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子宮頸部形成異常-自然療法の戦略および従来の戦略

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子宮頸部形成異常-自然療法の戦略および従来の戦略
ティファニー・エーベルハート自然療法医師

Mahaya Forest Hill
73 Warren Road, Suite 102
Toronto, ON, M4V 2R9

www.tiffanyeberhardnd.com



Cervical Dysplasia and its Risk Factors

子宮頸部形成異常とそのリスク要因

子宮頸部形成異常というのは、子宮頸部の表面に異常な細胞が見られることですが、これは前ガン状態でガンに発展する可能性があると考えられています[1]。子宮頸部形成異常の原因は第一に、ヒトパピローマウィルス(HPV: human papillomavirus)の異なる複数の株による性感染症です。しかし、異なる複数の株は良性および前ガン性の病変の両方に関わっています。ですから、病気の進行は個人的な要素に依存しているようです。研究では、HPVへの暴露が子宮頸部形成異常発症の開始イベントであることが示唆されており、しばしば頸部上皮内腫瘍形成(CIN: cervical intraepithelial neoplasia)と呼ばれます。HPVはアメリカ合衆国で最も一般的な性感染症で、成人人口で最高80%が感染している可能性があります[3,4]。HPVは肌の接触を介して感染し、ですからコンドームでは完全に感染を防ぎませんが、しかし病気退行の確率を上昇させることはできます。生殖器HPV感染の大半は症状がなく、しばしば一時的なもので、ホストの免疫が臨床疾患に対して防御的に作用をすることから自然に消散します[4]。しかし、子宮頸部形成異常や子宮頸ガンといった異常細胞へと発展する場合もあります。子宮頸部形成異常は、その非侵襲状態では治療することが可能です[3]

HPVは子宮頸ガンの第一リスク要因で、子宮頸ガン発症に一役買っているものの、他の特定のリスク要因が子宮頸部形成異常の発症と関連があります。これらには、早期のセックス活動、複数のセックスパートナー、性感染症、経口避妊薬の利用、タバコの喫煙、社会経済的地位が低いこと、免疫抑制、そして貧困な食事などがあります。疫学的および実験室での研究によると、頸部上皮内腫瘍形成および子宮頸ガンの発症・進行には栄養上の要因が主な役割を果たす可能性が示唆されています。ですから、第一次予防は、リスク減少に焦点を当てるべきです。リスクを減少させる最も重要な方法は、リスクのある性行動をやめることです。女性は、思春期に子宮頸部に生物学的な変化が起こるため、青年期および早期成人期に最もガン発症の影響を受けやすいのです[2,5]。子宮頸部形成異常は子宮頸部組織に局在的な健康問題ではなく、健康および個人のウィルスへの暴露に対する免疫システムの抵抗性に実際に関係していることを認識するのが重要です[3]。経口避妊薬は、タバコ喫煙の悪影響を強化し、ビタミンC、ビタミンB6およびB12、葉酸、リボフラビンおよび亜鉛といったいくつかの栄養素を減少させます[4]


子宮頸ガン 子宮頸ガン

子宮頸部の扁平上皮細胞ガンは、ほとんどいつも子宮頸部形成異常が先行します[3]。子宮頸ガンは、年齢20-39歳の女性で二番目に多いガンです[2,6]。子宮頸ガンは長期持続的なHPV感染と関連があります[4]。HPVには50を超える株があり、高リスク株は16,18,31です。これらの特定の株は、重症の子宮頸部形成異常(CIN III)および子宮頸ガン、外陰ガン、陰茎ガン、会陰ガンと関連があります[2]。ウィルスへの暴露から病変あるいはパップスメア(子宮頸ガン検査)異常までにかかる時間は、数週間から何十年まで様々です[4]。子宮頸ガンの症状は通常、ガン細胞が近傍の組織を侵襲すると現れ、月経周期の間、あるいは性交、洗浄や内診後に起こる異常出血といったものがあります。他の症状には、閉経後の出血、おりものの増加、月経が重くなる、あるいは長くなること、そして性交中の痛みといったものの可能性があります[1]


食事と栄養サプリメント 食事と栄養サプリメント βカロテンおよびビタミンA

抗酸化物質を含む果物や野菜の摂取を増やすと、悪性腫瘍のリスクを低下させます[2]。野菜摂取が多いことは、HPV持続リスクの54%減少と関連があります[3]。果物および野菜はカロチノイド、ビタミンC、葉酸の主要な食物源ですが、これらはガン予防において相乗効果があります。ビタミンAが豊富に含まれる果物、特にニンジンやほうれん草のような高レチノール食品の摂取を増やすと、初期のガンの発症リスクを減少させるのと同時に、多量摂取によりガン疾患がより侵襲的な形に進行するのを抑制する可能性があります[2]。レチノール摂取および血中レチノール濃度は、疾病が退行した女性たちと比較して、上皮内疾患あるいは侵襲性疾患に進行した子宮頸部形成異常の女性たちの間では4-5倍低いことが分かりました[2, 7]。それに加えて、子宮頸部細胞のβカロテン欠乏は、子宮頸部形成異常発症との因果関係がありました。しかし、補給は効果があるようには見えません[3,8]。治療を受けていない子宮頸ガン患者の6%では、血中ビタミンA濃度が正常値を下回ることが示されました[4]。血中βカロテン値が低い場合には3倍高い重症の形成異常リスクがあり、形成異常の重症度はβカロテンの低値と相関があるようです[4,9,10]。カロテンおよびレチノールは上皮組織の本来の働きおよび機能を改善し、抗酸化物質として作用し、免疫システムの働きを改善します[4]。ビタミンAおよびその類似物質はHPV感染による増殖を、アポトーシスとしても知られるプログラム細胞死と、実験研究では細胞増殖速度の抑制とを介して抑制します[3]

インドール-3-カルビノール(I3C: Indole-3-Carbinol)

I3Cは、アブラナ科の野菜に含まれる植生化学物質ですが、アブラナ科の野菜にはキャベツ、ブロッコリー、芽キャベツ、カリフラワーやケールといったものがあります。I3Cは、数々のガン、特にエストロゲン関連のガンの予防・治療に用いられてきました。I3Cは体内でジインドリルメタン(DIM: diindolylmethane)に転換される優勢な活性薬剤である可能性があります。I3Cは腫瘍の形成や進行を防ぎ、腫瘍化した細胞を選択的に殺すことができます[2]。I3Cは、異常な細胞増殖や腫瘍進行を防ぐためにいくつかの方法で作用する可能性があります[3]。異常な子宮頸部の病変のない女性たちよりも、中程度(CIN II)および重度(CIN III)の形成異常の女性たちでは、2-ヒドロキシエストロン:16α-ヒドロキシエストロン比が低いことが明らかにされました[2,11]。I3CおよびDIMはマウスの子宮頸部組織にアポトーシスを引き起こす力があり、ゆえに子宮頸部形成異常の治療として有望であることが示されています[2,12]

葉酸塩・葉酸

葉酸塩不足は子宮頸部形成異常と因果関係があります[2]。葉酸塩不足により、HPVはより容易に人のDNAに組み込まれると考えられています[2,13]。葉酸塩の欠乏はDNA合成を損ないますが、DNA合成は細胞増殖、細胞成長、そして細胞分化に必要不可欠です。葉酸塩の少ない組織はDNAに弱い部位を生じさせるリスクがありますが、これは発ガン物質やウィルスの付着や染色体の損傷および発ガン遺伝子発現を増やし、DNA修復を抑制します[2]。血液中の葉酸低値は、侵襲性の子宮頸ガンにおける中程度のリスク上昇と関連しています[3]。葉酸欠乏症は一般的であり、経口避妊薬の使用は欠乏リスクを上昇させます[4]。葉酸塩は、軽度および中程度の子宮頸部形成異常の女性たちに使わましたが、患者たちの細胞学的スミアを改善あるいは正常化することが示されました[3,4]

緑茶

緑茶に含まれる2つの成分、ポリフェノールEおよびエピガロカテキン-3-没食子酸塩(EGCG: epigallocatechin-3-gallate)は、子宮頸部細胞のHPV感染および病変に対して効果的であることが示されました[3]。EGCGの利用や緑茶の高摂取によって、子宮頸ガンの発生率を減少させたり、前ガン病変の進行を遅くしたりすることが可能かも知れません[14]


従来戦略 従来戦略

パップスメアは、子宮頸ガン予防および軽度から中程度の子宮頸部形成異常の検知において、最も重要な役割を演じます[3]。年齢29歳までの女性たちには毎年のスクリーニングが、その後の年齢ではパップスメアの間隔は2-3年に広げることが推奨されています。スクリーニングは一般に、膣性交の開始3年後に始め、年齢21歳までに行われなければなりません。

定期的なパップスメアは現在のところ、私たちの医療サービスの一部であることから、子宮頸部形成異常は一般にそれが侵襲性子宮頸ガンに転じる前に発見されます。もし子宮ガン検査が結果異常で返ってきたら、病変が自然に寛解しているかを確認するために、患者たちは6か月以内に再度検査を行うよう指示されています[2]

もし、再度パップスメアが異常となれば、次のステップは膣鏡診を受けるための婦人科医への紹介です。膣鏡診では、異常な組織を検知するために、組織にホワイトビネガーを塗布するのと同時に、スコープを用いて子宮頸部を可視化します。下の表はパップスメアで考えられる結果およびその意味に加えて、推奨されている対策の指針をまとめたものです[3]

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意義不明の異型扁平上皮細胞(ASC-US: Atypical squamous cells of undetermined significance)td> 軽度の異常。HPV検査が勧められます。
異型扁平上皮細胞、上級(ASC-H: Atypical squamous cells, high grade) HPVに加えて膣鏡診および生検が勧められます。
低級扁平上皮内病変(LSIL: Low-grade squamous intraepithelial lesion) 大きさ、形状および異常細胞数の軽い異常。
膣鏡診および生検が勧められます。
上級扁平内皮病変(HSIL: High-grade squamous intraepithelial lesions) LSILより重症で、子宮頸ガンの進行の確率がより高いです。
膣鏡診および生検が勧められます。
もし生検により形成異常が示されれば、焼灼や破壊処置が考慮される可能性があります。これらには、凍結療法、二酸化炭素レーザーや電気焼灼器があります。除去法はもう一つの選択肢で、頸部円錐切除術や電気外科的ループ切除法(LEEP: loop electrosurgical excision procedure)といったものがあります。これら全ての処置により、形成異常細胞が除去され、古い細胞は新しい細胞で置き換えられます。これらが正しく用いられた際の成功率はおおよそ90%です。将来の子宮頸ガンの予防に対してこれらの手法が比較的安全で効果的であるにも関わらず、これらの手法が将来の生殖や妊娠の転帰に及ぼす影響はいぜん不明のままです[3]。 HPVワクチンは、一般に子宮頸ガンと関連がある主要な株のうちの2つおよび陰部疣贅と関連がある他の株とを標的としています。HPV-16ワクチンにより、HPV-16感染およびHPV-16関連子宮頸ガンの両方の発生率が低下しました[3]
結論

結論として、子宮頸部形成異常および子宮頸ガンの発症に関連する多くのリスク要因が存在します。栄養サプリメントは、この疾患の非侵襲段階における価値のある治療アプローチです。最善の治療を決定するためには、正確な診断および十分な検査を行うことが極めて重要です[3]