メインコンテンツに移動

最適な消化の重要性―ナチュラルな治療戦略

日本語

最適な消化の重要性―ナチュラルな治療戦略
by: Ashley Kowalski, HBSc, ND

Hampton Wellness Centre
1419 Carling Avenue Suite 209
Ottawa, ON K1Z 7L6
www.ashleykowalskind.com



The Importance of Optimizing Digestion - Natural Treatment Strategies





消化システムとは?

胃腸(消化)システムは複雑です。体に必要な栄養を得るために、消化のプロセスは順次的なステップに従い、適切に機能する必要があります。消化は口から始まります。唾液酵素は化学的に、歯は機械的に食事の分解を助けます。次に、食物の塊は食道と呼ばれる筋肉管を通過し、これによって食物は口腔から胃へと送られます。胃では様々な酵素や塩酸のような分泌物が食物の粒を更に分解します[1]。食物が胃を離れると、直ぐ小腸に入ります。栄養素の大半は小腸で吸収され、大腸で老廃物が作られ貯蔵されます。食物を吸収できるよう更に小さな分子に分解するめに、消化液や酵素を小腸内へと分泌するという点では、すい臓も大きな役割を果たします。良く機能する健康な消化システムは、食物に含まれる栄養素の消化・吸収だけでなく、他の多くの面で健康に良いでしょう。


消化システムと健康・ウェルビーイング

おおよそ70%の免疫システムが腸にあることをご存知でしたか?胃腸システムの重要性は、そこに極めて大量の免疫細胞が存在することが証明しています。腸管関連リンパ系組織(GALT: gut-associated lymphoid tissue)は粘膜関連リンパ組織(MALT: mucosal-associated lymphoid tissue)の主要な系で、免疫システム全体のほとんど70%に相当し、固有層にはIgA抗体生産に携わる全ての形質細胞のおよそ80%が存在します。ですから、胃腸システムは免疫システムの恒常性における中枢的な役割を果たしているのです[2]。このように、侵入者から体を防御するために腸が健康で良く機能していることが重要です。

その一方で、消化システムは体のセロトニンのおおよそ95%を生産します。セロトニンは気分の調節に携わります[3]。ですから、消化不全の人は苛立ちを訴えたり不安・抑うつの兆候や症状を呈したりする可能性もあります。


消化に関する不調の原因 The Importance of Optimizing Digestion - Natural Treatment Strategies

消化の不調には複数の要因が寄与します。医師は、身体的な健康だけでなく精神・感情的原因の可能性も検討すべきです。

貧しい食生活: 貧しい食生活は、おなら、腹部の膨満や不快感・痛み、そして排便の頻度や周期の変化に寄与します。不健康な食事は、糖尿病、代謝症候群、そして高血圧といった今日私たちが目にする病態に限らず、様々な健康状態への大きな寄与因子でもあります。加工食品・精製食品は体内の炎症プロセスに寄与します。私たちが体の中に入れるものは重要です-食物は気分だけでなく免疫の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

ストレス: 私たちの感情・精神的な健康状態は、腸の働きおよび微生物叢に強く影響します-心身の結びつきは重要です。環境ストレスおよび心理的ストレスと胃腸障害との関係は複雑であり双方向的です。ストレスが引き金となり胃腸痛や他の症状が悪化する可能性があり、その逆もまた真実です[4]。消化システムには、蠕動運動(結腸内での老廃物の動き)をコントロールする腸神経システムがあります。絶え間ないストレスの下では、血流は消化管から反れてしまいます。その結果、食物が消化されず、栄養素は適切に吸収されません。血流の不足は、腸の運動性、胃液分泌、そして粘膜透過性に影響を及ぼします。私たちはしばしば、心腸相関を“直感”として認識し、“胃の中の蝶“から不安により誘発される吐き気までの形で現れます。

薬・抗生物質の使用: 処方薬および市販約の中には、腸内善玉バクテリア数に悪い影響を与えるものがあります。腸管の善玉および“悪玉”バクテリアには相対比があり、(抗生物質のような)薬は善玉バクテリアを一掃する可能性があります。この結果、感染、毒素増強、炎症、そしてアレルギーのリスクを上昇させる“悪玉”バクテリアの数が優勢になります。微生物叢は、抗生物質、感染、化学療法、そして放射線療法によってかく乱されます。この乱れは保護バリアに大きな影響を及ぼし、病原体の過増殖や毒素の侵入を許します[5]。

The Importance of Optimizing Digestion - Natural Treatment Strategies

低胃酸: 塩酸の生産は年齢とともに衰える傾向にあります。塩酸は胃の中で消化が行われるために重要です。胃酸レベルが不十分に低いと、腹部膨満、おなら、消化不良、げっぷ・ガス、食事後の満腹感、にきび、そして酒さといった、消化の不調に関連する症状に寄与するかも知れません[6]。

腸の過透過性: 腸の上皮バリアが破綻すると、食物の粒子や他の物質が腸から“漏れ”、血流中に入り込み、免疫反応の引き起こし、自己免疫疾患の発症に寄与する可能性があります。自己免疫疾患の患者さんの場合、消化の健康についてのアセスメントを行うことが大切です。胃腸感染およびストレスのような多数の要素が腸の透過性を高めるようです[7]。腸過透過性の症状には、腹痛、関節痛、頭がぼんやりする、おなら、消化不良、気分の揺れ、皮膚疾患、そして排便頻度・周期の変化といったものがあります[6]。

食物不耐性・アレルギー: これは非常に個別化されており、人により様々です。これらの食物は腸の内層に炎症を引き起こし、粘膜の正常性を損ないます。一般に食物アレルギーはより深刻であり、これはIgE-媒介抗体反応に携わっています。一方、食物不耐性はIgG-媒介反応に携わっており、遅発性症状の原因となります[7]。食物過敏症の検査方法について、そして腸管の治療方法について、かかりつけの自然療法医と相談して下さい。食物不耐性の兆候および症状には、排便の変化・不規則、皮膚疾患(例えば湿疹)、頭痛・偏頭痛、疲労、いらだち、頭がぼんやりする、そして関節痛といったものがありますが、この限りではありません。


最適な消化のためのナチュラルな治療法

プロバイオティクス・発酵食品: これらは消化システムに善玉バクテリアを再充填し、炎症および感染に寄与する病原体・毒素に対する最高の防御を提供します。免疫システムの圧倒的大部分は腸にあり、善玉バクテリアは最適な免疫の働きには欠かせません。プロバイオティクスには多くの異なる菌株があり、各々の菌株にはそれ独自の一連の健康効果が伴われることが、研究により示唆されています。発酵食品もプロバイオティクスを含んでいます。これらの食品には、ヨーグルト、ザウアークラウト、テンペ、コンブチャ、ケフィールそして味噌汁といったものが含まれます。かかりつけの自然療法医と相談して、あなたに望ましいプロバイオティクスを決めて下さい。

低アレルゲン・抗炎症食事法: 果物や野菜、全粒のグルテンフリー穀物、そして脂身の少ないホルモンの含まれない肉のような栄養の濃縮された食品の摂取を心がけて下さい。精製糖や単炭水化物(白パン、白米、焼き菓子…)を避けて下さい。このような食事には本来、アレルギー反応を起こしそうな物質・食品が含まれず、有害な食物反応を排除し、腸管が治癒するための時間を生じさせます。かかりつけの自然療法医の診察を受け、完全な情報を求め、この食事法をあなたのライフスタイルの中で実行できる方法を探して下さい。

The Importance of Optimizing Digestion - Natural Treatment Strategies

オメガ-3: オメガ-3脂肪酸は、腸内の炎症を減らすことで知られています。更にオメガ-3は炎症性サイトカインの生産も抑制します。サイトカインは、免疫システム全体を連携させる化学メッセンジャーです。オメガ-3脂肪酸は、保護作用のある抗酸化物質の経路を上方制御することで、自己免疫疾患の発病を遅らせ、その進行を改善することが示されています [7]。

グルタミン: グルタミンは腸細胞内の保護的ストレス反応を促すことにより、胃腸システム内の炎症性メディエーターを下方制御します。更にグルタミンは、小腸内の密着結合の正常性を高め、粘膜厚を増加し、透過性を減少し、そして細菌付着および転位を減少させます[6]。


消化一般の問題

便秘- 遅い腸運動が原因で起こる不定期な排便。便がゆっくり動く時、便からより多くの水が吸収され、これが便を乾燥させ硬くします。しばしば、便の量が増加するほど排便時に直腸痛、腹痛や膨満を感じ易くなります。

下痢- 腸運動が増える結果もたらされる、柔らかく頻繁な便。便意を催すだけでなく、内部の圧力が高まるにつれ腹部の痛み・けいれんも感じられるかも知れません。便の輸送時間が増加する際、栄養素が十分に吸収されず、これが吸収不良を引き起こす可能性があります。吸収不良が続くと、体重が減少し疲労が生じるかも知れません。下痢の後、脱水が起こる可能性があります。

消化不良- 症状の集合の総称で、症状には胸焼け、腹部膨満、吐き気、早期満腹や過度のげっぷといったものがあります[1]。


結論

消化システムは複雑です。もし消化に携わる臓器の一つでも損なわれると、消化に障害が生じます。胃腸システムには、食物を消化する以上の働きがあり、気分に加えて免疫の健康とも関連があります。消化システムの健康について先回りする方法があります。正しい食事、ストレス軽減、薬の回避(可能ならば)、そしてサプリメントは全て、消化システムの健康と働きとに大きな影響を与えます。