骨粗しょう症の管理－見過ごされている栄養素および最善の評価方法についての考察

誰もが「強い骨の維持には牛乳を」と言っているコマーシャルをテレビで見たことがあるでしょう。人の骨量は30歳前で最大に達し、その後、歳を取るにつれ骨量が低下することが知られています。遺伝および生活習慣に応じて、人よりも速く骨量が低下する人もあります。骨粗しょう症は、50歳以降の男女が経験する加齢に関連する骨密度の低下です。骨粗しょう症の進行は、とりわけ腰、脊柱、そして手首が、簡単に骨折してしまうリスクが高まるような骨組織の衰えが特徴です[1]。骨粗しょう症は完全に予防可能な病態であり、人生を通じた好ましくない食習慣や生活習慣と関連があることに注意するのが重要です。骨粗しょう症の進行を著しく減速させ、高リスクの人に最も重要となる食事や栄養の取り組みが多く存在します。

骨は非常に静的な構造をしており一生同じであると、多くの人々は考えています。実際は、私たちの骨格は非常に活発で動的な構造をしており、かかる力に応じて常にどこかの部分が分解し、他の部分が再構築しています。骨は、多くの微量栄養素、特にカルシウム、亜鉛、マグネシウムおよびリン酸の貯蔵庫の働きをしています。加工の度合いの高い食品・食事は栄養に欠けており、体はその不足した栄養素を補わなければなりません。このような食事は酸性度も非常に高く、骨による緩衝作用で体のpHのバランスを取らなければなりません。これが長年重なると、とりわけ運動不足ならば、骨組織は非常に脆弱になるでしょう。

女性のエストロゲン値は男性よりも一般に高く、このエストロゲンは骨構造を保護します。女性が閉経周辺期に差し掛かると、エストロゲン値は低下し始めますが、そうすると、ホルモンによるそれまでと同程度の骨の保護がなくなります。女性が更年期障害になるのが早いほど、彼女の骨量減少の始まりも早くなり、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まるでしょう。男性では多少異なり、骨量の低下は単なる老化の結果です。しかし、私たちの平均寿命は過去数世紀の間、伸びていることから、より多数の男性が骨粗しょう症の進行を経験するまで生き長らえるでしょう。

このように、あなたの遺伝子が味方という訳でなく、あなたに早い更年期障害が訪れるならば、骨を可能な限り強く保つために出来る事は何でしょうか？

骨量の減少に関する知識がより多いほど、栄養源や、骨量が失われる仕組みについて、より意識的になることが可能です。強い骨を維持すると言っていた昔の牛乳のコマーシャルを覚えていますか？この点については、証明し反証するエビデンスが存在します。多年に渡って行われた複数の研究により、牛乳を幼児期に摂取した人々では最大骨量がより大きく、後の人生での骨折回数が少ないことが示されました。牛乳への曝露が早いほど、骨折予防には良いのです。では、もし乳糖不耐性、あるいは乳製品へのアレルギーがあるならば、どうしたら良いでしょうか？この同一の調査では、食事から摂取するカルシウムは牛乳と同等の影響があることが示されました。あなたがカルシウムのサプリメントを選んでも、あるいは高カルシウム野菜、ビタミンDや他の微量栄養素を強化した食事を選んでも、骨構造を維持することが可能です[2]。

米国家庭医学会によると、骨粗しょう症のリスクがあるのは、骨粗しょう症の家族歴、白色人種、痴呆、栄養不足、喫煙、アルコール中毒、低体重、エストロゲン欠乏症、運動不足、そして早期更年期障害等の人たちです[3]。更に、特定の病態にある人たちでは、年齢50歳前の骨量の減少のリスクが高くなります。これはしばしば、高用量のコルチコステロイドを服用中か、ホルモン療法にあるか、あるいはリウマチ性関節炎、クッシング病、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、吸収不良症候群や他の慢性炎症疾患の診断を受けた人たちです。

あなたのリスクがどれくらいなのかを知る事は、準備を整えるにしろ、ご自分が正しい方向であるのを確認するにしろ、意識を高めてくれる要素でしょう。もしあなたの骨粗しょう症のリスク因子が大きければ、あなたの気掛かりをかかりつけ医に相談し、どれくらい早期の骨ミネラル濃度の測定を受けるのが勧められるのかについて話し合うのが良いでしょう。もしあなたが更年期障害初期、あるいは骨量の減少の原因となる慢性炎症疾患のうちの一つを抱えている、あるいは年齢65歳を超えているという訳でなければ、通常そのような試験は薦められませんが、多くの私費診療所では検査を行っています。検査は“DEXAスキャン”と呼ばれ、これは何層もの脊椎を確認するため、少量の被爆が伴われます[3]。 米国での骨粗しょう症の治療および管理の手引きによると、徹底的な精密検査には以下の血液検査が含まれます[3]。

多くの専門家は骨粗しょう症を末期疾患と考えていますが、これはつまり、骨粗しょう症のプロセスは20-30年前に始まり、何年にもわたり着実に進行してきたということです。診断が下される時までに、骨量の減少および栄養レベルは非常に低くなるため、骨折のような症状がリスクの度合いを強めていきます。骨粗しょう症は管理が難しい一方で、骨を強くし、食事を強化することは、骨量を上昇させ骨粗しょう症の進行を遅くするのに、著しく貢献します。

前述のように、加工食品に加えて、たんぱく質が多く、果物や野菜の少ない食事は非常に酸性度が高く、骨組織から栄養素をこし取ってしまいます。他の酸性度の高い食品には、穀物、そば、精製糖、チーズ、そしてコーヒーといったものがあります。解決法は何でしょう？これらの食品の摂取を抑え、食事に葉野菜、アーモンド、ココナッツ、バナナ、アボカド、そして香辛料のようなアルカリ性食品を増やすことです[4]。

第一の骨折予防法は、運動を通じた健康的な体重の維持であることを強調しておきましょう。運動と同等の効能に代わるような薬は、この惑星の表面上には全く存在せず、全ての人が骨を強くするために出来る最も大切なことは体重のかかる運動です。ヨガ、ダンス、ウェイト・トレーニングか、スポーツかに関わらず、体を動かすことは異なる筋肉群を活性化し、それらの部位の骨を強くし、血液循環を改善します。良い事ずくめです！

ビタミンD：私は、個別化された薬物療法を信条としていますが、ビタミンDは全ての患者さんに一律に処方するビタミンです。あなたが何時間野外で過ごそうと、カナダの日照時間は限られており、どう考えても一年を通して適量のビタミンDを供給するほどには十分強く皮膚を透過することはありません。皮膚からの光を利用しビタミンDに変換する働き自体も非常に個人的な能力であり、他の人たちよりも転換が効率的な人もいます。どの道、カルシウムを補給しても、もしそれを吸収するための十分量のビタミンDがなければ、意味がありませんので、ビタミンDを治療計画に必ず追加するようにして下さい。

マグネシウム：しばしばカナダ人に不足しているもう一つの非常に重要な栄養素はマグネシウムです。私たちの土壌に含まれるマグネシウムのレベルは低く、これは土壌から育つ野菜は、もはや以前より優れたマグネシウム源でなくなっていることを意味します。マグネシウムおよびカルシウムは一緒になって、骨の強さおよび筋肉の健康の維持のために機能します。特に、もしあなたの体内の炎症が高く、多くのうずきや痛みに苦しんでいるならば、更に多くの量のマグネシウムを摂取して下さい。

複合製剤：研究により、サプリメント・栄養補助食品の会社では、骨の健康のための幾つかの本当に素晴らしい調合を作ることが出来るようになりました。残念なのは、これらの製剤の大半は推奨服用量を満たすために一日6-10錠服用しなければならないことです。言うまでもなく、これは多くの人にとって簡単ではありませんが、個々のカプセル内に含まれる全ての栄養素の服用の代替は、更に困難を極めるでしょう。あなたの骨に最善の複合製剤を選ぶために、以下を含有する製品を考慮して下さい。

その他：微結晶性ヒドロキシアパタイト（MCHC: microcrystalline hydroxyapatite）は本質的には骨の健康のための全ての種類の栄養素から成る人間以外の動物の骨粉です。これには矛盾するエビデンスがありますが、一般に複合製剤に生物学的利用能のより高い栄養源として含まれています。ラネル酸ストロンチウムはカナダ国内で見付けるのはより困難で、その安全性と効能とを証明するエビデンスが不十分なところがあります。しかし、行われた幾つかの研究では、比較的極端な骨粗しょう症の症例における骨ミネラル密度の増加が示されています[5]

この記事からお分かりのように、骨粗しょう症の管理は、人が各々のリスク因子に関わらずに行うべき多くのことを全て包含しています。骨のミネラル密度が低下するまで待ってから、食事および運動プランの見直しを始めるようなことはしないで下さい。あなたが自覚さえすればもうほとんど勝ったも同然ですが、大半の人々は親しい人が病気になるまで生活を変える気持ちになりません。そうはならないで下さい！食事をアルカリ性食品にして、沢山の水を飲み、良く体を動かして下さい！