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生殖能力

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生殖能力
By: Fiona McCulloch BSc, ND
White Lotus Naturopathic Clinic and Integrated Health
18 Greenfield Ave.,Suite #201
Toronto, ON. M2N 3C8
www.whitelotusclinic.ca


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パートI パートII パートIIIパートIV

Resistance


パートI:インスリン抵抗性について

インスリン抵抗性は良くある病状の一つで、青少年の10%および中年成人の44%近くを冒しています(1)。現在では、幾つかの遺伝的要因がインスリン抵抗性の一因であることが知られています。食事、身体組成、そして運動レベルなども主な原因であることから、現代的ライフスタイルにおいて疾患の発症数が増えつつあることが説明できます。興味深いことに、6組中1組のカップルを大きく悩ませる現代のもう一つの重大な健康問題である不妊症にも、インスリン抵抗性が寄与している可能性があります。

インスリン抵抗性は、体内の細胞がインスリンに対して正常に反応しない状態をもって定義されます。インスリン抵抗性を長期間放置すると、高血圧、高トリグリセリド、低HDL(善玉コレステロール)や腹部肥満といった、メタボリック・シンドロームとして知られている複数の問題の集大成に転じる可能性があります。しかしながらインスリン抵抗性は、この極限点に至る前に、健康への害を多数、確実にもたらします。

インスリンはすい臓のβ細胞で生産されます。インスリンは、脂肪、肝臓、そして筋肉の細胞に血液中からブドウ糖を取り込ませ貯蔵させます。ブドウ糖は、脂肪細胞でトリグリセリドとして貯蔵され、筋肉細胞と肝細胞とではグリコーゲンとして貯蔵されます。脂肪細胞においては、インスリン抵抗性により貯蔵されたトリグリセリドの分解が引き起こされます。

細胞がインスリンを効果的に使わなければ血糖値は上昇します。すると、すい臓が余分にインスリンを生産することで正常な血糖を保とうとします。こういった高濃度インスリンは、アンドロゲンを増加し、ホルモンの均衡を崩し、循環に作用し、炎症を起こすなどして女性たちの生殖能力に様々な影響を与えます。高インスリンは、多嚢胞卵巣症候群(PCOS)の基礎をなしており、再発性の自然流産、炎症性着床失敗、肥満といった生殖能力に関する懸念事項に寄与していると考えられています。

インスリン抵抗性の診断
インスリン抵抗性は幾つかの方法で評価することが可能です。至適基準(ゴールドスタンダード)は、高インスリン性正常血糖クランプとして知られていますが、この評価方法では、血中インスリン濃度を上昇させそれを相殺するのに必要なブドウ糖の量を測定します。この検査が診療所の設備で行われることは希です。

インスリン抵抗性を評価するもう一つの方法は、インスリン抵抗性指数(HOMA-IRインデックス)です(2)。このインスリン抵抗性指数は、空腹時血糖値と空腹時インスリン値とを比較する特定の式で計算されます。経口ブドウ糖負荷検査やHBA1C値も同様にインスリン抵抗性の評価として用いることができます。

インスリン抵抗性に関連する不妊の原因
PCOSでは、卵巣の卵胞膜細胞(男性ホルモンを生産する細胞)に遺伝性の異常が隠れている可能性があるのではないかと考えられています。これにより卵胞膜細胞がインスリンに晒された際に過剰量のアンドロゲンを生産するのです。PCOSの患者たちはしばしばII型糖尿病の家族歴を持っていたり、家族の中に月経不順や妊娠困難で証明されるようなPCOSの女性が他にいたりする可能性もあります。

同様に、肥満度指数(BMI: Body Mass Index)が高くなったり、腹部体脂肪量が増えたりといったことも、インスリン抵抗性と関連があります。腹部体脂肪は、臓器周囲と腹腔内部の脂肪沈着と実際に関係しています。

遊離脂肪酸は、体内の脂肪が貯蔵されている他のどの部分よりも早く腹部から放出されます。これらの脂肪酸は肝臓に作用し、肝臓からブドウ糖を放出させ、LDL(悪玉コレステロール)を作り出し、インスリンのクリアランス(訳者注:排泄能力の大きさ)を減少させます(3)。これら全てが合わさってインスリン抵抗性に寄与していますが、それは健全な生殖能力に強い影響を与える可能性があります。

同様に、劣悪な食事も体のインスリン抵抗性を促進する可能性があります。高脂肪、高単炭水化物、低食物繊維の食事は、インスリン抵抗性とメタボリック・シンドロームとを引き起こすことが、繰り返し記録されました(4,5)。同様に、高果糖食(炭酸飲料、砂糖菓子、そして他のコーンシロップ製品)により肝臓にトリグリセリドが作られ、メタボリック・シンドロームおよびインスリン抵抗性を引き起こすことが示唆されました(6,7)。

インスリン抵抗性は良く見られかつ増えつつある病気で、遺伝からライフスタイルにおよぶ範囲で、様々な原因が存在します。高いインスリンレベルは、心血管疾患、不妊症、糖尿病や肥満といった、重い病気を引き起こす可能性のある大きな健康の変化を生むかも知れません。この記事のパートIIでは、どのような特定のやり方でインスリン抵抗性が健全な生殖能力に影響を及ぼすかについて焦点を当てます。



Fertility - Impact of Insulin Resistance

パートII:どのようにインスリン抵抗性(IR)が生殖能力に影響を及ぼすのか?
By: Fiona McCulloch BSc, ND
White Lotus Naturopathic Clinic and Integrated Health
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Insulin Resistance 多嚢胞卵胞症候群
インスリン抵抗性疾患が生殖能力に影響することで最も良く知られている病状は多嚢胞卵胞症候群(PCOS: polycystic ovarian syndrome)です。PCOSは、多数の変異型を持つ病状で、不規則な排卵や月経不順に加えて多毛症(過剰な発毛)、ニキビあるいは男性型脱毛、腹部肥満といったアンドロゲン・男性ホルモン関連の症候が特徴です。PCOSの女性たちの中には、完全に発育しなかった複数の卵子で形成された幾つかの小さな卵胞(嚢胞)を卵巣内に持ち合わせている人もいます。インスリン抵抗性、LH/FSH比の上昇、高エストロゲン値、遊離テストステロンのような高アンドロゲン値といったホルモン異常に対する血液マーカーも存在するかも知れません。PCOSの変異型の幾つかは、前述の症候や症状による異なる組み合わせです。

PCOSでは、高インスリンレベルが原因で卵巣中の卵胞が男性ホルモンを生産します。この男性ホルモン(とアンドロゲン)が卵胞の発育を遅め、全く排卵を止めることさえ起こる可能性があります。

同様に、多量のインスリンにより脂肪細胞がテストステロンをエストロゲンに転換しますが、これは芳香族化として知られるプロセスです。高いエストロゲン値は下垂体の黄体形成ホルモン(LH: luteinizing hormone)の分泌を増加させ、その結果として卵巣から更に多くのテストステロンが放出されます。全くの“悪循環”です。同様に、高エストロゲンは卵胞刺激ホルモン(FSH: follicle-stimulating hormone)を抑制し、卵子の発育を悪くします。

インスリン抵抗性は、更に多くのホルモンに関する問題を引き起こします。インスリン抵抗性は、性ホルモン結合グロブリン(SHBG: sex hormone binding globulin)を低下させますが、通常この性ホルモン結合グロブリンというのは、ホルモン同士を結合して組織レセプターが活性化しないよう保っています。SHBGが低いと、血流中により多量のアンドロゲンが自由に浮遊するため、より多量のアンドロゲンが組織に作用してアンドロゲン性の作用が生じます。

その女性がスリムか太り過ぎかに関わらず、PCOSの患者たちにとって、インスリン抵抗性は常に病状の一部です(2)。とはいえ、PCOSの患者たちは、対照のPCOSでない女性たちと比べると、余分な体重からくる影響にとりわけ敏感です。脂肪組織が多いほどインスリン抵抗性は深刻化することから、PCOSの患者たちは低いBMIを目指して生殖のために最適な健康状態を促進する必要があります。

更に、PCOSのインスリン抵抗性は炎症と関連があります。ある種の炎症性ファクターがPCOSの女性たちでは高いことが分かりました。これらと同じマーカー(C反応性タンパクとホモシステイン)は、自然流産および着床失敗の潜在的要因でもあります(3)。一般集団と比べると、PCOSの女性たちは自然流産のリスクがより高いのです。

肥満
インスリン抵抗性はBMI値27以上でくっきりと増大します(4)。肥満が生殖に影響を与えるのはかねてからの定評ですが、それらの定評の多くはインスリン抵抗性によるものであると考えられています。肥満患者たちは、自然流産率がより高く、IVFのような生殖補助医療技術による成功率がより低いのです(5)。PCOSの痩せた女性たちと比べると、PCOSの肥満女性たちは生殖能力に関して更に多くの問題を抱えています。これは、PCOSの隠れた既往症であるインスリン抵抗性の病態を、高いBMI値が良く集約しているからです。

同様に、高いBMIは血中および卵胞中のレプチン濃度を上昇させます(6)。レプチンは、食欲を抑制しカロリー消費を調整するホルモンで、太りすぎの人々で高く、痩せている人々では低いという特徴があります。レプチンは、脳の視床下部に作用することにより食欲を抑制します。ところが肥満の場合、細胞がレプチンに対して抵抗性を持つようになると考えられています。レプチンが高濃度でも、それに対応した食欲減少がないと、一層の体重増加を引き起こします。また、レプチンは卵巣中の顆粒膜細胞に作用し、卵巣によるホルモン生産を抑制し、卵胞の機能と質とに影響を与えます(7)。

また、高いBMIは低い血清アディポネクチン値とも関連があります(8)。アディポネクチンは、動脈プラークを防ぐ抗炎症性の脂肪特有タンパク質です。アディポネクチンは肥満、II型糖尿病、そして心血管疾患の患者で低いことが知られています。

肥満女性たちの低アディポネクチン(8) レベルも、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)を減らし、それによりPCOSの場合と同様に遊離男性ホルモンを増やします。高い遊離アンドロゲンは正常な排卵周期を崩壊し、卵質を損ないます。

同様に、肥満は慢性的な軽度の炎症を引き起こします。炎症は、着床失敗や再発性自然流産のような幾つかの生殖に関する病態と関連があるとされました。あるマウスモデルの肥満の研究では、炎症マーカーであるインターロイキン6、腫瘍壊死因子、C反応性タンパクが上昇することが分かりましたが、これらのマーカーは全て不妊と関連があるとされています(9)。

自然流産:
インスリン抵抗性は、再発性の自然流産とも関係があるとされました。再発性妊娠損失(RPL: recurrent pregnancy loss)の女性74人を対象とした調査では、対応する対照群の9.5%と比べて、27%の女性にインスリン抵抗性があることが分かりました(10)。別の大規模調査では、PCOSに関して補正したときですら、インスリン抵抗性が再発性自然流産の独立因子であったことが示唆されました(11)。



Fertility - Impact of Insulin Resistance

パートIII:インスリン抵抗性の生殖能力への懸念に対する食事と運動による介入
By: Fiona McCulloch BSc, ND
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Diet and Exercise Interventions for Insulin Resistant Fertility Concerns 体重1kgの増加につき、妊娠するまでの時間が2.84日増えることが分かってきました。ですから、余分な体重を減らすことは、受胎成功までの時間を著しく減少させる可能性があります。

食事
炭水化物を制限する食事がインスリン抵抗性を改善する可能性があります。ある調査では、低炭水化物食事法に従っている患者たちの、経口ブドウ糖負荷に対するインスリン反応が著しく減少しました(1)。超低炭水化物食は低脂肪食と比べて、太り過ぎや肥満の女性たちのインスリン感受性と減量との両方を著しく改善しました。

超低炭水化物食に関するデューク大学のある調査では、ケトン食がPCOSのアメリカ人女性たちに幾つかの改善をもたらしました(2)。患者たちは24週以上の期間にわたり、遊離テストステロン、LH/FSH比、減量そして空腹時インスリンについて著しい改善を示したのです。

興味深いことに、旧石器食事法はインスリン抵抗性を治療するにあたり素晴らしく有望であることを示しています。この“旧”食事は、野菜、赤肉、魚、果物、ナッツ類およ種子類を含んでおり、穀物、乳製品、塩、砂糖や豆類は含んでいません。2009年のII型糖尿病のグループを対象として調査では、旧石器食事法が従来の糖尿病食と比べて血糖コントロールを改善しHBA1C、トリグリセリド、インスリン、そして血糖を減少させたことが分かりました(3)。

運動
運動は、PCOSの女性たちの生殖能力を、胴囲の縮小と(たとえささやかであっても)減量とを通して改善すると考えられていますが、この胴囲の縮小と減量とがインスリン感受性を大きく改善することを可能にします。排卵性のPCOSである肥満の女性40人を対象としたある調査では、体系的な運動プログラムにより月経周期、インスリン感受性、生殖能力そしてアンドロゲンレベルが改善されたことが分かりました(4)。週3回のサイクリングマシンのセッション30分で構成されるこの体系的な運動プログラムは、全体重のうち少ししか減量がなくても、胴囲(WC: waist circumference)を著しく減少させました。胴囲の減少は(腰部や大腿部などの他の部位にしばしば見られる皮下脂肪とは反対に)内臓脂肪の減少の結果です。腹部脂肪はインスリン抵抗性とアンドロゲン過剰の確固としたしるしなのです。

同様に、PCOSの女性たちは子宮の微少血管機能が悪いことが知られていますが、これは着床失敗の原因となる可能性があります。運動トレーニングは、一酸化窒素による血管拡張を高めることで、PCOSの女性たちの微少血管機能を改善するかも知れません(5)。



Fertility - Impact of Insulin Resistance

パートIV:インスリン抵抗性と生殖能力のためのサプリメント
By: Fiona McCulloch BSc, ND
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Supplements for Insulin Resistance and Fertility ミオイノシトール
ミオイノシトールは、多嚢胞卵胞症候群やインスリン抵抗性が原因の生殖能力に関する他の懸念事項に対して有用な、インスリン感作性を改善するサプリメントです。ミオイノシトールは、一日4gの服用量で卵巣の活動性やインスリン感受性そしてPCOS患者たちの生殖能力を改善します(1)。同様に、ミオイノシトールはテストステロンも減少させ(2)、良い卵質を示すマーカーでもあります(3)。

N-アセチルシステイン
PCOSの女性37人を対象としたある調査では、毎日1.8gのNACがインスリンレベルを低下させインスリン感受性を増加させることにより、インスリン抵抗性を改善したことが分かりました(4)。

PCOSの女性100人を対象とした別の調査では、インスリンや男性ホルモンを低下させ月経周期を改善することにおいて、一日3回のNAC600mgはメトフォルミンと同等の効果を上げたことが分かりました(5)。PCOS患者180人を対象としたある調査では、毎日1.2gのNACを排卵誘発剤のクロミッドと共に服用すると、クロミッドのみと比べて排卵と妊娠率とを改善したことが分かりました(6)。

魚油
魚油はインスリン抵抗性を減少させるかも知れません。インスリン抵抗性の肥満男女12人を対象としたある調査では、魚油を摂取した参加者のうち70%についてインスリン抵抗性が低下しました(7)。魚油中のEPAとDHAとはアディポネクチンも増加させますが(8)、アディポネクチンはインスリン抵抗性を改善するのです。

同様に、魚油のオメガ3脂肪酸も、インスリン抵抗性の患者たちの脂肪組織から分泌される炎症マーカーを低下させます(9)。これが不妊に悩む患者たちの着床の問題を改善します(10)。

同じく、EPAとDHAとは脂肪酸の酸化を防ぎ脂肪組織の炎症を軽減し、インスリン感受性を後押しします(1)。

ビタミンD
ビタミンDも、生殖能力に関する懸念を持つインスリン抵抗性のある患者たちを治療するためにきわめて重大です。ビタミンDは、PCOSの女性たちのインスリン抵抗性を改善しアンドロゲンレベルを低くすることが分かりました(12)。低レベルのビタミンDはPCOSの女性たちにおける高いインスリン抵抗性マーカーと関連付けられています(13)。

αリポ酸(ALA: alpha lipoic acid)
インスリン抵抗性および糖尿病性病状へのαリポ酸の使用を支持するおびただしい研究が存在します(14)。ALAは、周辺組織のインスリン感受性を上げ(15)、胴囲を減少させ(16)、そして抗酸化物質の働きをする(17)ことが分かりましたが、これらは全てインスリン抵抗性と不妊とに効果的です。2010年のある調査では、一日2回600mg放出制御でALAがPCOSの患者たちに投与されました。治療の終わりには、インスリン感受性に13.5%の改善と月経周期の改善およびトリグリセリドの減少がありました。

インスリン抵抗性は生殖能力に関する懸念で最もよく見られる要因の一つです。これは、卵子の成育および卵質から着床および妊娠維持までの生殖サイクル全体に影響します。幸い、食事やライフスタイルの変化や補助的治療により効果的にインスリン抵抗性を減少させ、基礎的健康状態を著しく改善し、より容易により良い受胎をもたらす方法が存在するのです。