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米に含まれるヒ素-概要

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米に含まれるヒ素-概要
Written by : Dr. Becky Lee ND Naturopathic Doctor.

Marsden Center for Naturopathic Excellence
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Vaughan , ON - L4K 0G7

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もし、あなたやあなたのお子さんが私の子供のようなグルテンや乳の過敏症ならば、しばしば米は一番の頼りでしょう!でも知っていましたか?米には不都合な面があります。米ベースの食品や飲料は無機ヒ素が高濃度で含まれている可能性があるのです[1]。私たちが食品中のヒ素を気にする理由は何でしょうか?



まず、ヒ素とは何か?


ヒ素は環境中に天然に存在しますが、殺虫剤のような人工製品由来のものもあるかも知れません。水、空気、食物や土壌の中に含まれている可能性があります。食物中には有機および無機の両方のヒ素が含まれていますが、無機ヒ素が最も毒性が高く、長期的な健康問題の原因となる可能性があります[1][2]。残念なことに、米は水の中で育つため元来他の植物よりも多くヒ素を取り込む傾向があり、ヒ素濃度が高いほど影響を受け易いのです。


ヒ素が体に及ぼす影響

ヒ素が私たちの体に与える損傷の度合いを評価する際に最も難しいのは、有機ヒ素への長期的な曝露の増加による症状および発病の可能性が人、人口集団、そして地理的地域によって異なることです[3]。つまり、一人一人の体はヒ素への曝露に対して異なる反応をする可能性があるということです。しかし何が原因と関係あったのでしょうか?世界保健機関(WHO)によると、長期的なヒ素への曝露は、皮膚、膀胱、そして肺のガンおよび皮膚損傷を引き起こす可能性があります[3]。実際、ヒ素は国際がん研究機関(IARC)によって人の発ガン性があると分類されています[3]。ガン発症におけるヒ素の影響の評価に関する難しい部分は、ヒ素によるガンと他の要素によるガンとを区別する方法がないことです[3]。ガンの症例では殆どの場合、原因はただひとつの要素ではなく、沢山の要素の組み合わせ(年齢、家族歴、ライフスタイル、喫煙など)です。ガンとは別に、ヒ素への常時曝露は発生効果、心血管疾患、神経毒性、そして糖尿病との関連があります[3]。最近の研究でも、子宮内のヒ素が新生児の免疫システムに影響を及ぼすことが示唆されています[4]。

Arsenic in rice - An Overview
食物中に含まれるヒ素のレベルはどれ位か?

米国食品医薬品局(FDA)は2011年以来、ヒ素検査数を増加させています[2]。2013年9月にFDAは、米および米製品のおよそ1300サンプルについての分析結果を発表しました。米粒のカテゴリー中で、無機ヒ素の平均値はサービングあたり2.6-7.2マイクログラムの範囲でした[2]。興味深いのは、インスタントライスが最も低い範囲にあり、玄米が前述の最高値だったことです。これらの値は、即時あるいは短期的に健康に対して有害な作用を及ぼすには低過ぎるという結論が下されました[2]。しかし、ヒ素の体に対する長期的作用については評価が行われませんでした。問題は、食品に含まれるヒ素の安全量についてこれまでの所、何のガイドラインもないことです。飲料水中の安全量についてのみ定められています。米国環境保護庁(EPA)、欧州連合(EU)そして世界保健機関は飲料水中のヒ素総濃度に1リットルあたり10マイクログラムという値を定めました[2]。ライスミルク測定調査では、ヒ素濃度は1リットルあたり2.7±0.3から17.9±0.5マイクログラムという範囲の値を取ることが示されました[4]。これらのより高い値は、安全な飲料水と見なされる値である1リットルあたり10マイクログラムを上回ります!

グルテンフリー穀物であるアマランス、ソバ、キビやポレンタや粗挽き穀物を検査したところ無視できるほどの値のヒ素しか含まれていないことが分かりました。キノアは良質のタンパク源でもある低ヒ素穀物です[7]。


Arsenic in rice - An Overview 有機食物のヒ素は少ないか?

私たちは常に有機が一番良いと考えていますが、ヒ素レベルに関して問題はあるでしょうか?ヒ素は本来土壌や水に含まれており、従来農法で育てられようが有機農法で育てられようが植物は吸収します。今までの所、有機米に対して従来の方法で育てられた米に含まれるヒ素の量に違いがあることを示すデータはないようです[6]。


世界の幾つかの地域で育てられた米はより安全か?

米国食品医薬品局自体は、州間比較や国家間比較を行わなかったため、このようなデータは彼らのファイルには存在しないと言っています。“米の種類、土壌の組成、使われた肥料ブランド、季節変動、栽培方法および水の利用方法“といった、行われるべきであろう複数の比較が可能であると考えられますが[6]、これらは全て行われませんでした。しかし、コンシューマー・リポーツの調査によると、比較的好ましそうなある形態の米が存在します。例えば、カリフォルニアのバスマッティ米はヒ素が最低量であるようです。カリフォルニア、インドおよびパキスタンのバスマッティ白米および米国のスシ米は平均して、大半の他の種類の米の無機ヒ素量の半分です。テキサス州の米のヒ素が最高水準です[7]。玄米に関しては、通常、同種類の白米よりも平均して無機ヒ素が80%多く含まれています。カリフォルニア、インド、パキスタンのバスマッティ玄米が最も低く、他の玄米の三分の一の無機ヒ素を含有しています[7]。


幼児のヒ素への曝露について

離乳食には米が含まれていることが多く、赤ん坊の体重は低いことから、とりわけ食事に含まれるヒ素への暴露に影響を受けます。体重の低い乳児というのは、一日あたり体重1kgあたりのマイクログラムで表す際のヒ素濃度が、たとえ成人にとっては安全な飲料水と見なされていても、高濃度になってしまいます。ある調査では、ヒ素が全ての新生児用調合ミルクで検知されましたが、ここで注目されたのは、月齢三ヶ月、体重6.2kgの赤ん坊が60mlの調合ミルクを毎日飲むことにより、0.036-0.21マイクログラム/kg/日の調合ミルクによるヒ素への曝露となるであろうということでした[5]。これも、WHOおよびEPAで定められた0.10マイクログラム/kg/日という成人の飲料水1Lの上限を超えています。 Arsenic in rice - An Overview

検査に基づき、FDAは2016年4月1日に新生児用ライスシリアル中の無機ヒ素の上限として100ppb(parts per billion: 10億分の1)を提案しました。この値はFDAの大規模な科学的データの評価に基づいており、新生児の無機ヒ素への曝露を減少させる目的で定められました。新生児の米の摂取は、第一に新生児用ライスシリアルによるもので、体重に対して相対的に換算すると、成人よりも三倍多いのです[2]!

2016年4月にFDAが発表したデータは、米および米製品に含まれるヒ素についてのレビューを完成するために集められました。このデータは、新生児向けライスシリアル中のヒ素について、業者の理解を高めるために必要でした。このデータで示されたのは、米のみで作られた新生児用シリアル76製品と、複数穀物・米以外の新生児用シリアルおよそ36製品、そして新生児や幼児が口にする他の一般的な食品に含まれる無機ヒ素濃度です。FDAは、新生児や幼児が一般的に摂取する14のカテゴリー(サンプル数400以上)の他の食品についても検査を行いました。これらの新しいサンプルは、FDAが2013年に検査を行った米および米製品おおよそ1300サンプルに追加されました[2]。

FDAのデータは、2014年に小売店に置いてある子供向けライスシリアルのサンプルの半数近くあるいは47パーセントが、FDAの提示した限界レベルである無機ヒ素100ppbを満たしており、大半(78パーセント)は無機ヒ素が110ppb以下であったことを示しています[2]。

提示されたこの上限値は、無機ヒ素の曝露に関する好ましくない妊娠結果および若年期の神経学的影響を示している科学的調査の分析を軸としています[2]。


私たちに何ができるか?

米を完全に避けることは不可能です。多くの人々にとって米は食事に欠かせないもので、グルテン過敏症の人たち、食物過敏症の幼児たち等々にとって重要です。 以下は、米に含まれるヒ素への曝露を最小限に抑えるために、しっかり覚えておくべき幾つかの事柄です。

  1. 米の飲料を幼児や子供に与えない[1]
  2. 鉄分の強化されたライスシリアルは新生児にとって良い栄養源ですが、これを唯一の食物源とすべきではなく、また最初の離乳食である必要もありません。他の新生児用強化シリアルには、オーツ、大麦、そしてマルチグレインといったものがあります。赤ん坊に鉄分を強化したシリアルを与えて、この重要な栄養素を確実に十分摂取させてください。更に、母乳育児をしている母親の方々は赤ん坊に鉄分を供給するために、確実に十分な鉄分を摂取してください。
  3. 摂取する穀物の種類を変えて、米や米製品摂取の週あたりサービング数に上限を設けてください。キノア、ジャガイモ、ソバやアマランスのような食品から炭水化物を摂取してください。
  4. リンスしても調理穀物のヒ素含有量には最小限の影響しか与えないことを忘れないでください[6]。米を徹底的にリンスし、米の5-6倍の体積の水で調理し、余分な水を捨ててください。報告では、このような調理方法によりヒ素含有量をおよそ半分に減らせることが示されましたが、これは栄養価も減らす可能性があります。実際、これは葉酸、鉄、ナイアシンそしてチアミンを50-70パーセント減少させるでしょう[6]。
  5. 更に大きな効果を望むなら、より厳しい食品の規制を政府に要求し続ける必要があります。