ウィルス性胃腸炎

はじめに

胃インフルエンザ、または「おなかの虫」というのは、医学の分野で正式には胃腸炎として知られているものの一般的な呼び名です。胃腸炎は本質的に胃腸管の炎症という意味です。これは通常、胃および腸に関わるものです。胃腸炎は一連の非常に不快な症状を引き起こしますが、それは通常下痢、嘔吐、腹痛や痙性腹痛の組み合わせです⁽¹⁾。吐き気、食欲不振、そして更に重症になれば脱水の兆候といった他の症状があるかも知れません。最も良くあるのはウィルス性胃腸炎ですが、これはいくつかの異なるウィルスが原因です。ノロウィルスは学齢期の子供たちに加えて病院やクルーズ船でも良く見られます。ロタウィルスは、重度小児胃腸炎の主因です（そしてロタウィルスのワクチンも利用可能です）。最後に、アストロウィルスおよび腸管アデノウィルスと呼ばれるより一般的ではない他のウィルスがあります。重度胃腸炎リスクの最も高い人たちは、免疫力のない（あるいは、免疫システムが何らかの理由で弱まっている）人たちで、非常に若い子供たちおよび非常に高齢の人たちがそれに当たります⁽²⁾。

胃腸炎診断の最も簡単な方法は、医療専門家や自然療法医との一連の質疑応答により徹底的な病歴を取ることです。医師は、口の乾燥や低尿量といった、あなたが脱水であることを示す可能性のある幾つかの兆候について尋ねるでしょう。身体所見聴取では血圧測定もあるかも知れません。もし脱水ならば低血圧の可能性があります。胃腸炎の場合には下痢と吐き気の他に寒気、熱、凝り、筋肉痛、そして体重減少といった症状があるでしょう。担当医はこれらについて尋ねることと思われます。もし汚染された食物や病気の人との接触があったならば、通常はただ診断を確認して治療の提案に移ります。ラボ検査の観点からは、検便で病気の原因となっているウィルスを同定します。大半の場合こういった種類の検査は不要ですが、もし病気が2日以上続くならば便の糞便培養を行って病気がバクテリアによるものでないかを確認する価値があります。これは、あなたが確実に最適な種類の治療を受けることを助けるでしょう。

胃インフルエンザは通常、良い衛生習慣を身に付けることで予防することが可能です。例えば、汚染されていない水を確保することは極めて重要で、通常問題は発展途上国でより多いのです。もし旅行中ならば、気を付けてください。特に衛生状態の悪い場所では、母乳育児がもう一つの一般的な推奨です。母乳は感染の頻度および酷さを減らすようです⁽³⁾。最後に、世界保健機関ではロタウィルスのワクチンが地球上全ての子供たちに提供されることを推奨しています。

抗生物質はウィルスに対して効果がありません。薬剤には注意を怠らず、もし薬を利用するならば可能な限り少量を服用するよう心掛けてください。多くの薬は胃腸炎の症状を悪化させる可能性があります。子供は鎮痛剤を避け、非常に少量を服用してください。毒性を有するものもあり、またアスピリンはライエ症候群として知られる病態の原因となる可能性があるため危険です⁽⁴⁾。下痢を防ぐ薬剤は、体がウィルスを除去するのを更に困難にする可能性があるため、これらを服用する前にも主治医に相談を求めるのが最善かも知れません。

胃インフルエンザの最良の治療法は安静です。睡眠を取る、横になる、そして単にくつろぐといったものの何であれ、あなたの活動レベルを低下させることが重要です。安静にすることであなたの体と免疫システムはウィルスと闘い、受けた損傷を修復します。更にもしあなたが脱水状態ならば、この病気はあなたを普通よりも弱くしますので、無理をするのは絶対に禁物です。

回復中には、脱水状態に陥らないようにするのが非常に重要ですので、十分に液体を摂取してください。塩分やミネラルのような電解質は下痢や嘔吐で失われていますので、それを補充するのが非常に重要です。これは一部水を飲むことで補われますが、十分に摂取していないならば、電解質の溶液や経口水分補給用飲料と呼ばれるものを取ってください。これらは通常、ドラッグストアに置いてあります。スポーツドリンクの中には電解質を含むものもありますが、しばしば着色料や他の添加物に加えて大量の糖を含むため、一般には最善の選択ではありません。もし飲むのが困難ならば、氷を吸ったり一回につき少量の水分をちびちび舐めたりしてみてください。透明なソーダやだし汁を試しても良いでしょう⁽⁴⁾。

食事の面では、食べるのが困難であったり食欲が振るわなかったりするかも知れません。これはウィルス性胃腸炎の時には普通です。また、食べる際に腹部痙痛や腹痛を感じるかも知れません。これはそのうち無くなるはずです。このような状態を助けるためには、少量の食物を頻繁に摂取してみてください。シリアル、パン、ジャガイモ、赤身の肉、バナナや野菜のような食物を食べてみてください⁽¹⁾。薄味の食べ物から徐々に食べ始めてください。米や鶏肉のような食品も考慮してみてください。もし吐き気が酷いなら、食べ物の量を減らすか食間の時間増分を増やしてください。また、甘い食品のような特定の食物は下痢を悪化させるため、避けてください。

胃腸炎治療に極めて役立つ、様々なビタミンやハーブのサプリメントがあります。幾つかのサプリメントは免疫システムの活性を後押しすることから、特に利用されます。例えば、感染と戦う良い方法の一つは、十分量のビタミンD値を維持することですので、もしカナダにお住まいならば恐らく一年の大半の期間、ビタミンDを補給する価値があるでしょう。ビタミンCはもう一つの選択肢です。ビタミンCは本来の免疫システムに必要不可欠で、補給することで抗菌効果があるかも知れません。もしビタミンCのサプリメントで胃を不快に感じたら、それはあなたにとって最高の選択ではない可能性があります。

ハーブのアプローチに関しては、アンドログラフィスとエキナセアの両方に抗ウィルス性があります。これらは、チンキ剤（アルコール抽出物）の形で、あるいは乾燥した（カプセルやお茶として）形で服用できます。通常、これらのハーブはチンキ剤や錠剤の形で提供されています。これらは感染が無くなるまで一日に何回も服用するよう推奨されています。ハーブについては、必ず良質のサプライヤー（高品質かつ無添加）からのハーブを適量、服用することが重要です。通常これは医療専門家や自然療法医が特に助けとなるところです。自然療法医は、処方が正しくあなた自身に適切であるかを確かめ、そして恐らく最も重要なことですが、それが安全であることを確認してくれます。

その利用が成功したもう一つのハーブはニンニクで、アリシン（ニンニク抽出物）の形のものです。この形態のニンニクは極めて万能な抗菌剤として働き、原則として全ての有害な微生物を一掃します。アリシンは非常に強力なので、うかつにも健康に良いバクテリアも殺してしまうかも知れません！この理由から、強力な抗菌剤を用いている間はプロバイオティクスを（食事と一緒に、少なくとも100億CFU）摂取するようにしてください。プロバイオティクス自体は独立して腸の調節を助け、そして胃腸症状の改善も助けます。また、ウィルスの撃退も助けます。苛酷な状況では、感染後に静脈療法が必要となる人たちもあるかも知れません。静脈療法では、体に水分を補給するのに加えて、担当の専門家によっては感染を撃退するのを助ける特定のビタミンやミネラルを加えることも可能です。

胃インフルエンザは、極めて不快で消耗の激しい病態です。これが命取りとなる集団もあります。この病気は接触感染し、ウィルスへの曝露の二日後に症状が現れます。感染すると、人を感染させる状態が2週間以上続きます。この理由から、衛生状態を良好に保つというような多くの生活習慣が推奨されています。手洗いを頻繁に行い、感染した人が手を付けた食べ物や飲み物を口にしないようにしましょう。体が感染を撃退し、より多くのストレスを避ける確率を上げるため、安静にして可能な限り睡眠を取ってください。最も重要なことですが、首尾一貫して液体や電解質を摂取してください。もし吐き気が酷ければ、少量をちびちびと頻繁に間を空けて摂取してください。同じことが食べ物にも言えます。薄味の食べ物を少量取ってみてください。もし食後に腹部痙痛があっても、これは比較的直ぐに無くなるはずです。

抗生物質はウィルス性感染には効果がなく、ですから胃インフルエンザには何の効果もないでしょう。他の薬（鎮痛剤、下痢止め薬）はひょっとしたら胃のむかつきを引き起こすかも知れず、そして子供たちでは危険です。その代わりに、天然サプリメントは非常に限られたリスクで多くの報いを得られる可能性があります。ビタミンCとビタミンDとは、免疫システムを押し上げるのを助けます。アンドログラフィスやニンニクのようなハーブは、抗ウィルス性があります。あなたが何を選んでも、気楽に構え、もし1,2日中に良くならなければ、更にアドバイスや提案を得るために自然療法医の診療を受けることが強く勧められます。更に多くの検査が行われることでしょう。