炭酸カルシウムは、クエン酸カルシウムよりも単体カルシウムの量が多いですが、ガスや便秘が生じる可能性があります。リン酸カルシウムはあまり一般的ではありませんが、一部の製品で入手可能です。炭酸カルシウムと同じくらい単体カルシウムが多く含まれていますが、より吸収され、消化不良を引き起こしません。最も高価なカルシウム形態です。カルシウムは多くの薬剤の吸収を妨げる可能性があるので、カルシウムサプリメントを他の薬剤と同時に摂取しないことが大切です。鉄と一緒に摂取しても、吸収の働きが低下します。

輝くビタミン-ビタミンDは、骨の健康を保つうえでカルシウムとほぼ同じく重要です。ビタミンDは、実際にカルシトロールと呼ばれるホルモンに変換され、食事やサプリメントを通じて摂取されたカルシウムの吸収を助け、骨の成長を促す可能性があります。ビタミンDレベルの測定と適切な摂取量について、かかりつけの医師に相談してください。

ビタミンK-現在、この脂溶性ビタミンには様々な面で役立つことが発見されていて、血液凝固や細胞の成長、そして骨の健康にも役立ちます。一部の研究によると、ビタミンKは骨粗鬆症患者の骨の成長を促し、骨折の防止に役立つといわれています。ビタミンDと同様に、体内におけるカルシウムの吸収を促進し、骨の構成要素を増加するのに役立ちます。[10]ビタミンKが豊富に含まれている緑の葉物野菜をより多く摂りましょう。

骨密度が低いと診断された場合や、骨の健康を維持するためにサポートが必要なら、まず、自然療法医に相談し、適切な手段を見い出すとよいでしょう。