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グルテンとその慢性疾患への影響

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グルテン過敏症がもたらす新たな健康への影響は、胃腸管をはるかに超えています。グルテン感受性には、アレルギー(小麦アレルギー)、セリアック病(CD)、1疱疹状皮膚炎、グルテン失調症、免疫介在性疾患(非セリアック・グルテン過敏症)があります。2グルテンにかかわる病態生理が幅広くあることから、様々な病状に対するグルテンの影響をより理解するために、さらに多くの研究が行われています。国立医学図書館で2020年に公開された記事のみを検索すると、検索用語「グルテン消化」では172記事、「グルテンと慢性疾患」では982記事が新たに見つかります。

グルテンは慢性疾患の一般的な要因なのでしょうか?グルテンによってどのように疾患が生じるのでしょう?そして、いつどのようにして完治できるのでしょう?

では、早速その概要についてみてみましょう。

Adrenal Fatigue

はじめに

小麦ほど世界の食糧供給を変えた植物は他にありません。タンパク質が多く含まれ、ビタミンやミネラル、澱粉が豊富な小麦とその原種は、石器時代から人類によって食されてきました。グルテン含有穀物には、複数の種類の小麦、カムット小麦やスペルト小麦、ライ麦、大麦、ライ小麦などがあります。トウモロコシや米、キノアにもグルテンが含まれていますが、影響は少ないようです。3グルテンをうまく消化できないと、以下の症状が現れることがあります:

  • 断続的または慢性的な下痢または便秘
  • 腹部膨満感
  • 鼓腸
  • 腹部の痙攣

グルテン過敏症に伴う慢性的な胃腸炎により腸の内壁が変化し、これによって栄養素を吸収できず、栄養不足になる可能性があります。以下は、長期にわたる影響の一例です:4

  • 疱疹状皮膚炎などの皮膚疾患
  • グルテン失調症(平衡障害や歩行障害)
  • 癲癇や発作
  • 甲状腺疾患
  • 末梢神経障害
  • 注意欠陥障害
  • 鉄分不足やビタミンB12の吸収不足による貧血
  • 小腸損傷によりコレシストキニンCCKが放出されず、胆石症や下痢が生じる
  • 骨粗鬆症
  • 低身長
  • 思春期遅発症
  • 関節障害
  • 肝酵素の上昇
  • 歯のエナメル質の変色または発達不良
  • 口内炎
  • 食後の膨満感、逆流、ガス
  • 慢性疲労
  • 原因不明の不妊症(男性または女性)
  • ぼんやりしている

Adrenal Fatigue

その理由は何でしょう?

グルテンは、何百種類ものタンパク質で構成される種子貯蔵タンパク質によって形成されています5

グルテンには、プロリン(20%)とグルタミン(40%)が豊富に含まれています。ペプチド結合は、わずかなタンパク質分解酵素にのみ反応しやすいため、グルテンは消化が困難です。6未消化のグリアジン(グルテンの成分)がバリア障害によって循環器に入ると、炎症反応や自己免疫反応が生じ、組織が局所的に損傷したり全身に影響が生じたりします。7事実、グリアジンを摂取すると、例外なく腸の透過性が高まり、炎症による損傷が生じる恐れがあります。8多くの場合、損傷は回復しますが、その他のストレッサーが全身に影響を及ぼし、グルテンに対する経口耐性が喪失する可能性があります。

以下は、グルテン関連障害が増加する要因の一例です:

  • テストにおける感度と特異度の上昇9
  • セリアック病に関連する遺伝子の同定10
  • 品種改良により穀物そのものが変化し、グルテン含有量が増加してタンパク質構造の性質が変化する恐れがある11
  • グルテン含有食品の定期的な摂取量の増加12
  • 環境毒素13 (ウイルス感染を含む)14
  • 腸内毒素症または腸内細菌叢の多様性の減少15

議論

上記の疾患を治癒するには、完全なグルテンフリーを実践する必要があるのでしょうか?自然療法医の立場から言えば、実践する必要があると言うでしょう。小麦やグルテンの摂取を避けるだけではありません!グルテンやグルテン由来の製品は、様々な食品の加工に使用されているため、食事内容を完全にグルテンフリーに変えるのは困難な場合があることに注意してください。一般的な「グルテンフリー食品」でさえ、グルテンに粘弾性をもたらすプロラミンが、小麦や大麦、ライ麦、トウモロコシ、ソルガムに含まれている他、オート麦や米にもある程度含まれているため、炎症が生じる可能性があります。16

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また、特に乳製品に含まれるカゼインなど、その他の食品に含まれるグルテンやタンパク質と交差反応する場合もあります。このため、自然療法では、炎症性腸疾患や自己免疫疾患を患った場合に、グルテンや乳製品を含まない食事がよく提案されます。同時に、健康を高めるために、腸の内壁を癒し、腸内細菌叢をサポートすることが大切です。

結論

グルテン関連障害の性質は、そのタンパク質の消化不良とそれに続く腸の内壁、炎症、微生物相への影響によって説明できるかもしれません。グルテン関連障害を患う可能性がある場合、例外なく宿主の感受性が影響します

このテーマの詳細については、2021年2月23日に発売されたこの記事の著者の本「Beyond Digestion: How GUT Health Connects to Your Mind, Body, and Soulをご覧ください。